生命の光って素晴らしい
この世界の中でを命の光が舞上がり消えていく。
真っ暗な世界が命の煌めきで照らされて。
まるで水神祭で玉屋鍵屋の打ち上げる火の花の中にいるみたいだ。
輝く命は美しく、儚く、やがて闇に消えていく。
なんて感動的で幻想的で感傷的な世界。。
心が揺れ動かされる世界。。
ーーーーーー ニケ ヴィクトリア ーーーーーー
間に合わなかった。。
エック。
すまない。
私は何もできなかった。。
ビアの背にただ揺られて走り続ける。
目を開くたびに枯れていく森の木々。
後ろにはもう自我もなくただただ私達を追いかけてくるエックの創り出した真っ黒な死の水。。
命が散っていく。。
森が枯れていく。。
森もエックも、この世界も。。
私のせいで。。
全てが。。
くそ。。
守りたいって思ったのに。
守るんだって自分に誓ったのに。。
私は本当に何もできなかった。。
目を開けるたびに絶望が目に流れ込んでくる。
どうしたらいいの??
私には絶望しか見えない。。
。。。
でも。。
絶望的な状況で戦い続けた者を私は知ってる。。
海晴。。。
その時、また崖の上で笑ってる海晴の顔が見えた。
無力な人間一人で大切な人の為に走り回って戦い続けて。
最後は命を散らして大切な人を守った。
私は海晴が限界を超える瞬間を見てきた。
私も救えるのか?
海晴みたいに大切な人を。。
私も助けれるなら助けたい、エックを、私の希望を、この世界を。
海晴は。。
急に光の珠を出せるようになっていた。。
私も。。
。。
なんだろう。
手に違和感がある。。
そっと目を開けると、私の手がぼんやり光ってる黄緑色の光る珠が手の上で浮いている。
なんで?
すると黄緑色の珠から小さな精霊のユンがモゾモゾと出てきた。
ユン?
なんで珠の中に?
出てきたユンはつぶらな瞳で私を見上げた後、ビアの背の中に光が吸い込まれるように溶け込んでいった。
光はビアの背に残ってる。
見た事の無い不思議の光景に私は目を奪われた。
ユンの溶けた光からポンと双葉が咲いた。
その双葉はどんどん葉を増やしていく、蕾も膨らんでいく。。
そして私の目の前であっという間に真っ赤な大きな花が咲いた。
「これは、ガーベラ。。」
ガーベラの花の言葉は、希望、前進。。
ユン、まだ希望は捨てずに前進しろって言ってるの??
。。。
そうだよ、今このままずっと後悔していても、意味がないしきっとこの先もっと後悔する。
今だったらまだ可能性があるはずだ、まだ終わってない、探すんだ希望を。
過去は変えられない。
でも未来はまだ決まってない。
エックが助かるか、この世界が滅びるか、まだ決まってない!
夜が明けて朝の美しい光が空に映り始めてる。
空がまた私に勇気をくれた。
私は立ち上がった。
ビアの背の上から周りの木々を枯らしながら迫ってくるエックを見る。
「私がエックの側へ行ってくる。。」
ビアや翔陽達が私に声をかけてくれてる。
「ニケ大丈夫だっちゃ?」
「おいニケ、大丈夫か?」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫、これは私にしか鎮められない」
本当に大丈夫、もう絶望や後悔の気持ちはない。
絶対にエックを元に戻してみせる!
私の生命の力で。
手の中に暖かい力を感じる。
手を開くとやっぱり生命の力に溢れた珠がある。
そしてその珠からワラワラとユン達が出てきた。
ユン達が十匹くらい出てきたら生命の珠は消えた。
わかる。
「あなた達が助けてくれるんだね」
私はニコッとユン達に笑いかけると。
意識のないエックの形の死の水を見た。
「あの人を助けたいんだ」
私の声を聞いたユン達はパチリと瞬きしてパッと光に変わった。
私を包み込む光。
いつも私が創り出していた生命の光よりも力に満ち溢れている。
すごい力、これなら大丈夫。
「じゃあ行ってくる!」
私は氷の板から飛び出した!
そして私はドプンっと死の水に私は入った。
。。。。
ゴポゴポゴポ。。
エック。
エックはどこ?
私は死の水の中で目を開いた。
暗い真っ暗な世界。
まるで夜の死の池の底。
すごい死の力に満ちてる。。
私が辺りを見渡すと。
小さな光の粒があった。
空が上へと気泡のように上がっていく。
ポコポコポコポコ。
下の方からどんどん続いて信じられない数の小さな光がスーーーっと上がってきた。
でも、、上がっていく最中に小さな光は真っ暗な世界に溶けて消えていく。
流れ星が登って来てるみたいだ。。。
この光は、、この森の命達。
必死に煌めいて最後は消えていく。
綺麗で儚くって寂しい世界。
この寂しくて悲しい世界のどこかにエックがいる。
エックを早く探して、この悲しい世界を消し去らないと。。
この悲しい世界ののせいで全ての命が消え去ってしまう。
そうなる前にエックを。。
私は辺りを見渡して泳ぎ始めた。
あっちの方が流れ上がる命が多い。
天の川の様に登っていく命の光の帯がある。
きっとエックはあっちにいる。
流れる命の間を泳ぎ抜けて私は進んだ。
泳いでいくにつれて真っ暗な世界がどんどん濃くなっていく。
登ってくる命の光の数もすごい多い。。
きっとここがこの死の水の世界の真ん中。
死の世界の濃度が濃い。。
私の纏ってる生命の光が薄らいでる。。
この光がないと私はこの中で耐えられない。
周りの光と同じで私も闇に溶けて死を迎え消えていってしまうだろう。
もう一度この生命の光を。。
私は目を閉じて祈った。
力が欲しい。
手の中にまた力が集まってきた。
目を開いて手を開くと、また生命の力に溢れる珠ができてた。
よかった。
生命の珠からまたユン達が出てくる。
そしてユン達は光に変わりまた私の周りを覆ってくれた。
ぼんやりと輝く私の体。
これでまだいける。
エック。。
いったいどこに??
私は周りを見渡したけど周りにエックはいない。。
森の木々の命の光が私を通り越して上へと上がっていく。。
私はなんとなく光を目で追いかけた。
あっ。。
エック。。
私の上にエックがいた。
エックは死の水の中でその場で走っている。
エック?
もしかして死の水を操作しているの?
エックの意思でこんな事になってる?
早く止めないと。。
私は命の光と一緒にエックのところへと必死に泳いで登っていった。
なかなか速く登っていけない。
私はさらに必死に上へと泳いだ。
どんどん死の水の濃度が濃くなっているように思える。。
もうそこにエックがいる。
だいぶ近づいた。
もう少し。
ボイン。。
え?
私の上昇は何かによって阻まれた。
何?
これは?
エックの周り半径2mくらいに膜がある。。
ボヨンボヨンしていてエックに近づけない。。
それにまた私の周りの命の光が消えそうだ。。
もう一度、生命の珠を。
私は手の中に力を欲しいと祈った。
すると手の中にポっと暖かい力を感じる。
手を開けるとさっきと同じようにユン達が出てきた。
ユン達、お願い。
ユン達は光に変わって私を覆ってくれた。
この膜をなんとかしないと。
もぞ。
あ、肩の上にまだ1匹ユンがいた。
ユンはモゾモゾトコトコと体を振りながら私の上を歩いていく。
肩から腕へ、腕から手へ。
そしてユンは黒い膜へ触れた時に光った。
膜が光に飲み込まれた。
ユン。
わかった。
私はまた手の中に生命の珠を作り出した。
ユン達が掌の上で生まれてくる。
スッと手を黒い膜に近づけるとユン達は光って私が通れるくらいの大きさの穴を開けてくれた。
ユン達。
ありがとう。。
コポコポと私は膜の中に入っていく。
キヨッタ。。
死の水の中で何か声が響いた。
あの不気味な刺青の男か?
なんでこんなところであの男の声が?
でも、そんな事は今はいい、とにかく今はエックを。
私はエックに泳ぎよった。
「エック。。」
エックの前に立つ。
目の前にいるエックは真っ黒に染まって目が真っ赤。
その場で必死に走っている。
こんなエック初めて見た。
セカイヲ。
スクウンダ。
セカイヲ。
ジョウカスルンダ。
エックがブツブツつぶやきながらその場で全力で走る。
そのエックの動きには鬼気迫るものがあった。
「どうしたのエック、、?」
「もうやめよう。」
「少し前の私達に戻ろうよ。」
「エック。。。」
エックは私に気づいていないのか全く反応がない。
どうしてこんなことに。。
私の、私のせいだよね。。
エック。。
「生命の力を感じて。。」
「きっとそれでこの死の呪いは治まる。。」
。。。
私はエックの胸にガバっと抱きついた。
これできっと。
エック死の力と私の生命の力が混ざり合ってこの暴走は止まる。
。。。。
エック。。
遅くなってごめんね。。。
全力で走っていたエックの動きが遅くなった。
そしてエックはゆっくりスピードを落として立ち止まった。
。。。
これで。。
コノセカイハ。
モウダメダ。。
誰?
誰のかわからない声がひびいた。
。。。
エックが頷いてブツブツ呟いてる。
。。。。
オ、オォォォ、、、
エックが少し苦しそう・・
エック。
エック!!
元のエックに戻って。。
。。。
お願い。。
オオオォォォ、、!
。。。。
エックが動き出した。
そして走り出していく。
え?
エック??
どうして?
エック、止まって!
エック!!
。。。
止まらない。。
私はエックを見上げた。
エックは相変わらず真っ黒で真っ赤な目で前を睨みつけている。
あ。
でも。
私とエックが触れている部分だけ黒い死の力が弱まってエックの本人の色が戻ってる。
エックの死の呪いに対して生命の力が足りないって事?
そう思った私は生命の珠を創り出した。
掌の上にある生命の珠からまたユン達が生まれてきた。
これでなんとか。。
ジャマダ。。
ビシ!ドン!
エックにユン達がいる私の手を叩き払われて、さらにそのまま私も叩き飛ばされた。
!!
ボヨンっと黒い膜に当たり、その膜を突き抜けて私は止まらず飛ばされた。
モットチカラガイル。
。。。。
ウォォォォォォォォ!!
真っ黒なエックは水な中で天へ向かって吠えた!
私の飛ばされる勢いは死の水で徐々にスピードを落として止まった。。
ウォォォォォォォ!
さらに叫ぶエック!
エックはそのまま見えもしない天を仰いだ。
ゆっくりと両手を上へと掲げるエック!
そしてその手をビュンっと振り下ろした!
エック。
いったい何をしてるの、、?
やめて!
エックは私が止めても全く聞かずに何度も手を上から振り下ろした。
フォォォォっと途端に信じられない数の命の光が下から上がってきた!
すごい命の数、数えきれない。。
ごめんね。。
森が苦しんでる。。
エックは手を上から下に振り続けてる。。
この死の水の世界の中でを命の光が舞上がり、そして消えていく。
真っ暗な世界が命の煌めきで照らされて、まるで水神祭で玉屋や鍵屋が打ち上げる、火の花の中にいるみたい。
輝く命は美しく、儚く、やがて闇に消えていく。
なんて感動的で幻想的で感傷的な世界。。
心が揺れ動かされる世界。。
命の光が消えていくにつれてどんどん死の水の濃度が濃くなってきている。。
見えていたはずのエックが霞む。
立ち止まってはだめ、エックの所へ。。
私はエックのもとへ泳ぎ出そうとした。
あ。。
私の腕。
真っ黒になってる。。
動き出そうとして動かない私の腕を見て驚いた。
私もこの世界の死の力に飲み込まれていってる。。
。。。
別に。。
私は死に飲み込まれてもいい。。
でも。。
今じゃない。。
死ぬことは怖くない。
でも。。
今はまだやることがある!
私はまた生命の珠を創り出した!
創り出した手からユン達がまた溢れ出て、一気に私の体は闇が晴れたように色を取り戻した。
命の珠から出てきたユン達がまた私の体の周りを光らせてくれる。
私はエックへと泳いだ。
ズキン!エックに叩かれた時に痛めたのか肋骨が痛い。
それでもなかなか進まないこの世界で、消えゆく命の光の中、必死にエックに向かった。
私が突き抜けて破れた黒い膜はヒラヒラと旗めいてる。
その旗めく黒い膜も通り過ぎて私はまたエックのそばまで辿り着いた。
どこからか視線を感じる。。
エック?
それとも違う誰か??
まぁいい、今はどうでもいい。。
私の腕の死の呪いは払えたんだ。
私の命の珠ならエックも。。
この死の世界に違和感を覚えながら私はエックを生命の力で癒そうと手に生命の珠を創り出した。
ボォォォォォォォォォ!!!!!
途端にエックが叫び、手を上下に振るのはやめてその場で走り出した!
また外の世界でエックの形の死の水が動き出したのかもしれない。
生命の泉にある御神木を枯らすわけには絶対にいかない。
この生命の珠でエックを正気にいないと。
生命の珠からまたユン達が出てきた。
私はそのユン達をエックの体に叩きつけた。
エックの体に当たった途端ユン達は光に変わった!
この死の水の世界が一瞬、生命の光に照らされる!!
そして生命の光は消えていった。
生命の光に照らされたエック。
なのにエックは何も変わらず真っ黒な姿のままだった。
またブワンっと小さな命の光が下からいっぱい上がってきた。
ああ。
また多くの命が。。
私は何もできないの。。?
。。。
エック。。。
私どうしたら?
私は何もできなくって。。
。。。
私は何か模索したくってただ目を閉じた。。
。。。
何か胸の奥に感じる物がある。
暖かくていつも感じているもの。
これは、きっと私の命。。
今私の体を覆っている生命の光よりも私の命の方が強い力がある。
私の力全部使ってもいい。。
私はエックを。
この世界を助けたい。。
そして私は体の周りを覆っていた生命の光を消した。。。
死の水が私に触れたのがわかる。。
冷たい。。
そして濃い。
私の肌からどんどん死の水が体に浸食してくる。
なんて絶望的で恐ろしい。。
でも。。
大丈夫。
私の奥にある力はこんな水には負けない。。
私は黒く染まって死に囚われていく両手を動かし祈るように胸の前で合わせた。。
私自身の命の力。
この力があればきっと。。
エック。。
あなたのためなら。。
私は。。
。。。。
私は胸の中の光に祈りを込めて弾けさせた。。




