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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第二章 神秘の森
77/110

生命の強い森って素晴らしいな



 どれだけ呼びかけても。


 どれだけ起こそうとしても。


 海晴は起きなかった。。。




 ーーーーー 横山 翔陽 ーーーーーー




 ピピピピピ、チチチチチ。



 鳥が鳴いてる穏やかな泉の中をザブザブと泳いで海晴を岸へと引っ張るヴェルさんが見える。。


 俺達がいるのは森の中の水の綺麗な泉の中。。

 揺れる木々の間から泉へと木漏れ日が降り注ぎ、風が撫でる木の葉の動きと同調して光もサワサワと揺れている。

 漏れる木漏れ日がキラキラ光ってる。


 生まれたばかりであろう新緑の緑が強い。。

 太い神木の様な周りに美し泉が広がる、水が澄んでいる。。

 なのにそこが見えない。。

 太い神木の木に俺は気を取られた、信じられないくらい凄い力を感じる。。

 もうきっと何百年と生きているであろうその木なのに俺は新たな力の息吹を感じた。

 歴史の有りそうな木なのに衰えなんてなくって若々しさすら感じる。

 見たことないほど太い幹、こんなに太く育つまで千年以上生きてるはずなのに。。


 泉の周りの木々も太い。

 苔が幹に生えて光を浴びた木々。

 力強い。。

 木々達は生命に満ち溢れてる。。


 なんて力強い森なんだ。


 俺は飛び出てきた泉の水の中で体を浮かせて、その森の命のエネルギーに感動した。。


 バシャバシャ!!

 その木漏れ日の中をヴェルさんが必死に泳いでいる。。

 ニケと名乗る女も白狼を支えるように泳いで岸に向かっていた。

 海晴!

 小春!

 あれ?小春はどこだ? 

「小春!?」

 俺は小春を呼び辺りを見渡した!

「翔陽君!」

 突然の背後からの声に俺は驚いた、けどすぐ小春の声だとわかった。

 振り向く俺、小春が俺の側に泳ぎ寄ってきた。

「海晴君大丈夫かな?」

「どうかな。でもやばそうだったよな。岸に上がって俺達も海晴のとこへ行こう」 

「うん」 

 俺と小春は、海晴を引っ張るヴェルさんを横目に近くの岸へと泳いで向かった。

 泳ぐと身体が痛い、、何箇所も体を痛めてる、でも、今はそれより海晴だ。。

 俺は体の痛みに負けず俺は泳ぐ。


 俺達が岸にたどり着いた時にはすでにヴェルさんは海晴と苔むした岸に辿り着いていて、海晴は頭だけ岸に上げ、体が水に浸ってふわりふわりと水と共に揺れていた。

 その海晴の側でヴェルさんは膝をつき覗き込んでいた。


 ヴェルさんは俺達に背を向けている。

 海晴がいったいどうなっているのか分からない。

 近くの岸に上がった俺達は柔らかい苔の生える岸辺を思いっきり蹴り出し、痛い体の事なんて忘れて思いっ切り駆けた!!


「海晴!!!」

「海晴君!!」


 俺達は海晴の名前を呼んだ!


 いつもは呼んだら絶対反応する海晴に全く反応がない。


 肩を落とすヴェルさんを見てると悪い予感しかしない。。


「海晴!!大丈夫か??」

 俺と小春はヴェルさんの横に滑り込む様に駆け込んで膝をついた。

 海晴。。

 全く動く気配がない。。

「おい!!海晴!!!」

 俺はザブンと海晴の沈んだ肩を掴み揺すった!

 全く反応の無い海晴。。

「ヴェルちゃん。。」

 海晴に小春が声をかけた。

 小春の声に反応したヴェルさんはこっちを向いた。

 ヴェルさんの大きな猫目から涙がボロボロとこぼれ落ちている。。

「ダーリン、息、してないんだっちゃ、脈も、、ないっちゃ、、」


「うそ、、だろ、、」

 俺はヴェルさんの言葉を信じられなかった。。

 慌てて海晴の呼吸と脈拍を調べた。

「うそだろ、、」

 脈も呼吸も無い。

「海晴、、」


「ねぇ、、ダーリン、、ねぇ、、」

 ヴェルさんが海晴の頬を優しく触る。


「ダーリン、、ダーリン、なんで、、なんで、なんでだっちゃーーー」

 ヴェルさんはバチャリと海晴に倒れ込んで覆い被さった。


「うわーーーーーん!ダーーーリン、えーーーーーーん!!」

 ヴェルさんの涙が海晴の顔にポタリポタリと落ちる。

 顔をしかめて泣き崩れたヴェルさん。。


「海晴君。。」

 小春は顔を両手で隠してポロポロと涙を流していた。。

「おいおい!海晴!おい!死ぬなよ!!」

 俺も呼びかけても全く海晴は反応しない。。

 俺の頬にも涙が伝っていく。



 どれだけ呼びかけても。



 どれだけ起こそうとしても。



 海晴は起きなかった。。。




 どれほど俺達は泣き続けたんだろう。



 一時間。


 二時間。。



 時間が分からないほど泣いた。




 俺達はただただ海晴の死を悲しむばかりで、何も、できなかった。。






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