表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/15

第三話 今、そして昔

「よお、お前ら。補習終わったのか? 随分早いじゃねーか」


 教室で帰り支度をしていると桂が顔を出した。


「高宮教諭に急用ができてな」


 大海が横柄に答える。


「急用? 何だそれ?」


 全員が無言で目を反らす。


「悪いことでは……ないですよ?」


 一樹が震えた声で答える。


「そうっしょ! 悪いことはしてないっしょ!」


「むしろ私達を褒めてもいいくらいだ」


「オメーら何やった!?」


 再び無言。


「まあいいや。悠紀、ちょっと付き合え」


「俺っすか? 面倒くさーー」


「ジュース奢ってやるよ」


「喜んで付き合いましょう!」


「えー! 悠紀だけズルいっしょ!」


 智之がブーブーと抗議した。


「テメーらの分ももう買ってある」


 そう言って桂が右手のビニール袋を掲げた。

 中には缶ジュースが入っている。


「さんきゅー! センセー!」


 智之が袋に飛びつく。

 他の面々も礼を言ってジュースを受け取った。


「んじゃーな、気をつけて帰れよ。行くぞ悠紀」


 そう言って桂は悠紀を連れて教室を出て行った。





 桂が鉄扉を開く。

 風が吹き込み悠紀と桂の髪を揺らす。

 そして、外に出ると気持ちのいい夏の青空が広がる。


「屋上、立ち入り禁止でしょ。いいんすか?」


「教師の特権ってやつだ。ほれ!」


 そう言って桂が悠紀に缶ジュースを投げ渡す。


「ありがとうございます。それで用って何すか?」


 言いながら悠紀が缶を開ける。

 桂も缶コーヒーのプルタブを開けた。


「悪かったと思ってよ。お前らグリーンドラゴン倒したろ?」


「気づいてたんすか?」


 悠紀が驚きを浮かべる。


「まあな。ただあの写真だと他の先生を納得させられなかった。補習期間縮めるのが精一杯だったわ」


 そう言って桂は缶コーヒーに口をつける。


「いいっすよ。元は俺達のミスですから。むしろありがとうございます」


「そう言ってもらえると助かるよ。後さ、お前変わったよな」


「変わったって何がっすか?」


「バカになった」


「よーし喧嘩売ってんだな? そうなんだな?」


「俺は良いことだと思ってんだぜ? 少なくとも今のお前の方が楽しそうだ」


 悠紀が照れくさそうに頬を掻いた。


「まあ……そうですね」


 静寂が訪れ風の音だけが響く。

 そして二人はどちらからともなく空を見上げた。


読んで頂きありがとうございます。

次回から悠紀の過去編に入ります。

お付き合い頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ