表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金剛石のノヂシャ  作者: 恋刀 皆
1/2

第1話「うちゅうひこうしのうた」

「わぁっ! また負けたー!!!!」


「おまえ男のくせに弱いのぅ?」


「なにー!? 待ってろよーオイラ絶対に……」


………………

…………

……


…………っ、くぁ、なんだ3秒も寝てたのか?

またアイツの夢見ちまった……か。オイラちゃんの敗北の歴史ってーヤツ。

マジで森の中以外は澄んだ空気してんな和歌市ここは。

第四の壁もビシバシキてるわw


 しゃあねぇのか? しゃあねぇんだな。

じゃーオイラちゃんも合宿に向けて、意志を固めるか……。


はじまりはおぼろげでも――……、


………………

…………

……


 あれはオイラが生まれる5億年くらい前、

人類よりも進化したマキナドールたちの革命で、

こよみすら書き換えられたんだと。

人類の上層部の噂では、この地球ハルモニアの誕生は、

少なくともけいは越えてたらしい。


 オイラはそんな事聞かされてもイマイチピンとこねー。


 はじまりは何も無かった。

今は感じられるくらい小さくなったけれど、

はじまりがはじまりのまま動く事は無かった。

だが、ある日気付くと景色が変わっていた。

今は拙くとも言語が操れるので、こんな説明ができるが、


その頃はその変化を理解するのに永遠に近いくらいの時を要した。


「こんにちは、人間さん、わしは神依女みよこじゃ。

判るかのぅ。おーい」


 う……、うるさい! って……「うるさい」って何だ?!

「何だ」って何だ? おかしいおかしおかおか…………。

何だなんか込み上げてくる……。


目の前にある脅威を排除せよ!!!!


殺せっっっ!!!!


「グルガァァッ!!!!」


と。


「かはは♪ 寝ぼけとるんじゃなぁ♪ 過度な暴力はいかんぞ♪」


 途端に意識が感化され弾けた。こいつはオイラよりも強い!

本能が告げる。

それにオイラが振るった暴力というものを、微動だにせず、包まれた……。


「かは♪ ようやくお目覚めのようじゃのぅ。

よく来た、この【孤児院コドルストン・オーファニィヂュ】へ。

わしを視覚できるか?」


 視覚?!

あ……、嗚呼、何も見えないのはオイラが目を閉じているからか……。

瞳よ、開け――……、


「ぅ……、うん……、お――、おお……」


 なんだおまえは……? なんだその顔は……!?

なんで、今殺そうとしたオイラの前で、そんな顔ができるっ!!!!

咄嗟に覚えてしまった。美しいをいくら重ねても足りない、と。

刻まれた。

オイラは絶対にこいつに勝てない……!

その事実がオイラの破壊衝動を激しく揺さぶる、

だが、それ以上に、オイラはこいつに仕えたいと望む想いが凌駕した。


全身全霊で抗うぞっ!!!!


「……、おまえの名前をオイラに教えろ」


「礼儀はなっとらんが、おまえを目覚めさせたのは孤児院じゃからな。

わしはDRディアルまたの名を金剛石のノヂシャじゃ。

おまえも名乗ってくれてもいいじゃろう? 人間さん?」


「ディアル……、言っておく」


「なんでもよいぞ♪」


「オイラに名など必要ない! そして、オイラは、」


 遠い記憶、あれが最初で最後……、オイラの精一杯の意地っ!!!!


「おまえを倒して、オイラの嫁にするっっっ!!!!」


………………

…………

……


「そりゃちーと長いぞー?」


「うるさい! もー決めた事だ!!!!」


「うるさいのはおまえじゃ。……なら……」


………………

…………

……


 やれやれ、やだねー厨二病は、オイラも若気の至りだぜ。

だがな――……、あの言葉に、

オイラはこの数万という歳月の中で、

一点の迷いも曇りもなく、おまえを捉え続けて来たぞ。


 それが叶うなら、








永遠だって、永久だって、生きてやらぁ。


 げんじつもゆめも

ぼくらにとってはとうかなもの

はじまりとおわり


歌 坂本真綾 作詞 一倉宏 作曲・編曲 菅野よう子

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ