長い長い夜編 友を思う気持ちって素晴らしいぜ!
雲と星の入り混じってる空を見上げて。
ポケットに手を突っ込んで。
ただただボーーーっとしている海晴がいる。
ーーーーーー 横山 翔陽 ーーーーーー
真っ赤な夕日が雲の隙間からチラチラ見える。
空に浮かぶ雲が真っ赤に真に染まっている。
赤い光の光芒を連れて太陽が海へと差し込み。
穏やかな海を眺めて走っていた俺達の自転車はキキっと音を立て堤防横で止まる。
自転車に乗ったまま海を眺める。
その自転車の荷台に海の方を向いて横向きに座っていた女の子は男の子の背中にトンっとくっつけた。
「今日の空は凄いなーー!」
「本当に凄いですね。こんなに真っ赤な夕焼け見た事無いです」
太陽は見えないけど雲の隙間から何本もの光が海に差し込んでいる。
「本当に自然って凄いよなーー。こんな真っ赤な光芒見た事ないよ」
「私の時代ではあの光を天国への階段って言ってったんですよ」
「ああ。そうなんだ」
「でもこの真っ赤な光は神っていうよりなんて言うか、、怖い感じもありますね。。」
「確かに今日の空は赤過ぎて少し怖い雰囲気もあるよなーーー。。」
真っ赤な夕焼けにちらりと不安がよぎる。
「今の時代では大きな地震とか災害が来る前に空が燃えるように赤く染まるって言うけど。。」
「そうなんですか?私の時代もそんな話ありましたね」
「こんなに美しいのになんで少し不安を覚えるんだろうな。。」
「そうですね」
。。。。
よぎった不安んが不安がどんどん大きくなって。
頭の中が不安が。。
言葉が出ない二人。。
「でも私達はこの世界を救うってヴェルちゃんが言ってましたよ!不安になっても私達ならきっときっと乗り越えていけますよ!!」
翔陽の顔を覗き込む小春。
翔陽は小春の顔を見る。
小春の可愛い顔に力強い笑顔、その笑顔でしっかり俺を見ている
ははは、はは!はっはっはっは!
笑えてきた!
空が赤いだけで俺は何を不安になってたんだ!
「そうだな!何がきても乗り越えていこうぜ!」
「はい!!」
「じゃあ海晴とヴェルさんももうじき家に来るかもしれないし帰るか!」
「そうですね!」
真っ赤な空の下、再び自転車を走らせていく。
俺たちは学校が終わって帰ったら母さんに除霊の仕事を手伝えと言われて、小春と一緒に手伝った。
急な母さんの命令だったけど俺とこはるこ断れず、海晴に『除霊を手伝うから晩飯前くらいに来て欲しいとラインを送った』そして俺と小春は近所の除霊依頼のお宅へ向かった。
何でも近所の家のお爺ちゃんがずっと何かを見ているそうで。
家族には見えないのに目線で何かを追い何かを触ろうとするそうだ。
気持ち悪いとそのお爺ちゃんの家族が母さんに相談に来た。
母さんは一度下見をし、何か霊的なものがこの家に居ると解り。
その家を今日除霊するに至った。
家の周りに結界のお札を張り、俺たちは結界の外で霊が逃げないか警備。
霊が逃げようとして結界に当たったらこれを投げろと1人に2枚ずつ退魔滅却と書かれたお札を渡された。
そして母さん一人で家の中に入り除霊に向かった。
緊張して待っていたら、ものの10分で母さんは家から出てきた。
そして一言「はい終わり!」」
除霊の作業はものの30分くらいで終わった。
帰りの母さんはニコニコで『狐しばくだけで高額のお布施。こんなボロい商売ないわね!辞められないわ!』母さんは帰りの車で言ってはいけないことを口走りながら高笑いしていた。
どうやら狐の霊だったらしい。
俺たちは家の周りに封印の札を張る手伝いだけして家に帰ってきた。
『母さんだけでできただろ』と俺は心の中で思いながら。
まだ来てない海晴に『帰って来たからいつでもいいぞ』とラインを送る。
しかしいつまで経っても海晴のラインは既読にならず。
先に三人で晩御飯を食べようと準備を始めた。
「ヴェルと海晴も来るんでしょ?五人分がいんじゃない?」
母さんは上機嫌だ。
俺は今日に昼の事があったから心配で仕方ない。
小春も気になってるんだろうな、今日学校から帰ってきてからずっとそわそわしている。
トゥルルルルル!
トゥルルルルル!
海晴から電話が掛かってきた。
慌てて電話に出る!
「海晴!!」
「海晴君からですか?」
小春も慌てて駆け寄ってくる!
相当小春も心配していたんだろう。
「あ!翔陽!ワンワンワン!!ガウガウガウゥ!!!ギャンギャンギャン!!!」
電話の向こうから海晴の声と共に凄い勢いで吠える犬たちの声が聴こえる!
犬の声がうるさい電話の側で話している海晴の声すら聞こえづらかった。
「今どこだライン読まないから心配してたんだぞ???」
「ワンワン!!ヴゥウウウウッゥゥ!!ワンッ!ワンッ!ワンッ!」
電話からは犬の鳴き声しか聞こえてこない!
こちらからの声も聞こえてないのか?
にしても向こうの状況は明らかに何か奇怪しい。。
海晴そっちはどうなってるんだ?
また闇の何かに襲われているのか?
大丈夫なのか?
ヴェルさんはどうなってる?
聞きたいことはいっぱいある!
「海晴!おい!そっちはどうなってるんだよ?おい!海晴!!」
くそ!電話繋がってるのに全然話せないじゃねーかよ!!
心配で仕方ない!
場所さえ分かれば助けに行けるのに!
「ワォーーーーーーーーン!」
電話の向こうから犬か狼か遠吠えの様な鳴き声が聞こえて来た。
途端に電話の向こう側が途端に静かになった。
張り詰めた空気が電話からも伝わってくる。。
小春も電話に気付いて俺の側に寄ってきた。
何かそっちで起こってるだろ!
「おい!海晴!聞こえているなら返事しろよ!!」
「翔陽君!電話変わって!」
小春も心配でどうしようもなくなったのか電話に変わって欲しいと必死な目をしていた。
俺は小春に携帯を渡す。
「海晴君!聴こえる?今どこですか?困ってるなら助けに行くよ!ヴェルちゃん大丈夫??」
。。。
しかし海晴からは返事が全く無い。
電話は繋がってるのに今はなぜか無音だ。
どうなってるんだ?
なんで海晴答えないんだよ。
小春から携帯を返してもらい音をスピーカーに切り替える。
それをさらに耳にくっつけ少しでも海晴のいる場所が解るような音がないか聞く。
携帯は無音のまま。
「クソ何も聞こえない」
小春も耳を澄ましている。
「一回切ってかけ直すか。。」
プチ。
即座に通話ボタンを押してかけ直す。
トゥッルルルル。
トゥッルルルル。
トゥッルルルル。
トゥッルルルル。
出ない。
電話出ない!
くっそ!
トゥッルルルル。。
トゥッルルルル。。
切ったのはミスったっか??
海晴電話でろよ!!
なんかあったのかよ!!
「小春そっちもヴェル さんに。。。」
小春もヴェルさんに電話してるっぽい。
でもヴェルさんも電話に出てない。。
どうなってるんだ。。
。。。
いても立ってもいられない!
「母さん俺海晴とヴェルさん探してくるよ!!」
「麗子さん私も行ってきます!!」
「何かトラブってるのかしらね。いいわ!いってらっしゃい!あの子達とここで約束してたんでしょ?私はここで待ってってあげるわ」
「ああ!ありがとう母さん!」
「麗子さんご飯の支度の最中なのにすいません。」
「いいわよ!行ってらっしゃい!あの子達がもしこっちに来たら電話するわね!」
俺と小春は家の外へ駆け出し自転車へ跨る!
小春も自転車の荷台に飛び乗る!
俺は小春が乗ってるのを確認したら、思い切りペダルを踏み込み自転車を急発進させる。
心配のあまりどこに行ったらいいのか何をしたらいいのか何も考えずに飛び出してしまった。
小春はいつもは荷台に横向きに座るのだが今日はヴェルさんの様に荷台に立ち、両肩に手を置き周りを見渡してる!
まだ探し出すのは早いとは思うがそれだけヴェルさんと海晴が心配なんだろう。
「小春、何処を探すべきだと思う?」
「えーーっと。。海晴君の家と、学校?」
「後はパイレーツハーバーと海沿いの駐車場か」
「そうですね!凄い犬の鳴き声が聞こえてましたけど。あれは関係あるのかな?」
「確かに聞こえてたよな!という事は海沿いとかではないかな?」
「犬に追いかけられてたとしたら、海は関係ないですよね。」
「そうだよなー追い掛けられて逃げてるとしたらマジで何処にいるかなんて分からないよな。。」
「ですね。何処探せばいいいんだろ。。」
「とにかく近いとこから全部行くしかないな!」
体を前のめりにしペダルを思いっきり踏む!
自転車のスピードが一気に上がる!
何処にいるか分からない海晴に向けて俺の自転車のスピードは最高速で走っていく!
「海晴どこだーー!!」
海晴の家へと向かうの道に翔陽の声が響き渡る。。
ーーーーーー海晴の家を訪れた後ーーーーーー
海晴の家には電気もついてないし自転車も無い。
ドアをノックしたけど全く反応無いし。
海晴は家には居ない。
次だ!
次はウィンドサーフィンのショップ、パイレーツハーバーも当然もう店を閉めてて真っ暗だった。
店長のロッシーに電話して聞いたけど今日は海晴は店に来てないし連絡もないらしい。
緊急事態って事を雰囲気で察してくれてロッシーも探してくれるらしい。
本当にいい人だ!
でもとにかくパイレーツハーバーにも海晴は居ない。。
次は海沿いの駐車場!
海岸線を思いっきり自転車を走らせる!
パイレーツハーバーから10分も行けば駐車場に着く!
あそこにいる海晴はいっぱい見てきてた!
ウィンドサーフィンしてたりサーフィンにSUP!後は夕陽を見たり朝ごはん食べてたり。
あそこには海晴がいる想像が容易に出来てしまう。
全力で自信を漕いで猛スピードで駐車場に入ったら。
そこには自転車がポツンとあって。
鞄は無造作に自転車のカゴに入ってて。
駐車場の隣で高台になってるトイレ兼休憩所の塀の上に立ち。
雲と星の入り混じってる空を見上げて、ポケットに手を突っ込んで、ただただボーーーっとしている。
海晴がいる。
こっちに気づいた海晴は。
「お!翔陽!こんな時にどうしたんだ?」
なんて呑気な笑顔で手を振りながら声を掛けてくる。
なんて想像がよぎる。
無料駐車場へ行けば海晴がいる気がする!
猛スピードで駐車場へ向かう。
そなまま猛スピードで駐車場へ飛び込む。
駐車場にはポツンと海晴の自転車がある!
自転車の籠には、無造作に海晴とヴェルさんの鞄が入ってる。
「海晴!!」
俺は叫んだ!!
近くにいるんだろ??
心配させやがってあいつめ!
「おーーーい!かいせーーーい!」
「ヴェルちゃーーーーん!」
。。。。
ん?
海晴なんで返事しないんだよ?
「ヴェルちゃーーーーん!?」
。。。。
「かいせーーーい!どこだよ!!」
「ヴェルちゃーーーんいないのーーー??」
。。。。
海晴とヴェルさんから返事がない。
いないのか?
自転車置いてあるのになんでだよ?
どこに行ったんだよ?
「ヴェルちゃん達近くにはいなさそうですね。どこ行ったんでしょう。。」
「自転車あるのにな、どこ行ったんだよあいつら」
「何かあったんですかね?」
「うん、そうだような、何かあったとしか感えられないよな」
俺は高台になってる休憩所の方へ目を向ける。
海晴。。
いない。。
いないか。。
ここに居るような気がしたんだけどな。
「もしかしてこんな時間に海に入ってるのか?」
「そんなことあるんですか?」
「無いともうけど一様見にいくか?」
「そうですね」
俺は小春と防波堤を降りてビーチへと行く。
「かいせーーーい!!!ヴェルさーーーーーん!!」
「ヴェルちゃーーーん!海晴くーーーん!いませんかーーー??」
。。。
シーンと静まり返る夜のビーチ。
波の音しか聞こえてこない。
波も大きいわけじゃないし風も吹いてない。
常識的に考えてもこんな時間の海に入るわけがない。
「海晴くーーーーーん!!ヴェルちゃーーーーーん!!」
小春の声も暗いビーチの夕闇に吸い込まれていく。
「小春、一様俺ビーチを走って見てくるよ!」
「はい、私も反対側見てきます」
そういうと俺はビーチを右へ左へ叫びながら走って海晴とヴェルさんを探しにい行く。
でもどれだけ探しても海晴とヴェルさんの気配全く無い。
ハァハァハァハァ。
砂浜をダッシュで探していると流石に息が切れる。
汗も流れる。
立ち止まり手で汗をぬぐっていると、反対方向を探していた小春が駆け寄って来た。
ハァハァハァハァ。。
小春も汗だくだ。
「こっち側は居ません。どこ行ったんだろ。。」
小春は両膝に手をついて汗を拭う。
「自転車もあるのにな。。でも同じとこを探しても仕方ないよな、次を探しに行こう!」
「はい!」
次は学校!
俺の自転車は小春を乗せて猛スピードで走っていく。
ーーーーーー学校を探した後ーーーーーー
学校も走り回ったけどいなかった。
メイン通りのビックビーチにも二人の姿はなかった。
家に帰ってないかもう一度海晴の家を見に行って。
毎日修行している山の中の橋の下も見に行って。
それからまた海を見に行く。
でもやっぱりいない。。
どこだ?海晴どこにいるんだよ?
俺も小春もかなり走り回って身体が凄い疲れてる。
でも。
海晴が危機を迎えてると思ったら足を止めるわけには行かない。
もう一度学校へと向けて小春を後ろに乗せて走り出す。
全力で走り回る俺の足は限界に近づいて来ていた。。。
ーーーーーー街中を探し周った後の無料の駐車場ーーーーーー
海沿いの駐車場に止まる翔陽の自転車。
すぐ横には海晴の忘れられた自転車もある。
そのさらに横で両腕をついて天を仰ぐ翔陽。
何時間も走り回った!
息切れと同じリズムで腹筋が上下している。
めちゃくちゃ疲れた。。
「くっはーーー。海晴どこ行ったんだよ。。」
身体が限界まで探したぞ!
もう無理だと訴えかけてくる。
小春はその横で座り何か考えた表情で駐車場を見つめている。
学校全体も海晴を探して走り回った!目の前のビーチも、街のメイン通りのビックビーチも見に行ったし橋の下の練習場も。
海晴の行きそうな所は全部回った。
全力で街を走り回ったから疲れた。
こんな足が乳酸でパンパンなのは久しぶりだ。。
本当に街全体を駆け回った。
なのに居ない、
「どこ行ったんだよ。。。」
「海晴君ヴェル ちゃん。」
小春も心配そうだ。
「自転車がここにあるのになぜこの辺りに居ないんでしょうね。」
心配そうな顔をしながらも小春は顎に手を当て考えてる。。
「ビーチもう一回見に行くか?」
「そうですね。でも翔陽君ちょっと休んで下さい。すっっごい走り回ったし。ヴェル ちゃんに電話してみます。」
小春は携帯を取り出し、もう何度かけたか解らないほど掛けたにもかかわらず、またヴェルさんに電話をかける。
トゥルルルルル。。
トゥルルルルル。。
トゥルルルルル。。
トゥルルルルル。。
やっぱ出ない。。。
プチ。
小春は電話を切る。
「やっぱり出ませんね。。」
「くそーー。どこ行ったんだよ。海晴。。」
「ここに自転車があるのに居なくなるのはおかしいですよね。。」
「ああ。絶対何かあったんだと思う!」
すくっと立ち上がる翔陽、海晴の危機と考えると座ってなんていられない。
もう一回街を探しに行こうとしたその時!
トゥルルルルル!
トゥルルルルル!
携帯の着信音が駐車場に鳴り響く。
え?俺の携帯が鳴ってる!
もしかして海晴か!
トゥルルルルル!
トゥルルルルル!
携帯をポケットから出して画面を見る。。
画面に海晴って出てる!!!
海晴だ!!!!
慌てて電話に出る!!
「海晴!!!おい!どこにいるんだよ??心配したんだぞ!!」
『ッバ!こっちや!オッラァ!』
『ギャイン!!』
『しゃ!』
戦ってる音が携帯で聞こえてくる。
海晴は確実に誰かと戦ってる!!
何か犬の悲鳴のような鳴き声も聞こえた。
一体どこで誰と戦ってるんだよ、海晴。
戦って電話どころじゃないんだろうな。
『ザスッ!』
『が。。。はぁはぁはぁはぁ。。。』
海晴?
今何かダメージ受けたか?
海晴の唸り声と大きな息切れの音。
られてるのか?
『ガッシャン!!!』
途端に激しい物音が耳に響いた。
ツーーーーー。。
ツーーーーー。。
ツーーーーー。。
だめだ、切れてる。。
急に電話が切れた。。
俺はもう一度ヴェルさんの携帯にかけ直す。
『ただいま電源が入っていないか電波の。。。』
なんでだ!?
さっきまで繋がってたのに!!
ヴェルさんの方に電話をしてもやっぱり電源切れてる!
くそ!慌てて海晴の携帯にも一度電話する。
『ただいま電源が入っていないか電波の。。。』
だめだ繋がらねー!!
100%何かトラブっている!
だから電話に出られない、電話に出られない程の状態になってる!
海晴は絶対俺と小春の助けを必要としている!!
海晴の声を聞いて少し安心したし元気が戻って来た!!
「小春!」
「翔陽君!」
「助けに行こう!」
「助けに行きましょう!」
同時に顔を見合わせ休憩もそこそこに小春と一緒に立ち上がり!
また海晴とヴェルを探しに二人は街へ向けて駆け出した。




