恋人の話
「お姉さんは彼氏いる?」
隆史君が聞いてくる。
彼は以前、自分の彼女であるあさみちゃんの話をしてくれた。
「うん、いるよーっそう言えば隆史君も彼女いるんだよね、
でも隆史君て優しいからモテるんじゃない?」
これはお世辞ではなく、彼は本当に優しい性格をしていた。
隆史君が笑顔を浮かべる。
「えーっ俺今年になってから2回しか告られてないし。」
「いや十分じゃないの。同性から嫉妬とかされちゃったりするんじゃない?」
彼がちょっと悪戯っぽい顔をした。
「あぁ、それあるかも。」
「うわーこりゃあさみちゃん大変だ、他の子に目移りしちゃ駄目だよー。」
「そんな事しないって、あいつの顔見た?」
「うん、見た!可愛い子じゃない。」
ちらっとしか見ていなかったが、
隆史君の彼女であるあさみちゃんは、
目のぱっちりしてて睫の長い、可愛らしい女の子だった。
そこへ一人の女の子が通りかかって彼に向かって笑いながら手を振って、
私にはぺこりと頭を下げてどこかへ行ってしまった。
そこではっとして思い出す。
「あ、あの子があさみちゃんなんだっけ。」
「さっき言ってたじゃん!」
「ごめんごめーん。」
「俺は、あいつの顔はともかく、性格が好きなんだ。」
「うわぁ〜〜!!」
「え?何?」
「隆史君がすごい事言うから、何か感動しちゃったじゃないの。」
彼が笑顔になる。
「そう?」
「そうだよ!中々そんな事はっきり言えないよ。
あさみちゃんは幸せだと思うっあー素晴らしいねー」
「でも続くか分からないんだよなー、もう別れるかも」
また彼が悪戯っぽく言う。
「おいおーい、せっかく感動してたのに何て事言うのさ」
でも実際、あんた本当にいい彼氏だよとしみじみと思った。