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お姉さんがやって来た  作者: 中華
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女の子達が私を呼んだ

小学生の女の子、美香(みか)ちゃんと華鈴(かりん)ちゃんが

「お姉さん」

と小声で手招きしながら私を呼んだ。

「ん?どうしたの?」

「ねぇねぇお姉さん、あのお兄さん達の中で誰が一番カッコイイと思う?」

美香ちゃんが指差した先には、私と同じ歳ぐらいの男の人が三人いた。

「うーん、あのお兄さんかな?」

とりあえず一人を指差した。彼の名札には(はじめ)と書かれている。

「そっかー分かった。」

他にしないといけない事があったのでじゃあね、

と言ってその子達の前から立ち去ろうと背を向けようとした時、

美香ちゃん達が男の人達の方へ走って行くのがちらりと見えた。

「ねーお兄さーん!」

「ん?」

こんな声が背後から聞こえた次の瞬間。

「あのお姉さんがお兄さんの事カッコイイって言ってたよー!!」

今度は華鈴ちゃんが大声で叫んだ。

驚いて後ろを向くと苦笑いを浮かべた始さんと、

してやったりとした笑みを浮かべた女の子達がこちらを見ていた。

私は慌ててその場から逃げだした。


後日、今度は莉流(りる)ちゃんがお姉さん!と言いながら駆け寄って来た。

「ねーお姉さん、あの人マジカッコ良くない?芸能人みたい!」

莉流ちゃんが指差した先には、始さんがいた。思わず苦笑する。

「あはは・・・そうだね、カッコイイよね。頑張って!応援してるわ!」

「ありがとーっあっお姉さん、あのお兄さんと仲いい?

結構話したりしてたじゃん?気になる?」

「まさか〜。そりゃ〜少しは話したりするよ。

でもそう言う意味で関心は無いから安心して。私、彼氏いるし」

「本当!?じゃぁ色々聞けたら聞いて!」

「分かったわー」


この事について、祐助(ゆうすけ)君と、その友人祥太郎(しょうたろう)君と話してみた。

「ある子がさ、始さんが「芸能人みたいっカッコイイっ」

て言ってたんだけど、皆はそう思う?」

「えっ何でそう言う事聞くの?」

祐助君は不審そうな顔をしている。

「何でって、聞いただけじゃん?」

「お姉さん、あの人に興味あるんでしょ?」

祥太郎君が笑う。

「そーそーそうやって聞くって事は興味あるって事だよな」

祐助君の突っ込みに私は苦笑した。

「もーやめてよね、彼氏に聞かれたら怒られるわ。」

「えっ?お姉さんって彼氏いたの?」

と、祐助君。

「いるわよ、前言ったでしょ。」

「お前、今頃知ったの?お姉さん、普通に言ってたじゃん」

私と祥太郎君に畳み掛けられて、祐助君が素で驚いた表情をした。

「マジ?俺、聞いてないよ」

「あっそうだったっけ?なら覚えといてー」

彼らと別れて部屋へ戻ろうとした時。

「なぁお姉さん、彼氏いないんだって?」

そう言って来たのは哲郎(てつろう)君。

彼氏はいるが、誤解されようがどうでもよくなっていたので

「あーそう見えるみたいだねー」

と笑顔で答えて背を向け離れようとした瞬間、背後から男の子の声が聞こえた。

「なぁなぁ、あのお姉さん彼氏いないんだって。お兄さん、彼氏になってあげてよ」

えっ?と思って振り返ると

いつの間にか女の子たちの間でカッコイイと評判になっている始さんがいた。

彼は困ったように笑って、少し離れた所に立っていた。慌てて哲郎君に注意する。

「こらこら、お兄さんの気持ちを無視するような事を言うでない」

「何だよ、嬉しいくせにー」

「あーはいはい、そろそろ掃除の時間だから部屋に戻りなさいね」

「うん、分かった」

男の子が部屋へ戻った後、

私は苦笑を浮かべたまま立ち尽くしていた彼に向き直るとペコリと頭を下げた。

「何か、重ね重ねすみません…」

「はは、いえいえ」

始さんは微笑んでいるけれど、私的にはものすごい気まずい雰囲気である。

逃げようとしたらいつの間にか他の二人が立っていた。側を通り抜けようとしたら

「あの!」

と二人のうちの一人に呼び止められた。彼の名札には孝敏(たかとし)と書いてある。

「はいぃ?」

思わず声が裏返ってしまった。

「今度、祭日に俺達が出るスポーツ大会があるんで、

良かったらそれ見に来てもらえませんか?」

「は、はぁ…。」

突然の申し出に呆気にとられていると

「すみません!では!」

と彼は去って行き、後に私だけが残された。


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