幽霊扱いされたけれども
千年君、名津君、雪南君と話していると突如幽霊扱いされた。
だが、彼らが完全に無視する気じゃ無いのはその笑顔と、
私が口を挟むと何だかんだ言いながらも答えているのを見ると分かる訳で。
その度に彼らの間で以下の会話がされた。
「おいお〜い、お前誰と話してるんだよ?」
「あっいけね!」
それから三人はパソコンに移動してゲームを始めた。
それを後ろから見ていると千年君が箒を持って来て、
私に向かって笑いながらゆっくりと叩く真似をし始めた。
「なになに、危ないでしょー」
本気で当てる気が無いのが分かるので、こちらも笑って軽く応じた。
するとパソコンをやっていた雪南君が突然口を挟んだ。
「あーもー誰もいないんだからそんな事する必要無いだろ」
「あっちょっと素振りの練習したかったんだって。」
そう答えた彼は、箒を元に戻しに行った。
私は微笑んで、口を挟んだ雪南君に言った。
「あら、優しい事言ってくれるねー」
すると雪南君が笑って言う。
「おい、今何か聞こえたか?」
名津君も笑う。
「ははっ聞こえねー聞こえねー」
そこへ箒を置きに行った千年君が、悪戯っぽい笑みを浮かべて戻ってきた。
「あはは、ここに何かいる〜何かいる〜」
と、軽く私を押し始めた。
「見えてるんでしょ、白々しいぞ」
と笑いながら軽く言うと、彼は今度は後ろを向き、じりじりと私を背で押し始めたので、
横を通って逃げようとすると両腕を広げて通せんぼをする。
(一応ちらちら後ろを確認しながら押してくる。)
「ちょーっと何何?」
そんな事を言っている内に壁に背がついてしまう。
「おーい、行き止まりだよ」
ぺしぺしと彼の背中を叩くと彼がちらっと笑ったのが見えた。
と、ぎゅうぎゅう更に背中を押し付けてくるので
「こーらこら、苦しいってば」
と、彼の背中を押す。
(ちなみに背中とは言え結構な力である。)
こんな事はあったが、彼等と私は少なくとも仲が悪い訳ではないだろう。