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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

行き遅れ王女と近衛騎士のやらかし話

作者: 野垣ただ

目が覚めると同時に、身体中の痛みに気づいた。


頭がズキズキと痛むし、腰もバキバキ、下腹部も重たい感じがする。


何故だろう、と眠たい頭で考えてーーー



私は飛び起きた。



昨日、弟の誕生日パーティーでお酒を飲みすぎてパーティー会場を飛び出し、街の居酒屋で飲み直して、それから帰りたくないと駄々をこねてこの安宿で…。


覚悟を決めて辺を見回すと、案の定私は素っ裸。おまけに横には裸の男が眠っている。



「やらかした…。」



どうやら私は付き合ってもいない男と一晩夜を共にしてしまったらしい。



救いは相手が見知らぬ男ではなく、一番共に時間を過ごしている男であることだろうか。


いや、でもやばいぞーこれは。


私も彼も婚約者や恋人はいない。おまけにお互いに29と30という行き遅れの良いお年である。これきっかけに結婚とかになっても全然おかしくないし、喜ばれるお年頃だ。


問題なのは…


横で寝ていた男がみじろぎをして目を開ける。私と目が合った彼は首を傾げた。


「ん…殿下?」



私が王女で彼が近衛騎士であることである。





色々あって私は29歳という年齢にも関わらず独身だった。

色々の中身を話すと長くなるし、シリアスになるのでこの場では割愛する。私自身の価値観の問題と、母親に私の良縁や恋を潰す趣味があったとだけ記しておこう。


来年には30になるのに、まだ親は結婚を許してくれそうにない。にも関わらず12も歳下の弟は初恋の人と婚約し、両親からも愛され盛大に誕生日パーティーを催されていると思うと、いい歳した大人であるのにも関わらず無性に腹が立って、自分付きの近衛騎士、つまり横で寝ていた彼だけを連れてパーティー会場を抜け出し街に出たのだ。


元々庶民に扮して街歩きが好きな私には馴染みの居酒屋というものがあり、いつも通りそこでしこたま飲んで、その場にいる全員の飲食代を肩代わりして感謝され、良い気分で帰る予定だったのだが、どうしても弟のパーティーが開かれているお城に帰りたくなくて、その辺の宿に泊まると駄々をこねたのだ。


外泊はよくあることで、彼はいつも通りテキパキと宿を取ってきた。

ただいつもと違っていたのは私がとてつもなく酔っていたこと。彼は困惑しながらもまともに歩くことができない私を抱えてベッドに横たえた。そして、部屋を出て行こうとしたのに、私が彼を捕まえてしまったのだ。


「1人にしないで。」


そう言いながら泣く29歳の女なんて、相当痛い。自分だったら関わりたくない。だけど、彼は優しいから、横に座ってくれたのだ。








「でもさぁ、処女相手に3回戦までする?飢えすぎでしょうよ。」

「知らないわよ。昼間っから猥談やめて。」


お風呂に入りたかったが、城に帰ってしまえば侍女たちに着替えさせられ身体中の口づけの跡がバレてしまう…ということで、私は親友の家にお邪魔してお風呂を借りたあと、彼女相手に愚痴っていた。


ちなみに彼は目が覚めたあと私に土下座をし、『殺してください』と首と己の剣を差し出した。

人の命を奪うことなどできない私は、とりあえず彼に私をおぶるという肉体労働の刑に科し、ここまで連れて来させたのだ。今は庭で一心不乱に剣を振っている。


「とりあえず先輩に責任取って結婚してもらったら?もういい年なんだから」


親友は言う。彼のことを先輩と呼ぶのは、貴族学園時代の先輩だからだ。その当時はあまり親しい仲では無かったが。


「いや可哀想でしょ。私みたいな行き遅れを嫁になんて。」

「…?何言ってるの?先輩からしたら大喜びでしょう。」

「確かに降嫁されるのは名誉なことだけど、私だよ?王家の鼻つまみものだよ。」

「いやいやいやいや気づいて無かったの?」

「何が?」

「騎士の家系でもなかった先輩が、近衛騎士を志願して、しかもすごく強くなってあなたの護衛騎士になったのはあなたが好きだったからでしょ?」

「ん?????」


後の話は直接本人から聞いてよね、と庭に放り出された私は剣をブンブン振り回している彼の元へと歩み寄る。


私を見つけた彼は剣を放り投げ、再び土下座をした。


「顔あげてよ。本当に君は悪くないから。誘ったのは私な訳だし…」


昨晩、私は自暴自棄になっていて『誰も私のことなんか愛してないんだ!!』なんて騒いでいた。すると、彼が『そんなことありません。』なんて真面目な顔で言うものだから『じゃあ君は愛してるの?』なんて聞いてしまった。

彼はまっすぐ私の目を見て『愛しています。』と言ったので、じゃあ『私のこと抱ける?』と挑発的に訊いた。だって、ただ面倒臭い私を大人しくさせるためだけに話に乗ったのだと思ったから。

『それは…』と言葉を濁す彼にムカついた私はやっぱりね、と腹をたてて『じゃあ他の人に頼んでくる。処女のまま30歳になりたくないし。』と訳の分からないことを言いながら部屋を出ようとし…


彼にベッドに押し倒された。



「俺が悪いのです。お酒が入って自制心が働かなくなりました」

「いや君は私のお願いを叶えてくれただけだし、本当に気に病まないでいいよ。」


私と同い年くらいの人にはもうみんな子どもがいる。同い年である親友も2人の子持ちだ。どこかで自分だけ置いて行かれている気持ちがあったのかもしれない。


「私、顔には自信があるんだけど、体には自信がなくてさ。こんな骨と皮だけの女抱かせてごめんね。」

私は脂肪が少なく、柔らかさとは無縁な体つきをしている。骨は浮き出ているし、胸に膨らみなどない。

ただ近衛騎士は清廉潔白を求められており、浮気や娼館通いがバレると辞めさせられるため、彼が女に飢えていた可能性はある。


「そんなわけないです!ずっと、ずっと、殿下のことを…!」

「え~ずっと私とヤルこと考えてたの?えっちぃ~。」

「…そうです。」

「いや肯定しないでよ。」


ツッコミ待ちだったのに、そう言われてしまうと流石の私も動揺してしまう。


「この際だから、ずっと秘めていた想いを告げさせてください。学生時代から、殿下のことだけを見ていました。初めて貴方を見たとき…」


膝を地面につけたまま、彼は真面目な顔して語り始める。私は立ったまま、照れる話を聞かされるらしい。


「綺麗な人と思いました。でも、最初はそれだけで特に関心を持っていませんでした。気になり始めたのは、人嫌いと有名で社交に一切出ていなかった貴方が楽しそうに人と交流をしていたからです。」


私の人嫌い設定はあまり人と私を交流させたく無かった親が勝手に作ったもので、私はむしろ人が大好きだった。

だから学園に入って親の監視が緩くなってからは、同級生たちと学園祭なるものを企画してみたり、友人と魔獣退治に出てみたりと楽しく好きにしていたのだ。


「見かける貴方はとても楽しそうでした。でも、ふとした時に見せる寂しげな表情から何故かいつも目が離せませんでした。」

「…。」

「その寂しげな理由を知りたいと思って、いつのまにかいつも貴方を目で追いかけるようになりました。そのうちに、貴方のことをずっと考えるようになり…恋をしたのだと思います。」


30歳の男性から聞く『恋』という単語はとても重いことを知った。茶化すことも、笑い飛ばすこともできない。


「俺は正直、肉体よりも頭に自信があるタイプで、一応剣技の授業を取ってはいましたが、騎士になろうなんてこれっぽっちも思っていませんでした。でも、貴方の寂しさの理由を知りたい、できるなら自分が癒してあげたい、そう思った時、1番いいのは貴方の近衛になることだと思いました。」


彼の家系は代々法律に携わる文官だ。侯爵位と言うこともあって、父親は法務大臣も務めていた程。


近衛騎士の採用人数は微々たるもので、かつ代々近衛騎士を勤めている騎士の家系が優先されるので、そうではない彼が近衛騎士になろうとすると相当の実力と運が必要となるわけで…。


「必死で鍛えました。恥も外聞もなく、色々な人に頭を下げて鍛えていただき、採用担当者と思われる人には袖の下を渡しまくりました。」


結構汚いこともしてたな。


「貴方と陛下の関係が良くないことも知っていましたので、採用の際には絶対貴方への思慕は隠し切ろうと決めていました。」


それは確かに。私が好きと言っていたら絶対に受かっていないだろう。これは私云々じゃなく、全ての護衛の仕事に言えることだけど。


「その結果、おそらく父が法務大臣であったことも影響したのでしょうが、実力に不足がありながらも採用が決まりました。悔しかったのですが、どんな過程であろうと、貴方のそばにいる権利を得られたことに比べれば瑣末な話です。まぁすぐに貴方の担当にはなれず、王妃付きになってしまったのですが…。」


そこで彼は悲しそうに目を伏せる。王妃付きだった時に見た情景を思い出しているのかもしれない。


「王妃付きになり、王妃殿下が貴方に対して会うたびに暴言や暴力を振るうのを見て、貴方のそばにいたい、という気持ちは、貴方を助けなければ、という使命に変わりました。同時に貴方の寂しそうな表情は、両親からの愛がないからだと気付きました。」


分かっているけど、他者から親に愛されていないと指摘されるのは心にくるものがある。


「王女殿下は素晴らしい方です。間違っているのは彼らです。それはお忘れなき様!」

「あ、うん。ありがとう。」


落ち込んだ私に強い口調で迫る彼に少し圧倒される。気持ちは嬉しいけど。


「未だに、何故王妃殿下が殿下にあのような行動に出るのか理解できていませんが、殿下が間違ったことをされているということは決してありません。庶民に医療の施しをして何が悪いのですか、ドラゴンの研究をして何が悪いのですか、他国の王族と文通をして何が悪いのですか。全て良い結果につながっているというのに。」


熱く語ってくれるが、もう正直そこはどうでもいい話である。私自身、間違っているのは母で、自分は正しいと思っているし。ここで簡単に彼に説明できるような内容でもない。

そんな私の呆れが伝わったのか、彼は話を進めてくれる。


「王妃殿下から解放された次、貴方の護衛になれた際にはもう積年の夢が叶った喜びしかありませんでした。ですが、それがバレたら配置を変えられるかと思い、必死で自分を律しました。」

「だから、最初の頃顔が怖かったのか。」

「それは本当に申し訳ありませんでした。」


ガチガチだった最初の頃の彼を思い出して、思わず笑ってしまう。


「もしかして私と一緒にいられる緊張とかもあったのかな?」

「…それはもちろん。」

「お風呂上がりとか見放題だしね。湯上がりの私に興奮してたんじゃない?」

「…。」


そっぽを向く彼。うちには女性の近衛なんていないので、どんな場面でも男の騎士がそばにいるのだ。流石に1人でいる私室なんかには入ってこないけど。


クスクス笑う私を止めるように「とにかく!」と彼は大きな声を出した。


「貴方と一緒にいるうちに、またどんどん貴方に惹かれていきました。親は山ほどの縁談を持って来ましたが、他の女性と家庭を持つことは考えられませんでした。もし、どうしても貴族の義務として結婚するとしても、貴方が結婚してあの親から離れて幸せになることを見届けてからだと、決めていました。」


そうか、私は彼の人生、歪めてしまったんだなぁ。

由緒正しき侯爵家の次男であり、エリートである近衛騎士、そして見目麗しいのだから、婿入り先は山ほどあっただろうに。


「なのに、貴方はいつまでたっても結婚せず、俺を諦めさせてもくれません。」

「ごめんねぇ。」


恋をしたことも、プロポーズされたことも何度かあった。駆け落ちしようと誘ってくれた人も、自分の国に亡命すればいい、と言ってくれた人までいた。


でも、私は王女だから、親のことは嫌いでも、国民のことを愛していたから。


王女という責務からは逃げられなかった。



「ふふ、責任取って、結婚してあげるよ。君んちの家柄だったら、降嫁されてもおかしくないでしょ。」

「体の関係を持ったからって気持ちもないのに結婚なんて、ダメです!俺次男で後継ではないですし、そもそも陛下が許可するとは…!」

「父はどうにかするよ。弱みはめちゃくちゃ握っているから、頑張る。母は無視。次男でも君の家、伯爵位とか他持ってるでしょ。それもらっちゃおう。」

「そんなことできたなら、もっと早く結婚できたのでは?」

「そうだね。でも、かれこれ5年くらいは相手もいなかったし。何より弟が立太子して婚約もして、王女としての仕事も少なくなったからね。」


親からしたら、口うるさい私はもう不要らしい。かわいい義理の娘もできるってことでルンルンだ。


ぜっっっったいに私、必要だと思うけどね!!!


知ったことではない。居なくなってから悟れ。



そこまで考えて私は自嘲した。あーあ。


「結婚しようって言ってんのに、君のことより親のことを考えちゃってる…。」

「仕方のないことです。それほどまでに殿下にとって両陛下は重要な存在なのでしょう。ですが…」



彼はそこで一呼吸置いた。



「俺のことしか考えられないようにしてみせます!」


目が点になる私。堅物の権化である彼がそんなことを言うなんて…あ、顔真っ赤だ。


「親からの愛情を欲さなくても良いくらい、俺が愛します。」


真剣な顔で見ないでほしい。恥ずかしいくらいに顔が真っ赤になっているだろうに、顔を隠せない。


「殿下。」


そう言って彼が私を抱きしめる。いつもの彼からはしない汗の匂いに一瞬くらっとする。


「たくさん甘えてください。心委ねてください。俺はなんでも受け止めます。」


なんだか泣きそうになった。おそらく、私が希っていた言葉だったのだろう。


でも、まだ彼に対して照れがある私は、涙を必死に引っ込めて、おちゃらけた表情で彼に問いかける。


「でろっでろに甘やかしてくれる?」

「でろっでろ…?初めて聞く擬音ですが、貴方様が望むなら頑張ります。」

「ふふっ楽しみだなぁ。ご飯とか食べさせてくれる?」

「え!いいのですか?」

「いいのですかって…。」


思ったより彼の許容度は高そうだ。これは楽しみ。



私は彼の腕の中から抜け出して、帰ろうか、と彼の裾を引く。


「まだ誰にも何も言わないでね。まずは外堀を埋めて行くから。」

「っわかりました…本来ならすぐ陛下の元へ頭を下げに行かないところですが…殿下の言う通りにします。」

「そんなことしたら下手したら殺されるよ。」


あの人は私には愛情はないだろうけど、『王女』が軽んじられることは嫌うから。


「まだ死ぬわけには行きません。今が幸せの絶頂なのに…。」

「えーまだまだ更新していこうよ。」


自分から出た前向きな言葉に少し驚きながらも、この屋敷を辞すために親友を探していると、親友とは違う親しい人物に出会った。


「あれ?ねぇねじゃん!」


私のことを「ねぇね」と呼ぶ彼女は親友の夫の妹…つまり親友の義妹である。私の12歳下で、弟と同い年だ。彼女が生まれた時からの付き合いで、姉と慕ってくれる愛い存在である。


しかし今は会いたくなかった。


彼女はロマンス小説を読むことを1番の趣味としており、恋愛関係に関しては妙に鋭いのである。彼女に昨夜のことがバレたら恥ずかしくて死ねる。


いや、でも堂々としていたらバレないはず。


幸い彼も動揺していない。私も演技は得意だ。


「ねぇね、昨日殿下の誕生日パーティー抜け出したでしょ!話したいことが、あった…の、に…?」


彼女が驚愕の表情を浮かべ停止した。かと思ったら急発進して、私の目の前に来て体を舐め回すかのように見る。


「ちょっと待って!脳内がパニックを起こしてる!」


1人で頭を抱えてくねくねしだした彼女にこちらも困惑だ。


「どうしたの?」

「どうしたの?じゃないよ!ねぇね妊娠してるって!!!」

「「…。」」



あ、そうだったこの子、普通であれば人間には分からないはずのことを知れるんだった。



「まだすごーく小さい!小さいけど新しい命がねぇねの中にいるんだって!え!やっちゃったの?!まじか!」


1人興奮している彼女と、顔を青ざめさせる彼。



「一緒に陛下に謝ってくれる?」

「はい。殺されます。」


外堀どころではなくなった。

でも、これもこれでありか。私に必要なのは勢いなのかもしれない。



「このヘタレが!手を出すのが遅すぎる!さっさと既成事実つくれって言ってたよね?ねぇねはそうでもしないと結婚しないって!」

「だから今回勇気を出しただろうが!」

「犯人は君かぁ…。」


おかしいとは思っていた。この堅物が酒に酔っていたとしても、自分の護衛対象に手を出すとは思えなかったのだ。


「私だけじゃないよ!他にも…」


彼女の口からどんどん知った名前が出てくる。頭が痛い。そして、本来なら彼とは別についている隠密の護衛が何の対処もしなかった理由も分かった。あなたも共犯なわけね。


「それ私が彼のこと好きじゃ無かったら大事件だよ?」

「え、でも好きじゃん?」

「まぁね。」


彼がキョトン、とする。

それで私は彼に何も伝えていないことに気がついた。



「私もずっと君が好きだったよ。」



じゃないと酔ってるからってあんなことしない。


「嘘だ…。」

「嘘じゃないよ。」


私は手を伸ばして彼の涙をぬぐう。

この涙に、どれほどの感情がこもっているのか、私には分からない。ただ、おそらくだけど、私が彼を思う気持ちなんかよりずっと、ずっと、ずっと、複雑で重たい感情が溶け込んでいる気がする。


涙を流す彼を、私はずっと見ていられて、気づいた時には結構な時間がたっていた。気を利かしたのだろう、彼女はもういなかった。

その代わりに親友がやってきて、馬車を準備したと言う。私は感謝を述べて、彼を馬車に押し込んだ。



「あ、横に座るんですね。」

「そうだね、王女と騎士ではなくなったからね。」



また泣き出した彼の頭を胸に抱く。



「これからは、後ろじゃなくて、横であなたを支えますから。」

「涙と鼻水でべちょべちょのやつに言われてもなぁ。」



なんて言いながら。



私も涙と鼻水で顔がべちょべちょだった。




おなかを少し撫でてみる。

私には何もまだわからないけれど、ここに新しい命がいるらしい。



「絶対に幸せにしてあげるからね。」



正直、自信はない。親からの愛を知らずにずっと生きていた。家族というものの正しい形も分からない。けれど、幸せにしなければ。それは親としての義務だ。


「俺が幸せにしますぅ。」

「あ、君に言ったんじゃないよ。」

「え、じゃあ誰に?」

「私たちの子どもにだよ。」


彼がパっと顔を上げる。あ、私もベチョベチョなのばれた。


「そうですね、一緒に幸せにしましょう。」


優しく微笑む彼に、肩の荷が降りた気がした。




王女としてずっと一人で背負ってきたから、今回も当たり前に一人で頑張ろうとしてしまったけど。


これからは彼が隣にいるのだ。




「うん、一緒に幸せになろうね。」










貴重な時間を使って最後までお読みいただきありがとうございました。

少しでも楽しんでいただけていたらうれしいです。

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