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回避

今回、ネフィー視点になります。

「これに懲りたら、女性への発言をもう少し考えようね~?」


「……はい。」


 不用意な発言で全身を沈められたからか、普段は元気なアレクちゃんが疲労困憊という言葉が似合うくらい疲れ切っている。が、それは今だけで、彼の事だからすぐに回復して何か面白い事を起こしそうな気がするわ。


「さてぇ、これ以上女性を待たせたら失礼だから、そろそろクレアちゃんの元に戻って良いよ~。」


「そうさせて貰います。それじゃあ、失礼――。」


「あ、ちょっと待って~。」


「は、はい!何でしょうか?」


 部屋から出ようとしたアレクちゃんを私が呼び止めるとアレクちゃんは肩を跳ね上げたけど、少し驚き過ぎじゃないかしら?


 そう思うが特に気にするような事でもないので、言い忘れていた事を伝える。


「止めちゃって、ごめんねぇ。何個か言い忘れてたのだけど、部屋を出たらアレクちゃんの部屋に居るもう一人の侵入者を引き取ってくれないかな~?」


「……侵入者?」


「そうよぉ。アレクちゃんと同じ、シアンちゃんの部屋に侵入した仕事サボりの侵入者さんよ~。」


 そこまで言うと、思い当たる人物が居たらしく「またあいつか……。」と、小さく呟き眉間に皺を寄せる。


「知ってる子らしいわねぇ。まあ、いいんだけど。で、次は恋人の居る少年にお節介なおばちゃんからプレゼント~。」


「……プレゼント。」


 そこで嫌な予感でもしたのかアレクちゃんの眉間の皺が深くなり、警戒の眼差しを向けてきた。そんなに警戒する事ないのに……。


 そう思いながらも収納から一枚の紙を取り出す。


「これ、な~んだ?」


「それって、まさか……。」


 そう言って、字の書かれた方を見せると何の紙かを認識したアレクちゃんは驚きで目を見開く。


 ふふふ、驚いてる驚いてる。良い反応をしてくれて、おばちゃん嬉しいよ。


 アレクちゃんの予想通りの反応に満足して、ふっ、と笑うと。


「そうよぉ、これはシアンちゃんが気絶した原因にして、今彼女が最も欲している物。その名も……。」


「一日性交許可証。」


「せいか~い。ちゃんとヴィーちゃんのサインも書いてある本物よ。後は二人の名前と実行日を書くだけねぇ。そして、その許可証をアレクちゃんに――。」


「まさか貰えるんですか!?」


 私の話を遮り、期待の目で見てくるアレクちゃん。


 何が渡されるのかと不安の中、見せられた予想外の物。


 気絶したシアンちゃんを元気付ける時に幾つもある選択肢の中で真っ先に思い浮かぶ物。


 想像から現実、愛し合う姿は想像出来ても、いざ実行となると絶対に必要となる物。


 そんな今二人が最も欲している物が目の前にある。


 彼は今、何を考えているのか。


 無理と思っていた物が手に入る喜び?


 許可証を見せた時の彼女の顔?


 それとも、許可証を使って二人で愛し合ってる姿?


 まあ、何を考えていようと私には関係ないわ。顔には出していないけど、内心嬉しそうにしているアレクちゃん。

 悪いけど、プレゼントと言ってもこれは。


「あげないよ~。」


「えっ!?なっ!」


 予想外の答えに驚きのあまり、声を出そうにも詰まっているアレクちゃん。口をパクパクさせているが、彼の言いたい事は分かる。


 だよね。この話の流れ、確実に貰えると思ったよね。でも残念、これはあげるのでは無くて。


「これは金貨五千枚。ヴィーちゃんの提示した六分の一の値段で売ってあげるよ~。」


「売るのかよ!!」


 怒りも混じってるのか、普段よりも数倍大きな声でツッコミを入れたアレクちゃんの声が部屋に響く。


「そうよぉ、売っちゃうの。始めは普通にあげても良いかなぁと思ったけど、それだとアレクちゃん。ヴィーちゃんから買わずにまた私を頼るかもしれないでしょ~?」


「それは、まあ……否定は出来ないですね。」


 容易に想像が出来たのか、段々と声が小さくなるアレクちゃん。


「分かってくれて嬉しいよ、アレクちゃん。」


 酷いと思うけどアレクちゃんの場合、買わせてあげないと二人が不幸な事になるんだもん。


 これは未来視で見た酷い結果の一つだけど、ここで私がプレゼントとして許可証を渡した場合、シアンちゃんとの行為が余程楽しかったらしくアレクちゃんったら毎日許可証を貰いに来るの。他にもアレクちゃが来れない場合はシアンちゃんが来たり、もしくは二人で来たりと時間と場所は考えてくれるけど、それが毎日。まぁ、いくらお願いされても私が渡す事は無かったけどね。


 だけど二人は、貰えないと分かると許可証無しでヴィーちゃんに隠れて楽しみ始めたのよね。若い子の性欲って凄いわ。毎日朝から晩まで暇を見つけてはしてたから、昔の私とヴィーちゃんを見てるみたい。それも日に日に過激になっていくから、そこも一緒ね。


 だけど隠し事はいつかバレるもの。

 結局、シアンちゃんが妊娠して事が発覚。子育ての仕送りはあるけど、事前に話していた通りシアンちゃんは家から追い出されて二人はその後会えることは無かった。


 それが私の見た一番確率の高い、自制が効かず欲望に溺れたアレクちゃんとシアンちゃんの未来。


 自業自得。二人にはその言葉が当てはまるけど、元を辿れば無料で渡した私の責任。

 なら渡さなければ良いと言われるかもしれないが、好きな人の子供だからお祝いもしたくなっちゃうのよね。

 私の我が儘で二人の未来を壊したくない。では、どうしたら不幸にならずに済むか。その未来に行く為に何度も彼の未来を視て、失敗すれば別のやり方を試す。数を忘れるくらい繰り返した結果、探し出した答えが購入だ。


 確かに金貨五千枚は実際に大金で稼ぐのが大変だけど、それ以上では無茶をし過ぎて最悪命を落とし、それ以下では簡単に稼げて堕落していくギリギリのライン。ちゃんとアレクちゃんが購入してる場面も見れて、その後も問題は起こしてるが二人は幸せになっているのも確認出来た。


 これで何も問題ない筈だ。


 そう思った時にふと、頭の片隅に過った事がある。


 もしかしてヴィーちゃん、私がアレクちゃんに許可証をプレゼントとしようと考えてたのに気付いてたのかな?じゃないと金貨三万枚なんて滅茶苦茶な数字を言わないし、自分で持っとけばいいのに私に預けないよね。


 そこまで考えて、胸中でため息を吐く。

 はぁ……、あり得そう。まあヴィーちゃんによくイタズラをしていたから、今回もヴィーちゃんに内緒で勝手に渡すと予想されたんだろうなぁ。そして丁度良い金額を教えてねって事かな。


 未来が見えても恋人には敵いそうにない。そう思いながらアレクちゃんに近づき。


 おばちゃんに出来る事はこのくらいだから、愛する人の為に頑張って稼ぎなさい。


 言葉に出さないがその思いを込めて、許可証を貰えず少し落ち込んでるアレクちゃんの頭を撫でてあげた。

お読みいただきありがとうございます。


次回もお楽しみください。

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