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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第一章 崩壊と運命
67/110

長い長い夜編 仲間に助けてもらうって素晴らしいな



 ああ。


 そうか。


 全てを一瞬で壊して無くして仕舞えば悲しむ必要も、苦しむ必要も無くなるのか。。


 そうか、それがこの世界を救うって事なのか。



 ーーーーーー 横山 翔陽 ーーーーーー



 ワンワンワン!!



 海晴が犬の大群に囲まれてる。


 海晴の腕の中にいるヴェルさんは力無く腕がだらんと垂れ下がってる。

 ヴェルさんの白い腕からポタリポタリと血が滴っていく。

 あの血は一体ヴェルさんの血なのか海晴の血なのか。。

 海晴の左の額から顔にかけて真っ赤に染まってる。

 その海晴の表情は見たことないほどに強張り、目には怒りが満ち溢れ、歯は砕けてしまうほどに噛み締められ、口角は強張りにより引き上げられ、怒りを噛み潰そうとしている歯が覗いている。


 その海晴と向かい合うのは信じられない数の犬、犬、犬!


 ワオォォォーーーーーーーン!!


 遠吠えと共に一匹の犬が海晴に飛びかった。

 その犬を蹴りで蹴り飛ばす。

 ギャイン!

 吹き飛ばされる犬と一緒に血飛沫もピシャッと宙に舞う。

 犬にやられたのか海晴の右半身は何箇所も噛まれたのか血が滲み、ズボンの裾から血が流れ出ている。

 脚を振った時に脚の血が飛沫となり飛んだのだろう。。


 ワンワンワン!!

 ギャンギャンギャンギャン!


 一斉に犬が吠え出した!!!


 大きな二匹の犬が間に出てきて海晴の左右から飛びかかる。

「ックッソ!!」

 ッガ!!ッドン!

 またも蹴り飛ばされ宙を舞う犬!

 しかし、飛び掛かった犬のうち一匹は海晴の左足太ももに噛みついてる。

 ヴェルさんを抱きかかえた左手の肘で思いっきり犬の頭へと降り下ろす。

 ギャン!

 犬がコンクリートの道へと叩きいつけられた。

 ハァハァハァハァ。


 海晴の息遣いが聞こえてくる!


 助けないと!


 俺の火の珠の力があればあんな犬なんて一気に爆破して驚かせながら突破できる!!


 海晴の背中は俺が守ってやる!!


 今俺が行かないと海晴がやばいだろ!!


 海晴!

 今助けに行くぞ!!

 地面を蹴って駆け出すんだ!

 俺!

 早く!!

 体を動かすんだよ!!!

 

 なのに!

 なのに!なのに!!なのに!!


 何故か俺は走り出す事が出来ない!

 体が動かない!

 なんでだよ!!

 海晴と叫びたい!

 なのに声も出ない!!

 なんでだよ!!!

 体がまるでこの世界に無いみたいだ!

 体の感覚が一切無い。。


 ワオォォォーーーーーーーン!


 一匹の大きな犬がまた遠吠えをする。

 その遠吠えに呼応する犬達。。


 ワオォォォーーーーーーーン!

 ワオォォォーーーーーーーン!


 ワオォォォーーーーーーーン!

 ワオォォォーーーーーーーン!


 何かやばい雰囲気だ。。


 ワオォォォーーーーーーーン!


 ワオォォォォォォォーーーーーーォン!!!!!!



 。。。



 。。。。。。



 急にしんと静寂が訪れた。。


 。。。。


 海晴と睨み合う犬達。

 

 チカチカっと海晴を照らしていた街灯が不調か点滅した。

 急に街灯の白かった灯りが赤色の光に変わる!


 ッガウ!!!


 赤色の光に変わった途端六匹の犬が六方向より走り寄り海晴に噛みかかる!


 海晴は前方に駆け出し一匹の犬を蹴り飛ばす、その勢いのまま横の犬も流れる様に蹴り飛ばした。

 ガッシ!!

 反対から飛び掛かって来ていた犬に左足の脹脛ふくらはぎを噛み付かれる海晴。

 海晴の動きが止まる!

 いや止められてしまう。

 ッガブ!ッガブ!ッガブ!

 残りの犬も海晴に噛み付いた。

「っくっそ!!」

 さらに上から別の犬が第二波で飛びかかる!

 ッガブ!ッガブ!ッガブ!

「や!めろ!!」

 津波の様に全ての犬達が海晴に押し寄せて行く。

 どんどん海晴が犬の津波に飲み込まれていく。

「翔陽。。」

 海晴の声が聞こえた気がした。

 海晴!!助けないと!!!!

 助けないと!海晴がやばい!!!

 なのになのに!

 体が動かないし声も出ない。

 身体が無い。。

「ぐっぞぉぉぉぉ。。」

 海晴の声が聞こえる。

 やばい。。

 今の声は。。


 もう犬の群れの中に覆われて海晴とヴェルさんの姿は全く見えない。


 海晴。。。


 っくっそ。。何で助けられないんだ。。


 俺の身体、なんで無いんだよ。。。


 海晴。。


 ヴェルさん。。



 犬達の間から道を伝って大量の血が流れ出てきた。

 あれ?誰の血だよ?

 海晴やヴェルさんじゃないよな。。?

 ガウガウ!と犬達が海晴とヴェルさんに群がって離れない。


 あ!ヴェルさんの手が見えた!

 生きてる????


 そのヴェルさんの手は血塗れで。

 指に全く力が入ってない。。


 しばらくして。。


 犬達がだんだんと離れて行った。


 あ!またヴェルさんの手が!見えた。。?


 見えた途端それはドサリと道端に落ちた。

 そのヴェルさんの手はもう腕までしかなくって体から引きちぎられていた。


 くそ、ヴェルさん、なんでこんなことに。。


 トコトコトコと犬が一匹ヴェルさんの腕の横を通った。

 その犬はなんと海晴の血みどろの靴を咥えていた。

 その犬はトコトコと何も気にする様子もなく体を動かせない俺の横を通った。。

 俺はただ感情的にその犬を殴ろうとした、けど体の感覚がない。。


『おい犬!その靴を返せ!!!』

 そう心の中で大きな声で俺は叫んだ。

 すると俺の気迫が届いて更に驚いたのか犬は靴を落として慌てて走り去った。

 落ちた靴。

 その海晴の靴も、もう噛まれて千切られてボロボロだった。

 海晴の靴は横向きに倒れていて、その靴の中からツーーーッと血が線を引いて流れ出てきた。

 え?

 俺は海晴の靴に注視した途端さっきの犬がッジャッジャっと走って帰って来た。

 そして海晴の靴をまた咥えた。


 ドサ、、


 靴から何か落ちた。

 それは。。

 海晴の足。

 足首から噛みちぎられた、海晴の足だった。。


 ウオォォォォォォォオオォォォォォォォオォォォォ!!!!!!!

 俺は心の中で喉が潰れるほど叫んだ。

 なんでだよ!!

 なんで!!

 なんでこんな事に!!!!!

 

 ショウヨウ。。


 ん?何か聞こえた?

 

 気づけば群がっていた犬は道から一匹もいなくなっていた。。


 ただ赤い街灯が道を真っ赤に照らしていた。

 赤い街灯からポタンポタンと水滴が滴ってる。

 街灯の光が赤い原因は血だった。

 赤い血が街灯を赤く染めていたのだった。


 街灯から滴る血の先に。


 何かある。

 何かある。。


 俺は怖くてなかなか街灯から視線を落としていけなかった。。


 ショウヨウ。。

 また何か聞こえた。。


 俺は恐る恐る街灯の下で血に染まった光に照らされるものを見た。


 俺はハッと息を呑んだ。。


 夥しい血が街灯の下を真っ赤に染めていた。

 ゴロンと二つの転がってるものが二つ。

 それは海晴とヴェルさんの頭だった。

 目も耳も鼻も齧り取られ無惨で血まみれ、頭の周りには手足が食い千切られ真っ赤に染まり。。

 原型は留めてなくって、どうやってどうなってしまったかもはや全く分からなくなってしまってる。


 なのに。

 分かるんだ。。


 。。。。


 海晴とヴェルさんがコッチを見ている。。


 俺は何も出来なかった。

 ただただ見るしかなかった。


 。。。


 。。。


 俺のせいで海晴は。。


 。。。



 ナンデ、タスケテクヘンカッテン。。



 俺が。



 海晴を見殺しに。。



 ソウヤ。。オマエノセイヤ。。



 もう終わりだ。



 世界が崩壊に向かってる中。



 その世界を救えると言われた海晴を。



 俺は。。



 この世界はもうダメなのか。。



 モウコノセカイハ、、オワッタチャ。。


 オマエノセイダッチャ。。


 手足が千切られ血塗れの顔をこっちに向けてバラバラの体で二人が這いずり寄ってくる。


 俺はどうしたらいいんだ。。


 真っ暗闇の中、三角座りをする俺がいる。

 そこに海晴とヴェルさんが這い寄り、絡みついてくる。。

 俺の体も海晴とヴェルさんの血に染まっていく。。



 人を失うのはこんなに辛いものなのか。。



 イマカラスベテノヒトガ。



 コウナルンンダ。。



 そんな。。



 ドウセナラ。。。



 クルシムマエニ。



 ナクナッテシマエバ。。



 クルシクナイ。。



 ナクシテシマオウ。



 ミンナガ、クルシマナクテイイヨウニ。。



 無くしてしまう?



 ゼンブイッペンニ、ナクシテシマエバ。。。



 カナシミナンンテ。



 ナイジャナイカ。



 悲しくなる前に?



 スベテヲタケスケルンダヨ。。



 ソウスレバ。



 カナシミ、クルシミ、ツライオモイ、ソンナモノハナニモナクナル。


 ああ。


 そうか。


 全てを一瞬で壊して無くして仕舞えば悲しむ必要も、苦しむ必要も無くなるのか。。


 そうか、それがこの世界を救うって事なのか。



 。。



 海晴。。。



 なんで。。。。。



 死んでしまったんだ。。



 悲しい。



 苦しい。


 人が死ぬってこんなに苦しいものなのか。。


 世界が崩壊したら皆んながこの辛い思いをするんだよな。。


 そうだな、こんな思いを皆んながする前に。。。


 無くして。。

「翔陽君!海晴君を信じて!!海晴君は絶対大丈夫だから!!!」

 急に小春の声が頭に響く!


 あれ?海晴は死んだんじゃ。。



 アアオレハオマエノセイデ。。



 いや!海晴が死ぬわけ。。



 シンダンダヨ、オマエノセイデオレハ。



「おい!翔陽!俺達でこの最高の世界を救おうぜ!」

 ニコッと笑う海晴の顔が突然浮かんだ。

 さっきまでの犬にやられた海晴じゃない??


 マブシイ、ナンダヨ、モウスコシ、ダッタノニィ。。。。


 海晴の輝くような笑顔に照らされて血みどろの海晴は光に溶けるように消えていく。。


 っは!!!


 俺は何を???


 真っ暗な世界が海晴の光に照らされて目の前の世界にゆっくりと色が付いてきた。。


 血塗れで絡みついていた海晴とヴェルさんが完全に消えて。


 ぼんやりとビーチの砂と打ち寄せる波がが見えてくる。


 俺は何を見ていたんだ。。。?


 俺は何をしてるんだ??


 海晴を探してひたすら街を駆け巡って。。


 くたくたに疲れて。。


 俺は顔を上げる。

 目の前には背の高い男が。

 小春に向かって指を刺して何かしようとしている。


 なんだ?

 あの蛇の様な黒い影の様な。

 円を作ってる中になんか宇宙みたいな物がある。。


「ほな。さいならや。」


「小春!!」

 小春は硬直して動けないでいる。

 なんで逃げない?

 小春の足に絡みつく蛇の様なものが視野に飛び込んできた。

 蛇の黒い円の中から黒い闇の様な煙が小春に向かって飛び出した!

 ブワァァァ!!!っと一直線に小春に向かって飛んでいく闇の煙。

 大きい!!どんどんと宇宙の様な空間から闇の煙は溢れ出て膨らみながら小春に向かった!

 小春の氷の盾じゃ到底防ぎきれない大きさだ!!


 俺は思いっきり地面を蹴った!

 すぐ側の目の前には小春がいる!

 

 小春に飛びつき押し倒す!!


 どさ!!


 俺は覆いかぶさるように小春を押し倒した。

 俺と小春の上を黒い煙はブワァッと通り過ぎていく。

「ああ、翔陽君!よかった。。」

 小春に覆いかぶさってる俺に向かって小春は涙目で言った。

「ああ、小春ごめんな、俺どうかしてたよ。。」

 俺は小春に右足に絡みついてる黒い蛇を両手で引き剥がした!

 ぬるりと闇の蛇は俺の手から抜け出し男の所へと逃げ帰った。


「何でお前僕の闇から脱出きてるねん。そのまま闇に堕ちとけや!このクソ豚が!!」

「海晴と小春が助けてくれたんだよ」

 俺は小春を抱き起こしなが立ち上がった。

「もう一発食らっとけ!このクソ豚が!!

 ブワァァァ!!!

 もう一発タトゥーの男が闇の煙を俺達に向かって打ち出してきた。


 俺は左手で小春を抱き、右手に火の珠を作り闇の煙が俺達に打つかる直前に足元で爆発させた!

 俺と小春は爆発の勢いで宙に舞い上がった。

 小春はしっかり腕の中にいる。

 空中に舞い上がってる中でも俺と小春はしっかりタトゥーの男を見据えている。

 勢いはちょっとじゃ収まらず俺たちの体はグングン舞上がって行く。


 そして勢いの頂点で一度停止し下降に向かい始めた。

「えい!!」

 その頂点で小春が一本の氷の大針を思いっきり投げた!

 シュッ!!

 その大針は見事に蛇の作ってる真っ黒な円の上を抜け男の右肩に刺さった!!


「うわぁぁぁぁぁあぁぁぁっっぁぁぁぁぁっぁああぁぁぁぁぁ!!!!」

 男の叫び声が海岸に響き渡った。


 俺は落下の途中でもう一度掌に火の珠を創り、それを爆発させ落下の勢いを弱めてビーチに着地した。


 俺と小春が顔を上げて改めて臨戦態勢を即座にとる。


 。。。。



 ザーーーーーーン。。


 辺りには波の音しかない。。


 しかし、その時にはもう男の姿はどこにも無かった。。



 ザーーーーーーン。。



 ザーーーーーーン。。



 優しい波の音だけがビーチに響いている。。



 。。。。。。



 ギャオォォォォォォォオオ!!!!!!


 突然から闇の夜空に聞いた事のある鳴き声が響き渡った!!


 この声は!!

 あいつがいるのか??


「もしかして!海晴が襲われてる??」

「海晴君とヴェルちゃんが、翔陽君!早く助けにいきましょう!!!」



 俺と小春はあの嫌な声のする方へと思いっきり駆け出しのだった!




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