告白?
「残念でしたね、アレク様。」
母さんから結婚の許可が貰えないまま部屋を退出した俺たちは、自室に戻ろうと廊下を歩いていたらシアンが残念そうにしながら言ってきた。まあ、残念な気持ちは分かるけどさ。
「そうだな。まあ反対されるのは予想してた事だから、一回じゃ上手く行かないとは思ってたよ。うん、思ってたけどさ……。」
そこで母さんに言われた事を思い出して、声が沈んでしまう。
「……はあ。借金を半分でも返せば許すって言うけど、俺の借金いくらと思ってんだよ。」
「アレク様の借金、多いですもんね。」
「そういうシアンも人の事言えないだろ。」
シアンは同情的な目で見てきたが、シアンだって今回の件で借金が増えたのに何、私は借金をしていません、みたいに言ってんだ。ちなみに俺は、北の町を戦車で破壊した事や街中でツフトローチを孵化させた事が当然母さんにバレていて、それらの修理費用などによって見事、借金が金貨三百万枚を超えてしまった。……ほんと、この金額をどう返したらいいんだ?
「とにかく、俺の部屋で良い金稼ぎでも――。」
「お兄ちゃん!」
部屋に戻って借金を返す良い方法を考えようと提案しようとした時、廊下の反対側からクレアが元気よく俺を呼びながらこちらに走って来た。
「おいクレア。廊下を走ったら駄目だろ。人にぶつかったらどうするんだ?」
「ごめんなさい。お兄ちゃんを見つけて嬉しかったから、つい走っちゃった。」
「クレア……。」
クレアが俺の前に来ると走った事に注意すると素直に謝ってくれたが、なんて嬉しい事を言ってくれるんだ。
俺は嬉しさから笑顔になり優しくクレアの頭を撫でなると、クレアも撫でられて嬉しかったらしく笑顔になっている。うん、やっぱりクレアは可愛いな。さっきまで返済額の多さにどう返したらいいかと頭が痛かったが、クレアの笑顔を見ると俺なら全部返せるって気がするよ。
クレアに元気を分けてもらえてる気がした俺は、満足するまで撫でるとクレアも連れて俺の部屋まで一緒に向かう事にした。
「そういえばお兄ちゃん。今日お母さんにシアンお姉ちゃんとの結婚を話すって言ってたけど、どうだったの?」
「あー、一応許されたけど、駄目だったな。」
「何それ?」
結婚話が気になったクレアに簡単に結果を教えたが、やはり伝わらなかったらしく首を傾げている。そんな説明にもなってない説明を聞いてシアンは苦笑いをすると、俺の代わりにクレアに説明をした。
「つまり、結婚自体は反対されなかったのですが、結婚するなら借金を最低半分返せと言われたから、したくても出来ない状態なんですよね。」
「そう言う事なんだ。お兄ちゃんとシアンお姉ちゃん借金が多いもんね。」
「それも普通の人よりも遥かに多いな。」
「それってどのくらい?」
「俺が金貨三百万で。」
「私が金貨約八十万くらいですね。」
俺たちの返済額を聞いてクレアは引いているが、仕方ないだろ成り行きで増えてしまったんだから。
「返済額の半分、お兄ちゃんだけで金貨百五十万枚。……シアンお姉ちゃんとの結婚無理じゃない?」
「無理でもやるしかないんだ。その為に今から部屋で金儲けのアイデアを考えようとしてんだよ。」
「ああ、それで。でもお兄ちゃんの事だから、逆に借金が増えそうだね。」
「不吉な事を言うのはやめてくれない!?」
この妹はなんて恐ろしい事を言ってくれるんだ。これ以上増えたら、埋蔵金みたいな宝探しをしないと返せる気がしないんだけど。
「ですが、アレク様が行動すると大抵被害が出てますよね?」
「シアンまで言うのはやめてくれない!?」
クレアだけでなく、まさかのシアンにまで増える方を心配されるとは思わなかったよ。これは俺だけでなくシアンの問題でもあるんだから、せめてシアンは成功するって信じてくれないかな?
返済をしようとしてクレアとシアンに借金が増える方を心配されながらも、もう少しで部屋に着きそうな時にクレアが何か思い出したのか「あ。」と声を漏らすとその場で立ち止まり、頬を赤く染めながら俺の方をチラチラと見てきた。
「どうしたクレア?何かあったのか?」
「う、うん。二人の結婚話を聞いて、お兄ちゃんに言いたい事があったのを思い出したの。」
そう言いながらクレアは、恥ずかしいのかモジモジとし始めた。いったいクレアは何を言おうとしてるんだ?こんな反応をされたら勘違いをしそうになるんだけど。
「そ、そうか。それで何を言いたいんだ?」
クレアの態度のせいで何を言われるか俺も緊張してきたが、できる限り平静を装いながら聞いてみる。
「えっと、お兄ちゃんはお姉ちゃんやシアンお姉ちゃんに告白したでしょ?」
「……姉さんに告白したのは内緒だけど、そうだな。」
「だから、それを見てお兄ちゃんが言う前に私の方から言おうかなと思ってたの。」
「それって、つまり……。」
何が言いたいか分かり、クレアを見ると顔を真っ赤にしてクレアは頷く。…………マジか!
正直今この瞬間、奇声を上げながら嬉しさから走り出したいがそれは我慢だ。クレアが言おうとしているのにそれを聞き逃す訳にはいかない!
チラリとシアンを見れば、シアンも真剣な顔をして頷きながら親指を立てていた。よし、シアンも後押しをしている。姉さんもクレアなら間違いなく許してくれる筈だ。
屋敷の廊下、その一ヶ所で緊張感に包まれながらも俺とクレアは向き合う。
「お兄ちゃん、私。私……。」
「…………。」
恥ずかしくて言いにくいのか、クレアは何度も言葉を詰まらせるがそれを黙って聞いていると、やがて意を決したのかクレアは大きく叫ぶようにその言葉を言った。
「私、クレア=アンバーは!お兄ちゃんの事が大嫌いです!!」
「俺も大好きだぞ、クレ…………あれ?」
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