1.今と過去の君との距離
中学2年、始まってそれほど時間は経ってない
別に進級したからといって、変わるのは名札のシールとクラスメートぐらいで、気分が受験モードに少しでも進むかといえばそうではない。
元々勉強は好きじゃない、塾にも行っていない、部活はやっているけどやる気もなく、さぼりがち。
大人から見れば落ちこぼれなのかもしれない。
だから別に、気持ちは1年のままだった。
「んね~はるー」
「んー、葵?どした?」
「4組いこー」
「おっけ!4組ね!」
「強調すんなやぁ~!」
「あら、葵サン何照れてんの?
にやけてまっせ~」
「にやけてねーわ!」
葉風は僕が4組に行きたがる理由を知っている。
理由を知っているからこそからかってきて、からかわれるのはちょっとイラッとするけど、心地は悪くない。
「澪いるかなぁ~?」
「ちょ、はる、声でかいわ!」
「いいじゃないの~っほほ
青春っていいねぇ~、うちも恋したいですわ~」
「恋は楽しいけど悩みがついてまわるぞ」
「あら、楽しいこと認めちゃったの?
しかもお悩みなのかぁ~葵もそんな年頃になったものか」
「はるはばあさんかよ。はるこそ恋はどうした」
「残念ながら誰にも心ときめかなくてね」
「老けたもんだな」
「だから恋は葵が頑張って…あっ!」
「ってあ!やば、心拍数やば」
「見た?見た?!今ここ通ったよ!」
「んね!心拍数やばうぃ~!」
「死ぬなよ、キュン死にすんなよ」
「やははぁ~無理かもっ」
姿を見ただけで心臓がはねて
それだけで幸せかなって思える
あの頃はそんなんじゃ幸せなんて思わなかったのに
きっとそれは、君との距離が広がってしまったからだね…