帰宅の途中で
誤字、脱字があるかもしれませんが最後お楽しみください。
「おいアレクさん!いくら何でも毒魔法を使うのはシャレになってないんだけど!?」
「確かにこちらも言い過ぎたが、麻痺毒が運転中のシアンさんに当たったらどうする気だったんだい?」
屋敷に帰ったら仕返しをすると伝えた後、暫く走っていたら二人に掛けた麻痺毒が切れたらしく、麻痺が切れた途端やり過ぎだと言い始めた。
「そこは当たらないように気を付けてるに決まってるだろ!というよりお前ら、言い過ぎたって自覚があったんだな。」
「途中から面白くなって止め時が分からなくなってしまった。」
「同じく。」
こいつら、もう一回毒魔法を撃ちこんでやろうか。俺が二人にどんな毒を撃ち込もうか考えていると、運転中のシアンが前の方に指を指しながら。
「アレク様見てください。光が見えてきました。」
そう言われ俺らは言い争いをやめて前を見ると、まだ距離はあるが確かに門を照らしている光が小さくだが見えた。
先ほど日が沈んだから周りは暗くなっているので、小さくても門の光がよく分かる。門の光が見え四人でようやく帰って来たか、と安心していると。
「キャンッ!」ドンっ!
「「「「……キャン?」」」」
暗くて見えなかったが、何かを撥ねたらしく鳴き声と車に衝撃が伝わるのが同時だった。俺らは顔を見合わせて。
「何を撥ねたと思う?」
「多分だけどウルフ系の魔物じゃないかな。」
「あー。確かに鳴き声的にはそれっぽいな。」
「それよりも何で車の前に魔物がいるなら教えてくれなかったんですか?そのせいで撥ねてしまったじゃないですか。」
「うん。ごめん。」
正直、索敵魔法は毒魔法を撃つときに切ってしまったんだよな。毒魔法を撃つときに車が走っていたのは、街道の横で迷うこともないし今日は魔物をあまり見なかったから特に気にせず再発動しなかったが、こんな事なら使っておけばよかった。
「索敵魔法を使っとくか。……あれ?」
俺が索敵魔法で魔物の位置を調べたら、自分の位置である青の点と魔物の位置である赤の点が重なっていた。それを見るなり俺は車の窓を急いで開け車体を確認した。
「急いで窓なんか開けてどうしたアレク?」
「車体にさっき撥ねた魔物が張り付いているんだ!」
質問に答えるとカゴットとシムも慌てて窓を開けて魔物を探し始めた。
「あの私はどうすれば。」
「シアンはそのまま走らせて、絶対に車を止めるなよ。むしろスピードを出して振り落として。」
「は、はい。」
指示を聞くなりシアンはスピードをさらに上げた。
再び探そうと窓から顔を出そうとしたら、カゴットが「見つけた!」と叫んだ。
「本当かカゴット。何処にいた?」
「車の下に足が見える。」
そう言われ下を見ると、暗くて見づらいが足が確かに見えた。確かに足が見えたがその数が。
「なんか足の数が多くない?」
「アレクもそう思うか?私も暗くて見間違えたかと思ったのだが、見間違えじゃなかったのか。」
車の下から見えた足が片側だけで四本あった。普通に考えて、反対側と合わせたら八本だよな。これって本当にウルフ系の魔物か?
「これなんの魔物?俺は知らないんだけど。」
「俺も見たことないし聞いたこともない。」
「私は本で見たような気がするな。」
俺とカゴットは知らなかったが、どうやらシムが本で見たことがあるらしい。
「予想でいいから、何の魔物か教えてくれ。」
「暗くてよく見えないが、確かラット系でグラットと言う魔物だったはずだ。」
「グラット?カゴットみたいな名前だな。」
「俺も自分の名前に似てるなと思ったけど言うなよな。」
ラット系の大きさは様々だけどこんな大きさのラットは初めて見たな。ラット系は弱いのが多いし、名前的にもそんなに強そうに感じないから、車を止めてみんなで倒すか。
「ラット系なら弱いからみんなで降りて倒そう。」
俺が倒そう、と言おうとしたら先にカゴットが倒そうと言った。まあ俺は倒すのに賛成だし、シアンを見ると頷いていた。しかしシムは首を横に振って。
「それはやめた方がいい。グラットは足が速いから私たちでは捉えられない。それに顎が強いから噛まれてしまったら食いちぎられてしまう。むしろ車の下にいる状態で倒そう。」
「それって車を走らせた状態で倒そう、とか言わないでよ?」
「いや。走らせた状態で倒そうと言ってるよ。」
俺が聞くとシムは肯定した。マジかよ、面倒くせぇ。俺だけじゃなくカゴットも面倒くさいと顔に出ていた。シアンも口には出していないが面倒くさい、と顔に出ていた。
「あのシムさん。走った状態で倒すと言ってるけど、どうやって倒す気なの?」
走った状態で倒すと聞いてみんな黙ってしまったが、カゴットがシムに倒し方を聞く事にした。まあカゴットの疑問も分かる。このまま倒そうにも車の下にいるから当てにくく、走りながら車の外に出たら車から落ちてしまうかもしれない。
何かいい倒し方があるのかと、俺とカゴットがシムを見ると頷いて話し始めた。
「私の考えたグラットの倒し方は――。」
「絶対に反対だ!そんな事をしたら車が壊れて、母さんにどんな罰を与えられるか分かったもんじゃない!」
「私も反対です!車を壊してしまったら私は何年間ただ働きをしなければいけないのですか!」
「そこは尊い犠牲だと思って、ね?」
「良いよなお前は!全く被害がないんだからさ!」
「カゴットさんも何か犠牲にしましょう!」
「嫌だよ!今家での俺の評価が低いんだから、これ以上下げると勘当されしまうわ!」
シムの話を聞いてすぐに俺とシアンはその作戦に反対した。シムの作戦を実行すると、間違いなく車が壊れてしまい母さんにお仕置きをされてしまうからだ。
俺は冷凍便で王都に送られてしまい、シアンは車の代金分ただ働きをさせられてしまうはず。車の代金はオプション無しで白金貨八枚は掛かる、シアンが働いて返そうとすると生きている間に返済は無理だ。それを分かっているからシアンも俺と一緒に反対をしている。
カゴットは森で採ってきた素材が無事だったら問題ないので、この作戦には賛成している。
俺らが終わりそうにない言い争いをしているのを聞いてシムはため息を吐き。
「分かった。この作戦で車が壊れたら私が弁償しよう。」
シムのこの発言に言い争いをやめて、俺らはシムの顔を見た。
「車が壊れたら弁償しようだなんて無理ですよ。オプションがない車でも高いのに、この車がどれだけの白金貨が掛かると思っているんですか?」
「大丈夫ですよシアンさん。私なら払えますから。」
「ですが。」
「いいから気にするな。こいつにとって車なんか使い捨て感覚だからな。」
「そんな訳ないだろ。車を使い捨てなんかしてたら破産するよ。」
俺の言葉で言うのをやめたが、シアンはまだ心配している。しかし俺とカゴットはまったく心配なんかしていない。シムの家はナルスタック家よりも金があるのを知っているから。
「で、本当に弁償してくれるんだな?」
「ああ、約束するよ。何なら証文でも書こうか?」
「そこまでしなくていい。その代わり弁償だけじゃなく、母さんに今回の事に関して弁明する時は手伝ってくれ。」
「それはきついなぁ。手伝うけど。」
「よしっ。なら作戦開始だ。」
シムが了承するのを聞いて喜んでいると車の下から音がした。
カリカリカリカリカリカリ
「あの、これって、もしかして……。」
「車の下を齧ってるんだろうな。」
多分グラットは張り付いた時から齧っていたが防御付与が掛かっていたせいで無傷だった。しかし齧られ続けたせいで防御付与の耐久が空になり、付与魔法が解けてしまったと思う。
「いつまで持つか分からない。急ぐぞ。」
そう言うとみんな頷き、車はスピードをさらに上げて走りだした。
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次回もお楽しみください。




