見るとたいてい本を読んでいる男の子に話しかける
若干本があり、工作等が出来る自由部屋で、たいてい本を読んでいる彼に思い切って話し掛けた。
彼の名前は昭治君である。
「昭治君。」
声をかけると、彼は私をちらっと見て、すぐ視線を本に戻した。
その本は私も読んだ事がある。
短編であるため、読み終わるのにたいした時間はかからないので、彼が本を読み終わったあたりに話しかけてみた。
「いつも本読んでるんだね。本が好きなの?。」
「・・・・・・別に。」
彼は無表情のまま本を読み続けている。
「そう。ねぇ、今は忙しい?」
「・・・・・・別に」
「そっか、なら色々話しよう。」
「別に話す事なんかないし。」
彼の返事はそっけない。
「ふ〜ん。話すのは嫌いなの?。」
「・・・・・・別に。」
しめた!と心の中でガッツポーズをする。
「よし、こうしよう。私が質問するからそれに答えるだけでいいわ。それでどうかな?」
「・・・・・・」
「昭治君は、陸上部なんだってね〜。」
彼が陸上部なのは知っていたから、陸上の話題なら彼も話しやすいと思ったのだ。
「・・・・・・あぁ。」
たった一言でも、嬉しさがこみ上げてくる。
それからしばらく、こんな感じで長い間質問攻めにした。
相変わらず返答は一言だけだけど、ちゃんと返してはくれた。
・・・・・・結局、話してる間彼は無表情で、しかも私の目を見て話してくれる事は無かったけど、本を見つめたままでページをめくる事も無かった。
ただ、私は知ってるんだよね。
仲のいい人といる時、彼はすごい笑顔で、すごく声が大きいんだ。