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18 神に願いを

この世に神はいるのです。

 貴方が気付いていないだけで。


「テツ~!降りてきてよ!」

「うん?ああ、ショウタだ~。」

昨日と同じか、いや、それ以上に暑い日だった。

神とは言え暑さ故にぐったりとし、ひんやりする木肌に抱きついて居たところに木の下から声がかかった。

いつもお茶とお菓子を持ってきてくれる少年。

夏休みにはまだもう少し、いや、あと二日ほどあるのに会いに来てくれる少年。

そして、ボクが願いを叶える少年だ。

少年、もとい美月翔太はいつも通り木の下にブルーのシートを敷くと、その上にお茶の水筒と、コップ、それにお菓子の詰まった缶を広げていた。

「いや、君に会う前は物なんてだいぶ長い間食べなかったけど、これがなくちゃ最近物足りないよ。」

「そう?」

「うん。砂糖がこんなに使われた贅沢な物ボクの頃には無かったもの。」

「え、じゃあ、おやつは?」

「おやつなんて無かったよ。森で木イチゴとか、木の実とか食べてたかな。」

「お腹壊しそうだね。」

「そうかも。」

サクッとクッキーをかじる。

甘い。

小麦の香りが口いっぱいに広がる。

モソモソするわけでも無くて、生地に練り込まれているレーズンが甘酸っぱくて。

「美味しい!!あーもう!神様はボクを何でもクッキーにしてくれなかったんだろう。」

「テツ、クッキーになったら食べられちゃうよ。」

「食べられるその時まで自分の小麦の香りを嗅いでいられたら……でも、噛まれるのは痛いかも。」

「痛いよ。」

何て、他愛のない話をして、紅茶とクッキーをお腹が少し満たされるくらい食べて、

これがボクの最近の午前中の恒例行事だ。

そして、食べ終わるまで話したらいつの間にかお昼くらいになっていて、少年が帰ると寝たり、他の人間に会いに行ったり。

町の直すのに集中してみたり、

でも、

どうやら今日はほんの少しだけ、

いつもと違うみたいだ。


「ねえ、テツ。僕願いが決まったんだ。」

「へぇ、じゃあ言ってみなよ。」

「……うん。」

願いが決まった。

クッキーに舌鼓を打っていたボクは彼のそんな一言を軽くながして聞いていた。

別に願いを叶えることなんて、普通のことになっていたのかもしれない。

人間が毎日学校に行ったり、仕事をしたり、家族とテレビを見て笑ったり、そんな当たり前になりつつあったのかもしれない。


「僕と、もう関わらないでくれ」


「…………えっ……。」

手に持っていたクッキーから、ポロリと粉がこぼれる。

呆気にとられた顔。

いつものらりくらりとしていて雲を掴むような彼にしては珍しいものだ。

それでも、二人は真面目だった。

確かに本当のきもちだった。


「駄目だ、」

「なんで、だって願いを叶えてくれるんじゃ…」

「だから!駄目だ!!」


叫び。

悲鳴にも近い声に僕はびくりと震えた。

まさか彼のこんな声を聞く日がくるとは。

ふわふわした彼の面影はもう何所にもないように思えた。


「嫌だよだって!君が願ったら、ボクは!叶え、なきゃいけない……。」


何か、戸惑っている。

五千年を生き、多くの人の生き死にを見てきた、看てきた彼が

戸惑っている。


「落ち着いて、」

「ボクは、嫌だ。だって、君は、絶対に後悔するって思うから。」

「後悔?」

「そう、言ったじゃないか。願いを叶えるには対価がいるって。」

「そう、だから、僕は、君のために働くよ。毎日こうして食べるものを持ってくる。それに、」

「そういうことじゃないんだよ。働くってのは……あ、いや…、」


「願いは、自分で叶える。だから、神なんかと関わらせないで、僕は、神に祈る人になんか、ならない。」

「…………。」


乗ってくれ。

そうすれば、すべてが上手く…、


「君は……君は、死にたいのか?」

「はえ……、」


死にたいのか。

シニタイノカ?


「え、ちょっと待って死ぬ……」

「そうだよ。君は、」


思考が停止したのは、こちらもだ。

違う、僕は…

「神様の望む代償って、信仰、じゃないの?なのに……なんで死ぬなんて。」

こう考えて、そして、そう言ったんだ。

関わらないでという願いにすら、信仰の強制をかけるなら。

それは、矛盾だ、それでもなお、神は神と人どちらを優先させるのか。


「安易な考えて、神に喧嘩を売るな!あいつらは、あいつらは……そんな生易しい奴らじゃない、人間が1番怖いなんて言うけれど、あいつらは、常識なんか関係ない、利潤で動いてない、何所までも自分たちのどれだけ面白いかで動いてるから……だから、神に願いをこうってどんなことか分かってないだろ。」


捲し立てるように言う彼は、何かを恐れている。

親や先生に叱られたときよりももっと説得力があって、無視できない恐ろしさがあって。

何より、心で思っていたことを読まれているかのように適切な攻めを送ってこられて。


「教えてあげるよ。君たち人に何を代償にしていたか……。

君たちは願いを叶えたら…………悪になるんだぞ?」



「悪?」

「そうだ。ヒーローの敵。そして、ヒーローに毎回殺される。」

「でも、だって、ヒーローは」

「そうだ。ヒーローだって神様の奇跡だ。神の力を知らしめるためにいる、だから、人が聖戦だと言っているのは、ただの神の一人芝居だ……」

「…………。」



「教えてあげる。神様の。聖戦の。正義の真実を。」



***

こんにちは。まりりあです。

あと、二話で終わりですかね。たぶん

ここまで、書くのに二週間と少し、

短編だと言ったので、だいぶ早足で進んできましたが、その分荒いですね。恥ずかしい限りです。

さて、あと、少しだけ、お付き合いください。

それでは、またの機会に。


言い忘れてましたが、お兄ちゃんの名前は

 美月 りゅう

なんですよ。タカとか読み方迷うかなと思いました。

私も時々間違えますが(´・ω・`)

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