ソースズバトル
とあるスーパーの陳列棚。
何種かのソースがきちんと並べられている。
とんかつ、ウスター、中濃……。
一見何のへんてつもなく、中良さそうに並んでいる。
しかし……。
ソース達は、お互いプライドが高く、自分以外をソースとして認めていない。
「ほらな、やっぱりオレ達とんかつがメジャーよ」
「なんやて…?アホぬかせ。ソースゆうたらウスターやろ」
関東とんかつ、関西ウスターが、小競り合う。
「あんたは?さっきから黙ってるけど、何か言いたいんじゃない?」 とんかつソースが、中濃ソースに話しかけた。
しばらく考えこんでいた中濃ソースが、
「いやぁ、何かさっきから聞いてると、くだらない争いだなぁ。って……」
とんかつソースと、ウスターソースを見下すかの様に言い放った。
「なんやと……? うちらをなめてんのか自分?」 ウスターの反論。
「そうじゃないけどさ。なーんかくだらないと思わない? 種類違えど、おんなじソースじゃない? 争う方がどうかと思って」
中濃ソースの言葉に黙り込む二人……。
確かに。
くだらない……。
さすがは中濃!どんな料理にも合いそうだし、良く分からないけど、中立的だ。
中濃ソースの言葉に、何となく納得のとんかつソースと、ウスターソース。
そうだよね。みんな同じソースじゃないか。
争いなんて無意味だよ。
こうして、とんかつソース、ウスターソース、中濃ソースは、同じソース仲間と言う意識を持ち、仲良くスーパーの陳列棚に並ぶ。
しかし……。
「なんや、今日も中濃ソース買われていったなぁ。前から思ってたけど、中濃人気なん?」
その言葉に、はっとするとんかつソース。
「ここのスーパー、何県、いや、何地方にあったっけ……」
とんかつの質問の意味が分からないウスター。「なんや、急に……。何地方って、訳わからんや。」
「いや。ごめん……。ただ、中濃ソースばかりが良く買われてるから、ちょっとね……」
とんかつソースの真剣な様子に、ウスターソースが、「何地方とかようわからんけど、
ここのスーパー、東日本にあるスーパーって聞いた様なきぃするけど。中濃と関係あるんか?」
ウスターソースの言葉に、ふっと笑うとんかつソース。
何故、中濃ソースが、自分達の争いに参加しなかったのか、何かを呑み込んだらしい。
「なあ、地方とか、なんなん? 何やさっきから……」
ウスターソースの言葉を遮る様に、とんかつソースが「中濃ソースの冷静な様子、何か引っかかってたんだ。自分だけ違いますよ。って感じだったろ?」 言われてみれば、確かに。
自分だけ特別、みたいな雰囲気をかもし出していた様にも……。
しかし、質問の意味がまだ分からないウスターソース。
とんかつソースは、あはは。と笑いながら、
「中濃ソースは、この地方じゃ需要が多いらしいよ。だから、あんな中立的になれたんだよ。ここが、関東や、関西なら、話は違っていたかもね」
とんかつソースの言葉に、してやられた。
と言う顔のウスターソース。
たかがソース。されどソース。
場所が違えば需要も違う?
何て事があるのかも。色んな地方の、色んなスーパーの陳列棚で……。