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金剛石のノヂシャ  作者: 恋刀 皆
2/2

第2話「great escape」

「さ、着いたぞ♪ 人間さん」


 そうディアルが告げた場所を、オイラは訝しむ。


「やたら気持ちわりーところだな。なんだこのバカでけー門は?」


「ふふ♪ おまえはそう感じるじゃろうな。深く気にするでない。『開門』」


 その言葉で一瞬にして門に見えた場所は消失し、

何の為か全く分からんバカでけー空洞の向こうに、

ひとり何者かが立っている。

すぐに兆しを感じたが、殺意?

いや……、もっと入り組んだ感情をそいつから覚えた。


「かは♪ 石人ごくじんよ、人間さんを連れて来たぞ」


 オイラたちは大空洞の中に吸い込まれるように、

石人と呼ばれる者の前に立つ。


「神依女よ、それでは貴女は席を外してもらえるか?」


「嗚呼、よいとも♪」


 その言葉でディアルは居なくなった……。

待て……? 「ディアル」って「何」だ――……?!

現状確かな事は、オイラが何かを忘却した気がしている事。

まー、気のせいだろう。

まー良い。そもそも最初から此処にはオイラと石人しか居なかった。

今片付けなければいけない事は、目の前のこいつから受ける、感情だ。


「よく来たな私よ」


「あん?! てめーちゃん頭おかしーんか? オイラはてめーじゃねー」


 すると石人は表現しがたい表情で、オイラに告げる。




「私は、おまえだ」




………………

…………

……


「と言う訳だ。解ったか石人よ?」


 こいつから聞かされた話しを整理する。

先ず石人からいくか……、

石人がマキナドールたちに仮に明け渡した、地球。

人類側の非常手段。


 人類は己の生み出した子供たちへ、

ハルモニアという異名を名付けられたこの惑星の管理を託した。

現在の人類は、この星にもう666名しか居ないという事。


 隠蔽された人類の存在がマキナドールに気付かれ、石人が殺害される、

あるいは、石人が天寿を全う、罪科で星の外に追放等々の様々な事由で、

人数が減る度に、孤児院で石人が補充され、常に666名が保たれる事。

オイラがその穴埋めで生まれた事。


 神依女という存在については……、

その存在は人間が気の遠くなる時間を掛けて造り出した、

神との対話を可能にする為の神依女という手段。

人類を神仏の次元に到達させ、さらに神仏以上の次元を目指す為の……、

希望と呼ばれる唯一の存在みち

現時点では神仏のさらにその先にある光明かのうせいを、

人類はわずかに掴んでいる事。


 なんでかは解んねーが、オイラはすぐに腑に落ちた。

けれどこいつがオイラと変わらぬ存在と覚えても、

こいつの全てが解る訳じゃねー。

あとは、


「その神依女ってヤツは何処にいるんだ?」


「神依女は何処にでも在り、何処にも無い」


「嗚呼!! てめーちゃんオイラをバカにしてんのか!?」


「おまえもいずれ解る。では、ゆくぞ」


 それが、決戦の合図。

だが――……、


「ぐっ!!!! はぁっ――……、……ふっ」


「わりーけんど、てめーちゃんなんかオイラには相手にもなんねーよ?」


 オイラは些末な時間で石人を制圧した。

殺す程度でさえない程、些末な雑魚だ。


「ふふっ…………、我々が産み出したものが、これ程とは……、

さすがだな、人間よ、これより同化を開始する」


 その言葉でヤツは霧散し、同時に――……っ!!!!

オイラに訳が解らない影響を及ぼし始める。

オイラの能力ちからが膨大に果てしなく広がってゆくのを覚える。


「ハハッw なんだこの能力は♪ これなら宇宙だって滅ぼせるぜ♪」


 けれど、腑に落ちない……、


「人類がこれ程の能力を有しているのに、

何故マキナドールたちを支配しない?」


 その質問に対する答えはオイラに内蔵されていた。

愛情という返答。

愛情? なんだそれは…………?

森羅万象を滅ぼせる能力を得た現在でも、その感情が、理解できない……。


 そして、こうも告げられた。


 ディアルを、金剛石のノヂシャだけは、愛するな、と。

待て?! 愛情ってなんだっ?! ディアルとは何だ? 何者だっ?!


「やっ♪ 済んだか新たな石人よ♪」


 なっ――――!!!! この――オイラが気付けない、だと…………?!?!

刹那、疾風より、否――、光よりも速く、オイラは逃げ出していた。


 理解できない理解できない理解できない理解できない理解できない……、

圧倒的恐怖を超越し、これは…………畏怖っ!!!!

オイラが……だとっ?!

混乱しながら駆け抜けた先で、ポムンと何かにぶつかった――――!

透明な……壁か?


「はぁっ――!! はぁっ――!!!! ……っ」


 しかし、ここまで逃げ切れば……、アイツも……撒けた……、


「かは♪ 『この世の果て』まで一瞬じゃなぁ♪

わしも、まだ此処からだけは出られん。新たな石人よ、よろしくじゃ♪」


 ……オイラが、背後を、とられた……、

何だ……オイラの股の間がぬるく湿り、その気持ち悪さに、

完全な…………、敗北を、幾たびも刻み、付けられた……気がした。


「わしにとっては久し振りじゃが、おまえには、はじめまして、じゃな♪

わしはDR、金剛石のノヂシャじゃ♪ 未完成品・・・・にしか過ぎんがな♪

許せ、人の子よ」


 オイラは腰を抜かして、ただ呆然とそいつに見下ろされていた……。

こいつが……、これが……、ディアル…………、




こいつこそが…………、








金剛石のノヂシャ…………。 



 きみからにげてつかまった

こんどこそ

ぼくはきみをつかまえる

歌 cinema staff 作詞 三島想平 作曲 cinema staff

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