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怒りの理由

 転移で逃げ出したものの予想通り姉さんたちを振り切るのは無理だったが、使用人組を離せたから良しとしよう。


「さあアレク。楽しい楽しい、お姉ちゃんとの戦いですよ。存分に愛し合いましょ。「溶解毒」「幻毒」」


「普通に愛し合うなら歓迎だが、今の姉さんは殺し愛になってんじゃねぇか!「三号玉」」


「殺そうとしてるのはお姉ちゃんだけで、私は殺そうとしてないよ。「過重」」


 そして今は街道だと無関係の人に被害が出るので、町へと続く草原を走りながら俺は花火魔法を姉さんは手に剣を持ちながら毒魔法を中心にクレアは重力魔法を使いながら、偶に影魔法を使って撃ち合っている。


「過重を使ってる時点で信用出来るか!」


 クレアは殺す気が無いと言いながら、過重を使っているせいで外した場所の地面が所々沈んでいる。その威力を見て殺す気が無いと言われても信用が出来ない。


「お兄ちゃんは妹の言う事が信用出来ないの?「影縛り」「子影」」


「少なくとも今は信用できないな。「転移」」


 信用できないと言われ、頬を膨らませたクレアは影縛りで捕まった俺をナイフで刺そうとしたが、転移で回避した。これのどこが殺す気が無いんだよ!クレアも()る気満々じゃねぇか!


「妹の言葉も信用出来ないなんて、酷いお兄ちゃんですね。「麻痺毒」「色毒」」


「弟を殺そうとしてるなんて、酷い姉だな!「五号玉」「冠・六号」」


 姉さんの毒を五号玉で打ち消し、二人を攻撃しようと冠を使うが。


「「影渡り」「子影」…冠を使うなんて、手加減し無くなってるでしょ?」


「二人相手に手加減したら、速攻でお陀仏だよ!「転移」」


 花火魔法をクレアは影渡りで避けたと思ったら、すぐに小刀を出して刺そうとしたがそれも転移で回避した。しかし、影渡りを使えるのはもう一人居たので。


「「影渡り」」


「ちっ!」


「ふふふ。やっぱり転移した直後だと避けれないようですね。」


 転移した直後を狙われたせいで、影から現れた姉さんの振るった剣を避けるのが遅れ、深くはないが腕を斬られてしまう。


「なんで楽しげに言うのかなぁ!?斬られたせいで、姉さんの好きな弟は痛がってますけど!」


「私が斬ったせいで痛みを与えたのは可哀そうと思っていますよ。ですがそれ以上にアレクの体に私の付けた傷が残るのが嬉しいのです。祭りの時に付けた傷は、すべてお兄様のせいで消されているようでしたからね。」


「ええ……。」


「お姉ちゃん……。」


 楽し気に理由を語った姉さんの話を聞き、俺だけでなくクレアも引いていた。


「さて……お話はこれくらいにしてそろそろ再開しますか?」


 俺達が引いてるのに気づいているのかいないのか分からないが、剣に付いた血を指で掬って舐めると聞いてきた。


「いや、序にもう一つ聞いていいか?」


「良いですよ。死ぬ前に心残りは消しといた方が良いですからね。もしかして聞きたいのは、お姉ちゃんのスリーサ――。」


「壁には興味ないって。…………あ。」


 あまりに姉さんが酷かったのでつい口が滑ってしまったが、気付いた時には手遅れだった。クレアも言っちゃった、という感じでため息を吐いている。


「あ、あの姉さん。これは、ね?その……。」


 なんとか先程の発言を誤魔化そうとしたが、上手い誤魔化し方が思い浮かばずにいたら。


「アレク。」


「はい!」


「大丈夫。怒ってませんよ。」


 そう言う姉さんの顔は変わらず笑顔のままだが、その雰囲気は楽しそうではなく怒りを感じさせた。


「いや、でも姉さんの――。」


「怒ってませんから話してください?」


「怒ってないって――。」


「話してください?」


「……はい。」


 怒っているのが丸わかりなのに怒っていないと言い張る姉さんに負け、俺は聞きたかった事を聞くのだけど……怒ってないとか言うんなら、剣を構えないで欲しいんだけどな。

 いつ姉さんが斬り掛かっても動けるように警戒しながら俺は話始めた。


「それじゃあ聞くけど、なんで姉さんはあのタイミングで襲って来たんだ?もっと襲いやすいタイミングがあっただろ?」


「なんだ、聞きたいのはそんな事ですか。」


 姉さんはそんな事と軽く言ってるが、聞いた瞬間明らかに怒りが増していた。


「理由は簡単ですよ。あなた、あの牛メイドの下着を覚えていましたよね?」


 牛メイドって……多分シアンの事だろうけど言い方。


「覚えてたけど、それがどうした?」


「それがどうした。どうしたですって……。」


 そこで姉さんは、手に持つ剣を握りしめ、悔しそうな顔を見せると。


「私が渡した下着は記憶から消すか即返却する癖に!何故あの女の下着は覚えていたり、受け取っているのですか!?この浮気者!」


 怒鳴りつけ、力強い踏み込みと共に一気に迫ってきた。

 というより、俺を襲った理由って……。


「そんな下らない理由かよ!この馬鹿姉!」


 転移で避けようにも先程のように転移直後を斬られたら、次は間違いなく首と胴が別れてしまう。俺は斬られる直前、横に跳び回避した。


「くだらないとは何ですか!将来を誓い合った弟に欠片も興味を持たれないお姉ちゃんの悲しみ!あなたに分かりますか!?」


 回避した俺を追うように斬り掛かる姉さんだが、その太刀筋は段々と速さが上がってきてるのが分かる。


「ちょっ、死ぬ!死ぬから!手加減して!」


「殺す気でやってるのだから、手加減などする筈ないでしょ!覚悟!」


「ひえっ!」


 首を剣先が掠めてしまい、情けない声が出てしまうが仕方ない。あと少しでも下がるのが遅れていた、もしくは姉さんが前に出ていたら首が跳んでいただろう。


 姉さんに大口を叩いておいて情けないが、死ぬよりも恥を掻く方がマシ。という事でこの状況を脱するには……。

お読みいただきありがとうございます。

今年最後の投稿になりますが、来年もよろしくお願いします。


次回もお楽しみください。

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