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決心

 夜もだんだん肌寒くなってきて、周りの景色も赤みを帯び始め好きという気持ちをバイト先の女の子に告白をしてからそろそろ一年が経とうとしている。




 結果は見事にフラれたわけだが、僕をフッた女の子は何故か今も僕の横にいて笑ったり、ふざけてくる。




 今も僕はこの女の子の事が好きだ。出来ることならやっぱり付き合いたい。でも、絶対に想いは届かないという事が僕を悩ます。




 その時、僕の思考を遮る声に我に返る。




「ねぇ! 聞いてるの!? 私のことずっと好きでも私は絶対隼人の事を好きになる事ないよ?


 だから早く別の良い人見つけな? 」




 僕の思考を遮った声の主···そう、僕の告白を断りながらもこうして、一緒にバイト帰りは帰宅したり毎月遊んだりしている女の子、菊川まどか。




 今日だってバイト終わりにこうして大手チェーンの喫茶店に寄り、談笑しているわけだがそんなまどかとの不思議な関係に周囲が呆れている事も知っている。未練たらしい男と。




 だけど、それでも良い。




 僕は、まどかと一緒にいられたらそれで良い。




「フラれたからって簡単に他の人を好きになるなんて考えられないし、好きって気持ちは、そんな軽い気持ちじゃない」




「そうなんだけど···」




「それにフラれてんのに、こうやって一緒に遊んだり笑ったりしてくれることに感謝してんだ。まどかが俺と一緒にいて楽しんでくれて笑顔なら俺はそれだけで満足なんだ」




 その言葉を聞いた途端にまどかは、食って掛かってくる。




「なんで? 普通キスしたい、エッチしたい、男なんてみんなそれが目的じゃん。 綺麗事言わないでよ」




「確かにな。 だけど、僕はまどかと出会ってずっと笑っていて欲しいって思えるようになった」




 この気持ちは本当だ。




 付き合いたい。




 誰にも渡したくないって気持ちがあるのに一番先に来る気持ちは、まどかが笑っていてくれる事が何よりも嬉しいしそんな笑顔を僕に向けてくれる時、僕は本当に幸せな気持ちになるんだ。




「なんでよ? なんで私なんかを···」




「まどかに心を許したから。 まどかは行動で僕を信用させた」




「でも、私に恋人が出来たら私達の関係は終わり! 2度と関わらないって決めた私の何を信用するっていうの!? 自分の事しか考えてない、隼人の事を都合良く使ってる! そういう女なんだよ!? 」




「恋人出来たらそんなの当たり前だよ。 それに、まどかが初めて男を好きになれたって嬉しいじゃん。 まどかが人を好きになるって意味の幸せな気持ち感じれるなぁって。 惚れた女の幸せを嬉しく思うの普通じゃん? 」




 まどかの頭をくしゃくしゃって撫でたら思いっきり手を払われ、キッ! と鋭い視線をぶつけてきた。




 さすがにちょっと調子に乗り過ぎたか?




 しかし、僕の考えとは裏腹にまどかは怒ってはいないみたいだ。




「本当にバカ···一生独身やってなよ」




 うん。




 一生僕は独身だよ。




 だって君は、この先誰とも付き合わないだろうから。




 恋愛感情がわからない、好みの男の容姿というのがわからない、アイドルなどの芸能人にすら格好良いとか思った事はないと言い、僕は失礼ながらもまどかがアセクシャルかもしれないと思ってしまった。




「一生独身だよ。 僕はまどかから絶対に離れないから」




 まどかは、友達もほとんどいない、だったら僕が一番の友達になるって決めたんだ。




 たった今。

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