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彼らと私の距離
慶君と言う中1の男の子の部屋で、彼の好きな歌手の話を聞いていた。
話が一段落したら突然布団の中に潜って、少しだけ顔をのぞかせて話し掛けて来た。
「ねぇお姉さん、どうやってここまで来たの?」
突然話題が変わったので驚く。
「ん?電車とバスと、ここからの迎えだよ。結構時間かかったわ。」
「ふーん。お姉さん、どこに住んでるの?」
「うーん、実家は最低でもここから3時間はかかるかな。」
「そっか…遠いね。」
彼の声はいつもと違って静かな感じだった。
「遠いね」
と言われて切なくなった。
この言葉がいつまでも耳に残っている。