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●マホロバTS ~岩の美女に転生した男、魔法カードで最強の存在となる~  作者: 葦原エイ(旧・ラボアジA)


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8/38

#08 【生の躍動/Eros】 ●三馬鹿

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

 OK社に再訪したRを待ち構えていたのは、ぷりぷりと頬を膨らませた〈水玉アクア〉だった。


「あんた、サイテーね」


 開口一番、水脈が蔑んでくる。


「外道よ、ゲドー」

「おい、この猫に何吹き込まれた」


 やべぇな、心当たりが多すぎて分からねえ。

 Rがプロトタイプの〈猫人〉キティパッドを小突くと、ショコラSMサブマスターは福々しい笑みを浮かべて見上げてきた。猫特有のωな口元が鬱陶しい。


「みゅふふ、どうやら水脈ちゃんはビギナーさんのようでミャ、この世界のルールについて、ざっくりと説明していたんだミャ」

「で、なんで俺が『最低』呼ばわりされるんだ?」

「そりゃ~、アバターには温度調節ぬくポカ機能があることを、すぐに教えなかったからだミャ」

「おい、そりゃ先生も……」

「さらに!」


 ショコラはRの台詞を遮った。


「胸揺れの制御を教えなかったのは、なんでかミャ~、むっつりRク~ン?」

「えっ……、い、いやぁ~。ナンノコトカナァ」


 Rが空トボけると、ショコラが鼻で笑った。


「ま、年頃のヤローはそーゆーモンだと分かってるミャ。各種設定についても、色々と指定をやり直してあげといたから、感謝するようにミャ」

「へへー、ありがとうごぜぇまずだ」

「あと、外道っぷりのレクチャーもしといたミャ。具体的には、魔法のコンビネーションについて、ミャーがRのDRLドリルコンボを引き合いに出しといたミャ」

「へへー……って、待てやオラ」


 Rがフサフサの猫耳を引っ張ると、「ぶみゃっ」とツブれたような声を上げた。


「そっちはディープすぎンだろ。コイツ素人だぞ?」

「何を言うミャ。【武装解除ディサーマメント】で武器を落としーの、【名称変更リネーム】で自分のモノにしーの、【忠誠武器ロイヤルウェポン】でそれを回収しーのと、あまりの手際の良さに、『犯罪に限りなく近い無法行為』と讃えてやっただけミャ」

「うわぁ、嫌味たっぷりだな、先生。何の恨みがあってそこまで腐しますかねぇ」

「あら……、それ言う、R?」


 にわかに演技をやめるショコラ。目をスッと細めて切れ長になると、途端に大人びた表情になる。


「もちろん、こんなコンボを作られて、マホロバの武器群が一度全壊したからよ。いくら魔法を重視した世界とはいえ、凶悪すぎるでしょ、あのDRLドリル?」


 ショコラは溜め息混じりに腕を組んだ。しなやかな黒のスリーヴレスに包まれた、凶悪すぎる双子山嶺ツインドリルがぐぐっとせり上がり、コケティッシュな猫の魅力が一段と強調される。


「調整を加えるのが大変だったのよねぇ、マホロバの開発部としては。コスプレ用の武器が全部パーよ、パー?」

「やべぇ……。そうだ、あんたマジで恨みがあったな」

「で、こんな話の最中にも」


 すり足で寄ってきたショコラが、Rを上目遣いで覗きこんでくる。


「青少年のRクンは、どこを見てるのかしらねえ」

「えーっ、先生の魅力にメロメロですよ、ははは」


 腕に柔らかくて幸せな感触がある。絶対ワザと当ててやがるが、からかいながらも目はマジだ。天国と地獄の圧迫面接にRは視線を逸らすと、茶色に黒のメッシュが入ったクセっ毛頭を優しく撫でてやった。


「いやあ、改訂版の【戻る武器リターンウェポン】って先生のご発案ですか? あれ、最高ですよねぇ。よく調整した! キャッ、すごーい☆ 素晴らしいワ、子猫ちゃん♪」

「うっさいR、キモチ悪い」

「俺もそう思う」


 猫なで声、終了。

 ショコラの長い尻尾に、黒バニーの尻をペシペシと叩かれたRは、水脈ともどもOK社の会議室へと連れて行かれたのだった。


 ※  ※  ※


【生の躍動/Eros】

緑/レベル1/ロークラス

分類:瞬間

効果:術者のマナを2点回復する。

発動条件:直前に使用した呪文の色が緑であること。

「存分に死に抗え。それがスパイスになる」  ――死霊術士(初版)

93/350

収録版:初版、改訂版


 ※  ※  ※


 会議室の中は、落ち着いた焦げ茶を基調としていた。和紙で作られた雪洞ぼんぼりが四隅に設置され、そこから淡く光を投げかけている。家財はいずれも重厚かつ優美で、【背景音ビージーエム】ではジャズが流れていた。寺院のような匂いも漂っているから、香炉の【芳香】フレグランスでは沈香じんこうが焚かれているのだろう。和洋が巧みに入り混じることで、喧噪に塗れた都会のただ中に、穏やかな空気を醸し出していた。


「うわぁ……」


 水脈は感嘆の息を漏らしつつ、しきりに首を巡らせた。


「ショコラさん、ここってすごく豪華ですね」

「みゅふふ。まぁほんの一例だけどミャ? さて御客人方、どうぞゆるりと寛ぐミャ」


 お言葉に甘え、暗赤色に金糸が縁取られた二人掛けソファに水脈と腰掛けた。尻が沈み込みそうなほどふかふかで、こたつの呪縛に匹敵する心地良さである。

 ショコラが軽やかにマナップすると、お茶の入った湯飲みが三つ、マホガニーの猫足テーブルに出現した。


「今日は狭山茶を用意したミャ。ちなみに、実は入間市が主な産地だミャー」

「出たな、埼玉の回し者」

「みゅふふ、何のことかな深谷ネギ」


 確実に彩の国が放った刺客であろうショコラは、向かいのソファに腰掛けたのち、客より先に湯気が立つ熱々の茶に口を付けた。


「ほぅ……」


 少量をゆっくり嚥下したショコラは、甘酸っぱい吐息を漏らす。


「みゅふ~ん、トゥレ・ビア~ン。ほれぼれするような旨さだミャー」

「おい、フランスかぶれ。猫舌の演技はいいのかよ」

「ふふふのふ、ミャーは鍛えているから平気だミャ」

「猫も吠えるんだな」

「うっせ、オマケ」


 本当、こまごまと素に戻るよな。

 Rもゆっくり飲むと、適度に温くて心地よかった。


「――ってこれ、湯気の量を盛りすぎだろ」

「ほっとけミャ」


 ショコラは茶色の尻尾で器用にしっしっと払っていた。


「それよりR、ミャーに聞きたいことは何だミャ?」

「ああ、そうだ。実はな、先生……」


 話を切り出そうとしたRは、ふと、目の前のショコラを巻き込んでいいものかと逡巡した。

 かつては「見えざる手アダム・スミス」の先達としてマホロバのルールを叩き込んでくれたショコラだが、今やすっかり体制側だ。転生した事実を知られたら、昼夜を問わず人体実験されるかもしれない。

 もっとも、Rは別に自身の立場が不利になるのは厭わなかった。それよりもむしろ、ショコラが頑としてRを庇い立てすることを危惧していた。

 ――ったく、手に余ることもいっぱい抱えちまって、すーぐイッパイイッパイになっちまうからな、この人は。

 Rが悩んでいると、ショコラは相好を崩した。


「大丈夫、先生に何でも話してみるミャ」


 ショコラは大袈裟に胸を叩いて見せた。はずみで、黒く豊かな稜線がポヨンと波打つ。


「どうせRのことだから、ミャーの立場が危うくなるとか、ミャーには処理しきれないとか、ツマンナイこと心配してるミャ?」

「先生……」

「ハンッ! ヘソで茶ァ沸かすミャ!」


 戸惑うRに対し、ショコラは親指を立ててみせると、ピンッと鼻を撫でてみせた。


「ミャーも今やOK社の端くれ、オマケに心配されるほど弱っちい生きざまスタイルしてねーミャ。だからR? 大船に乗ったつもりで、ドーンと任せるミャ」


 目を瞬いたRは、大きく息を吐いて弛緩した。


「分かりました、先生」


 敵わねえな、ったくよお。Rは頭を掻くと、横でニマニマ笑う水脈を「やめろ」と手の甲で払ったのち、防犯会社のチームにやられて死んだ旨を、違法部分は除外して伝えた。

 疑問点を適宜補足しつつ、〈岩石〉ピグマリオンとして復活したことまでしっかりと話し終えたとき。


「え、えぇっ……? ちょちょ、ちょっと待って……?」


 ショコラはどうしようもなく狼狽えていた。

 はあ~ぁ……、分かってたよ。助け船のショコラ丸は泥船だったよ、コン畜生。沈め。



―――――――――――――――――――――――――


キリが良いので、ここで一旦締めます。

これだけだと短いので、三馬鹿のデータでも記しておきます。


#エネミーデータ01:フェン


名前/Name:フェン・リール

種族/Race:〈月狼/Lunawolf〉

形態/Form:原型/Prototype

筋力/Strength:4

機敏/Dexterity:4

容貌/Looks:獰猛/Fierce

年齢/Age:20

身長/Height(cm):186

体重/Weight(kg):75

領土/Domain:【竜の巣/Nest of Dragon】



デッキ名「ガイアドラゴン・トライアングルスターレッド

レシピ


才能 2枚

《獣の咆哮/Beast Roar》

《痛み止め/Painkiller》


赤7+4 42枚

【緋色の竜/Scarlet Dragon】4

【焼けつく竜/Scorching Dragon】4

【混沌の竜/Chaos Dragon】

【ウォードビアの竜騎士/Wardobian Dragoon】

【不死鳥/Phoenix】2

【紅玉アリ/Ruby Ant】4


【竜の巣/Nest of Dragon】3

【竜の鱗/Dragon Scale】

【不意打ち/Ambush】2

【襲来/Onset】

【溶岩の籠手/Gauntlet of Lava】


【爆発/Explosion】4

【電光/Lightning】3

【落雷/Thunderbolt】3

【誘導爆弾/Smart Bomb】2


【集中/Consentration】2

【装甲破砕/Armor Crush】4


銀1 5枚

【鋼鉄の竜/Steel Dragon】4

【水晶の竜/Crystal Dragon】


特技 13枚

【容量超過/Over Capacity】4

【呪文の達人:赤/Spellmaster:Red】4

【魔法熟達:赤/Magic Adept:Red】4

【戦女神/Athena】


特殊 2枚

【開始/Start】

【終了/Quit】


計64枚



#エネミーデータ02:臥龍


名前/Name:臥龍・ドラゴネス

種族/Race:〈竜人/Dragonewt〉

形態/Form:原型/Prototype

筋力/Strength:5

機敏/Dexterity:3

容貌/Looks:荒々しい/Wild

年齢/Age:19

身長/Height(cm):190

体重/Weight(kg):90

領土/Domain:【母なる大地/Gaia】



デッキ名「ガイアドラゴン・トライアングルスターグリーン

レシピ


才能 2枚

《竜の翼/Dragon Wing》

《鱗の鎧/Scale Armor》


緑7+3 40枚

【母なる大地/Gaia】4

【循環/Circulation】4

【融合/Fusion】2

【戦闘の歌/Battle Song】

【導きの糸巻/Ariadne】

【森の戦術/Sylvan Tactics】4

【生の躍動/Eros】4


【猛毒の竜/Poison Dragon】4

【鶏蛇/Cockatrice】

【牝山羊/Chimera】2

【猛獣使い/Beast Tamer】


【強欲の宝石/Jewel of Greed】

【森妖精/Nymph】3

【山査子/Hawthorn】2

【樫の古木/Old Oak】3

【中和/Neutralize】3


紫1 4枚

【暗黒胡蝶/Night Butterfly】4


緑紫 4枚

【月見草/Evening Primrose】4


特技 12枚

【魔法収束/Magic Convergence】

【呪文の達人:緑/Spellmaster:Green】3

【魔法熟達:緑/Magic Adept:Green】4

【容量超過/Over Capacity】4


特殊 2枚

【開始/Start】

【終了/Quit】


計64枚



#エネミーデータ03:スマ虎


名前/Name:スマ虎・マレー・アムール・ベンガル5世

種族/Race:〈虎牙/Tigerfang〉

形態/Form:原型/Prototype

筋力/Strength:5

機敏/Dexterity:3

容貌/Looks:野蛮/Brute

年齢/Age:18

身長/Height(cm):191

体重/Weight(kg):88

領土/Domain:【桃源郷/Xanadu】



デッキ名「ガイアドラゴン・トライアングルスターパープル

レシピ


才能 2枚

《魔力視覚/Mana Sight》

《獣の咆哮/Beast Roar》


紫8+2 51枚

【幽霊竜/Spectral Dragon】4

【濃霧の竜/Mist Dragon】4

【黄昏バク/Twilight Tapir】2

【暗黒胡蝶/Night Butterfly】4

【魔力の管理人/Mana Warden】4

【人造人間/Homunculus】4

【オーロラの壁/Wall of Aurora】2


【魔力充填/Mana Charge】4

【共鳴/Sympathy】2

【エーテル産出/Yield of Ether】4

【桃源郷/Xanadu】4

【魔力譲渡/Transfer Mana】4

【心の平穏/Peace of Mind】2

【空虚/Blankness】2

【狂暴化/Berserk】2

【魅了/Charm】

【よろめき/Aphrodite】

【無感情/Insensibility】


特技 9枚

【呪文の達人:紫/Spellmaster:Purple】2

【魔法熟達:紫/Magic Adept:Purple】3

【容量超過/Over Capacity】4


特殊 2枚

【開始/Start】

【終了/Quit】


計64枚

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