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俺達で変身ヒーロー特撮を復活させる……筈が……アレ?  作者: HasumiChouji
第1章:堕落への旅路(ヴィランズ・ジャーニー)
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(1)

『なぜならいまはじめて(言うまでもなく、老人は宗教裁判のことを言っているのだがね)人間たちの幸福を考えることが可能になったからだ。人間は生まれつき反逆者なのだ。だが反逆者がはたして幸福になれるだろうか? おまえにしても何度も警告を受けたはずだ』

『おまえが渇望したのは自由な愛であり、人間を心底から震えあがらせる強大な威力を前にした、囚われ人の奴隷的な随喜ではなかった。だが、この点でもお前は人間を買いかぶりすぎていた。なぜなら、反逆者として生まれてくるとは言え、人間はしょせん、奴隷にすぎないものだからだ。あれからもう十五世紀も過ぎたのだから、おまえが自分と同等にみなした者が、実はどういう連中であったか、とくと見てくるがよい。誓って言うが、人間は、おまえが考えていたよりも、かよわく、いやしいものに創られていたのだ!』

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」より


「何だよ、これ?」

 こんな独り言を言うなんて、漫画かドラマの中だけだと思っていた。……以前は……。

 近くの席に居た母子連れが、変人でも見る目で俺を見ている……ような気がする。

 まぁ、日に日に変人度が上がってるのは、自分でも自覚しているが。

 俺としては「会社都合」だと言いたいが、気が弱いせいで表向きは「自己都合」で勤め先を退職してから、SNSで知り合った「仲間」達以外との会話は極端に減った。

 そのせいか、電車やバスの中でも、独り言を言う事が多くなった。

 違法薬物に手を出してないのに、俺って、下手な本物のヤク中よりもヤク中っぽく見えるんじゃなかろ〜か?

 自分でも、時々、そう考える。

 しかし……。

 携帯電話(ブンコPhone)の画面に表示されているニュースは、冗談抜きで頭を抱えたくなる代物だった。

 たしかに、未だに「ヒーロー」ものの映像作品は金になるらしい。

 でも、子供の頃にスーパー戦隊や仮面ライダーを観て育った、多分、最後の世代である俺達が求めている「ヒーロー」ものとは余りに違う。

 映像作家志願のクセに、ここ数年、アニメと昔の特撮しか観てない俺でも、名前と、どんな作品を撮ってるかぐらいは知ってる映画監督4人。

 名前は知ってるが、どいつの作品もマトモに観てない。

 ただ、イケ好かない映画好きども……それも、高尚ぶった映画マニアと、サブカル系の奴らの両方で、評判はそこそこらしい映画監督だ。

『クリント・イーストウッドが最後に企画した作品をオリバー・ストーンとマイケル・ムーアのどちらが引き継ぐか?に意外な決着』

『イーストウッド本人はクロエ・ジャオを希望していた事が判明』

『北米連邦で最も有名なヒーロー・チームを題材にした映画が、やっと始動』

 待て待て待て待て。

 待ってくれ、何で、こうなった?

 何で、ヒーロー映画を「社会派」の映画監督が撮る?

 何で、ヒーロー映画が「Based on a true story」になる?

 何で、ヒーロー映画からエンタメ性が消える?

 何で、ヒーローの話をすると、現実の話を避けて通れなくなる?

 何で、ヒーローの話をすると、政治や社会問題に嫌でも直結した話になる?

 現実に有る生々しい何かを題材にすると、嫌でもこうなるのなら……何で、警官を主人公にした話はエンタメとして成立するんだ?

 警察もヒーローも、どっちも現実に存在するモノだろうがッ⁉

 ん?

 あ……。

 しまった……。

 余りと言えば、余りなニュースを読んでる内に……下りる予定だったバス停を乗り過した……。

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