出逢い編 親友って素晴らしい
オレンジ色に染まる街を眺める。
屋根屋根がキラキラと夕陽で乱反射し街がオレンジ色に光っている。
ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー
「ねぇ起きて。うちお腹空いたっちゃ。」
。。。
うーーーん。。
優しい声が耳元で聞こえた。。
ちゃって?
ラムちゃん?
なで。なで。なで。
なんか頭を撫でられてる感覚がある。
いい匂いや。
それに頭を撫でられるって。
いいな。
落ち着く。
『コラーーー!ダーリン!何やってるっちゃ!!』
まだアニメの音が流れてる。
ヴェルって宇宙人の女の子はまだアニメ見てるんか。
はーーーーーー。
よく寝たなって感じがあるけど。
今何時やろ?
ずっとこのまま撫でられたい気持ちもあるけど。。
今呼ばれた気がしたしな。
起きるか。。
すーーーーーー。。
はーーーーーー。。
大きく息を一回吸って。
吐き出す。。
そしてゆっくり目を開ける。
横向きに寝ていた俺はやっぱり撫でられてた。。
上を見上げると宇宙人のヴェルがいる。
見上げてもなお可愛い。
まだ、頭をなでなでされてる。
いつの間にか俺はヴェルに膝枕されてた。
いつからやろ。。?
これ人生初膝枕なんやけど。
なでなで。。
あーーーー。。
いいな。。
膝枕ってめっちゃいい。
いい匂い。
人の暖かさ。
安心する。
幸せやなぁ。。
「あ!起きたっちゃ?うち。。お腹空いたっちゃ。」
うち?ちゃ?なんか喋り方違うやんか。。
でも、アニメのラムちゃんの真似をしてるんだろなってなんと無く分かる。
前の姿もアニメの真似やもんな。
ははは!
なんか。
それすら可愛く感じる。
なんで、こんなこの女の子の一言一言が可愛く感じるんだろう。
この聞きなれないラムちゃん語もなんか嬉しく懐かしく感じる。
この感情は一体なんやろ?
俺はなんでかラムちゃんの喋り方を聞いて喜んでいる気がする。。
なんでやろ。。
何故か変な気持ちになるの何回目やねん。
ん。。
体を起こして起き上がる。
「どうしたん??」
目を擦りながら俺は聞いた。
「おなかがすいたっちゃ。。」
「ん。どんなの食べたい?」
「うんーーーっとね。牛丼!!」
「牛丼?」
「一回食べてみたかったんだっちゃ!牛丼一筋300年だっちゃ!」
あーー。多分、昔のアニメのやつか。
冷蔵庫に牛肉と玉ねぎあるから冷蔵庫の食材で出来るかな。
男の俺でも一年の一人暮らし、節約生活で簡単な料理はそれなりにできる。
「わかった。ちょっと待ってな。」
「うん!」
キラキラした目で元気に返事するヴェル。
はーーーー。。
またいい顔で返事するなー!
可愛すぎる。
俺は立ち上がって窓の外を見る。
かなり日が傾いている。。
めちゃくちゃ寝てたんやなー。
そんなに朝疲れたんかな?
俺ってなかなかこんなに長く寝るって無いんやけど。。
普通しない体験して疲れたんかな、ほんまに変な一日やったもんな。。
キッチンに向かおうと立ち上がりテーブルの方を見ると。
なんかクシャクシャっとゴミが散らかってる。
テーブルの上のゴミは魚肉ソーセージのゴミだった。
魚肉ソーセージ。。
全部食べられてる。
10本くらい。
はは!
めちゃくちゃ食べるな!
キッチンに向かう途中でそのゴミをヒョイっと拾いゴミ箱に捨てる。
キッチンに入るとまず、お米をといで炊飯器に入れてスイッチオン!
牛肉をレンジで解凍、解凍してる間に。
玉ねぎを切って。
醤油 酒 砂糖 みりんを砂糖が溶けるまで混ぜておく。
玉ねぎをフライパンで炒め。
きつね色になったら、ちょうど解凍できた牛肉をぽん。
牛肉にも火が通ったら混ぜておいた調味料を入れて一煮立ち。
あーーー。
いい匂い。
俺もお腹すいた!!
できた牛丼の具を炊き立てのご飯の上に乗せて出来上がり。
めちゃくちゃ簡単。
さらにケトルにほうりこんで作っておいた温泉卵を乗せて完璧!
この一年の生活費ギリギリ一人暮らし成果もあって簡単な男飯なら作れる様になった!
お湯入れるだけのやつやけど、味噌汁も一緒に。
そういえばずっと流れてたアニメの声が聞こえないな。
俺が顔をあげると、ダイニングキッチンに齧りついてるヴェルがいる。
アニメの音が聞こえないと思ったらちゃんと一旦停止してあった。
ヴェルは料理を作る姿の俺をじっと見ていた。
いや、どっちか言うと作られていく料理をかな。
「美味そうじゃのう。。。美味しそうだっちゃーーーー!」
「はは!ヴェル、今、夜一さん出てきてたやろ!」
「うん、出てきたっちゃ。長い間うち夜一さんばっかしてたから癖になってるっちゃ。」
「ははは!その前は誰やったん?」
「その前はね、ナミだっちゃ、その前がうさぎちゃんだっちゃ!」
「ああ!ワンピース!あとあの!セーラームーンの!」
「そうだっちゃ!月に変わってお仕置きだっちゃ!だっちゃ!」
「ははは!めっちゃやってきたんやな!」
「だっちゃ!ねーーそれよりうちお腹すいたっちゃ。。」
牛丼から目が離せないヴェル。
目をキラキラさせて、口全開で今にもよだれを垂らしそうや。
「わかってるって!これ机に持って行って」
牛丼を入れた丼をヴェルに差し出す。
「わかったっちゃ!」
牛丼を運ぶヴェル、俺もお箸と味噌汁を持ってついていく。
準備オッケー!
「いただきます!」
「いただきますだっちゃ!」
ぱくっ!
「うーーまいーーー!」
クセが無くって甘みがある玉ねぎ、牛肉にはつゆがしっかりと浸み込んでいる。
口にご飯と一緒に放り込んで一噛み!
玉ねぎの甘みと牛丼のコクがじゅわっと染み出てきて口の中に味が染み渡る!
口の中は、牛肉と玉ねぎ!うま味だくだく、ヨダレだくだく!
ハンパなく美味い!!
店で食べるより俺の作った牛丼の方が120%美味い!
ほんまに美味い!!
「おーーーーーいしいっちゃーーー!!!」
ガツガツガツガツ!!!!!
はは!
がっつき過ぎやろ!
にしても今回の牛丼美味いよなーーー!
すぐに二人の丼が空になってしまった!
キッチンサッと行ってご飯の上にまた牛肉を乗せて。
「はい。おかわり。」
俺とヴェルの分の丼を机の上に置く!
「ありがとうだっちゃ!」
がつがつがつ。。。
あっという間に二人のおかわりも空になる。
ふたりでお腹いっぱい食べて幸せ。
取っておこうと思っていたご飯も牛丼の具も完食!
「ぷはーー!お腹いっぱい!ありがとうだっちゃ。こんな美味しいご飯うちの星には無いっちゃ!」
「よかった!俺もお腹いっぱいやわ!」
「あーーってかさ。起きてから聞き逃しててんけど。なんで話し方急にラムちゃんになってるん?」
「それはもちろん!可愛いからだっちゃ!」
お、おう。
まぁなんと無くそうだろうと思ってたけど!
「そうだ!これも。。ラムちゃんにするっちゃ!ちょっとそっち向いとくっちゃ!」
ヴェルはちらりと自分の服を確認したら、壁の方に向かってヴェルは指を刺した!
自分の衣服をマジマジと眺めながら立ち上がるヴェル。
「なんで?」
「いいからそっち向いとくっちゃ!」
「わかった」
俺は言われるがまま後ろを向く。
「えい!」
トン!バサッ!
何か軽く飛ぶ音と布をはためかせる音が聞こえる。
トン。
「もうこっち向いていいっちゃよ」
俺は振り向く。
「え?」
俺は目を疑った。。
そこには正にラムちゃんの格好をしたヴェルがいる。
めちゃくちゃ似てる。
虎柄ビキニの虎柄のロングブーツ。
頭にあるのは角じゃなくて耳だけど。
「ラムちゃんに似てるなーーー!」
思わず言ってしまった。
それにしてもヴェル。
スタイルめちゃくちゃいいな!
途端にビキニの様な姿になったから、ヴェルのスタイルがはっきりとわかった。
俺は思わず、恥ずかしくなってすぐに目をそらしてしまった。。
けど。。
しかし!
しっかり確認した!
こんな時の俺の一瞬の集中力を褒めてやりたい。
スポーツの時に集中力を最大に高めて挑むと、大切な一瞬がなんと、時間の流がゆっくりになり、全てがスローになると言う。
俺もよくそんな事がある。
俺には集中力があるって事や。
まさにその集中力が今!
まさに今!
発揮された!!
首をそらしながらも俺は時間がゆっくり動いてる様に感じて、確実にヴェルのスタイルを確認していた!
さすが俺!!
集中力の鬼!
それにしてもヴェルのスタイルは良すぎてエロさを通り越してる!
マジでモデルみたいなスタイル!
くびれとか太腿とかいい!
胸もなかなかあるし細すぎないし太すぎない長い脚。
やばいな!!
なぜか虎柄ビキニが黄色じゃなくて白いけど。
これやったらホワイトタイガービキニやな。
ロングブーツもホワイトタイガー!
「ね?これ可愛いっちゃ??」
あ。見惚れてしまってた!
「あ、ああ、めちゃくちゃ可愛いわ!!ほんまもんのラムちゃんみたいやん!」
「ふふ!ありがとだっちゃ!化粧も夜一さんから変えてみたっちゃ!」
あーーだから。
顔もなんか似た様に感じたのか。。
「何で黄色じゃなくて白色なん?ラムちゃんは黄色やん。」
「だってうちの髪の毛の色が白色なんだもん!こっちの方が似合うっちゃ!」
ヴェルが後ろを向き軽く髪をかきあげる仕草をする。
「確かにそっちの方が合ってる」
ふわっと髪が舞いはらりとヴェルの背中に戻る。
「ほんまにめちゃくちゃ可愛いな」
あ、やば!心の声が漏れてしまった!
俺は完全に目を奪われている。
「ほんとだっちゃ?嬉しいっちゃーーー!」
ヴェルが俺に飛びついて来ようとする。
したら突然!
バンッ!
なんの予兆もなく突然!
玄関扉が開いた!
「おーーい!いるか?海晴!!なんで今日海来な。。い。。んだよ。。。」
お。。。
おお。。。
部屋の空気が凍って動けない。
「なんだと!」
ダダダ!
扉を開けた男がヴェル駆け寄ってくる。
「なんでお前の家にこんな可愛い人がいるんだよ!」
「何でって、、そ、それは」
俺が困ってる間にずいっとヴェルの前に立った!
「海晴に騙されてこんな所に来てしまったんですね、安心してください俺が助けますよ!それに、こんな奴より俺の方がいい男ですよ!」
キラリと歯を光らせて、ヴェルに向かって笑った!
パコーーーーン!
「アホか!何訳わからんこと言ってんねん!」
「ねぇ、この人は一体誰だっちゃ?」
「ああコイツは、俺の親友の、、」
バッと前に割り込まれ言葉を遮られる。
「俺は横山翔陽!海晴と同じ大浜高校もうすぐニ年!強くて優しい総合格闘技の異端児!サーフィンも出来る!よろしく!」
翔陽はヴェルに手を出して握手をした、で、その手をブンブンと嬉しそうに手を振ってる。
はぁ、仕方ないな。。
俺は翔陽の隣でちゃんとした自己紹介をしてあげようと話始める。
「ヴェル、こいつは、女の子大好き、総合格闘技してて、モテるためにサーフィンをブッ!!」
翔陽に右手の肘が俺の鼻に刺さる。
「ぐは。。いってぇ。。」
「なんで俺が女の子大好きなんだよ!」
「翔陽めちゃくちゃモテてるやんか!」
「モテるのと女の子大好きは違うだろ!」
「ああ。まぁそうか。」
「毎日俺と一緒にいるんだから知ってるだろ!?」
「そうやな!知ってる!」
「じゃあちゃんと俺の事紹介してくれよ!」
「翔陽良い所いっぱいあるもんな!」
「そうそう!それそれ!どんどん言って!」
「うん。。そうやな。。 だが断る!!!」
「おい!なんでだよ!!」
「あははは!!面白いっちゃ!あはははは!岸辺露伴だっちゃ!!!」
ヴェルが二人のやりとりを見て笑っている。
「これが地球の漫才だっちゃね!」
「漫才ちゃうわ!」
「え?そうなんだっちゃ?」
「ところで。お嬢さんはお名前はなんとおっしゃるのですか?」
翔陽がヴェルの名前を聞いた。
「うちはリム・ラヴェル。ヴェルって呼んで欲しいっちゃ。宇宙人だっちゃ!あ!でもラムでも良いちゃよ!」
ヴェルはとびっきりの笑顔で返す。
「ちょっと待って!ラムはないやろ!名前までアニメと同じって、、」
「え?ラムでいいっちゃ!リム・ラ・ヴェルで、ラもムもあるっちゃ!」
「それやったら、ムラちゃんだろ!」
「ムラちゃん。。なんでだっちゃ!それは可愛くないからダメだっちゃ!やっぱりラムちゃんだっちゃ!」
「無理やりすぎるって!」
「ニックネームっていうのはそういう物だっちゃ!」
「え、ちょっと待って、ヴェルさんは宇宙人?」
急に宇宙人とカミングアウトされ驚きを隠せない翔陽がヴェルに確認しようと質問した。
「だっちゃ!崩壊していく地球と宇宙を治しに来たんだっちゃ!」
「はっはっはっは!ヴェルさんは面白い人だなー!そんな映画みたいな事ある訳ないだろ!ほんとのアニメから出てきたみたいだな」
「これは冗談じゃないっちゃ!本当に本当だっちゃ!」
「えーー、いやいや!ないない!ヴェルさん可愛いのに!こんな可愛い人が宇宙人なんて!宇宙人ってのはさ、銀色で目が大きくて頭でっかくて顎がシュッてなってて!身体はヒョロヒョロのやつなんだよ!?とにかく可愛い訳がなくて。まぁとにかく宇宙人って言うのは光の中から降りて来て、牛とかを連れて行ってさ!それで。それで。。とにかく!それがこんな可愛い人が宇宙人だなんて!」
「でもうちは!宇宙人だっちゃ!」
何回、可愛いって言うねん。
今日はテンション高いし、それにめちゃくちゃ混乱してるな。。
翔陽の身長は高い191cm、笑顔でいる時間が99%なんじゃないかと言うほど毎日楽しそうな奴、短髪でいかにもイケメン!
ヴェルと宇宙人についてわいわい話してる。
「そう!ヴェル。改めてこいつは俺の親友の翔陽。ほんまにめっちゃいい奴やねん!中学の時は総合格闘技で優勝してる!やし運動神経マジ半端ない!一緒にやってるサーフィンもめちゃくちゃ上手くなってる!!」
この爽やかイケメンめちゃくちゃモテそうやのに、ってか実際モテるのに彼女出来ひん。
何でかは知らんけど!
少し俺はヴェルが惚れてしまわないかすこーーーし心配になってる。
いやマジでこいつはすごい奴やからな。。
子供の頃からから総合格闘技をしてて今でも超高校級、なのにも高校入ってから俺と一緒に海に行くようになって、サーフィンを始めた!
毎日早朝の学校に行く前一緒に海へ行く!
SUPサーフィンもできる。こっちも飲み込み早くってすでにかなり上手くなってる!運動神経がもはや超高校級や。
まぁマリンスポーツでは俺は翔陽に負けへんけど。
俺も今まで運動神経の塊だと言われ続けて来た俺が初めて認めた男。
総合格闘技の日本期待の星とやらで雑誌とかもたまに出てる。
イケメン格闘家特集とかってさ。
人も良くってさ。。
俺が高校でこっちに来て、初めてのこの土地でなかなか学校や友達に馴染めなくって。
そんな俺に翔陽がめちゃくちゃ明るく接してくれた。
運動神経良くって人まで良いとか完璧すぎるやろ。。
ほんまに翔陽のおかげで俺はこの土地に馴染めたと行っても過言ではない。
今笑ってられるのも翔陽のおかげやと思う。
初一人暮らしで大変やったけど!きっと翔陽がいないと俺はもっと辛い一年やったやろな。
まーーだから俺は親友だと思ってる。
恥ずかしいから本人には絶対言わへんけど。
「おーーーーい!!海晴!!」
ズンズンズン。。
ヴェルと楽しそうに喋ってたその翔陽が俺の方へ近寄ってくる!
「かーいーせーーーーーい!お前どーこでこんあ綺麗な人知りあっあんだよ?そしてお前。。。部屋で二人で何をしてたんだよ????」
翔陽が物凄い形相で歩み寄ってくる!
羨ましいじゃねーかコノヤロウ!と言わんばかりの形相で寄って来た!
近づいて俺の顔を覗き込んできて肩に手をポンと置く。
そして一言。
「ま何もしてないんだろうけどな!はは!」
途端に笑顔になる。
ただふざけてプレッシャーかけて来ただけかい!
ドキドキしたわ!
「うるさいわ!」
アホな翔陽のボケにとっさにツッコミはしたけど。
さっきまでヴェルに膝枕してもらって寝てた事は口が裂けても言えへんわ。。
「翔陽待つっちゃ!今日ね!海で溺れてたうちを助けてくれたんだっちゃ!」
「なるほど。。そう言う事だったのか!、流石は海晴だな!海といえば海晴だもんな!うん。助けたは良いとして。。。ヴェルさんはどうして海晴の部屋へ?」
「うちの宇宙船、、今海の中なんだもん、帰れないっちゃ」
「ヴェルさん!だからと言って男と女が同じ部屋に二人でいるなんて。危ない!海晴に襲われたらどうするんですか?」
「せんわ!!!」
「うちら夫婦だからいいんだっちゃ!」
俺が否定した同じタイミングでとんでも無い事を口走るヴェル。。
「「はぁ??」」
「おい!海晴!」
「いやいやいやいや!何でやねん!何もしてへんで!夫婦とか今初めて聞いたし!いつから夫婦になったんよ!??」
あ!そうか!
アニメのラムちゃんの設定が頭によぎった。
「ヴェル!それはアニメに影響されすぎ!ラムちゃんの設定真似してどうするねん!!」
「だってキスしたっちゃ。うちの星ではキスは夫婦の約束と証だっちゃ。」
「なぁーーーーに!!!海晴お前!!」
「いやいやいや!違う違う!!ヴェル!!だからあれはキスじゃなくて人工呼吸!人工呼吸せんかったらヴェル死んでたんやで!翔陽も違うで!!俺がしたのは人工呼吸やからな!」
「ああ。。ヴェルさん溺れてたんだもんな、っそういうことか、、」
「あ!それ!すごい良いっちゃ!キスでうちを死の淵から救ってくれるなんてロマンチックだっちゃーー!」
ヴェルはどっかを見上げて目をキラキラさせている。
「何でやねん!おいヴェル聞いてるんか?」
「命を助けるキスで婚約、結婚、素敵だっちゃ、、」
「おいって!ヴェル!」
全く俺の声に反応がない。。
あかん。
今何言っても聞く耳持ってない。
「俺はなんとなくわかったよ海晴」
翔陽がニヤリと笑い俺の肩を叩く。
「でもキスした事実は変わらないけどな!」
ニヤリ。
「何でやねん!!だから違うって!!」
「ハイハイ。わかったわかった!はははは!」
くそ翔陽絶対これからいじるネタにしてくる気満々やな。。
「はーーーーーー」
俺の口からため息がこぼれ落ちた。。
「ヴェル。。それでさ、乗ってきた宇宙船は海の底なん?」
「だっちゃ!」
「で、その宇宙船はまだ使えるん?」
「たぶん大丈夫だっちゃ!そんな簡単に壊れる宇宙船じゃないっちゃ!」
「そうやんな!宇宙船やしな!宇宙を渡ってきたんやもんな!っていうかさ。ヴェルはなんでさ、宇宙船から放り出されて、海の中にいたん?」
っていうか、あの不思議な宇宙の様な世界もヴェルは見て覚えてるんかな?
「うーーーん、分からんちゃ!うち宇宙船から出た記憶が無いんだっちゃ。いつのまにか海の中にいて、助けてもらってたっちゃ!」
「記憶がないって、どうやって地球に入って来たん?って、あ、、もしかして。。」
ヴェルに目線を向ける。
顔を伏せて両手の人差し指をチョンチョンと当てているヴェル。
「もしかして着陸出来ず墜落したのか??。。。って事はあの津波の様な大波は宇宙船の墜落で起きたのか?」
俺はジロリとヴェルを見る。
「う、うん多分そうだっちゃ!」
「じゃあ俺が津波を受けて死にかけたのはヴェルのせいやんか!。。。 っていうかなんで宇宙船の着陸もで出来ひんのよ?」
「だって。。誰だって千日も自動運転で何もしてなかったら忘れるちゃ!」
「どうせアニメばっか見てたからだろ。。?」
「そうだっちゃ!アニメで頭いっぱいで忘れたっちゃ!!」
「そうか。アニメ面白いもんな!じゃあしかたないなって。。っおい!!!」
「っぷ!あはははは!」
「あーっはっはっっはっっは!!」
ヴェルと翔陽が笑ってる。
ずっとアニメ見てたから忘れたとかアホすぎやろ!
まぁでもずっとここに要られてに困るしな。。
宇宙船なんとかせんとなーー。。
「じゃあ明日海行って宇宙船救出しよっか!じゃないとヴェルがずっとここに居ないといけなくなるしな!!宇宙船回収必須!!な!翔陽!」
笑ってる翔陽に声をかける。
「おう。そうだな!明日は朝波ありそうだし波乗りしてその後かな!」
「ねぇ。宇宙船が復活してもうちはここにいるっちゃよ?」
「なんでやねん!高校生が同棲とかあかんやろ!」
「だってもう夫婦なんだもん。もう離れたくないんだもん!」
もう離れたくない。
会ったばっかりなのに離れたくないって言葉が妙にしっくりきて何も言い返せなかった。
何なんやろうこの感覚。
今日会ったとは思えない奇怪しな感覚。
「なら俺も今日は泊まるぞ。ヴェルさんと海晴に何かあるかも知れん!!」
スパーーーーーン!!
「何もないわ!」
見事なツッコミが決まる。
「うちは別にあってもいいっちゃよ!」
「やかましいわ!」
「うーーーせっかくのハネムーンなのに。」
「ハネムーンじゃない。ハネムーンの意味って知ってる?新婚旅行なんやで!これ100パー新婚旅行じゃないし。まず俺ら新婚でもない!」
「はははは!地球て楽しいっちゃ!漫才だっちゃ!」
「漫才ちゃうわ!」
「あははは、楽しいっちゃ!」
「はは、ははははは!」
まぁ確かに楽しい!
「ハネムーン漫才だっちゃね!」
「ハネムーンちゃうって!」
プルルルル。
いつのまにか翔陽がどこかに電話してる。
「っておい翔陽聞けよ!!」
「むーーーーー。。!!」
俺のハネムーンに対してのつっこみに不満そうなヴェル。
「もしもし。ああ母さん!今晩さ海晴の家に泊まるよ。で朝イチで海にも行こうと思う!。。。うん。晩飯は自分でなんとかするよ。。。。うん。ありがとう!ああ。わかった!」
「海晴!母さんが代わってって。」
「もしもし」
「あ?海晴?いつもごめんね。今晩いいの?」
「もちろんです!」
「じゃあ今晩お願いするわね。またうちにもごはん食べにに来てちょうだいね!美味しいご飯ご馳走しちゃうから!」
「はい!ありがとうございます!」
「じゃあね!」
「はい!」
プツッ!
電話を切る。。
「おい!翔陽!お前の母さんが帰って来いって!」
「嘘つけ!こいつめ!」
腕で首をガシって首絞めしてくる。
荒々しいけど手加減してて親友の証みたいで悪くない。
翔陽もめちゃくちゃ笑顔や。
「痛い痛い痛い痛い」
「ははは!」
それを見てヴェルは笑ってる。
「翔陽やめるっちゃ!そして今日は皆んなで仲良く泊まるっちゃーーーー!」
なんかヴェルも楽しそうや。
わかったから早く離してくれよ。。。
ってあれ??
翔陽にヘッドロックされながら俺は窓の外の景色に違和感を覚えた。
窓の外の空は夕方の太陽に焼けてオレンジ色になってる。
太陽が海の水平線へと近づき、その距離がどんどんと縮まる、その距離が夜までの距離。
まだ太陽は水平線の上にある。
まだ夜にはなってない。
なのにも関わらず。。
なんか暗い。。
窓の一部だけなぜか夜になっている様に見える。。
なんや?
空の一部分だけ夜になるなんてありえない。
暗闇の中に赤い星の様なものまで光っている。。
「ちょっ!待って待って!翔陽」
俺は翔陽の腕から慌てて首を引き抜く!
改めて窓を見る。。
やっぱり窓の一部だけの夜が。。
するとさっと夜が消えた。
「な。。」
「ん。。。??あれ??」
一部だけの夜が無くなった?
さっきまで変な黒い夜みたいなのがあったんやけど。。
今あるのは窓の外には水平線に近づいて行く太陽とオレンジ色に染まる空があるだけ。
いや空が夕陽でめちゃくちゃ綺麗でいんやけど。。
さっきのは一体何やったんや?
窓から見えた夜というか闇というか何か不穏なアレ。
アレは。。。
どこへ?
俺の気のせいだったんか?
気になる。。
俺はベット側にある大きな窓へと歩み寄って行く。
外を覗き辺りを見渡す。
やっぱり何もない。。
一体なんやったんや。。
訳分からん。。
しばらくオレンジ色に染まる街を眺める。
屋根屋根がキラキラと夕陽で乱反射し街がオレンジ色に光っている。
ほんまに綺麗な街やなーー。
この街が、この世界が崩れてしまうなんてほんまに考えられないな。。
「どうしたっちゃ?」
「どうしたんだ?」
ヴェルと翔陽が寄って来る。
窓の外を見ながら答える俺。
「いや。今。。」
ッダン!!!
「うわ!!!!!」
「ちゃ!!。。」
「えっ!!」
途端に窓に黒い闇の様な物が張り付き叩いた!!
仰け反るほど驚いた!
「なんだ今の???」
「なんなんだっちゃ??」
ヴェルと翔陽も驚いてる!
二人が窓際に慌ててさらに寄ってくる!
途端に張り付いた暗い闇の様なものはぶつかって落ちたのかその窓にはない。
あるのは遠くにもう半分くらい海に沈んだ、まん丸で真っ赤な太陽だ。
皆んなで窓から体を乗り出しさっきの窓にぶつかった物体を探す!!
「あ!あれなんだ???」
翔陽の声でが響く!
指を刺す翔陽!
アパートの雨樋から水を落とす縦樋に何か黒い長いものが巻きついている。
「蛇?だっちゃ??」
「でっか!!」
それは闇の様に真っ黒で目が赤く光る蛇やった。。
あれが窓の外から覗いていたのか!理解できた。
闇の様に黒い蛇は口を開きこっちを見た。
蛇は赤い目を光らせニヤリと笑った様に見えた。
「え?」
「蛇が笑ったっちゃ?」
「なんだ?あの気味の悪い真っ黒な蛇は?」
おかしな蛇や、あんなん見た事ないしこんな街中に蛇なんて、、
その真っ黒な蛇はスルスルっと縦樋を伝って降りて、縦樋の途中で隣の家の塀の方へと跳ねた!
塀に飛び乗りその塀の上をズルズルと這いずる巨大な闇の様な蛇。
そして真っ黒な闇の様な蛇ドスンと塀の向こう側の大通りに落ちる。
蛇は這いずりながらも目の前の車が行き交う大通りに出て行く。
蛇が道に出たら大きさがまたはっきり分かった、人間の子供なんてぺろりと飲み込みそうな大きさや。。
通行人は今はいない。
よかった。
キキキキキーーーー!!!
キキキキーーー!!
車が通りかかった!
蛇を轢きそうや!!
巨大な蛇を轢くまいと何台もの車が慌てて急ブレーキを踏み、、真っ黒な蛇を避けて行く。
車など関係ないと言わんばかりに横暴な態度で道を渡って行く蛇。
ギギキキキキキィーーーー!!!
蛇の側で相当な急ブレーキを踏む車!
ところが、そのブレーキは蛇を避けるために踏まれたものじゃない!
蛇を避ける為に対向車線に出た車を避ける為に踏まれたブレーキ!
「危ない!!!!」
ガッッシャーーーーーン!!!
ガン!ドカン!!
車同士が正面衝突をし、それでも勢いは止まらず二台の車は街路樹に打つかった。
それを見た蛇は、シシシシと悪い顔で笑う。
そこから闇の様な蛇は道のド真ん中で全身を使い、大きな円を作った!
太陽は今にも沈み、今にも夜がやってこようとしている。
ふっと陽の力が無くなり街全体かが暗くなった。
太陽が落ちた。。
黄昏の時間や。
陽が落ちた途端、蛇で作られた大きな円の中が黒くなり、空間が何か刺々(とげとげ)し始めた。。
空間が何か歪んで尖ったり引っ込んだりぐにゃぐにゃしている。。
シシシシシ。。
さらに楽しそうに笑う黒い闇の様な蛇、するとその蛇が作る円の中からいくつもの黒い物がババババババ!っと飛び出した。
黒い物体はものすごい勢いで空へ、四方へ散る、黒い物体を目で追いかけ空を見ると!
真っ赤に焼けた雲と紺色とオレンジ色の入り混じる夕焼け空に。
大きな黒い海月が浮いている。
飛び出した勢いが死に空からふわりふわりと、飛んでいるのか落ちているのか分らない速さで降りて来る海月。
いったい何匹いるのか数えきれないほどの数だ。
下ではどんどん蛇の作る円から海月が飛び出して行っている。
よく見たら小さな海月も空中に無数にいる。
黄昏の空をゆっくりゆっくりパラシュートが空から降ってくる様に降りて来る海月達。
大きな大きな傘を広げてふわりふわりと舞い降りていく、車も傘で覆い隠せそうな大きさの海月、真っ黒の蛇といい黒い海月といい、奇怪しな生物がどんどん現れる。。
「なんかあの海月、光ってないか?」
翔陽も目をパチパチさせて今見ている景色が信じられへんみたいや。
真っ黒な海月の触手はまるで、宇宙の星をいくつも捕まえて来たかの様にキラキラと光らせてる。
よく見たら海月の傘の中も真っ暗で、その、真っ暗な傘の内側も星がキラキラしている。
宇宙の一部を切り取った様な海月が降る夕焼け空。
それは見たことの無い幻想的な空を創り出している。
そして俺達は思いがけない出来事と向かっていく事になる。




