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深夜2時  作者: まさみ
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木より鉄

俺の友人は変わり者だ。どこへ行った時も頑なにエレベーターを避けて階段を上る。どんなに高いビルやマンションでも同じだ。

高所恐怖症なのかと疑ったがそうでもないらしく疑問が募り行く。

「どうしてエレベーターに乗るのが嫌なんだ?」

ある時不思議に思って聞いたら、子どもの頃の話をしてくれた。彼は団地に住んでいた。

十二階に住んでいたので下に降りる際は毎回エレベーターを使っていたのだが、これがよく故障する。一度など閉じ込められた事があったそうだ。

「それがトラウマになったのか」

「いいや」

小学4年生の時、友達の家に遊びにでかけようとエレベーターに乗った。すると案の定宙吊りで停止した。エレベーター内に孤立した友人が途方に暮れていると、背後でぼそぼそ話し声がする。


誰かがいる。

まさか、乗り込んだ時はからっぽだったぞ。


好奇心に駆られて振り向きかけ、耳に飛び込んだ来た言葉に凍り付く。


「俺の時は桶」

「今は鉄の箱」


何の話をしてるんだ……直後にエレベーターが再稼働し、友人は無事地上に吐き出されたそうだ。振り返って箱の中には案の定誰もいない。幻聴だったのだろうか?


「次の日だよ、エレベーターが落ちたのは」

「えっ?」

「乗ってた人はグチャグチャだ。鉄の棺じゃひとたまりもない」


友人は死神の会話を聞いてしまったのだ。

以来、エレベーターがあの世に直行する棺にしか見えなくなったのだとか……。

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