始まる入学試験
「へえ、明日香にも魔法を学ぶ以外の目的があったんだな」
俺は素直な感想を口にする。
「ええ、まあね。それに魔法を学ぶだけに入学試験を受ける受験者はあまりいないわよ」
「えっ、そうなのか?」
俺は明日香の言葉に驚いてしまう。
「知らないの?大体そんなもんよ。私のお父様も一族復興のためにこの学園に通っていたらしいし」
「へえー」
俺は意外な事実に驚いてしまう。祖父は何もいっていなかったので驚きは結構大きい。今度帰ったら祖父があの学園に入学した理由について聞いてみようと思った。
「で、そういえば宮野魔拳術を教えてほしいんだっけ?」
俺は話を切り替え明日香に尋ねる。
「ええ、ダメかしら・・・」
明日香は残念そうな顔をしながらそう言う。
「・・・・・・」
俺は困ってしまう。あんなに残念そうな顔をされたら断れなくなってしまう。
「・・・しょうがないな・・ニノ型なら教えるよ」
「ええー、全部教えてくれないの?」
「流石に全部は・・・」
俺はなんとか明日香を納得させ、試験会場へと明日香と共に向かった。
数時間後・・・
「うーん、難しいわね。これ本当に簡単な奴?」
明日香が訪ねてくる。
俺は明日香に宮野魔拳術ニノ型魔拳を教えていた。この技が一番覚えやすいと思ったのでこの技を教えることにしたのだ。だが、いくら練習しても成功の兆しは皆無。そんな状況に耐えられなくなった明日香は愚痴を漏らす。確かに一番簡単なやつではあるのだが、そう簡単にできてしまっては俺がこの技を習得するのにかかった時間はなんだったんだと思ってしまうので俺としてはこの結果に安心している。
「そんな簡単にできるほど宮野魔拳術は甘くない」
「ちぇ」
明日香は悔しそうに舌打ちをする。
「続けるか?」
俺は明日香のやる気を確認するために尋ねてみる。
「や、やるわよ。ここで諦めたらあなたに負けたみたいだし」
そう言って明日香は気を集中させる。拳に青い光、魔力が集まっていく。なかなかいい調子だ。しかし・・
シュ・・・・
光は散って消えてしまった。
「なんで消えるのよ!」
明日香はお怒りの様子。
「まあ、しょうがないな。俺もこの技を習得するのに二ヶ月かかったからな」
「・・・・・んーじゃあしょうがないわね」
明日香は意外にもあっさり納得した。
「お互いに試験に合格したらまた教えてね、いい?」
「ああ、OKだ」
俺は明日香のお願いにあっさり応じた。
試験日当日・・・
「E闘技場はここか」
俺と明日香は受付を済ませ指定された会場へと向かう。
会場に着くと受験者が既に大勢集まっていた。
「それでは第一試合を始めます。」
監督役の先生の声を聞いた瞬間皆の顔が引き締まる。
「私たちね」
「ああ」
俺たちの出番が来たので中央に設置されている巨大な闘技スペースへと登る。そこに着くと既に対戦相手であるディアス兄弟がいた。
「兄さん、対戦相手がきましたよ」
「ああ。いかにも弱そうなやつらだ」
どうやら俺たちは馬鹿にされているらしい。
「ムカつくわね」
明日香はかなり腹を立てている。
「落ち着け、明日香。そんなんだと勝てるものもかてないぞ」
「・・・・・そうね。落ち着くことにするわ」
俺は明日香を落ち着かせることに成功した。明日香は腹が立ちやすいが落ち着くのは早くて助かる。
「兄さん、彼らは僕たちに勝つつもりですよ」
「あっはっは、笑わせてくれる。日本の無名魔法師ごときが俺たちディアス家の魔法師をたおすだと出来るはずないだろうが」
「・・・・・・・・」
少しばかり俺もディアス兄弟の言葉にムカついた。
「始め!」
そして・・・試合は始まる。
「さあ、みせてもらおうか、あんたたちの実力の程を」
兄は構えすらとっておらず余裕の表情だ。俺はそこに漬け込む。
(宮野魔拳術一ノ型「疾駆」)
俺は兄の目の前に高速移動する。
(宮野魔拳術ニノ型「魔拳」)
俺は兄に懇親の拳をぶつける。
「あ・・がはっ・・・」
兄はその場に倒れる。
「よくも兄さんを!」
今度は弟の方から俺の方へやってくる。
「あなたも終わりよ!「氷の魔弾」
大量の氷の弾が弟を襲う。
「うああああああああ・・・・」
弟のほうは氷漬けになる。
「口ほどにもないわね」
明日香は二人共簡単に倒せたのが嬉しかったのか笑顔も浮かべている。
「勝者、宮野清隆、夜神明日香」
俺たちは一回戦を難なく突破した。