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「で?カゴットは何を掘っていたんだ?」


 シアンはポンコツではなく屋敷でいかに役に立っているかを言ってるけどその場はシムに任せて、ここに降りた時に気になった事を聞いてみた。


「ここに降りて何かないかと探したらこれを見つけたんだ。」


 そう言って魔法バックから取り出した物は丸い石だった。


「ただの石じゃないか。」


「ところが石じゃないんだよな。」


「じゃあ何だよ。」


「どうしようかな。そんなに教えて欲しい?」


 俺が石だと思った物は石ではないらしいが、カゴットはどんな物か知っているらしい。知っているなら教えてもらおうと思い聞いてみたら、こいつ急に勿体ぶりやがった。


 俺は手に魔力を込めてからカゴットに向け。


「ああ、教えてくれないか。」


「おいおい、そんな事をされたら話せないじゃないか。仕方ないな、これは卵だよ。」


 俺が教えてほしいと頼むとカゴットは焦りながらも卵だと教えてくれた。


「卵?これが?」


 卵なんて言うけど、どう見ても石だし触っても石だ。


「やっぱり石だろこれ?」


「だから卵だって。こうすれば分かるだろ。」


 そう言ってカゴットは地面に石を置き、手にハンマーを持ち置いた石を叩いた。何回か叩くと罅が入り、罅の入った場所から手で剥いていった。すると中から白い卵が出てきた。


「おお、卵だ。」


「だから言っただろ、卵だって。」


 出てきた卵は手のひらサイズで結構小さい。触ると柔らかく簡単に握り潰せそうだ。


「結構柔らかいな。」


「まあ周りに付いていた石が殻みたいな物だからな。」


「ところでこれ、何の卵?」


 石だと思ったのが本当に卵と分かったら、次に考えるのは何の卵だということ。生まれてくる生き物がツフトローチみたいに面倒くさいやつだったら、できる限り回収しておきたいしな。


「それは木の卵だよ。」


 カゴットに聞いた質問は俺の後ろから答えが返ってきた。振り返るとそこにいたのは、言いたいことを言い切り満足した顔をしたシアンと疲れきっているシムがいた。


「話終わったの?」


 俺が聞くとシムが恨みがましい目で見てきた。なんかシムから黒いオーラも見えるんだが。


「シアンさんは君の所のメイドだろ。使用人の不満を聞いてあげるのが主の役目じゃないのかな?」


「この度は誠に申し訳ございませんでした。」


 シムから不穏な気配を感じて俺はすぐに土下座をした。土下座をしている俺にシムが近づき肩に手を置いて。


「次こんな事をしたら、君の股にあるやつ引っこ抜くから。」


 それを聞いて俺は額が地面にめり込むくらいにつけ、今の言葉がカゴットにも聞こえたらしくカゴットは内股になっていた。シアンだけは聞こえてないらしく一人首をかしげている。

 シムは言いたいことを言うと離れ普段通りの雰囲気に戻った。シムが離れると話が終わったと思ったのか今度はシアンが近づき俺を起こしながら。


「アレク様、聞いてください。やっぱりシムさんはいい人ですね。私の話をしっかり聞いてくれてアドバイスまでくれたんですよ。シムさんって本当に五歳なんですか?」


「うん。シムは間違いなく五歳だね。」


 というよりシアン。お前五歳児にアドバイスされるってお前こそ本当に十四歳か?俺が口に出さずに思っているとカゴットがシアンに近づき。


「五歳のシムさんに話を聞いてもらいアドバイスされるって、シアンさん本当に十四歳ですか?」


 あっ。俺が口に出さずにいたのにカゴットが言っちゃった。シアンはそれを聞いて。


「酷いですよカゴットさん。少し子供っぽいとこもありますけど、この通り十四歳ですよ。」


「いや年齢じゃなくて精し、もがっ!」


 これ以上カゴットが余計なことを言う前に俺は口を塞ぎ、シムはシアンに質問があると意識をそちらに移した。

 シアンがこちらから目を離すのを確認すると口から手を放し、カゴットの頭を叩く。


「この馬鹿。そんな事を言って、またシアンの長い話を聞く気か。」


「聞いてたのはシムさんだけどね。アレクさんは聞いてなかったでしょ。」


「だって面倒だからな。実際シアンのやつドジが多いんだよ。この間なんかお茶を頼み運んでもらったら、足を引っかけ躓いてしまい。躓いた拍子に俺の頭にお茶を被せお盆で頭を叩いたんだぞ。どこのお笑いか、って思ったよ。」


「そりゃまた災難だったな。シアンさんは何かドジをせずに出来る事は無いんかな?」


 そう言われシアンのドジをせずにできる事を思い浮かべた。……やばい全然思い浮かばない。


「……もしかしてない?」


 俺がなかなか答えないので、流石のカゴットも顔を引きつらせながら聞いてきた。


「いやいや。俺が知らないだけでシアンも得意なことの一つや二つあるはず。」


「だといいんだけど。」


 俺らがシアンについて話しているとシアンとシムが戻ってきた。


「どうされましたか、アレク様?」


「いや何でもない。ああそうだ、シム。聞こうとして途中になっていたが木の卵って何?」


「そういえばアレクさんにまだ教えてなかったな。」


 シアンの話を誤魔化すため、まだ聞いていない木の卵について聞いてみることにした。


「その卵は木の魔物で名前をウドンテと言うんだ。種から苗木の時は水で育つけど、ある程度大きくなると枝の先が目のない蛇みたいになって、それを伸ばして小型から中型の魔物を捕食するよ。」


「そんな恐ろしい種がなんでこんな所にあるんだよ。爆心地なんだから魔法で砕けてないとおかしいだろ。」


 周りに付いていた石はハンマーで叩いたら砕ける程度の固さなんだから、それより威力のある魔法に当たっていたら粉々になってないとおかしいはずだ。


「ああそれは、ウドンテの種は本来もっと大きく固いんだ。多分アレクの魔法に耐えれたけど結構ギリギリだったんじゃないかな?」


「もっと大きいって元の大きさはどの位なんだよ。」


 見せてもらった時の大きさは両手で持てる大きさだったけど。


「私も聞いたことしかないから正確ではないけど岩くらいの大きさらしいよ。」


「俺はこの前、王都へ届けるために輸送車に積んでるのを見たがそのくらいの大きさで合ってるよ。大人が十人がかりで運んでた。」


 予想以上に大きかった。というより魔物の卵を王都に運んで大丈夫か?シムも同じことを思ったのかカゴットに聞いていた。


「おいカゴット。魔物の卵を王都に入れて大丈夫か?」


「そこは大丈夫。許可が降りてるらしいから。というよりアレクさんは卵の話を聞いてないのか?」


 カゴットはむしろ俺が知らない方に驚いているが、なんで俺が王都に卵を運ぶ話を聞いてないといけないんだ?

 俺が首を傾げるとカゴットは本当に知らないと分かったのか説明をしてくれる。


「本当に知らないらしいな。上から許可を得て王都に運ぶように頼んだのはアレクさんの兄のルーベル様だぞ。」


 ルーベル兄さん何してるの?俺はシアンの方を見るとシアンは首を横に振っていた。


「少し前に手紙がきたけど、その話今初めて聞いたんだけど。」


「なんでも実験にウドンテが必要らしくて集めてるんだって。」


「それは手紙に書いてなかったな。」


 手紙に書いてたのは山に登ったらドラゴンに遭遇したとか、魔物の大軍を退治したとしか書いてないな。そういえば手紙の最後に『こっちでは忙しくて面倒が見れないから、すまんがそちらで仲良くしてやってくれ。義理になるがお前の妹だ。母さんには話をして許可を得ている。』と書いてたな。

 しかし父さんじゃなくて、母さんに許可を得るなんて、流石裏の当主なだけはあるな。


 俺らが卵の話をしているとシアンが何か思い出したのか俺を呼んだ。


「あの、卵で思い出したのですがツフトローチの卵。あれどうしますか?」


 俺らはシアンに言われて思い出した。


「あー。そういえばあったな。ツフトローチの卵。」


「どうする?あのまま放置しとくのはまずいよね?」


「どう考えても、まずいよなぁ。」


 大量の卵があったし、あれら全部が孵化すると餌を求めて近くの町や村を襲うな。下手したらナルスタック領の村が二、三滅んでしまう。


「あのカゴットさん。ルーベル様はツフトローチの卵を集めていたりしてないですかね?」


「ないですね。ウドンテの卵だから許可が降りたんであって、ツフトローチの卵だったら許可は降りないでしょ。」


「ですよね。」


「取りあえずツフトローチの卵は後回しにして、最初の目的であるツフトローチの残骸を回収しよ。で、回収が終わってから卵の方に行って考えようか?ここで卵の事を喋ってもいい考えが浮かばないからさ。」


 他に考えが浮かばないので三人は俺の案に賛成し残骸を探し始めた。


最後までお読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみください。

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