表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姉さんがやって来た  作者: 中華
7/32

男の子達と一緒に写真を撮ろうと試みる

記念に写真を撮ろうと思って、近くにいた(しん)君に話しかけた。

でも実は、彼は写真嫌いだと知っていた。

「晋君」

「何?」

「写真は嫌い?」

「ん?あぁ、俺、元々写真撮らないから。」

予想通りの答えだった。

「そっかぁ。」

私の言葉を聞いて、彼が悪戯っぽく笑う。

「残念だったねー。」

「まだ何も言ってないでしょ。」

「あ。」

「あはは、嘘よ。残念だわ、すごく一緒に写りたかった。」

「ふ〜ん、そっか・・・。」

彼が曖昧な笑みを浮かべながら呟いた。

ごめんね、またね、と言って彼から離れる。と、

「あっお姉さん、また写真の話してるの?」

今度は章人(あきひと)君が私に気付いて近付いてきた。

彼は私が寮に来た時に一番最初に話してくれた男の子で、

気軽に話せる寮生の一人だった。

「あははっそうなんだ。この前は一緒に写ってくれてありがと。

ねぇ、登也(とうや)君とも写真撮りたいんだけど、どう思う?」

すると章人君は、顔をしかめて首を横に振った。

彼と登也君は余り仲が良くない。

「知らないけど、多分あいつも写真嫌いだよ。やめときなよ」

言葉の端々から彼が登也君をよく思ってないのが伝わってくる。

「そうなんだ。分かった、ありがと。でも言うだけ言って激沈してみるわ」

「まー頑張りなよ。」

「ありがとね。」

彼と別れてから登也君に話しかけた。

「あのさ。」

「ん?」

「登也君、写真嫌いなの?」

その男の子はちらっと笑った。

「んー、まぁ。何で?」

章人君の名前は出さなかった。

「いや、思い出にさ、一緒に写りたいなと思って。」

「そっか。でも…」

「いいのいいの、話には聞いてたけど写真嫌いな人多いのね、

残念だけど、その分たくさん話して遊んで思い出作りするからいいわ。

と言う訳で協力宜しく!」

彼は頷いて、優しい目をして微笑んだ。

…でも、

本当はそれをネタにしてあなたと話したかっただけなんだよね。

次に泰之(やすのり)君と(かえで)君に話しかけてみた。

「一緒に写真に写らない?」

「えっやだっ」

「撮ってその写真どうするんだよ?」

と楓君。

「え?そりゃ、こう言う子たちもいたんだな〜って思い出に…

あ!現像したらちゃんとあげるよ」

「うわっ余計にやだ!」

あくまで抵抗する二人。私がふざけて

「隠し撮りしちゃうぞ〜」

と言うと、彼らは笑いながら猛スピードで隣の部屋へ逃げ込んでしまった。

そこで隣の部屋へ行くと、男の子達が7並べをやっていた。

誘ってくれた事もあり混ぜてもらった。

彼らはと言うと、他の男の子の布団の中に顔を出して隠れていた。

その内に涼平(りょうへい)君と言う子がトランプで私と寮生達との相性を

占ってあげると言うので、彼がトランプを切る様子を見ていたら不意に

ピロリン♪と音がした。

音のした方を向くと、

布団に隠れていた泰之君が笑いながら携帯カメラをこちらに向けていた。

「きゃー何やってんの!」

慌てて顔を両手で隠す。

「何だよ、俺の事隠し撮りしようとした癖に!」

「結局写ってくれなかったじゃないの!」

「煩いな、手をどけてよ」

そこでピピピッとタイマー切れの音がした。

彼が笑いながらわざと私に見せるように再生すると

『きゃー(略)』

から

『(略)どけてよ』

まで全て入っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ