囮
他の人の視点で書いてますが、読みにくい所も出てくるかもしれません。
誤字、脱字などもあるかもしれませんが楽しんでください。
シアンさんの魔法を使ってツフトローチを退治する作戦を決めると私たちはそれぞれの配置についた。
「何で俺が囮役なんかしないといけないんだか。」
「カゴットがシアンさんを引き抜こうとしたからだろ。それに役割的にも仕方ないさ。」
「そう言われるとそうだけどさ、ついね。」
「ついじゃないだろ。まあいいや、周りをしっかり見ててよね。どこから襲ってくるか分からないんだから。」
はぁ…、なんで私がカゴットと一緒に囮なんてしないといけないんだ。いや、理由は分かる。
シアンさんとアレクはツフトローチを倒すために高い所にいなきゃいけないし、カゴット一人だと追いつかれて食べられてしまう。そこで私が支援魔法の速度上昇を使って足を速くし、目的の場所までツフトローチを誘導する作戦になったからだ。
ならカゴットに速度上昇を掛けて私は離れていればいいと思ったが、それをやると魔法が切れた時に再度掛けなおせない。
今回使う魔法は、継続時間よりも効力を重視しているのですぐに魔法が切れてしまう。そんな理由から私も囮役として選ばれた。
「あ、そうだ。なあシムさん。」
「何。」
私が周りを警戒しているとカゴットはポケットから小袋を取り出しその中から何かを取り出した。
「出てくる前にこれを渡しておくよ。走り始めたら渡しにくいしな。」
そう言って渡された物は錠剤だった。
「何これ?」
「俺が作った魔力回復薬。」
「魔力回復薬!」
私は名前を聞いて驚いてしまった。魔力回復薬なんて滅多に出回るような薬ではない。そんな貴重な薬をカゴットはお菓子をあげるように十錠ほど渡してきた。
「カゴット!こんな貴重な物どこから盗んだの!?」
「盗んでないわ!俺の薬魔法で作ったんだよ!」
「本当に作ったの?盗んだんじゃなくて?」
「作ったよ。俺が薬魔法を持ってるのを知ってるのに作ったと思うより盗んだって思うんだね。」
「…ごめん。驚きが強すぎて、つい盗んだなんて言ってしまった。」
「まあいいけど。他にもこんな薬もあるよ。」
私が作った物を盗んだと勘違いしてしまい、そのことを謝ると笑いながら許してくれて、さっきの小袋から他の薬も出し始めた。
「えっと、これは眠ったら八時間は起きない薬だろ。で、こっちの薬がしびれ薬。さらに――。」
そう言ってカゴットは取り出した薬一つ一つ説明していった。薬魔法ってこんなに沢山の薬を作れるんだな。
「そうそう、この薬はアレクさんが手伝ってくれたんだけど。なんと飲むとしばらくの間、女になってしまう薬なんだ。シムさん飲んでみる?」
そう言ってカゴットはその薬を渡してきた。その瞬間私はカゴットの頭を思いっ切り叩いたが、私は悪くないはずだ。
「痛!?何するんだ。せっかくシムさんのためを思って言ったのに。」
「私は男だ!女になりたい訳じゃない!」
「でも、家では女物の服を着ているよね?偶に外で着てることもあるし。」
「確かにそうなんだけど。事情があって……。」
確かに私は家の中では女物の服を着ている。嫌いではないけど好きで着ているわけでもない。そもそも着る原因はアレクの姉のイントアさんにあるのだが、こいつにどう説明しようかと悩んでいると遠くの方から音がした。
バキッ!バキバキッ!ドスン!
それは先ほども聞いた木が倒れる音だった。そして木を倒している相手も分かっている。私はすぐ逃げれる準備をした。
「「速度上昇」」
私とカゴットに速度上昇を掛けるとカゴットは私にまた薬を何錠か渡してきた。
「シムさんそれを飲んどいた方がいいよ。」
「これは?」
「足が速くなる薬。これでさらに速くなるから魔法が切れても簡単には追いつかれる事もないはず。」
そう言われ私は薬を飲んだ。そして音がする方をジッ、と見るとツフトローチが現れた。
「出たぞシムさん。」
「ああ、作戦通りアレク達のいる方に行くぞ。」
ツフトローチを視認した私とカゴットはアレクのいる場所まで走り始めた。が、先ほどよりも足が速くなっているはずなのにツフトローチとの距離が縮まるのが予想よりも早い。
どうするか考えているとカゴットが小袋から薬を取り出しツフトローチに投げつけた。そんな事をしても悪あがきにしかならないと思いながら見ると、ツフトローチの頭や体に当たった薬が小規模の爆発を起こした。
「よしっ、成功。」
爆発を起こしたカゴットは喜んでおり、何をしたか分からない私はカゴット聞いてみた。
「おいカゴット、お前何をした?」
「ん?ああ、爆発薬を作ったんだ。強い衝撃を与えると爆発するから、そのせいで持ち運びには気を遣うけど。」
そう言ってカゴットはもう一度爆発薬を投げつけた。再び小規模の爆発が起こり、ツフトローチの足は先ほどよりも遅くなっていた。
これなら追いつかれる事も無さそうだな。
「足が速くならないよう、その調子で投げてくれ。」
「いいけどこの薬、あんまり数がないからすぐに無くなるよ。」
「なんでたくさん持って来てないんだ。」
「こんな危ない物たくさん持てるか。何かの拍子で俺が爆発するわ。」
「まあ、そうだな。」
「それよりもシムさん。魔法の方は頼んだぞ。」
「任せといて。私が出来ることはこのくらいしかないからね。」
そう言いながら私たちは目的の場所を目指し走った。
読んでいただきありがとうございます。
次回もお楽しみください。




