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男の子に忠告される
樹君と二人で話していた。
話が終わって別れた後、男の子が一人近づいて来た。
その子の名前は享君。
「お姉さん」
享君は気難しい顔をしていた。
「あら、享君。どうしたの?」
「あいつに好かれないように気をつけなよ」
そう言ってどこかへ歩いて行く樹君の後姿を指差す。
「え?」
「まーとにかく気をつけな」
「それはないと思うよ、だって享君以外の子達は女として見てないとか
ストーカーとか言いたい放題だもの。それに樹君は彼女いるみたいだし」
これは本当の事で、樹君から1つ年下の彼女の話をよく聞かされていた。
「そんなの分からないじゃん」
せっかく心配してくれているのだから、ありがたく受ける事にした。
「あはは、気にしてくれてありがとね。気をつけるわ」
そう答えると、彼は頷いて笑んだ。