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寮生

「はっ・・・」

俺は目を覚ます。そこは闘技場の上だった。少し顔を上げると明日香がすぐそばにいた。

「やっと起きたわね。って言っても倒れていたのはほんの数分だけど」

どうやら思っていたよりは早く目覚めたらしい。ちなみに朱音はまだ倒れたままだ。すると俺はあることが気になった。

「明日香・・・入学試験はどうなったんだ」

そんな質問をすると少し明日香が微笑んだ。

「心配しなくていいわよ。決勝はドローで両チーム合格だそうよ」

「ふうー、良かった」

俺は明日香の言葉を聞き安心する。立ち上がれるようになった俺は朱音を起こしに行く。

「おーい、朱音、起きろー!」

俺は朱音の頬を突っついて彼女を起こす。

「う・・・うーん・・・はっ・・・」

朱音は目を覚ます。

「清隆・・ここはどこなのだ?」

朱音は寝ぼけているのかまだ状況把握ができていないらしかった。

「ここは闘技場だ」

「・・・・倒れた私たちを放置とはひどい話だ」

俺が場所を教えてやると朱音は不満そうにそう言った。

「あっ、そういえば入学試験はどうなったのだ?」

朱音からの当然の質問がくる。

「俺も朱音も合格だってさ」

「ほ、ホントなのか?」

朱音は信じられないらしい。

「本当だ。これからよろしくな、朱音」

「こちらこそよろしく頼む」

俺はまだたちあがれそうになかった朱音の手を掴んで朱音を立ち上がらせた。


数日後・・・

俺はお世話になった祖父の友人の家を離れ、新たなる住まい、学生寮100号棟と向かっていた。

「てめえ、ぶつかっといて謝らないっていうのはさすがにねえんじゃねの」

「ぶつかったのはあなたがよそ見をしていたから。私に非はない」

「なんだとてめえ、生意気な」

青いロングヘアの同い年くらいの女の子と同じく同い年くらいの白髪で目つきの悪い少年がもめていた。

少年のほうは今にも女の子を殴りそうな勢いだ。

少年の手から雷が出ている。

「・・・まずい、あんなのくらったら」

俺は相手が魔法師と知って急いで女の子を助けよう走る。

「やめろーーーーーー」

俺は少年の雷の拳を宮野魔拳術ニノ型魔拳で対抗する。

「う・・おおお・・」

俺の手がしびれる。この現象は雷属性魔法の特有のものだ。

「てめえ、何者だ。勝手に割り込んできやがって。それに俺の魔法を素手で受け止めて手が痺れる程度・・・さらには俺の手にも痛みを与えるとはな・・・てめえ、魔法師だろ?」

「ああ、そうだけど」

俺は少年の質問に答える。

「・・・まあいい。お前は俺たちの言い争いに関係ねえはずだ。さっさと消えな」

「いや、魔法で怪我をさせられそうな女の子を見捨てるのは紳士な男とは言えないな。それに女に怪我させる男も危険だし、このまま去るわけにはいかないよ」

「なんだとーーー」

少年は再び拳に雷を纏わせ俺に殴りつけてくる。ただ、動きは短調で読みやすい。

俺は雷の拳を避けて少年の腹に魔拳を放つ。

「うっ・・・・」

少年は攻撃をもろに受けてよろめく。

「ちっ・・・くそが・・・てめえ、名前は」

突然、名を尋ねてくる少年。

「俺は宮野清隆。イギリス王立魔法科高校の新入生だ」

「・・なるほどな。俺の名は桐生きりゅう誠一せいいち。イタリア国立魔法科高校の新入生だ。覚えてろよ」

桐生はそう言って去って行った。

「日本人だったのか・・・あいつ」

正直、桐生はあまり風貌が日本人らしくなかったので少々驚く俺。

「ありがとう、おかげで助かった」

先ほど助けた女の子がお礼を言ってきた。

「いやいや、無事だったなら何よりだ・・・ん?・・気のせいか・・・」

女の子の方をを見ると何故だかなんとなく見たことがある気がした。ただ、思い出とかは全く思い出せない。多分人違いだろうと納得し俺に残っている妙な違和感を消し去る。ただ・・・

「清隆・・・・?」

何故だか女の子の方が教えていないはずの名前を読んできた。桐生との会話を聞いたのだとしたら俺の

名前を知っていてもおかしくはないが妙に呼びなれた感じがする。俺はこの娘とやはりどこかであったことがあるのではと考えるが思い出せない。

「・・・・・・覚えて・・・・ないのね」

俺が考えてこんでいると女の子が冷たくそう呟く。

「やっぱり、俺と君はどこかで・・」

「・・・・覚えてないならいい」

俺は尋ねてみるが突き放されてしまった。空気が気まずくなる。だが、すぐに相手から話しかけてき

た。

「そういえば・・・まだ自己紹介してなかった。私はメリッサ・ブランドル。あなたと同じイギリス王立魔法科高校の新入生。以後よろしく」

「・・・よろしく、メリッサ。まさか魔法師だったなんてな・・・じゃあ、俺、さっき余計なことしちゃったかな」

「ううん、助かった。私の魔法はあの場面じゃ使えないものだったから」

「それならあんしんしたよ。それなら助けたかいがあったよ」

俺はひとまず安心する。するとメリッサからの質問。

「ところで一つ聞いてもいい?」

「ああ、俺に答えられる範囲のことなら」

「寮の場所を教えてほしい」

「OKだ。何号棟か教えてもらえると助かるんだけど」

「100号棟」

メリッサはそうに呟いた。

「それって・・・俺と同じ寮じゃないか」

俺は助けた女の子が同じ寮の寮生だという偶然に驚く。だが、寮の振り分けが男女混合ということには驚かない。それは入学案内にかいてあったからだ。まあ、最初案内を見たときは目を疑ったが何も問題ないからこの制度がなりたっていると納得したという思い出もなくはない。

「同じ寮なら都合がいい。これから同じ寮生としてよろしく」

「ああ。こちらこそ改めてよろしくな」

こうして俺はメリッサと寮に向かったのだった。





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