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お姉さんがやって来た  作者: 中華
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寮に勤めるようになってから1年が過ぎたな…なんて考えていると、この寮で初めて皆の前で挨拶した時の事を思い出していた。

私の歳(20)でこの寮に勤める事になったのは初めてらしいのもあって、挨拶が済んだ後、入れ替わり立ち代り私のいる部屋へ遊びに来た。

最初に遊びに来たのは(とおる)君と(そら)君だった。

「今度のお姉さんは何かいい感じじゃね?」

「んー、まぁまぁかな」

と、透君の言葉に宇君が頷いた。

元々ジロジロ見られるのが好きじゃないので居心地が悪い。

「あ、あのさー…あんまし顔を見られると恥ずかしいんだけどなー…。」

苦笑しながら言う。

「えーっ別にいいじゃん」

宇君の言葉の後、そこへ他の子達がやって来た。

「この人が担当の人?まー中々別嬪じゃない。」

彼の名は(ゆう)君である。

他の子からの情報によると、美人にしか口をきかないらしい。

『じゃない』と言う部分をふざけ強調するので苦笑する。

「それ、よく聞くと褒めてんのかけなしてんのか分からないよー。」

私の突っ込みに、他の子が笑う。

「お姉さん、今のままでもいいけど、俺は髪結ばない方が可愛いと思う。」

そう言ってくれたのは浩樹(ひろき)君。

「えっ褒めてくれるなんてどうしちゃったの?でも嬉しいなぁ、ありがと」

彼がにこっと笑って頷いた。

「そうそう、今度ね、佐千夏(さちか)高校からここに編入してくる子が4人いるみたいよ。可愛い子が来るかもしれないね」

佐千夏高校と言うのはこの志岐沢高校の姉妹校で、途中から編入してくる子も少なからずいた。

「えーうぜーだってあそこから来る人って美人じゃないしー」

彼らは口々に不満を漏らす。

「それ偏見だよーってか結局それかい。」

「それ以外に何があるってんだよ、なぁ?」

「その通り!」

悠君が口を挟んだ。

「お姉さんより、俺の姉ちゃんの方が五億倍美人だぜ」

「あれっお姉さんがいるの?」

「さぁ、知らねー」

「知らないってなにー?」

「お姉さん騙されてるよ、お前姉ちゃんいねーだろ」

深谷君が軽く悠君をこづいた。

「バラすなよー。」

不満顔の悠君。

「あはは、そうだったんだ。」

初めてだから当然だけれど、彼らについて知らない事がたくさんある事が分かった。

そして同時に、これから長く付き合っていく彼らの事をもっと知りたいなと思った瞬間でもある。

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