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それから
おれはまったく陰鬱な気分で山を降りた。木々が日の光を遮り、夕方になったように見えた。それがとてつもなくむかついて、太い枝を拾ってそいつを叩き折ったが、何も楽しくなかった。小川に鍛冶屋はもう居なかった。
ハイキングコース入口まで着くと、スコープスが居た。最後に見た時とまったく同じ姿で、同じ姿勢だった。「もういいのか? 」スコープスはそう言った。「あぁ、いいよ。」どうでも。帰り奴の腰に捕まっていると、「ためになったか? 」と聞いてくる。さぁ、とだけ答えた。
神の話はためになったかどうかはおれの知ったこっちゃない。ただ、覚えておきたかった。書き記しておきたかった。忘れないようにしておきたかった。