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俺達で変身ヒーロー特撮を復活させる……筈が……アレ?  作者: HasumiChouji
第1章:堕落への旅路(ヴィランズ・ジャーニー)
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(7)

「やっぱり、断わった方が良かったんじゃないですか?」

 現場に来てから、小柳がそう言い出した。

「もう遅い(おせ)ぇよ。第一、あいつらがマズい連中で、俺の身元を知ってたなら……」

「警察は無理ですね……でも……」

 取材していた「ヒーロー」から、「今日、『活動』をやるので、試しに、その『活動』の様子を撮影してくれないか?」という連絡が有った。

 もし、こいつらが小柳の推測通り、「ヒーローに成り代ろうとしてる悪党」みて〜なマズい連中で、俺達をプロパガンダの下請としてコキ使うつもりなら……下手に断わったら、逆に面倒な事になる。もし、俺の身元が奴らにバレてたら、猶の事だ。

 しかも……指定された現場には……警官まで居て、えっと……おい? どうなってんだ?

 様子を見る限り、向こうの後方支援担当の……たしか仲間から西村って呼ばれてた……男は、警官とツーカーらしい。

 考え得る可能性は天国か地獄(High&Low)の2つに1つ。多分、中間は無い。

 俺がコンタクトした連中が、既存のヒーローより、遥かに良識が有るマトモな連中……それこそ、警察の信用も得られるような連中か……さもなくば、警官まで「既存のヒーローに成り代わろうとしている」犯罪者かテロリストに抱き込まれてるか。

 何せ「体育会系の組織や集団に適応し易い人間ほど、精神操作系の特異能力への抵抗力が弱い」って問題は、未だに解決されていない。精神操作系の特異能力の大半は「通常の洗脳に似た何かを、超常能力で行なう」ってモノだって事は、ほぼ解明されており、早い話が、同じ人間でも通常の洗脳を受け易い状況に置かれた場合は、精神操作系の特異能力の影響をより受け易くなるらしい。

 たしかに「精神操作系の特異能力への抵抗訓練」みたいなモノも、ある程度、確立されていて、何なら義務教育での履修も検討されてるそうだ。だが、その「精神操作系の特異能力への抵抗訓練」は、言い方や見方を変えれば「その訓練を受けた奴を、体育会系の組織や集団への適応・順応を拒むような人間に変えてしまう」モノなので、そりゃ、確かに、警察だって1つの部署に何人かは「型破りな刑事」が居た方が組織として健全かも知れないが、警官全員が「型破りな刑事」と化してしまったら、警察って組織そのものが崩壊する。

 要は、こういう事だ……。古い人間や保守的な人間にとっては、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 俺は、政治的には中立なつもりだけど……でも、現実問題として、体育会系でなければならない組織……それこそ警察とか……が有る以上、もし、「大半の人間が体育会系の組織・集団への適応・順応を拒むような連中になってしまった社会」がマトモに機能するかは……不安が多いに有る。

「ああ、どうも、石田さん」

 向こうは、俺に気付いて、声をかける。

「では、撮影準備をお願いします。これから、テロ組織のアジトに……ええっと、何て言ったらいいのかな? 襲撃だと物騒だし……」

「はぁ……」

「では、我らのチームの前線要員達です」

 西村さん(多分、本名)は、そう言って、近くに停車していた小型バスを指差し……え? あのバスの中に何人居るの? 一体全体、何人で、殴り込みをかける気?

 まぁ、結構な人数が入れそうな……そのバスから出てきたのは……5人?

 しかし……着てる服は格好いいし、イケメン3人と可愛い女の子2人……でも……何か……コスプレ感がハンパない。

 なんつ〜か……。

「あの……韓国映画で、たまに、旧北朝鮮の軍人や警官が出るシーンで……実際の旧北朝鮮の軍服や警官の制服より格好いい軍服や制服を着てるシーンって有りますよね?」

 小柳が、そんな事を言い出した。

「良く知らねえけど、何が言いたい?」

「あの人達の着てる服って、そんな感じじゃ……」

 う……。

 言われてみれば……格好いいけど……ナチのSSの軍服なんかを連想させる種類の格好良さだ。

「じゃ、まだ、カメラを回さないで下さい。今、テロリストどもを……」

「その前に、顔出しはOKなんですか?」

 突然、小柳が西村さんに声をかける。

「何か、問題でも?」

「素顔が映像に残ったら、マズくないですか?」

「だから、何がマズいんですか?」

「いや、その……素顔から身元がバレて……その……」

「大丈夫ですよ」

「でも、ほら、アメコミの『ウォッチメン』みたいに、その隊員同士で何かやってる所を怨みを抱いてる相手に襲撃されて殺された挙句、『ざまあみろ、レズの売女(ばいた)ども』なんて書き置きを残されたりとか……」

「大丈夫です。御安心下さい」

「何がですか?」

「ウチのチームでは、隊員同士の交際は禁止です。ましてや、同性愛など厳禁です」

 ……。

 …………。

 ……………………。

 小柳が、俺の服の袖を引く。

「ちょっと、撮影部内で打ち合わせしたいんで、いいですか? すぐに済みます」

「撮影部?」

「ああ、すんません、映画オタクは、そういう呼び方をする事が有るんで」

 ちなみに、普通は○○班と言う所を、例えば、撮影部とか美術部と呼ぶのは、映画撮影の現場の言い方だそうだ。

 大学の頃に、まだ()()()()()()()()()()()()関東まで行って、映画撮影のバイトをやってから、小柳は、普通なら○○班というようなモノを○○部と呼ぶようになった。

「は……はぁ……」

「どうした、おい?」

 西村さんから少し離れた場所で、俺は、小柳にそう言った。

「あの……あいつら、どこの因習村の御当地ヒーローなんですかッ?」

「何が?」

「今時……同性愛厳禁は無いでしょ」

「じゃあ、どうしろってんだよ」

「あの……えっと……あいつら、俺が思ってたより遥かに怪しいですよ。たしか、異能レスキュー隊経由で、()()のヒーローとコンタクトを取れる筈なんで……えっ?」

「どうした?」

「あの……先輩の携帯電話(ブンコPhone)は大丈夫ですか?」

「だから、何がだよ?」

 そう言って、俺は自分の携帯電話(ブンコPhone)を確認した。

 ……。

 …………。

 ……………………。

 何故か、町中なのに、アンテナが1つも立っていなかった。

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