なろうテンプレ異世界転生ものを否定する批評家たちへ
貴方達は口々に言う。異世界転生ものの多くが、主人公の心理に共感できないだの、冒険者のくせに女性ばかりだの、なぜこいつがモテるのかだの、ストーリー構成がゴミだの、読んでて虫唾が走るだの、まあ酷評の嵐だ。
これらの感想について、僕は一切否定しないし、寧ろその通りだと全力で首を縦に振ろう。小説のいろはも分かってない素人たちの、愚かにも自身の欲望の内側までも曝け出し、話の筋もキャラの個性も薄っぺらな小説が人気を集め、何百話と書き綴っているうちに書籍化、漫画化、アニメ化。
文学に精通した(してないまでも良し悪しくらいは分かる)人達からしたら、全くもって意味が分からないだろう。
しかし僕は言いたい。それの何が悪いのだと。
貴方達の多くが、このネット小説というものを勘違いしていると言わざるを得ない。
そもそもこのネット小説は、素人小説家の楽園であった。
文才がない、職業小説家になる気がない、でも、自分だけの小説を書きたい、誰かに読んで貰いたい、同じ世界を共有したい、そんな人達が小説家になろうに登録して、個性豊かな小説が集まっていった。
読み手からしたら、ライトノベルのような軽いものから、設定が深く細かく練られた小説まで、タダで、好きなだけ読めるとあって、どんどん読み手が増えていった。それらを読んでいくうちに読み手自身も、自分でも書いてみたいと思うようになり、ますますこのサイトは活発なものになっていった。
そんななかで出版社らが目をつけはじめ、商品化を企てていった。これが今の現状だ。
つまり何が言いたいのか、これは先程も言った通り、自分の好きな小説を書いて何が悪いんだ、ということだ。
貴方達はこのサイトの役割を履き違えている。勿論、日本の文学の質が落ちるとか、これは最早文学ではないとかいう意見は受け入れよう。
しかしながら、これは新しい流行の形であり、文化の一種なのだ。
物事というのは移ろいゆくものだ。その中で自由が認められ、多様性に富んだ社会となっていく中で、今までに無かった思想や考え方が生まれていくのである。これこそが人種の進化と言えるだろう。
新しい文化、新しい楽園を創り上げたこの地を無闇に荒らさないでくれ。
寛容になれ。時代を受け入れろ。
とまあ変な終わり方だが、僕自身も文才はないし評論文も書いたことがないので許して欲しい。
最後に一つ。
貴方達の気持ちは本当に理解できる。僕も昔は受け入れてたけど、ある程度成長した今となっては趣向も変わって、すっからかんな小説は自然と読めなくなってきた。
ただ本当に、酷評は止めて欲しい。誰がどう思って何を書こうと自由で、それは小説も批評も同じだが、誰も自分の好きなものを貶されたくはない。それに、読み手と書き手が小説で繋がれた、自由で平和なコミュニティに石を投げられたくはない。
どうか。