ゲーム好きな男の子達
いつも楽しみにしている新聞の短編連載小説を読んでいた。
それは恋人同士の単なる会話を連載したものだが、微妙に皆が思っていて言えない事に触れたりするので、私は気に入っていた。
すぐ読み終え、ふと部屋の外に置いてあるベンチを見ると、いつも携帯ゲームをしている中1の壱衛君がいたので話し掛けた。
ちなみに彼のプレイしているゲームは私が好きなゲームだった。
「ゲーム好きなんだね。そのゲーム知ってる、私もプレイしたわ。いいゲームだよね。」
彼が嬉しそうな顔をした。
「えっお姉さんこれ知ってるの?ならこのキャラとか技分かる?」
「もちろん。誰が何の武器装備するとかも分かるよ。」
「おぉーっここに来る女の人でゲーム好きな人って初めてだ。」
「あっそうなんだ?私、ゲーム大好きよ。ちなみに漫画も。」
「漫画好きな女の人も初めてだな。」
そこへ男の子達が数人通り掛かった。
「おい!このお姉さんゲームや漫画好きなんだってよ、お前らよかったな。」
壱衛君と同級生の男の子二人(英輔君と聡君)が
「えっマジ?」
「そうなの?」
と言って、どこかへ行ったと思ったらそれぞれゲーム雑誌を持って来て、
キャラのポスター部分を広げた。
「ならこのキャラの出てくるゲーム分かる?」
「もちろん。あっこのゲーム、外伝もあるよね?」
「うわっ!マニアだ!」
「マニアだ!」
彼らが口々に言う。
それからしばらく壱衛君含めた3人とゲームの話をしていたが、ふと彼らが寝る時間になったと気がつく。
「あっいつの間にかもうこんな時間だね、皆おやすみなさい」
「?何で敬語なの?」
英輔君が不思議そうな顔をした。
「え?」
「俺らに敬語使う人も初めてだよな」
「そうなんだ」
これは敬語でも無いんだけどな〜と思っていると
「何か変だよ。」
「うん、変。」
と彼らは口々に言う。
「前来た人なんかすんげぇ命令口調だったぜ?なぁ?」
「あぁ。それより俺は男に「〜さん」ってつけるのも変だと思ってるし。」
それはそれでちょっとなと思ったけれど
「へ、へぇ?でも皆の事が嫌いで使った訳じゃないよ?そこは誤解しないで欲しいんだけど。」
と話した。
「うん、それは分かるけど…。」
壱衛君は釈然としないようだった。
「分かったわ、使わないようにするね、おやすみ」
「おやすみー」
こうしてこの日は終わった。