第四話 天会のしくみ
天会について 作者も頭の中の事を文にするのに苦労しました。
分かりずらかったらごめんなさい。
「…ですから、天会というのは…」
もう 三度目となる同じ説明をカイは丁寧に繰り返す。
ここでカイがした説明を掻い摘まんで説明しておこう。
まずカイの言う『天会』とは、
「天上界神業務補助会」
の略で、その『天会』では普段忙しい神の仕事をサポート…というのは名目で実際は天会の方々(人以外の生物含む)が分担して神様の仕事を行うという所らしい。
まぁこっちの世界でいう役所の様な所だそうだ。因みにカイが所属している部署は『地球部人間課運命執行係』でカイは日本の地区担当をしているとの事だった。
そして その運命執行係では『運命シナリオ係』が個々の生物の生誕時に定めた運命がきちんとシナリオ通りに遂行されているかを見守るのが仕事らしい。
叶が無い脳味噌を総動員してカイの話をなんとか理解纏めた結果はつまり…
叶がこの世に生まれた時には『運命シナリオ係』なるところで 叶の運命が決められていて、カイの仕事である『運命執行人』が叶の人生が定められた運命通りに進んでいるか見守っている。
…という事だった。
「他にも天会には『魂お迎え係』や『神頼み聞き入れ係』なんてのも…。…ん?あれ?叶さん?」
「……」
「あの?叶さん?」
カイは聞いてます?と言いながら叶の顔の前で開いた手をひらひらと振る。
依然黙り込んだまま下を向き 手をワナワナと震わせている叶。
「あの…。どうかしました?」
「…じゃないわよ。」
「え?」
「冗談じゃないわよ〜!!」
突然 拳を握りしめながら叶が叫ぶ。
「私は神様も運命も信じてないのっ!それをいきなりそんな事いわれても… もうなんなのよぉ〜」
叶は自分が今まで全く信じていなかった突拍子もない話を聞かされパニックのあまり泣き出していた。
それもその筈 叶は自分の人生は自分の意志で生きていくものだと思っていたのだ。
現に彼女は今までその様に生きて来たつもりだった。
しかし カイの話を聞いていると自分が只の人生ゲームの駒にでもなったかの様な気分になったのだった。
神の振ったサイコロによって 用意された人生を進んでいく只の駒。そこには駒の意志も感情も何もなくただ進まされていく。
「…私は人生ゲームの駒なんかじゃない。」
叶が呟いた言葉で カイは叶の心情を察したらしくゆっくりと口を開いた。
「でも、この人生ゲームの駒には意志があります。進む方向も速度も駒次第です。」
「…ど…いう事?」
「確かに 生物は生まれた時に定められた運命通りに人生を過ごし終える事となりますが 運命シナリオにはいくつかの分岐点があります。どの道を選択するかは本人次第ですし…」
それに… 叶の様子を少し心配そうに伺いながらカイは続ける。
「自分の夢や希望を実現出来るかは自分の努力次第です。運命で決められているからといって努力を怠る者に自分の夢を叶る事はできません。」
「でも…」
まだ納得いかない感じの叶に カイは優しい声で尋ねた。
「叶さんは 今の話を聞いて自分の夢を諦めようと思いました?」
「…え?」
「あらかじめ決められた運命通りに生きるのは嫌なんでしょう?」
「確かにそうだけど…」
下を向いていた顔を上げ叶は続ける。
「でも 私は夢を叶えたい。保育士になるのは私の夢だから…。」
小さい頃 母は仕事が忙しくあまり構ってもらえなかった。
そんな叶に微笑みかけ 話を聞いてくれ 叶の淋しさを取り除いてくれた保育園の先生。
あの笑顔に憧れ 叶は小さい頃から保育士になりたいと思っていた。
「それでいいんです。」
にっこりと微笑むカイ。
「あまり自分の運命に囚われるべきではありません。あまり気にしないのが一番です。」
「そうだね…。…ん?でも…」
カイの言葉を聞き少し落ち着きを取り戻した叶は ふと何かに気付いた。
「そもそもアンタがあたしの前に現れてこんな話しなければ運命についてなんかで悩んだりしなかったんじゃない…。」
「うっ」
たじろぐカイ。
「大体天会の人間だとか言っちゃってるけど証拠はあるわけ?大体何しに私の前に現れたのよ〜!」
さっきまで泣いていたとは思えない叶の剣幕に圧倒され 苦笑いするカイ。
「叶〜!あんた何さっきから夜に一人で騒いでんのっ?!静かになさいっ」
結局 今日も叫ぶ主人公。
カイはこの後叶が納得するまで約3時間延々と説明を続けるハメになる。
書きたい事がうまく表現出来ない自分が悲しい今日この頃。
あぁもっと文才が欲しい…。
読んでいただきありがとうございます。
引き続き頑張りますのでよろしくです。