置いてある本は
「こうも本が多いと探しにくいな。」
「アレク様は魔法の教本以外で、どんな本を読んでみたいですか?」
「そうだな。今興味ある本は、やっぱり定番の冒険物か笑えそうな本かな。他には、変わったタイトルの本でもいいかもしれんけど。」
「こんな本はどうですか?」
シアンと二人で目的の本を探し始めたのだが、黙って探すのも変なので二人で喋りながら探してるとシアンが俺の興味を引くかもしれない本を渡してきたので、本のタイトルを見たのだけど。
「「民衆が反乱を起こした時の対処方法」」
「……何この本。」
「変わったタイトルでしょ?」
確かに変わったタイトルだけど。読んでおくべきかもしれないけど。なんか思ってたのと違う。シュページ父さんが読んでたのかな?
「ごめん。こんな物騒なやつじゃなくて、もう少しタイトルが大人しい本で頼む。」
「すみません、興味が引かれそうにないですか。なら、こちらの本ならどうでしょう?」
俺が別の本を頼むとシアンは今の本を引っ込めて次の本を渡してきたので、受け取ってみると。
「「領主の息子に手を出したメイド」」
…………大人しい本?
「どうですか?アレク様の要望通り、いやらしい本ですけど?」
「この馬鹿!俺が言ったのは大人しいだ!誰がいやらしいと言った!?」
「すみません!聞き間違えました!」
俺が怒るとシアンは慌てて謝った。いくら聞き間違えでもこれは酷い。俺にこういう本はまだ早いと分からなかったのだろうか?
ずっと謝っているシアンを許して次の本を出させる。
「次はいやらしい本じゃないです。」
そう言ってシアンが出した本は。
「「貴族の黒歴史ラブレター」」
これは読むべき本だな。好きな人が出来た時にこの本に書いてある人達みたいに俺は恥ずかしい思いをしたくない。
「どうでしょうか?いずれアレク様に好きな人が出来た時の為と思い薦めてみました。これを読めば将来、痛々しいラブレターを送って恥ずかしさから悶えてしまう。というのを回避出来ます。」
「その気持ちは嬉しいし、この本は読むことにするけど。何故今言った。」
俺を想ってくれるのはいいけど一言余計なんだよ。
「ありがとう、変わったタイトル以外の本も探してくれ。」
「わかりました。なら、こちらをどうぞ。」
「「航海士の後悔日記」」
「タイトルは惹かれるけど冒険の本か?とにかく興味があるから後で読んでみるか。」
「それは良かったです。他にも面白そうな本がいくつか見つけたので一気に渡しますね。」
そう言ってシアンは大量の本を渡してくるけどそのタイトルが。
「「女性に大人気なパンツ百選集」」
「「旦那に隠れて奥様と」」
「「気になる令嬢の堕とし方」」
「「強い魔物の作り方」」
「「世界の駄剣特集」」
「「清く正しい盗賊の成り方」」
「「領主の息子とメイドの夜のお勉強」」
…ろくでもないタイトルしかないんだが誰がこんな本を読むんだ?薪の代わりに燃やした方が役に立つんじゃないか?というか持ってきた半分はエロ本では?さっきの続編みたいな本まであるけどメイド物は人気なのか?
様々な疑問が頭に過るが。
まあシアンも十四歳でそういった物に興味が出てもおかしくないもんな。しかも同じメイドだから自分で想像しやすいんだろうな、と結論付けた。
まぁそれは良いとして、これらの本は……。
「その本で今度たき火でもするか。」
「駄目ですよそんな事をしては。安くなったとはいえ、まだ本は高いんですから。」
俺としたことが渡された本が酷すぎてつい本音が出てしまった。
「ごめんごめん、ついな。それよりも魔法の教本は何処にあるんだ?」
「ずっと探しているんですが、まだ見当たりませんね。」
やっぱり山になってる本を片付けてから探した方がいいのか。
俺がそんな事を考えているとシアンが突然。
「あーーっ!アレク様この本を見てください!すごいですよこの本!」
「そんなに叫んでどうしたんだ?今度はどんな本を見つけたんだよ?」
教本を探していたはずのシアンが叫んで何かの本を持ってこっちに戻って見せてきた。
「「シュページ=ナルスタックの日記八冊目」」
「日記?なんでそんな物が書斎にあるんだ?」
「そんな事はどうでもいいじゃないですか。どうしますか、読んでみますか?」
「おいシアン。お前、この家の主人の日記を読んでいいと思っているのか?それも主人の息子にそれを聞くか普通。……シアン、お前口は堅いか?」
「私の口はオリハルコン並みに固いです。」
読んでみますかと聞かれて、こんな面白そうな物を読まない奴なんている筈がない。
「なら安心だな。ところでこれ、八冊目と書かれてるけど他の日記はどこにあるんだ?」
「それなら、この日記を見つけた本の山の奥の方にありました。」
「よろしい。それらも持って部屋で読むぞ。」
「はい!」
シアンも楽しみなのか元気よく返事をするが、何か忘れてる気がするんだよなぁ。まあ、忘れるくらいだし、気にしなくていいか。
俺は考える事をやめ、他の日記を取るため奥の方に向かった。
「で、どこら辺にあったんだ?」
「あの本の山の奥にある本棚に置いてあります。少し上の方にありますが、そこなら踏み台も使えるくらいの広さがありますので私が取りますね。」
そう言われて上のほうを見ると他の日記もあったが、確かに俺では手が届かないな。
「すまんが頼む、俺は下の方にある本でも見てるよ。」
最後まで読んでくれてありがとうございます。次回もお楽しみください。