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ご褒美

 言われた通り、俺とクレアは椅子に座って待っているとお盆の上にコップを乗せてようやくリマルが来た。


「ほら、零すなよ。」


「それは気を付けるけど、随分遅かったな?」


「もしかして、お姉ちゃんみたいに何か混ぜたとか?」


「姐御と一緒にされるの嫌なんですけど!?」


 クレアの言葉にリマルは本気で嫌がってるけど、姉さんと一緒にされたくないその気持ちはよく分かる。


「なら、なんで遅かったんだ?」


「単純に物の位置が分からなくて、手間取っただけだ。」


 俺の疑問に答えながら、リマルは対面に座った。


「じゃあ聞きたい事を言っていいぞ。何を聞きたい?」


 その言葉に俺は、どちらが話すかとクレアを見るとクレアは手で俺が話すように促したので俺が質問を始めた。


「なら最初は、他の従業員が居ないのにリマルだけ店に居たのはなんでだ?」


「そりゃあ昨日祭りだったから、今日は休みにしようって店長が言ったからだな。で、俺だけ店に居たのは、店長と二人で呼び出しを受けたからだ。」


「逢引きじゃなくて?」


「そんな訳ないでしょ。あの店長と付き合うなんて、冗談じゃない。」


 店長と付き合うのを想像したのか、リマルは面倒くさそうな顔をしている。

 リマルは否定してるけど、喧嘩するほど仲が良いって言うし歳の差を考えなければ、結構相性良さそうと思うけどな。


 そんな、二人の相性を考えているとクレアがこちらを向いてニヤリと笑うとリマルに聞かれないよう、耳元に口を近づけ。


「つまり、嫌がりながらも結局お姉ちゃんと結婚を誓ったお兄ちゃんと一緒だね。」


 クレアにそんな事を囁かれ、自分でも自覚するほど顔に熱が集まるのが分かる。

 多分今の自分の顔は赤くなっているが、それを気にするそぶりを見せずリマルに聞こえないようにクレアの耳元に口を近づけ。


「一緒じゃないし、結婚すると決まってないだろ。」


 そう否定するも、クレアは俺の顔を見てニヤニヤ笑うだけ。……こいつ。

 頬を引くつかせながらまだクレアに言ってやりたいが、その気持ちを抑えて、何やってるんだこいつら?みたいな顔をしているリマルと話すのが優先だ。姉さんについてクレアと話すのは、屋敷に帰って部屋でとことん話そう。

 これからの予定を決めるとリマルに今のやり取りを聞かれないよう、少し声を大きくしながら。


「呼び出されたって言ったけど、誰に呼び出されたんだ?それもレシアとリマルを呼び出すとか、狙ってるだろ。」


 具体的には、オークション関連で。


 クレアにオークションに関して教える訳にもいかないので、暗に伝えるとリマルにも伝わったらしく面白そうに笑いながら頷いて。


「呼び出した人はお前も良く知ってる人だよ。なんせ、お前の母親なんだからな。」


「母さんが?」


 それは予想外だ。てっきり、ステージ周りに出していた屋台関連の人と思っていたから母さんが呼び出すなんて思い付く筈もない。特に俺、レシア、リマルは裏でこそこそと画策していた中心人物だ。処罰は考えても、好んで顔を見たいとは思えない。

 俺の顔を見て、リマルも何を考えてるのか分かったのだろう。声を漏らしながら笑うと。


「気持ちは分かるが、意外だよな。」


「そりゃあな。俺は一緒に住んでるから顔を合わすが、お前らを呼び出すなんて思わないだろ。」


「俺だってそう思ってたけど、ボスの使いと名乗る人に呼ばれたんだよ。「我が主ヴィクトリア様が御呼びです。午前九時までに店に待機しているように。拒否権は当然ありませんが、もし店に居なければそれ相応の覚悟を。」とか言って、こっちの返事も聞かずに消えちまったんだよ。」


「よくそれで行こうと思ったな。」


 普通はイタズラか、無いと思うけど母さんの名を騙った犯罪者と思うぞ。そして多分だけど、その使いの人ソフィーだろ。

 そんな俺の思いも気付かず、リマルは首に手を当てながら苦笑いを浮かべ。


「無表情で首元にナイフを当てられてみろ。誰だって言うこと聞くわ。」


 何やってんだよ、あいつ。いくら呼び出すと指令を受けてもやり方があるだろ!?

 俺は母さんのお付きの行動に頭は痛めたが、リマルは気付かず続きを話す。


「それで、その使いの言う通り店で待とうと行くと店長も居て一緒に待ってたんだ。」


「言う通りというか、脅迫に近いけどな。」


「近いというより、完全に脅迫でしょ。」


 黙って聞いていたクレアがツッコむが、やっぱりそう思うよな。


「俺も脅迫と思うけど、そう言うな。で、店長と一緒に店で待っていると九時にボスが車で店まで乗って来たんだよ。」


 ああ、母さんが朝用事があるとか言ってたけど、レシアの店に用事だったんだな。イタズラでなく実際に母さんが来たと聞いて、俺を放置しての朝の用事が分かった。


「それでどうしたの?まさか、祭りの成績が悪いから……。」


 クレアは自分たちが何か失敗して迷惑を掛けたと顔を青くしているが、リマルは笑いながら手を振って否定した。


「いやいや、お嬢の心配してる事じゃないですよ。要約しますが、ボスが言うには「一位にはなれなかったけど、祭りを予想以上に盛り上げたからご褒美を与える」って言ってたんです。」


 母さんにご褒美を貰って嬉しそうに言うリマルだが、俺は何も貰ってないんだけど!?他の身内と扱いの差があるのは多少は納得できるが、何故他人にまで扱いの差が出来るのかが納得できない。

 いろいろと言いたい事はあるが、今は話の腰を折らないようその事に関しては黙り、別の事を聞いた。


「そのご褒美ってなんだ?母さんの事だから、ケチな物は渡さない筈だけど。」


「おうその通り、豪華な物だぞ。俺達も、まさかご褒美であれが貰えるとは夢にも思わなかったからな。」


「「あれ?」」


 何を渡されたか分からず、クレアと一緒に首を傾げるとリマルは機嫌良さそうに席を立ち、魔法陣の上に立つ。


「お前達にも見せてやるから、こっちに来い。」


 手招きしながら呼ぶリマルに俺とクレアはどうしようかと顔を見合わせたが、気になるのもあって素直に魔法陣の上に来た。

 リマルは俺達もちゃんと魔法陣内に入っているのを確認すると魔法陣に手を付け。


「この魔法陣は、貰った物がでかくてとある場所に預けてるんだ。歩くと遠くて面倒だから、これで一気に行くぞ。」


「でかいってなんだよ?」


「それは見てのお楽しみ。って事で、行くぞ。」


 その言葉と共に魔力を流し込み魔法陣を起動させると魔法陣は光だし、俺たちは光に飲み込まれた。

お読みいただきありがとうございます。


次回もお楽しみください。

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