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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第二章 神秘の森
86/110

舞い散る命って素晴らしい。。




 色とりどりの花が咲く草原を吹き抜けた風は、その花々の花びらを宙に舞い上げた。。


 俺の周りに色鮮やかな花びらが舞っている。


 その時、朝日が顔を出した、薄い朝靄に光芒が差し込んだ。


 俺の周りで舞上げられた花びらに朝日が照らしキラキラと輝く。。




 ーーーーーー 横山 翔陽 ーーーーーー




 黒狼のネロの美しい黒毛が三日月と天野川の光で艶やかに光ってる。 


 俺は黒狼のネロと一緒に大石の棲家の上でごろんと寝転がって空を見上げてた。


 夜だった空に色が付いて朝焼けが始まろうとしてる。


 木々の葉っぱの隙間から見える空の下の方が赤く染まってきてる。


 空の天辺はまだ夜。


 今、夜と朝のはざまにいる。



 下の部屋では小春にヴェルさん、ニケちゃんにビア、女の子達が寝てる。

 俺とネロは交代で周りを見張るって事でこの大石の棲家の上にいる。

 女子が寝てる部屋で流石に俺も寝るのは気が引けるしなーー。


 二時間で交代しながらネロと周りを見張った。

 さっきまでネロが見張りをしてくれてて今から俺と変わる。

「綺麗な世界だな。。」

 俺はネロに話しかけた。

「ああ、我らの世界は美しい。。」

「そっか、こんなに綺麗な世界なんだ、絶対守らないとな。。」

「お主達はこの世界にいる人間どもとは違うな。。」

「そうなのか?」

「ああ、お前達はエックとニケに似ている」

「まじか?」

「うむ、この世界の事を考えて行動できるお前達は素晴らしい奴らだ」

「嬉しいこと言ってくれるなーありがとネロ。このメンタルは死んじゃったけど海晴にもらったんだよ」

「ああ、あの死んだあやつか、影響力のある男だったのだな」

「一緒にいたら別になんとも思ってなかったんだけどな、いなくなったらあいつの影響とか大切さとか、、ん、、」

 思い出したら目頭が熱くなってきた。。

「親友だったあいつの、大切さとかさ、なんか、、、すげーーー、感じた、、」

 俺の目の景色がいつの間にか涙で霞んで見えなくなった。。

 ネロがふわっと俺に尻尾を掛けてくれた。

「海晴か、一度あってみたい男だった、ニケとビアも海晴のことを本気で悲しんでいた」

「そうか。。」

 俺は涙を拭った、いつまでも泣いて悲しんでる俺を海晴が見たら『翔陽いつまでも何やってんねんアホか』って言われそうだ。。

 涙を流してる俺をお前は良いって思わねーよな。。

「エック、、どこにいったんだろうな、、」

「それは我に思い当たる場所がある」

「そうなのか?どこだ?」

「死の谷だ、我はもう何年もエックと一緒にこの森を守っていたのだ。エックの考えることは大体分かるのだ」

「へーーニケとビアみたいなものか?」

「ああそうだ、ずっとエックと一緒にいたのだ」

「じゃあなんでネロは思い当たる死の谷に探しに行かなかったんだ?」

「我がエックを探してこの森を出たら神様である猫守びょうしゅ様を守るものがいなくなるではないか」

「そういう事か」

「でももう今そんなことを言ってる場合では無くなったがな」

「だな!エックを見つけて神様にも帰ってきてもらってこの世界も元通なる、簡単だろ?」

「っはっはっは!い考え方だな、その様な考え方は好きだぞ」

「ありがとな!これも海晴の影響だよ」

「そうか、惜しい男を亡くしたの」


 俺たちはだんだんと朝が近づき、赤く染まっていく空を見上げた。

 星が消えて三日月が珠色の空の上に浮いている。

 さわさわさわっと風で草木が鳴ってる。

 こんなにも自然豊かな森なのになぜか静まり返ってる。

 俺は少しだけ違和感を覚えた。

「なんで鳥の鳴き声も何もしなんだ。。」

「翔陽、お主には何も聞こえぬか、この森が死んでいくこの音が。。」

「え。。?」


 ザワザワザワっと風が強く木々を揺らし始めた。。


「何かくるぞ」

 ネロのその言葉の後、俺は山の方から向かってくる何かを見つけた。

 森の木々がバサバサと揺れてる。。。

 その揺れはどんどんとこっちへ迫ってくる。

 生き物が木々を揺らしてる感じじゃない。

「風か。。?」

 突風が俺たちの方へと迫ってきてる。。

 木々から葉っぱを巻き上げながら風の壁がこっちに向かってきてた。

「なんだよあれ?」

 つぶやく俺の目の前まで突風は迫ってる。

 そしてビュゥウゥーー!っと俺を突風が吹き抜けていった。

 

 淡い朝の光が包み込む広場を吹き抜ける風。

 紺色と朱色の重なる空の中で三日月は俺とネロを優しく見守っている。

 色とりどりの花が咲く草原を吹き抜けた風は、その花々の花びらを宙に舞い上げた。。

 俺の周りに色鮮やかな花びらが舞っている。

 その時、朝日が顔を出した、薄い朝靄に光芒が差し込んだ。

 俺の周りで舞上げられた花びらに朝日が照らしキラキラと輝く。。



 。。。



「すげぇ。。」



 信じられないくらい美しくって儚いその光景に俺は驚くことしかできなかった。。

 

 景色に見惚れる俺。。


 。。。


 花びらがひらひらと舞い落ちて地面に着いていく。。


 。。。。


 美しい景色を見た驚きの後、俺はその後の景色を見て寂しさと悔しさに襲われた。


 この住処のある草原の花々は全て散って、周りの木々まで枯れていた。

「え?なんでこんな。。」

「ニケだけだとこうなるのだ。。」

 ネロは座ったまま立ち上がらずに登ってきた朝日を眺めた。。

 ネロの目に悲しみが溢れてる。。


 全てが枯れて鮮やかだった草原が茶色に染まった。。


「くそ、、絶対この世界の全てをこんな事にはさせねぇ!」

 俺が心を決めた時!

 ッホッホッホッホッホッホ!

 何かの声が響いた!

 ドンドンドンドンドンドン!

 何かを叩く音がする!

「ネロなんの音だこれは!?」

 嫌な予感しかしない!

「わからぬが、これは猿どもの気配?」

 スッとネロも立ち上がった。

 

 ゴゴゴ、、

 なんか奇怪おかしい音がした。。

 まさか。。

 バキィバキバキ、、

 ゴゴゴゴゴゴ、、、

 俺たちの真上の山の側面が滑り出した!!

「嘘だろ!?地滑り!?」

「なんてことだ!」

「ネロ下の皆んなを連れて逃げようぜ!あんなの俺たちじゃどうにも出来ない!!」

「ああ、そうだな」

 俺達は大石の棲家の入り口の前へ飛び降りた。

「ネロ?翔陽?」

「なんの音だい!?」

 ニケちゃんとビアが駆け出てきた!

「地滑りだ!」

「逃げるぞ!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 地滑りがすぐそこまで迫ってる!!

 俺は小春とヴェルさんを連れていかないとって気持ちで棲家の中に飛び込んだ!

「翔陽くん?」

「翔陽!?」

「逃げるぞ!地滑りだ!?」

「地滑りですか!?」

 俺は説明している時間なんてないって気持ちで二人を抱えた!

 そして大岩の住処の中から飛び出した!!

 やばい!!

 もう枯れた草原まで地滑りが来てる!!!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

 俺は二人を抱えたまま逃げる様に駆け出した!

「なんだっちゃあれ!!!」

 ヴェルさんが驚いてる!

 ふわっとヴェルさんは飛び始めて俺の手の中から離れた。

 ッザッザッザッとニケちゃんがビアに乗って横に来た。

 ネロもいる!

「ニケちゃんと目があった!」

「翔陽!横へ!」

 そういうとネロとビアは90度方向を変えて横へ走り出した!

「そうか!」

 俺も続いた!

 下に逃げても追いつかれるだけだな!

 土砂の流れの下から脱出しないとな!!


 俺たちの横から土砂が迫る!!

 ガガガッと大岩の棲家も土砂に飲み込まれた!

 バサバサっと俺達は森の中に飛び込んだ!!

 俺達は森の中を必死に駆ける!

 木々の間からも迫る土砂や岩が見える!

 もう少しだ!

 そしてもう少しで巻き込まれてしまう!!

「っくっそーーーーーー!」

 俺は全力で足を動かし最後に思いっきり飛んだ!!!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 俺の飛んだ足の先を掠めて土砂は流れていった。。


 ゴゴゴゴゴオゴゴゴ。。。

 土砂は俺たちを飲み込むことなく、逃げる俺達の後ろを過ぎ去った。。


「あ、危なかった。。」

 俺は小春をそっと地面に下ろした。

「翔陽くん、ありがとう」

「危なかったな。。」

「大丈夫だっちゃーー??」

 ヴェルさんやニケちゃん達も俺のそばに寄ってきた。

 ゴゴゴゴ、、っとまだ目の前の地面が流れていってる。。

 俺達は地滑りの光景を見返して息を飲んだ。

 ニケちゃん達も呆然と土砂崩れの跡を見ている。。

「なんてことだ。。」

「我らの住処が。。」


 花畑の広場もニケちゃん達の住処も地滑りに飲み込まれている。


 俺達は言葉を失った。。


 。。。。


 ゴゴゴゴゴゴ。。

 まだ地面が俺達の目の前を流れていく。


「これは勝手になったんだっちゃ、、?」

「雨も降ってないのにか、、?」


「これは自然のせいじゃない。。」

「一体なぜこんな事が、これは自然の地滑りじゃないよ、起こされて起こったものだ!許せないね、、!!」

 ビアが身を震わせて怒っている。


 ゴゴゴゴ、、ゴゴ。。

 ゆっくりと地滑りの流れが止まった。

 

 ッギャッギャッギャッギャ!

 生き物の声がする!!


 俺達は目の前に朝日の元に積み重なった土砂を駆け上がった!


 ッギャッギャッギャ!

 ッキッキッキッキッキッキ!


 何か黒い生き物が土砂の上を走ってる!

 それも一匹や二匹じゃない信じられない数の猿が走ってる。

 俺達は体を低くして猿達の動向を見守った。


 ギャッギャッギャ!

 猿達は一箇所に集まって何やら地面を掘り返したり辺りの匂いを嗅いだり。 

 地滑りの中からまるで俺達を探してるみたいだ。 

 俺達が死んだか確かめてるのか?

 それとも俺達を助けようとしているのか?

 っていうか俺の知っている猿よりも黒い。

 ヴェルさんが言っていたもじゃもじゃの僕っぽい黒い猿ってあいつらか?

 ってことは敵?

「あ。。」

 黒って。

 俺の脳裏に嫌な予感がよぎった。

 この世界もバランスを崩してる。。?

 もしかしてあのタトゥーの男がいたりするのか?

 あの野郎のせいだったりして。


 フルフルフル、、

 ネロが震えている。

 ッバ!! 

「お前達!そこで何をしている!!何を考えての狼藉だ!」

 ネロが叫んだ。

 怒りの限界を迎えたみたいだ。

 ギロリと全ての猿が一斉に俺達の方を向いた。

 信じられな数の光る目がこっちに向いた!

 怖!

「うちを襲ったのあいつらだっちゃ!」

 ヴェルさんも立ち上がってックっと臨戦体制をとった。

 黒い猿達を睨みつけた。


 ギラン!

 猿達の真ん中で大きな目が二つ光った!!

 大きな猿がこっちを向いて立ち上がった!

 ギャハッギャハッギャハッ!バンバンバン!

 っと真ん中の大きな大きな猿は手を叩いて笑った。


 それに続いてッキャッキャッキャっと全ての猿が笑うように沸き立った。

「なんか、あの真ん中のもじゃもじゃ。。うちと戦っと時と形が変わってるっちゃ」

「何?そうなのかい?」

「うん。あんな角みたいなの無かったっちゃ」

 確かに真ん中の大きな猿は黒いもじゃもじゃの長い毛に体どころか顔まで覆われている。

 人間のような立ち方をしているその猿はもじゃもじゃの毛の中から大きな大きな角が生えてる。

 不気味な気配を撒き散らす大きな猿は朝の爽やかな空気を完全にかき消した。

「彼奴ら!!許せん!」

 ビアが猿の群衆に飛びかかって寄ろうと身を低くして構えた!

 俺達は今からあの猿達と戦うのか?

 空気が緊迫している。

 あの信じられない数の猿と戦ったら二匹と四人の俺達もただでは済まない。。

「ビア、彼奴らと戦ってる時間はない」

 ネロがッダっと俺達の前に立った。

「エックを見つけないとこの森が死んでしまうのだぞ」

「エック。。」

 ニケちゃんが顔を伏せた。

「そうだ、俺はさっき森が死んだ瞬間を見た、葉っぱに花びらが全て散ったんだ」

「エックを探さないと。。」

 ニケちゃんが顔を上げた。

「エックはきっと死の谷にいるはずだ」

「あそこか」

「どこだっちゃ?」

「説明は後だいくぞ、翔陽達はわしらについて来るがいい!」

「わかった!」

「っちゃ!」

「ッキュ!!」

「行きましょう!」

 俺達はくるりと向きを変えて土砂を駆け降りた。

「ついてこい!」

 そう言うネロについて、俺達はエックのいるらしい死の谷へ向けて駆け出した!


 

 ーーーーーー タトゥーの男 ーーーーーー



 ックックックック。


 やっと向かいよった!

「お前らはあいつらを追いかけて足どめしとけ」


 ギィギィ!

「いい子やなぁ〜〜!

 ギィイ!

「いい子やからはよ行け!」

 ッギ!


「ほんで、お前はもう大丈夫なんやろな〜?」

「うん!大丈夫もうバッチリ!ほら!」


「お〜ほんまやねぇ!いいやんかぁ〜!じゃあちょっと待ちや〜。。ほら行ってこい」


 腕の中から何匹もの闇の蜥蜴を出して土砂の中へ放った。

 そして蜥蜴達が土砂の中から探し出して持ってきた物を女に渡した。


「うわ!これでバッチリーだよぉ!」

「じゃあ言った通りやるんやでぇ!そしたら、、ックックックック!」

「うん!っまっかしてぇ!じゃあ行ってくるねぇ!」


 ックックック、ほんまに愉快な女やなぁ。


 ほんまに楽しみになってきたわ。


 俺はしっかり力を溜めとかんとなぁ!


 楽しみにしときやぁ!




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