暫しの別れ
「それじゃあ姉さん、身体には気を付けて。」
皆の元に着くと気絶から回復した俺は、気絶していたせいで姉さんとあまり会話出来なかったのもあり、そのまま出発しても良かったのに兄さんの好意で別れる前の会話をしている。
「心配ありがとうございます。短い期間でしたが、久しぶりにアレクに会えてお姉ちゃんは嬉しかったですよ。」
「俺は疲れたけどな。」
姉さんが帰ってきてからのあれやこれやを思い出して、俺は疲れた顔をしてしまう。俺の顔が面白かったのか、俺の顔を見て姉さんはクスクスと笑うが、疲れた原因の大半は姉さんにあるって自覚があるのか?
少しすると笑いが治まり、姉さんは名残惜しそうにしながらも心配を掛けないようにか微笑み。
「ではアレク、皆さんをこれ以上待たせるのも失礼ですので、これで。」
「ああ元気で、っと。姉さん、ちょっと待って。」
「はい?」
別れる前にいろいろと遭ったせいで忘れていたが、姉さんで思い出した事があり待ったを掛けると収納を開き、そこから一つの紙袋を取り出す。その紙袋を見た時、クレアは声は出さず面白そうに笑っているが、お願いだから余計な事は言うなよ。
「ほら姉さん、これ。」
「……これは?」
差し出した紙袋を素直に受け取った姉さんだが、中身が気になるらしく目で開けていいかと聞いてくる。だが、ここで開けると姉さんが喜び、更に時間を使ってしまう。ただでさえ、好意で待ってくれてるのにこれ以上待たせるのは申し訳ない。
それに普段の姉さんとのやり取りを考えると皆に知られるのはどことなく気恥ずかしさも感じるので、姉さんには悪いがここは……。
「それは帰ってからのお楽しみ。という事で兄さん、もう良いよ。」
渡した物の説明も無しに打ち切り、兄さんに会話が終わった事を伝えた。
「はぁ……、はいよ。良し、お前ら帰るぞ。」
兄さんは呆れたようにため息を吐くが何も言わず、帰るという言葉に皆は兄さんの近くに集まる。
「王都に帰るが、全員忘れ物は無いな?」
帰る前に面倒くさそうに兄さんが確認するとニーシャが元気よく手を挙げた。
「はい。シアンを王都に連れて帰っては駄目ですか?」
「ええっ!?」
「駄目に決まってるだろ、酔っ払い二号!」
ニーシャの言葉にシアンは驚き、俺は即座にツッコむ。
この馬鹿神、急に何を言い出すんだ。シアンと結婚の約束をしたんだから、たとえ神が相手でも絶対に渡さんぞ。
「……酔っ払い以外で他にないか?」
「はい。」
俺がツッコンだからか。兄さんはこれ以上関わらないようにとニーシャの発言は無視して、もう一度言うと次は姉さんが手を挙げた。
……うん。姉さんの発言は予想が出来るんだけど、聞かなくていいかな?兄さんも予想が着いてるらしく、ええ……、という顔をしている。
「アレクかクレ――。」
「よし、他に居ないか!?居ないな!帰るぞ!」
「お兄様!?」
予想通りの事を言おうとした姉さんに兄さんは大声で無理やり遮ったせいで抗議の声を挙げているが、兄さんはそれを無視している。
「じゃあ、ちょっと行ってくるわ。」
誰も言わなくなったのを見計らうと、兄さんはそこら辺に散歩へ行くような感覚で母さんに言った。
「ええ、王宮に迷惑を掛けないようにね。」
「そこは私が見張るので安心してください。」
「うるせえぞ、山賊。」
王都での話を聞いてるらしく、迷惑を心配する母さんに兄さんの保護者代わりのような事を言うザットさん。
「次はお主が王都に来いよ。シアンは酒で繋がった心の友、妹のように思ってるから、王都に来たら私が酒場を案内をしてやる。」
「はい、その日を楽しみにしてますルーシャ。」
「それと今度、王都から酒と他にも何品か送ってやる。」
「ありがとうございます、ルーシャお姉ちゃん!」
ニーシャは酒仲間として妹のようにシアンを気に入ったらしく、シアンもシアンで相手が神とも知らずに姉と呼んで喜んでいる。
「次に帰って来る時、アレクが私を襲ってくれる事を楽しみにしてますね?」
「誰が襲うか!」
「クレアちゃんは、雌牛が我慢出来ずにアレクを襲わないように監視しててくださいね?もし襲おうとしたら、遠慮なく潰してください。」
「お姉ちゃんじゃないんだから大丈夫と思うよ。」
「最後に二人の机に私特性、夜のお供セット。色毒などの毒の詰め合わせを置いてますので有効活用してください。」
「「持って帰れ!!」」
好きに言った最後にとんでもない置き土産をした姉さんにクレアと一緒に叫ぶが、姉さんはそれを見て楽しそうに笑うだけ。その反応に更に言ってやろうかとすると、その前に。
「うるさいわ、くそ婆!俺は王都に帰るぞ!「転移」」
母さんに暴言を吐くと兄さんは転移を使用し、近くにいた姉さん達と一緒に王都に帰って行った。
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