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貰った魔法を使ってみた

 食事を終えてシアンと食堂で別れ、二階にある部屋に戻り、日記で忘れていたやりたい事を思い出した。


 思い出した。本当の目的はルーベル兄さんに貰った魔法の確認だった。

 書斎でのやり取りですっかり忘れていたな。そもそも書斎に行った理由が、魔法の教本を取りに行くためじゃないか。これじゃあ書斎に気絶しに行っただけだな。……何をしているのか。悔やんでも仕方ないし、早速本来の目的を始めるか。


 まず貰った魔法は索敵魔法、毒魔法、転移魔法、花火魔法を貰った。最初に試す魔法は危険性も無さそうな索敵魔法から試してみるか。

 魔力を流して索敵魔法を選ぶと人、物、魔物で別れていたので人を選ぶと詠唱が浮かび唱えた。


「我が周りにいる人物を映し出せ 「人物索敵」」


 人物索敵と唱えると目の前に自分の部屋の間取り図が出てきた。どうやら使い慣れてないせいか廊下や他の部屋は出てこない。

 間取りを見てみると部屋に置いてある家具は書かれておらず窓と扉が書かれ部屋の真ん中に青い点が光っていた。窓のある方へ歩くと間取りの中の光も窓の方に動き、扉の方へ歩くと扉の方へ動くのでどうやら青い光は自分のようだ。


 いったん人物索敵を解除して次の索敵魔法を唱える。


「我が周りにある物を映し出せ 「物的索敵」」


 唱えると再び間取り図が出てきた。間取り図を見ると青い光と窓、扉の他に家具も書かれていた。試しに部屋にある椅子を動かすと間取り図の中の椅子も動きだした。

 間取り図を見るとベッドと机が置いてある場所が黄色に光っていたので光っている場所まで行きその辺りを探す。

 ベッドの置いてある方に行き、何かないかと探してみるとベッドの下、枕側の壁に使えなくなっているが盗聴器が仕込まれていた。


「あのイントア姉さん(変態ストーカー)!いつから仕込んでいやがった!!」


 夜だけど思わず叫んでしまった。この家でこんな事をするのはイントア姉さんしかいないので、誰がやったか考える必要もない。

 というよりイントア姉さんいつから盗聴器を仕込んでいたの?憶えてる中で姉さんがやった酷いことなんて風呂とトイレの覗きくらいだったのに……。流石に相手は弟とはいえ、これ(盗聴器)はアウトでしょ。姉と結婚する人は監視生活になりそうだ。


 姉の所業を忘れるために俺は次の魔法を使うことにする。

 次に使う魔法は、転移魔法を選んだ。選んだ理由は先程と同じく危険が無さそうだからだ。早速使おうとすると、転移と収納で別れていたので転移から使ってみることにする。転移をかける物はさっきの盗聴器でいいか。


「我が願う 望む場所へ飛ばせ「転移」」


 床に置いた盗聴器を近くの床の上に移動しようと使うと、場所もずれて高い位置に転移して失敗してしまう。

 転移を自分に使う時は練習してからの方がいいな。


 転移をやめて、次は収納を使ってみる。収納するのは盗聴器でいいか取り出せなくなっても困る物じゃないし。

 収納は取り出しと収納の二つに分かれていたので収納を選択。


「我が無限の懐へ 物体を飛ばせ「収納」」


 収納を使うと目の前に置いた盗聴器が消えたので、収納で入っているか確認をすると収納されている一覧が出てきた。そこに盗聴器×二と表示され取り出そうと魔法を使うと無事取り出せた。


 転移魔法を使ったので残るは毒魔法と花火魔法だが、どっちを先に試そうか?……よし、花火魔法でいいか。一度使った事があるし空に向かって放てば問題ないだろ。前に夢の中でロケット花火を使ったので今回は別のを使ってみよう。


「火よ 走る花を咲かせ「ねずみ花火」」


 窓に行き手を上に向け空に向かって撃つと、少し前に飛んで落下していき地面に落ちると回転しながら火花を飛ばし走り始めた。一つだとそうでもないけど、これを大量に撃てれば面白そうだな。なんて考えているうちにねずみ花火はパンッと音を立てて消えた。

 まずいな鳴った音が大きかったから人が来てしまう。


 事実、屋敷の中から騒ぐ声が聞こえ始めた。


 全部試したかったが魔力もギリギリだし最後にしようと思い、気になった魔法を撃とうとしたのが間違いだった……。


 人が来る前に気になった魔法を空に撃とう思い、詠唱を終え魔法名を言ったのと同時に部屋がノックされ、扉が開こうとしたので手を上に上げたまま慌てて振り向いてしまった。


「夜空に花を咲かせ「二号玉」」


「アレク様失礼します。」


「!ちょっと待っ…あっ!」


「はい?…きゃあっ!」


 手を上げたまま振り向いてしまったせいで部屋の天井に二号玉はぶつかり、そのまま天井を壊し屋敷の屋根も壊して夜空に大きな音を立てて黄色い花が咲いた。

 部屋に入ろうとした人はシアンだったが、天井が壊れる音と二号玉の音に驚いて頭を抱えてうずくまっている。幸い上には誰もいなかったが屋敷の屋根が半分吹き飛んだ。


 その後、部屋にみんなが来て誤魔化すのが大変だった。とりあえず、家にあるガス管が一部破裂したとか電気がショートを起こして爆発したという適当な言い訳をして、皆は納得はしてないが誤魔化せた。

 しかし部屋に入ろうとしたシアンは、俺が部屋に入るのを止めてすぐに大きな音がしたので俺が何かしたのに気づいて誤魔化す事が出来ずに部屋に残っている。


「で、先ほどのは何ですか?」


「だから、さっきも言った通りガス管か電気が――。」


「嘘ですね。音が鳴る前にアレク様は入るのを止めたじゃないですか。予めなにが起こるか分かっていたのでしょ?」


「……それは違和感があって調べていたら異常を見つけたけど既に手の施しようが無く、逃げようとしたらちょうどシアンが来たんだって。」


「それっぽい事を言ってますが私、見たんですよ。」


「何を見たのさ。」


「アレク様の手から光る玉を飛ばす瞬間を。」


 止めるのが遅かったか。そこまで見られたら上手い誤魔化しが思いつかない。

 仕方がない、ここは少しだけ本当のことを言うか。嘘の中に少しだけ本当の事を混ぜるとバレないと聞いたし、多分大丈夫だろ。


「そこまで見られたら仕方ない喋るけど内緒にできる?」


「書斎でも言いましたが私の口はオリハルコン並みに固いです。」


 内緒にできるか聞いたらシアンは自信満々に答えた。


「実は今日の朝、起きたら魔法が使えるようになったんだよね。」


「えっ!起きたらですか!?」


 誤魔化して答えるとシアンは凄く驚いた顔をしている。

 まあその反応は分かる。普通は寝て起きたら魔法が使えます、とはならないもんな。


「そうなんだ。そんな不思議なことがあったから内緒にしてほしいんだ。」


「そういう事でしたか。でもご家族には何故内緒にしているのですか?」


「俺も聞いた話で知らないけど、ルーベル兄さんの時も似たような事があって大変だったらしいから。」


「そういった事情で…。分かりましたこの秘密、墓まで持っていきます。」


「よろしく頼むよ。」


 とりあえずこれで誤魔化せたかな?そうだ、俺からも聞きたいことがあったんだ。


「ところでシアン。何で俺の部屋に来たの?夜這いしに来たとか?」


「な、な、しょのような事しまへんよ。」


「驚きすぎて噛んでるよ。」


「すみません、取り乱しました。……私はそのような事しません。アレク様は下着の時も言いましたが、私をどんな女だと思ってるんですか!?」


「そういったのに興味があってつい実践してしまう女?」


「酷いですよ!私はそんなふしだらな女じゃないです!」


「だって今日書斎で「領主の息子とメイドの夜のお勉強」なんてタイトルの本を持ってきたから、そういうのが好きな――。」


「きゃあああっ!!あれは、その、…ぐうぜん。そう、偶然なんですよ。渡す本の中に偶然混ざっていたんです。決して私が読もうとした訳ではありませんから!」


 揶揄うとシアンはいい反応をしてくれるから面白い。今も顔を真っ赤にして言い訳しているけど慌て過ぎて墓穴を掘っている。が、少し揶揄い過ぎてしまったらしく涙目になっている。


「ごめん。反応が可愛くてつい揶揄い過ぎたよ。で、本当の理由は?」


「またですか、もう……。先程も同じようこと言ってましたよ。」


「そうだっけ?まあいいや、部屋に来た理由を教えてよ。」


「はぁ……。私が部屋に来た理由はアレク様がストーカーと叫んでいたのが聞こえて、何かあったのかと思ったからですよ。」


 ……あれかぁぁあ!本当にあの変態ストーカー(イントア姉さん)のせいで……。いつか花火魔法で空に撃ちあげてやる。


「大丈夫、その事に関してはもう済んだ事だから気にしなくていいよ。」


「そうですか、なら良いのですけど。」


「それじゃあ今日は疲れたからもう寝るね。」


「はい、ゆっくり休んでください。」


「……一緒に寝る?」


「寝ません!おやすみなさい!」


 シアンが出ていく前に毛布を捲り冗談で聞いてみたら、顔を真っ赤にして断り出て行ってしまう。


 こうして騒がしい五歳の誕生日は終わった。

次回は友達が登場します。

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