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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第二章 神秘の森
92/110

相見えるって素晴らしい



 周りには夜空に浮かぶ星々が散りばめられておる。。


 夜なのに煌々と太陽が照らしている。


 不思議だ、拙者の体は陽に当たり全く暗くないのに、周りは夜空。。


 どうなっておるのだ?



 ーーーーーー ?? ?? ーーーーーー




 イイカンジヤ


 ソロソロイケ


 ウマイコトヤレヨ


 誰だ?


 頭の中に誰かと知らない声が響いてきた。


 拙者はその声で起こされるようにハッと目を開いた。


 しまった、寝てしまっていたようだ。。


 拙者はどれくらい寝てしまってたのだろうか?


 拙者が寝ているにこの世界が酷いことになっておらぬか?


 拙者は死の呪いとの戦いに疲れ切り、なかなか言うことの聞かぬ目を無理やり開けた。。


 ギギッと軋む体を動かして辺りを確認する。


 空は曇天、辺りは薄明かり。


 ザァーーーー。。。


 早く起きろというかのように雨粒が俺の顔を叩く。

 ザァザァという音が拙者の体を覆っている。


 拙者の回り一面、草木一つ全く生えてはいない。

 雨粒は拙者の死の呪いで真っ黒に染まった岩壁や河原に吸い込まれていく。

 生物なんてものは辺りには一切無い。

 黒い死の世界が広がっているでござる。


 陽が落ちるまでは意識があったのだ、夜を迎え雨が降り出し、体が冷えて拙者は意識を失った。


 よかったでござる。


 意識を取り戻して。。


 拙者は体の中の世界で一番嫌いな物を押さえ込もうと体の中に意識を向けた。


 駄目でござる。。


 大きい。。


 もう間もなく制御どころではない。


 これはもう。


 いつ暴走してもおかしくない。


 ドクンドクンと拙者の体の中が鼓動している。


 拙者が意識を失ってる間に相当悪くなっておるな。。。


 少し収まるのだ、と拙者は胸をぎゅっと握りながら力を込めた。


 ドクン。。


 少し鼓動に似た拍動が小さくなったでござる。


 



 ーーーーーー ニケ ヴィクトリア ーーーーーー



 ッハッハッハッハッハ!


 ッザッザッザッザッザ!


 私達は駆けた全速力で。


 木々が溶けて見えるほどのスピードで、エックの元へそれしか考えずに走った。


 小さな木の枝が私達の体に当たって傷がついてもそんなことを気にしてられない。


 ビアも足を痛めているのに。。


 黄緑色の生命の光を出したいのに敵に見つかる可能性が増えるから出せない。


 何度も何度も猿達の襲撃に引っかかった、もう引っかかりたくない、その気持ちで私達は全力でエックのいる死の谷を目指した。


 もう少しで夜が明ける。。




 ーーーーーー エクロ カイ オキクルミーーーーーー




 どれだけ時間が経ったのかもう分からぬ。


 体から溢れ出していく死の力を抑えることに必死。


 拙者の側を流れていく水も拙者に近づいた途端、生命の力を失って輝きがなくなるのだ。。

 何事だと様子を見に崖から顔を覗かせた狐も力を失い、崖から転がり落ちてきおった。

 何も知らずに上空を通りかかった鳥達も降ってきおる。

 死の谷の周りの草木も全て枯れている。

 ここら辺りの大地の生命力も全て消え失せてしまったでござる。


 何も感じぬ死の世界。


 拙者は今その中心で死の世界を広げている。


 これは今に始まったことではない。


 。。。。



 拙者は北の国で生まれた。


 そして13歳の成人の儀の時に、儀式の森の中で恐ろしい呪いを受けたのだ。


 呪いを受けた拙者は気を失い、意識を取り戻した三日後には。。。


 俺の周りの全てが死に絶えていた。。。


 辺りは草も木も川も山も人も動物達も全てが枯れはて、、この世の地獄がそこにはあったでござる。


 そして拙者は村から、現実から、目を逸らし逃げるように北の国を出たのだ。


 拙者は体内に宿る恐ろしい呪いを消す方法を探した。

 

 三年と半年、拙者はこの島国を歩き回った、死の呪いを消す旅はほんに苦しいものだった。


 拙者が同じ所に居続けると、その辺りの生命が吸われ、その土地がやせ細り死んでしまうのだ。

 一つの場所に留まる事ができなかった。

 俺の眠った後は辺りの植物は枯れていた。

 そして命を吸い俺の中に溜まった死の力は、俺の暴走として現れた。

 一度はある村で暴走し、その一つの村を壊滅させてしまった事もあった。


 もはや寝る事もままならなぬ。

 人と関わる事も難しい苦しい旅だった。

 

 して三年と半年後。

 拙者は死の間近で、この神が息づくこの森にたどり着いたのだ。

 

 神が拙者に生きよと言ってくれた。


 それからこの森に住むニケと出会えたでござる。


 ニケと出会ってから俺の人生は急に変わった。


 ニケは拙者の呪いの力を無効化してくれる力を持っておった。


 それにニケの人となりが傷ついた拙者の心を癒してくれたのだ。


 この神の息づく森を、世界を愛するニケ。


 その愛が俺拙者の心の闇を払った。。




 。。。。。




 うむ。。


 苦しい。


 拙者はこの大地を、この世界を枯らしてしまうのか。?


 自分の力に自分自身が飲み込まれていくのが分かるでござる。


 ニケ。。


 主はいったい何処に行ったのだ?


 一生をかけてでも拙者はニケを守る。


 だから一生の一度の願いでござる。


 今この一瞬だけでもいい。


 俺のこの闇を祓ってほしいのだ。。


 ニケ。


 帰ってきてくれ。。



 。。。



 ニケ。。。



 お願いでござる。。。




 。。。。。。




 

 ニケ。。。




 。。。。。。





 ガラガラガラ。。



 ガラガラガラ。。



 カラカラ。



 カラ。。




「エック。。」




「エック。。」




 む?


 今。


 声が?


「エック。。。」


 拙者はゆっくりと目を開いた。


 ボヤけた視界がゆっくりと開いてゆく。


 ゴロゴロと遠くで雷鳴が聞こえる。

 そして激しく雨が拙者を打ちつけていた。

 

 打ち付ける雨粒に抗いながら目を開け、声のする方を見た。


 谷の向こう側の岩壁に誰かがおる。


 空は朝を迎えようとしているのか、雲が少しだけ白く見えよる。

 

 ピカッ!

 ガラガラガラガラガラ!

 

 稲光が光った!

 

 稲光の中に拙者は見た。


 見覚えのある姿の女。。


 ニ、ケ、、?


「エック!」


 ニケ??

 拙者は思わず叫んだ!

「ニケ!」


 よかったでござる。

 ニケが帰ってきてくれおった。


 これでこの死の呪いも抑えることができる。。


 よかった、と拙者は安堵し絶え間なく雨を落とす空を見上げた。


 生命の気配が全く無い、枯れた木と草が黒く項垂れる谷が聳え立っていた。

 枯れた木には動物が引っかかっている。

 この景色に改めて愕然として目線を落とすと、拙者の周りにはいく匹も、いく匹もの生物の亡骸も転がっておった。


 畜生、拙者はニケが帰って来る事を待つことも出来ず、この辺り一体の命を奪ったのだ。。


 このままで許される事などではない。


 。。。。



 ぱしゃぱしゃっとニケが谷を降りて歩いて来ておる。


 拙者は立ち上がらなければと、少し見栄をはるために体に力を入れた。

 その瞬間ドクンっと拙者の体の中が脈打った。

「ぐっ。」

 駄目でござる、拙者は今動けぬ。

 もう体の中に力が溢れすぎてしまっておる。。

 

 ニケは俺のそばまで来てくれた。

 よかった。

 拙者の死の力を抑えられるのは生命の力が宿るニケだけ。


 ガバ!

 お、、!

 ニケが拙者を抱きしめてくれた。

「ごめんねエック、遅くなって。。」

 ニケは抱きしめたまま拙者の耳元で囁いた。

 ニケの息遣いが荒い。

 きっとここまで相当苦労してきてくれたのだろう。。


「ニケ、すまぬ。。」

「エック、私こそごめんね。」


「いや、拙者はニケが来るまで待てなかった、不甲斐ない」

「うんん、エックは待ってくれていた、ここで死の呪いに飲み込まれずに。。」


「ニケ。。」

「エック。。」


 ドクンっとまた体の奥底が波打ちおった。

「ぐぁ、、」

 何故?

 ニケが来てくれおったのに。

「エック?大丈夫?」

「むう、、死の力が強すぎるのだ。。」

「うん。。」

「ニケ。。すまぬが早くこの死の力抑えてくれぬか?」



 。。。



 ぎゅっとニケが拙者をまた抱きしめてくれおった。。



「ニケ。。」



「エック。。」



 。。。。



 ザァザァザァ。



 雨が拙者とニケを打ち付けおる。


 ッバ!


 ニケが拙者の両肩を押して離れた。

 夜で暗くてニケの顔が見えぬ。。



「ニケ。。?」



「ねぇ、エック、、この世界を滅ぼしたあなたがこのまま癒やされていいの?」


「なんだと、、?」


 。。。


「聞こえなかった?あなたはもうすでにこの世界を滅ぼしたの。。」


「そんな、そんなはずはない。。」


「なら、見てみるといい。。」

 そういうとニケの首元から黒い蛇が這い出してきた。。

 そしてニケの腕の上を這い、拙者に近づいてきおる。

 

「ニケ、何を、、」

 ニケの表情は見えぬ。

 ゴロゴロとニケの後ろで稲光が光っておる。


 拙者が世界を滅ぼしただと、、?


 そんな。。。


 ニケの言葉に拙者は思考を一瞬止めてしまったのだ。

 その呆然とした時、黒い蛇が拙者の口に飛び込みおった。


「ごぼ、ごぼっ、、」


「っがは!!!」

 黒い蛇は俺の口から入ってきた。。

 

 ックックックック。。。


 どこかから聞いた事のない笑い声が響いてきおった。。

 ドクン!

 また体の中が。。

 ッドックン!!!


「ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


「く、そ、ニケ、どういう、、、」


 ニケの顔は見えぬのに不気味に笑うニケがそこにはおった。


「エック、見て」


 がふ、がふ、びぎ、ぶぎ、、

 きぃきぃ、、

 ぎゃぁ、、ぎゃあ。。


 この死しかない谷に奇怪おかしな声が聞こえてきおった。

 ここに今生き物なんて、いないはずでござる。。

 拙者の死の呪いがこの地に蔓延はびこっているのだから。。


 拙者はそっと首を横に向けた。。


「はっ。。。。」


 息を呑んで目を疑った。。


 なんと、拙者の死の呪いで亡骸となっていた動物達が体を起こしておった。

 どの動物達も目がない。。

 雨に打たれ泥にまみれ血を流し、呪いで黒く染まった体でふらふらと立ち上がるのだ。。


 猪や鹿、狐に狸、栗鼠りすに鼠まで。

 無い目で俺を恨めしそうに見つめ、ゆっくりと歩み寄ってきおる。


「おい、待ってくれ、、本当にすまなかった。。」

 謝っても動物達は拙者にゆっくりと近づいてきおる。。

 いつの間にかニケがおらぬ。

 何故だ。。

 これはどうなっておるのだ。

 この動物達はなんだ。。?

 拙者の死の呪いはこんな事までするのか?


 がふ、がふ、びぎ、ぶぎ、、

 きぃきぃ、、

 ぎゃぁ、、ぎゃあ。。

 

 もうそこまで動物達は迫っておる。

 しかし、体が動かぬ。

 どうしたら良いのだ。。?

 

 拙者は何もすることもできずに、動物達にのしかかられ襲われたのだ。。


「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 痛い!!!


「や、めろ、、」

 拙者の声など聞かずに動物達は拙者の体に噛みつきかかったきおった。


 拙者に噛みつく動物達は拙者の体を噛みちぎっていく。

 ああ、もう、拙者は死ぬのだな。

 最後のニケはきっと幻だったんだのだろう。

 拙者は拙者の肉を食いちぎられていく、その感覚を感じながら全てを受け入れて目を瞑った。



 。。。



 目を瞑るとそこは真っ黒な世界。

 何もない完全な黒の世界。


 何故だ体の感覚がなくなってしまった。。

 違和感を感じて拙者は再度目を開いた。


「む。。」

 目を開けたら飛び込んできた風景は見覚えのある風景。


 そこは拙者の故郷の村だった。


 みんなニコニコと笑い、親しげに日常を過ごしておる。

 元気に汗をかき働いてる若者もおるし、水を汲んできた若い女もおる。

 幼子おさなこ達が犬や鹿達と一緒に村の真ん中の広場を駆け回り、楽しげに遊んでおった。

「おーーい帰ったぞ!」

 村の男達が熊を狩猟し持ち帰ってきて村は沸いた。

 みな嬉しそうだ。


 よかった。

 まさか拙者の故郷の村が復興しているなんて。。

 驚いた。。

 思いもよらなんだ。


「すごい大きな熊!今日はお祝いだね!」

 ひときわ元気な声が広場に飛び交った。

 その声にわーーー!うおーーーー!と答える民衆。

 その声の主を見た時、拙者は驚いた。


 拙者の妹のエミナがいる。。


 まさか。。


 生きておったのか。。


 よかった。。

 故郷の村が無くなった時に、死の呪いに巻き込まれたと思っておった。

 されど、本当にここは故郷の村だった場所なのか?

 拙者はまだ今見えている現実を信じられずに周りを見て記憶通りか確認した。


 あの遠くに見える山の形、谷の方とも一緒。

 ここは間違いなく拙者の故郷でござる。


 本当に。。

 拙者が滅ぼしてしまったと思っていた故郷。。。

 村人にも見覚えのある連中ばかり。。


 よかった。。


 拙者見ている景色が急に霞んだ。


 霞の原因が頬に滴がつたう。。


 よかった。


 本当によかったでござる。。


 ぽたんと俺の頬を伝った涙が地面に落ちた。


 途端に寒気に襲われた。

 嫌な予感がする。。


 涙の落ちた地面が黒く染まっている。


 何?


 その染まった黒い地面が波紋のように広がっていきおる。

 

 何だと!?

 これは、、良くない!


 、、、、、!!!


 拙者はみなに逃げろと叫ぼうとした!

 

 、、、、、、!!!!


 だが声が出ぬ。。

 おい!みな!

 熊で喜んでる場合なのではない!

 後ろを見よ!

 危険が迫っておるぞ!


 そう叫びたいのに声が出ぬ。。


 ぽたん。。


 む!


 また拙者の涙が落ちたところから黒い波紋が巻き起こりおった。


 ぽたん。ぽたん。

 おい、止まれ、止まらぬか!

 涙!

 手で顔を拭おうとしたのだが、手の感覚がない。。

 いや、手がない。。

 手どころか体もない。。

 口もない。。


 あるの鼻より上の部分だけ。。

 

 どうなっておるのだ!?


 ぽたんぽたん。。


 どんどん黒い死の呪いの波紋が広がっていく。。


 ぽたんぽたん。

 ぽたんぽたん。


 涙が止まらぬ。


 おい!みな逃げてくれ!


 おい!逃げろ!!


 ぐはぁ、っと一番後ろにいた男が倒れおった。

 男も黒く死の呪いに侵食されていきおる。。


 バタンバタンと周りの人たちも倒れていく。

「なんだなんだ」と倒れた男や女を心配して抱き上げた人も、自分の腕に死の呪いがうつる。

「きゃーーー」とその凄惨な光景を見て女が叫んだ。

 全員の意識が今起き始めた絶望の一端へと向いたのだ。

 咄嗟に拙者の妹のエミナが叫んだ!

「みんなそれは呪いだ!触れてはいけない!急いで逃げるんだ!」

 「きゃーーー!」「うわーーーー!」っと村人達は大声をあげて逃げ出した。


 くそ!俺は皆んなを見守るしかできぬのか。。?


 涙は流れ続ける。。

 ぽたんぽたんと落ちるたびに死の呪いの波紋は加速し広がっていきおる。


 どんどん人々が死の呪いの波紋に飲み込まれ黒く呪いに焼かれていく。。

 まずは動きの遅い老人達から飲み込まれた。

 そして逃げきれずに幼な子達も。。


 ぽたんぽたん。。。


 お願いだ。。

 みんな逃げておくれ。。。


 女達もついには逃げきれずに呪いの波紋飲み込まれた。

 妹のエミナも必死に逃げておる。

 小さな女の子供を背負い男の子の手を引き、全力疾走。

 

 逃げようと必死に走ったが男の子の足が死の呪いに囚われた。

 ドサンと転ける男の子。


 体を真っ黒に焼かれながら片手をエミナの方へと向けて「痛い、助けて、置いていかないで!」と叫ぶ。

 エミナは「っく」っと振り返るのをやめて前を向き、一瞬だけ目を瞑り、駆ける速さを上げた。


 すまぬ、本当にすまない。。

 止めたいのにも関わらず、拙者の涙は際限なく流れ続けた。。

 涙は拙者のない頬を伝いさらに黒く染まった地面に流れ落ち、さらに広がり続ける拙者の涙の波紋。。


 こんなことは今まで一度もなかった。。

 なのに、何故急にこのような事に。。

 

 エミナは女の子を背負い村の敷地から飛び出した。

 木々の間をかけていきおる。

 エミナを追いかける様に後ろの木々が、草花が、死の呪いで黒く染まり枯れ落ちていく。。


「はぁはぁはぁ!!」


 ガサ!

「っく!」

 枝や葉っぱがエミナを傷つける。

 そんなことは構わずに全力で走り続けるエミナ。。


 エミナすまぬ。。

 頼む。

 逃げ切っておくれ。


 頼む、生きておくれ。。


 ガサ!

 エミナが林から抜けた。


 エミナの眼前には。

 深く割れた深い深い谷があらわれた。

 飛び越える事も飛び降りることも絶対にできぬほどの大きな谷。。


 エミナは振り返り崖に背を向けた。

 バキバキっと森が死の呪いに飲まれて死んでゆく。


 ブワッと目の前の木々も全て闇に飲まれた。。


「なぜこんな事に!やっと復興できたのに!」


 どさりっとエミナは膝をついた。

 背負っていた女の子をエミナは抱きしめる。


「なぜ、、こんなことに。。」

 拙者はエミナに近づいた。。

 

 エミナには拙者が見えていない。。

 迫る死の呪い。

「なんでだよーーー!!」

 エミナは大声で天に向かって叫んだ!


 ブワン!

 のわ!

 拙者はエミナの叫び声に押されるように上空に吹き飛ばされた。


「ぐぅあぁぁぁぁぁぁ!!」


 ぐんぐん上空に押し上げられエミナが小さくなって次第に見えなくなってしっまた。

 拙者たちの村から見えるはずもない海が見え、さらには隣の大陸が見え。

 最後には拙者達の住んでいた場所が青い球体にくなってしまった。。

 真っ暗な夜の中に拙者達の住んでいた球体が浮いている。


 拙者はエミナの叫び声で夜空の中まで飛ばされたのであろう。

 不思議な景色だ。。

 拙者達の住んでいた場所はこんなところであったのか。。

 丸い。

 黒い夜に浮かぶ球体。。

 周りには夜空に浮かぶ星々が散りばめられておる。。

 夜なのに煌々と太陽が照らしている。

 不思議だ、拙者の体は陽に当たり全く暗くないのに、周りは夜空。。

 どうなっておるのだ?


 む?

 拙者達の村があった場所が黒い円になっておる。。

 まさか死の呪いなのか、、?

 どんどんその死の呪いが広がるのが見える。。


 拙者達の住んでる青い球体が黒く染まっていく。


「助けて!」

「なんだこれは!」

「どうなってるんだよ!」

「あなたは逃げて」

「えーーーんえーーーん」

「ぐぁあああぁぁ。。」

「逃げろーーー!」

「もうダメじゃ。。」


 こんなの遠くにいるのに人達の声が俺の体内に響いてくる。

 死の力を俺の体に溜め込んでるせいなのか。。?

 

「死にたくない、、よ。」

「ママどこ?」

「なんで。。」

「ぐぁあぁぁ、まだ死にたくない、、のに、、」

「死ぬときは一緒にね。。」

「世界の終わりだーーー!」

「誰だよこんなことしやがったのは!!」


 やめよ、五月蝿い、五月蝿い。。

 拙者もやりたくてしてる訳ではないのだ。。

 拙者も周りの人々みなを幸せにしたい、なのに。。


 なぜこんなことに。。


 俺達の星は真っ黒に覆われて。

 声も聞こえなくなった。。


 美しい星々が輝く夜空の中で拙者は一人で絶望していた。

 

 そしてふと気がついた。


 周りの夜空の美しい星の光がどんどん消えていっておる。


 太陽まで黒くそれは迫ってゆく。


 あれは死の呪いなのか。。?


 星空まで拙者の死の呪いの力に沈んでゆく。。



 まさか。


 拙者の力が夜空の星々まで。。


 

 。。。。。



 なんてこと。。


 全ての星の光が消えて。


 真の暗闇が訪れた。。


 もう目が開いているのか閉じているのかもわからぬ。


 拙者はただ真っ暗な夜の中を浮いていた。。



 。。。。。



 拙者はなんてことをしたのだ。。


 本当に拙者がこの世界を滅ぼしたのであろうか。。?


 ああ。。


 拙者がこの世界を滅ぼしたのだ。。


 ニケもそう言っておった。。


 なぜこんな事に。


 ニケ。。


 俺をまた。


 救ってくれぬか。。?



 。。。



 ポタポタ。。



 ザァァァァ。。。



 雨?



 拙者は目を開いた。。


「エック大丈夫???」

「ニケ??」

 ニケが目の前におる。


 雨の降りしきる谷の間で拙者とニケがおる。


「ニケ。。」

 拙者はニケの頬に手を当てた。

 暖かい。。

 ニケが生きておる。。

「すまないエック。どこか遠くの世界に飛ばされていたんだ、市議にでも帰ってきたかったが、なかなか帰ってこれなかった」

「よいのだ、ニケが生きておる、そして拙者の前に帰ってきてくれておる、ニケ、、拙者は今最悪な夢を見ていた。。」

「どんな夢?」

「ニケも、妹も、この世界も、みな拙者の死の呪いで。。」


「エック、」

「なんだ、、?ニケ?」

「見て、これがその死の呪い」

 そういうとニケは右手を拙者に見せてきた。

 したたるほどの血を流す黒い腕がそこにはあった。


「あなたのせいで私はもう生きられない」


「な、、」

「あなたのせいでこの世界は滅ぶ、あなたの見た夢はきっと正夢、夢の通りになるわ」

「う、そ、だ、、」

「嘘じゃない、ビアもネロももう死んだんだ」


「私はあなたを助けるんじゃなかった、あの時あなたを殺すべきだった」

「ニケ、、」

「エック!お前はこの世のやくだ!今殺してやる!」

 ニケは俺に短刀を振り上げた。

「待ってくれニケ!」

 拙者はニケの手を掴むと、もう一方のニケの手にも死の呪いがかかった。

 どんどん死の呪いは侵食してニケの体は動かなくなった。

「お前は私もこの森の神様達もこうやって全てを殺すんだ!」

「ニケ。。」

 ズガン!

 ニケに頭突きをされた。

 お互いの額から血が流れ出る。

「お前を愛した私が馬鹿だった」

 闇に侵食されながらニケが涙を流した。

 拙者の胸にニケの涙が流れ落ちる。

 ニケの涙は透明で美しい。

 何故俺の涙は。。

「拙者も、ニケ、そなたを、愛していた、、」

「お前は愛していた私すらも殺すのだ、、な、、、」


「ニケ、、」

 拙者の死の呪いがニケを覆い尽くした。。


 ニケは真っ黒な姿で恨めしい顔をしたまま拙者に崩れ落ちた。。



「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 その時俺の中のがッドックン!!っと激しく打った!!


 もう争う力はなかった。。

 拙者の中にある死の力が、拙者という封印を外し爆発的に溢れ出したのだ。

 

 身体の中から死の力が溢れ出していくのがわかる。。


 もう良いのだ。

 世界は滅んだ。

 もう死の呪いにあらがう意味も見当たらぬ。。

「ワォォォーーーーーン!」

 遠吠え?


「ぐぅわぁ」

 ドバン!っと拙者の体の外まで死の呪いの力が溢れ出した。。


「エック!」

「エックゥ!!!」

 黒く霞んでいく視界の先にビアに乗って駆け寄ってくるニケとビアがが見えた。

 谷の向こう側から必死に駆け寄って来るようだ。


 何が何かわからぬ。


 ああ。

 もう真っ暗で何も見えぬ。。

 音も消えた。




 拙者もこのまま消えられたたらよいのに。。






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