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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第一章 崩壊と運命
64/110

長い長い夜編 三つ巴の闘いって素晴らしい。

 


 あの男。


 少し懐かしい感じがした。

 

 いつもなら絶対放って置くのに今回だけは放って置くという選択ができなかった。。。

 

 なぜだろう。?


 何か不思議な感じがするんだよね。。




 ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー



 柔らかな草の感触。


 優しい山の匂い。


 差し込む光が身体を包み。


 その中で俺はうつ伏せで寝転んでる。


 地面に触れる肌から草木の成長を感じる。


 呼吸をするたびに俺の身体が癒されていく。


 この癒されている感覚。


 優しい、優しさを感じる。


 俺はそっと目を開いた。


 世界が優しい緑色や。。


 目の前では草原の様になってて、小さな花がすくすくと成長している。

 蕾が膨らんで。。

 ふわっと花が咲く。

 花の甘い香りが香ってくる。


 心地がいい。


 ずっとここにいたいと思ってしまう。

 ヴェルも一緒に。。


 ヴェル。


 あ!


 あかんこんな事をしてる場合じゃ無い!!

 ヴェル!

 ヴェルが連れていかれそうになってたんや。。

 ヴェルはどこや!?


 ビキッ!

「痛た!」

 立ち上がろうとした体に痛みが走る。


 ッバン!


 ザザザザ。。!

 目の前に仮面の女が後ろ向きに滑って来た!

 片手で槍を持ったまま、前のめりに姿勢で両足と片手を地面に着いて滑っていた。

 どういう状況やねん。。

 仮面の女はチラリとこっちを向いて。

「まだ立つな!仲間の女は大丈夫だ!まだその光の中にいろ!」

 そう言うと女は駆け出していった!

 マジでいったい何が起こってるねん。。?

 俺は状況を確認しようと周りを見た。


 俺の周りは人が丁度入るほどの半球状の光。

 その光は優しい黄緑に光って、その光の中に俺はいた。

 光の中は、草原の様に草が生えていて花が目で認識できる程の急激な速さ成長し咲いていく。

 何でこの光の中はこんなに植物の成長するのが早いんや。。

 おかしいやろ、なんかエネルギーの塊みたいな光やな。。

 力が溢れてるように感じる。。


 光の外を見ると。

 森の大自然の優しさに包まれた様なその光は、すぐ隣にももう一つある。 

 その中には白狼が伏せている。

「ヴェル!」

 俺はヴェルを探す。

 すぐ側の交差点の影からもう一つのひかりの半球体が少し覗いていた。

 中にはヴェルの足が見える。

 ヴェル。。


「よかった」

 あの仮面の女が言ったことはほんまやったんか。

 俺は胸を撫で下ろした。

 ヴェルの周りの塀が薙ぎ倒されてる。

 塀の破片などが散らばり破片が飛んだのか、庭につながる家の大きな窓のガラスも割れている。

 なんか突っ込んだ後みたいや。。


 ッザン!


 グガァァァァアァァァ!!


 ん?この声って?

 もしかして。。

 耳に聞きたくない声が飛び込んできた。


 ザザ!

 ッダン!

 ガァウ!!

 目線を音のする方へと向けるとそこには以前俺達と戦った恐竜がいる。


 なんで?

 なんでこんな所にあの恐竜いるねんて、ほんまに奇怪おかしいわ。。

 あ、俺見たわ、白狼が走ってってぶつかった相手。

 それがあの恐竜やった!!

 あんな恐竜に一人で戦ってもあの恐竜には到底勝てへん!

 ただただ殺されるだけや!!

 あの恐竜は強すぎるんや。。

 助けんと。。

 俺が身体を起こそうとしたその時!


「まだ動くな!!その中でまず怪我を治せ!!」


 犬の仮面の女が叫んだ。


 


 ーーーーーー ニケと呼ばれる仮面の女 ーーーーーー


 あの男もう起きたか。。

 あたしの光の中で動いてる。

 あのまま放って置いたら飛び出すかもしれない。

 意識は取り戻したのだろうけど身体はまだ全然完治してないだろうね。。

 あの男が戦力になんてなる訳ない。

 それに動いてあの女を連れていかれても困るしね!!


 ガァァァァアアアァァァァァ!


 恐竜が大口を開けて噛み掛かって来る!

 とにかく足手まといになりそうなあの男は置いといてあたしはこっちに集中しないとね!!


 恐竜の大上顎に飛び上がり嘴状になってる上顎に両足を乗せ思いっきり後ろに蹴り出した。

 その勢いで恐竜の突進は止まって、あたしは背後に飛び空中で一回転宙返り。

 宙返りの最中にあの男が何してるか確認する。

 やはり起きてる、傷がまだ痛そうだね。。

 ザシュ!

 着地した。

 ザザザザ。。。。

 着地した時の転げてしまわない様に左手もついて着地、でもまだ勢いは死んで無い。。

 地面を後ろ向きに滑って目覚めた男に近寄ってしまう。

 目線は恐竜から離さない。


「まだ立つな!仲間の女は大丈夫だ!まだその光の中にいろ!」


 立ち上がろうとしてた男はあたしの声を聞いてグッと思い止まった様に見えた。

 こっちに恐竜をおびき寄せたらダメだね。。

 ビアもいるしね。

 ビアはまだ起きてないのか。。

 兎に角まだもう少し!!

 時間を作らないと。。

「ヴェル!」

 男が何かまた言ってる。

 元気になるのが早いやつだね!


「まだ動くな!!その中でまず怪我を治せ!!」

 あたしはまた男が動き出そうとするのを制して思いっきり駆け出した!

 私の方へと恐竜が追いかけて来る。


 この恐竜は多分、、私と同じだよね!

 あの闇を抱えた女を狙ってる!

 さっきから私の隙をついてあの女を狙う。

 きっと私を攻撃して来るのは邪魔だからだろうね、闇の抱えた女を連れて行く時に勿論は私は奪い返そうとするし、その為に攻撃もする。

 それを分かって恐れてる、だから邪魔な私を先に攻撃して来ているんだよね?!

 でもそんな恐竜の遅いワンパターンな攻撃に捉えられる私じゃない!

 大口での噛みつきをひらりと避けてそこに返しの一手で攻撃をする。

 ザリッ!

 だけど私の攻撃じゃ力が足りてない。

 傷はつくけどこの恐竜からしたらかすり傷くらいの物だね。

 攻撃を回避してチクリ。攻撃を回避してチクリ。

 かれこれもうずっとずっとこの繰り返し。

 今、私は時間を稼いでるんだからいいんだけどね。

 この間にきっとビアが回復してくるだろうしね。

 ビアが回復してきたらあの女を拾ってこの場から駆け去ってしまえばいい。

 先にあの男が回復して来たのが誤算だけどね。

 確実にビアの方が軽い怪我だったのに。。

 何故だろうね。

 あの男は生命力に溢れている気がする。

 回復したのは失敗だったか、放って置いたらよかったかもしれないね。

 でもなんでだろう。。

 あの男、少し懐かしい感じがした、いつもなら絶対放って置くのに今回だけは放って置くという選択ができなかった。。。

 何か不思議な感じがするんだよね。。


 ん!攻撃が来る!!

 恐竜が尻尾をぶん回して来る!

 ッサ!

 あたしは飛び上がって尻尾を回避した!


 ドガガガガガガ!

 恐竜の尻尾は道沿いの家の塀をなぎ倒していく。

 スタッ!

 地面に着地した瞬間あたしは槍を構え、尻尾の付け根に向けて槍を突き出す。

 ガリ!

 刺さらない。

 鱗が硬い。。

 何度もあたしの攻撃はこの鱗に弾かれてる。。


「ッチ!」

 また恐竜から距離を取る。

 脚くらい傷付けて動きを鈍らしてから逃げたいんだけど。。


 そにしてもこの恐竜、なぜ翼があるのに飛ばなんだ?

 翼は畳まれて胴にくっつけているから見づらいけど、確実に翼があるのに。

 使わな翼に攻撃しても意味ないだろうし、攻撃するなら関節の鱗の隙間に槍を突き刺さないとね。

 ふーーー。

 呼吸が荒れない様に息を整えて相手の動きを伺う。

 こうしてるとあの恐竜は闇を抱える女を狙えないだろう。。

 横腹がガラ空きになっちゃうしね。

 集中。

 時間をかける戦いをしてるんだ集中を切らしたらダメ。。


 ガァァァァ!


 恐竜が大口を開けて襲って来る。


 ッダ!

 一歩思いっきり蹴り出す、超前傾姿勢で走り出すあたし!

 恐竜の下顎の下にするりと潜り込む。

 前傾の低い姿勢が倒れない様に思いっきり足を回す!

 恐竜の懐に入った!

 走った勢いに乗せて槍を思いっきり恐竜の胸に突き刺す!

 チャンス!!

「これでもくらいな!」

 ズドン!!

 見事に恐竜の左胸に槍が刺さった!!

 槍の穂は全て刺さり口金まで刺さってる!

 どうだい!?


 グガァァァァアァァァ!!


 恐竜が苦しそうに叫んだ。


 恐竜が思いっきり仰け反る。

 どうだ!

 やっとまともな一撃入をれられた!!

 恐竜の後ろ足の間を抜けて後ろへと回り込む。


 すると恐竜の背後で回復していたあの男が目に入る。


 男は立ち上がろうとしている、それにこの男はこの戦いに参戦しようとしているみたいだ。

 男の目を見ると分かる。

 ビアが動くまでのその中で居て欲しいのに、また女を連れて逃げられたら面倒臭いって物じゃないよ。

「おい!まだ動くなて言ってるだろ!!何かしたかったらまずその怪我を治せ!」

 私は男をもう一度静止する。



 ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー


 また動くのを静止された。


 怪我を治せってこの中にいると治るんか?

 確かに確実にこの光の中では何かエネルギーを感じる。

 それに着実に俺の体は良くなってる、疲労も無くなってきてる。

 白狼に噛まれて痛んだ突骨と噛み傷も、女に槍を刺された左肩も、血も出てなくて傷が塞がってきてる。

 体を治すその時間の為にあの女は一人で恐竜と戦いって時間稼ぎをしてくれてるんか?

 何で俺の為に。

 あの女に何のメリットがあってそんな事をするんや?

 あの恐竜と戦うなんて命賭け以外のでも何でもないのに。。


 あの女をの言動を見てると、もう少し回復さしてやると言ってるように聞こえる。。

 それとも?

 なんか別の考えがあるんか?


 。。。。


 いや、俺を治すメリットなんて全くないやろ。。。


 どれだけ考えてもあの女が何をしたいか分からへん。



 。。。



 今何時なんやろ?

 俺は携帯を見る。

 あかん充電が切れてるわ。


 突如として女が恐竜に背を向けて走り出した。

 え?なんでや?

 さっきまで見事に戦ってたやんか。

 あの恐竜に一撃も入れてた。

 逃げる意味あるんか!?


 あーーもうあの女が何したいか全然分からへん。。


 恐竜も逃げた女を追いかけてる!

 走るのは恐竜の方が速い!

 大口を開けて女に噛みかかる!

 やばい避けろ!!


 あかん!間に合わへん!!


 ガチンッ!!!!


 噛まれた!?


 そう思った、そう見えた。


 ガッシャン!!

 恐竜が塀に突っ込んで塀を体当たりで崩した。

 悔しそうに振り向く恐竜。

 恐竜の口の中に仮面の女はいない。


 どこにいったんや?


 恐竜も首を左右に振って女を見失ってる。


 キラ!

 空が光った!

 星!?


 俺は空を見上げる。


 いた!

 仮面の女は今、空中にいた。

 まるで飛んでいるみたいや。

 塀を蹴り宙へ飛び上がったんやろう。

 片膝を曲げて脱力した手を後ろへ流しながら、空を見上げて空に向かっている。

 すごい跳躍力や。

 満点の星空の中彼女は闇に溶け込んでいる。

 唯一見えるのはシルエットと、彼女の槍や身に付けいる装飾品、その装飾品が星の光や街の明かりでキラキラと光る。


 そして落下していく。

 彼女は槍を構え背中を穿とうとしているのか落下して行く。


 スッ。


 しかし彼女は恐竜の背中には着地しなかった。

 なんでや??

 仮面の女が着地したのは恐竜のすぐ側。

 あんなに高い所から着地したのに音が無い。

 すかさず仮面の女は恐竜の胸を槍で刺した!

 ドスドスドス!

 刺す刺す刺す!!


 ギャァァアァァァァァアッァァ!!


 恐竜が大声で叫んだ。

 恐竜は完全に仮面の女を見失ってた。

 彼女は空中から背中を狙ったのではなくって、一度恐竜の視野から外れ硬い背中ではなく鱗のない胸を狙った。

 凄い。

 何んて巧みな戦いをするんや。

 急に逃げる様に走り出したのも誘いなんか。

 という事はだんだん恐竜に追いつかれて塀の側で噛まれそうになったのも、そのタイミングで噛まれそうになる速さで逃げたという事。

 そして宙を舞い恐竜の視野から逃れる。

 背中の鱗は硬くてダメージを与える事が出来ない、だから恐竜の側に着地して下から柔らかい腹側を狙う。

 ほんまに凄い。


 懐にいる女が嫌なのか恐竜は女に身体ごと倒れ掛かった。

 女はバックステップで一飛び一気に後ろへ避けた。

 ズゥン。

 恐竜が倒れる!

 着地した瞬間、前に回り込み正面から一気に地面を蹴り出してまたも槍で恐竜を刺しにかかる!

 ガキン!!

 突き出した槍は恐竜の横顔に当ったけど硬い鱗に守られ弾かれた。

 顔に刺さらない事は分ってたはずやのに。

 多分仮面の女は鱗のない恐竜の目を狙ったんやろ、けど寸前の所で避けられてしまった。

 突き刺そうとした勢いのまま恐竜の横を飛び後ろへと抜けて行く女。

 チッという舌打ちが聞こえて来そうなくらい悔しさが仮面の下から滲み出てる。

 あ!危ない!!

 すれ違う女の正面から恐竜の尻尾が襲ってる!

 仮面の女は前からくる攻撃に気づいてないんちゃう?

 あかん!

「危ない!」


 ヒュ!!

 ッバッキン!!


 女が尻尾に気づいた時はもう遅かった。

 手でガードしようとしたけど間に合わず、尻尾は思いっきり女の顔面を捉えてた。。

 槍と割れた仮面と女が宙を舞って元いた俺の目の前の場所へと打ち戻されて来た。

 ザザザザザザザ。。。

 カランカランカラン。

 

 。。。


 仮面の女が起き上がらへん。

 この危険な状況で女は吹き飛ばされたまま動かずに起き上がってこない。

 あの仮面の女、気を失ってるんか?

 恐竜がズシンと歩み寄る!

 そして女へと向かい、大口を開けて噛み掛かろうとしてるしている。


 やばい助けないと!!


 俺は立ち上がり仮面の女に向かって思いっきり駆け出した。

 ビキッ。

 痛だい。。

 痛みが俺を襲った。

 緑の光のお陰で俺の傷はかなり塞がっている。

 けど、まだ折れた肋骨と穿たれた左肩が痛い。。

 でも今はそんな事言ってる場合じゃない。。

 俺は思いっきり全力で仮面の女へ向けて駆ける。

 ビキビキと上半身が軋む。

 でも足の疲労は有難い事に全くない。

 足が軽い、これなら恐竜より早く仮面の女を助けられる!

 恐竜が大口を開けて正にもう今、女に噛み掛かろうとしている!

 ビュン!

 俺は仮面の女を拾い恐竜の大口の前を通り過ぎる。

 よし間に合った!

 勢いのまま恐竜の横を駆け抜ける。

 恐竜が何か動いてる、何かしてくる!

 これはさっきの尻尾で女が叩かれたパターンか!

 ヒュ!!

 やっぱりな!

 前から尻尾が襲ってくる!


 大丈夫や身体が軽い!

 絶対回避できる!


 俺はスライディングをする様に尻尾の下を切り抜けた!

 動きが、世界がスローに見えてるいい感じや。

 この仮面の女に回復してもらったからかしっかり集中できてる!

 この恐竜とは前も戦ってる!

 恐竜の基本的な攻撃のパターンは分ってる!

 戦うイメージも修行しながらいっぱいしてきた!

 恐竜の攻撃は基本的には突進からの噛みつきと、身体をぶん回しての尻尾攻撃!

 この二パターンが凄い勢いでくる。

 二パターンしかないんやったら相手の挙動を見たら先読み出来る!

 俺は滑ってる状態から恐竜が突撃して壊した塀の後を足掛りにして立ち上がった。

 俺と入れ替わった尻尾が遠のいて行く。

 このまま回転しながら。

 左か!!

「ック。。。」

 女が目覚めたのか声が聞こえる。

 俺の腕の中で動いた。

 いや。

 まだ起きてないのか?

 腕の中から起き上がってこない。


 ガァアゥ!!!


 回転を継続させて恐竜は大口を開けて左側から迫る。

 俺の今逃げるべき方向は!

 恐竜の体の方!

 俺は恐竜の胴体の方へ避ける。

 恐竜の回転の中心には攻撃は届かない筈や。

 そのまま恐竜のすぐ隣をすり抜ける。

 俺を癒してくれた光が残ってる。

 この仮面の女をその中に入れておくか?

 でもこの女もヴェルを狙ってるし。

 でも何と無く助けないといけない気がして、助けに行ったけど。

 ほんまは戦ってる間にヴェルを連れて逃げるのがベストのはずやった。

 なのになんでか助けないとって身体が動いた。

 なんでやろ。

 俺はあの仮面の女を嫌いになれへん。

 肩を槍で刺されたり、追い回されてヴェルを奪いにきてたのに何でやろう?

 まぁいいわ!

 とにかくヴェルが心配や!!


 恐竜が体勢を整えこっちの睨んでくる。


 チラッと仮面の取れた女を見る。

 日本人じゃない。。

 金髪にすらっと鼻立ちの整った高い鼻。

 白い肌が美しい顔をさらに美しくしている。

 気を失ってるのか、子供の様な可愛い寝顔、いや気絶顔?

 ビクッ!

 また女が動いた!

「ッハ。」

 女の声もした!

 ヒュ!!

 それと同時に風切り音も聞こえた!

 俺が顔を上げると恐竜の尻尾攻撃がすぐ側まで迫ってた!

「やっば!!!!!」

 俺はがむしゃらに全力で後ろに飛びのいた!

 シュッと俺に尻尾が掠ったけどギリギリ避けられた!


 ゴロゴロゴロ!

 俺は後ろに何回転かして止まった。


 まだ腕の中に仮面の女はいる。

 俺は女の顔を覗き込んだ。

 パチっと仮面の女の目が開いた。

 ブルーの美しい瞳が現れる。

 そして俺を一旦その目で見つめた途端、可愛い寝顔?綺麗な気絶顔?に急に顔に力が入った。

 大きな目が釣り上がり何ともなかった今までとは違い、目がつり上がり睨む目を見たら瞬間恐ろしく思えた。

「おい!どこを触ってるんだ!」

「え?」

 俺の右手に何か柔らかい物があるなって思ってた。

 それはなんと仮面の女のおっぱいやった。

 やっば。。

「あ、ちょっと待ってちょっと待って!これは事故事故やで!!」

 俺は両手を上げた!


 ッガ!!

 仮面の女は手でバチンと俺の頬をはたいて、更に俺の胸を押しのけ腕から飛び降りた。

「お前何をしてた!」

「はぁ!?何もしてへんわ!お前が気を失ってたし、あの恐竜の攻撃から助けたったんやんか!」

 俺は恐竜の方へと指を刺した!


 。。。

 

 女は驚いた顔で恐竜を見て少し記憶を辿ってるみたいやった。


「な。。。そうか、それは済まなかった。。」

 申し訳なさそうに女は首をさする。

 尻尾を顔面で受けて首を痛めたのか。。


 ガウゥゥゥーーーーー!!!

 恐竜が吠えた!


 そして恐竜はいつもの様に単調な突撃をしてきた。

 何回も見た攻撃やのに凄い気迫と勢いで気押されそうになる。


 俺は左右に仮面の女と別れて回避する。


 ッバァン!ドッカーーン!


 恐竜はまたも前の塀にぶつかって、勢いが落ちる事なくそのまま前の家まで突っ込んだ!!

 回復出来る緑の光も恐竜に踏み潰され消えてしまった。

 女は槍を取りに走ってる。

 俺は当然ヴェルや!!

 ヴェルに向かって走る。


 ッドンッドンッドン!!

 恐竜の足音が聞こえて来る。

 恐竜もヴェルに向かってるんか!?

 やはり恐竜もヴェル狙いっぽい!

 いやヴェルって言うよりどっちかと言うと、あの闇の石に寄って来てた時みたいに、闇に侵されてるヴェルに引き寄せられてるんやと思う。

 ヴェルについてる闇をどうしたいのかは知らへんけど。。

 絶対ヴェルは渡せないし殺させない!

 俺は恐竜を確認する。

 俺の方が少し恐竜より前を走ってる!!

 これなら俺が先にヴェル所へ行ける!


 ヴェルの緑の光の空間がある交差点を曲がった。


「ヴェル!ッ。。!」


 。。。。


「あれ?ヴェル!?」


 ヴェルがいない!?

 あの回復してくれる黄緑の空間はあるのに。

 その円の中にいたはずのヴェルがいない。

 なんでやねん!!


「ヴェル!!どこや!!」


 ッダン!!

 突然何かを蹴る音がした!

 俺は音の方を見る。


 うおぉ!白狼が空を舞ってる!


 俺と恐竜の頭の上を飛び越して仮面の取れた女の方に向かう白狼!


 スタッ!

 仮面の女の側に着地する白狼。

「ックッソ。。」

 ヴェルが白狼の背中に乗せられてるのが見える!

 仮面の女が白狼の背に乗る。

 攻撃を受けて右目の所が割れた仮面を被り直し槍も拾って持っている。

 ヴェルが乗ったまま白狼は身体をを翻し駆け出した。


「ビアよかった。。。」

「ニケ、ありがとうね」

 白狼と女がそう呟いた様な気がした。


「おい!!まて!!!」

 俺も追いかけて走り出す!

 横では恐竜も白狼を追いかけて走ってる!

 恐竜はもう俺なんかにはもう目も向けてもない。

 ヴェルしか目に入ってないんやろうな。

 横に走ってる恐竜に俺はあいつらを止めてくれと言いそうになる。

 恐竜が優勢になれば仮面の女と共闘し、仮面の女と白狼がヴェルを取れば、恐竜と共闘しているような気になる。

 ヴェルを巡って三つ巴の様になっている。

 三つ巴。。

 なってないか。

 俺が弱すぎる。。


 恐竜と一緒にヴェルを乗せた白狼を追い掛ける!

 恐竜の方が俺より走るのが速い!!

 っていうか俺のスピードが遅い。

 白狼と恐竜の距離は変わらないが、俺との距離はどんどん離れて行く。

 このまま俺だけ置いて行けれる訳には行かない!

「ックッソーーーーーーーー!!!」

 全力猛ダッシュ!!

 ッダッダッダッダッダ!

 なんか今日俺死ぬほど走ってるな。。

 でもそんな事言ってられへん!!

 猛ダッシュしてたらギリ離されへん!!


 !!!!!


 前がT字路になってて白狼に塀が迫ってる!

 白狼は脚力で屋根の上を駆けて行けるんや!

 俺はそんな事は出来ひん!!

 その前にあの白狼を止めないとあかん!!


「うぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉ!!!!」

 グガァァァァッァァアァァァ!!!

 恐竜と俺が同時にスピードを上げる!

 恐竜も俺と同じことを考えてるんやろ!!


 ッダンッダンッダンッダン!!!


 速い!!!

 恐竜相変わらず走るのめっちゃ速い!!


 ぐんぐん白狼に追いついて行く!

 もう追いつく!!!


 ッダ!!

 白狼が塀の手前で飛んだ!


 くそ飛び上がられた恐竜は間に合わなかったんか?


 バクッ!!

「ギャン!!」

 白狼の足にギリギリ恐竜が噛み付いた!!

「ビア?!!!」


 ッブン!


 恐竜は首を振って左側へ白狼を放り投げた!

 俺の体は勝手に動いていた。

 全力疾走で投げ飛ばされたヴェルを自然と追いかけてた。

 力なく宙に放り出されるヴェル。


 仮面の女と白狼とヴェルが空中に舞ってる。


「ヴェルーーーーー!!」


 コンクリートの道にヴェルを落としたくない!!

 ヴェルを傷つけたくない。


 間に合え!間に合え間に合え!!


 ドサ!

 ヴェルが落ちた。。


 俺の腕の中に。


 危なかった。。


 よし!

 このまま光波神社へ!

 まずは海沿いの駐車場へ行くぞ!!

「ヴェル大丈夫か?」

 俺は腕の中のヴェルを確認するともう全身が全て闇に侵されて黒い。。

 肌色の所がもう無い。。

 そしてヴェルの左目の周りから黒い霧を少し噴き出してる。

 霧の中は真っ黒で左目の辺りはもう何も見えない。

 他の部位は黒くとも肌や目や口など見えるのに。

 左目はもうどうなってるねん見えへんやんか。。

 その闇の吹き出す範囲が広がって行くんか?

 じわりじわりと闇が吹き出す範囲が広がっている様に見える。。

 くっそ!

 この闇が全部広がったらヴェルはどうなる?

 あのフードの女みたいに霧散してしまうんか??


 そんな事絶は絶対俺がさせへん!!!


 とにかく一回海沿いの駐車場へ緩やかな坂を目印に下へ海の方へと走る!

 猛ダッシュ!!!

 じゃないと恐竜に追いつかれる!!


 ハァハァハァハァ。。。。


 きつい。

 このペースで走り続けるのは。。

 また疲労がまた溜まってきてる。。


 ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 恐竜が追いかけて来てる!


 俺はただただ思いっきり海へと坂を下って行く!


 もうあと少したら海沿いの道に出る!

 もう少しや!


 その時!


 ッザ!!!

「嘘やろ??」

 目の前に白狼が降り立つ!

 屋根の上から仮面の女を乗せて飛び降りてきた。

 

 ックッソ!!

 恐竜に足噛みつかれて投げ飛ばされたやんか!!!

 なんで全力疾走の俺にそんな軽々追いついて追い越せるねん。。


 俺から白狼までの間の道に迂回出来る道もない。。

 正面から突破するしかない!!

 後ろには恐竜が追いかけてるし。。


 どうしたら突破出来る?

 俺が突破しようとしたら白狼は何をする?

 よく見たら白狼の左後足が赤く血に染まってる、あの恐竜に噛まれて投げられた時の怪我やろ。

 瞬発力は落ちてるんちゃうかな。

 でもここまで問題なく来たんやんな。。

 あの白狼にいきなり噛みかかられても回避できるんか?

 きっとそれは大丈夫か、俺今めちゃくちゃ集中できてるし。

 世界がスローに見えてる。

 問題は白狼の背に乗ってる女の槍か。。

 白狼と女は道の真ん中で待ち構えてる左右どちらから抜こうとしてもきっと槍は届くやろ。

 俺の速さと槍を突き出す速さでは絶対的に槍の方が速いよな、あいつらの横を抜けれたとしてもきっと怪我をする。

 ヴェルを守るためには怪我は絶対したらあかん。。

 どうしたら安全にあそこを突破して海岸線の道に出れる?

 背後からもめっちゃ凄い勢いで恐竜が追い駆けて来てるし。。

 やっばいよなーー。。

 挟み撃ちって共闘でもしてるのかよこいつら。

 

 三つ巴か。


 あ、でもこの恐竜がいたら何とか抜けれるかも!

 俺は閃いて白狼に向かって走って行く。

 目の前で女が槍を構えている。

 白狼も思いっきり上顎にしわを寄せて牙を剥き出し、唸り顔をしている。

 あいつ絶対噛み付いてくるやん。。

 やばいやんか!

 でも。。

 この状況。。

 上手い事すれば突破出来るはず!!


 前に白狼と仮面の女が迫ってる!

 背後も恐竜が来てる!

 ガキン!ガキン!

 って恐竜が口を開け閉めしてるのが後ろを見なくても分かる!

 前の白狼と女の顔が曇る。。

 あいつらの目線は確実に俺じゃなくて背後の恐竜を見てる!

 目が点になってるっていうか、どんどん怯えた目に変わってきてる。。

 よし!!いける!!!

 女と白狼のこっちへの意識が薄らいでる!!

 仮面の女達からしたら俺を止めても恐竜に激突もしくは噛み付かれる !

 そんなんどうしたらいいねんって話やろ。

 ガキン!! ガキン!!ガキン!!

 もう噛みつかれそうなくらいすぐそばに恐竜がいる。

 白狼の目の前で俺は少し角度を変えた方向に飛び出して、槍を構えた仮面の女の傍を飛び抜けた。


「うわぁ!!」

「ギャン!!」


 女と白狼の声が聞こえた。

 よし切り抜けた!


 あ!海が見えた!!

 海までもう少しや!!


 ガキンッ!!!!!


「うわ!!」

 何??耳元で歯と歯がかち合う音がした!

 今俺噛まれる寸前やった?

 後ろを振り向くとまた噛み付こうと追いかけて来てる!!!

 恐竜は白狼と女を蹴り飛ばしスピードを緩める事なく俺を追走して来てる。

 っていうか!!

 俺にもう噛み付ける位置までいる!

 凄い気迫や。。

 ガァ!

 大きく開いた口が俺を噛み千切ろうと迫る!


 噛み付かれる!

「おいおいおいおい!待て待て待て待て!!!!」

 俺は思わず前に飛んで転んだ。

 坂道をヴェルを抱えながら二回転。三回転。。

 もう海まで見えていたのに。

 俺は海すぐ側の踏切の手前で止まった。

 ズン。

 ヴェルを抱えてお尻をついた状態で恐竜を見上げる。



 グァァァッァァッァア!!!!!!!



 恐竜がのけぞる様に大声で吼えた。

 女を離せという威嚇の様にも、勝利の雄叫びの様にも思える。。


 ヒュ!


 ドン!!

「ぐはぁ!!」

 蹴られた。。


 思い切り恐竜に蹴られ俺は宙を飛ばされてしまった。

 俺は恐竜の脚がヴェルには当たらないように体で守った。

 絶対ヴェルは離さへん。


 ドサ。。

 ゴロゴロゴロ。

 俺は踏切を飛び越え、踏切の反対側まで飛ばされていた。。

「ガハッ!ぐぅあぁぁ。。」

 ズキ!!

 またあの白狼にやられた肋骨が。。。

 ハァハァハァハァ。

 息をするたびにズキズキ痛い。


 ズンズン。。

 恐竜がまた寄って来る。

 身体が軋んで動かない。

 冷静に考えて、なんとかこの状況からだっしないと。

 ハァハァハァハァ。

 酸素が足りてない。。

 頭がぼーっとっする。

 走り続けて酸欠してる。。?

 それとも恐怖から頭が働いてない??

 一回落ち着け俺。


 スーーーーーー。。。フーーーーーー。。


 肋骨に響かない様に浅く長く呼吸をする。

 ドン。ドン。ドン。

 恐竜が近づいて来てる。

 ギリギリまで酸素を。。

 身体を回復させないと。

 スーーーーーー。。。フーーーーーー。。


 ドン!!!!

 恐竜が思いっきり地面を蹴って空中に飛び出す!

 えぇ!?

 ズン!!!

 急に俺の側まで距離を詰めて、そして上から見下ろして来る恐竜。

 ブシューー、ブシューー、

 息の音が届く距離まで顔を寄せてじっとこっちを見つめる恐竜。

 まるで目で語りかけて来ているように感じる。


『お前では俺には勝てない!私はその女だけが欲しいんだ!お前は要らない!手を離してその女を置いていけ!』とでも恐竜が言っている様に見える。

 ヴェルを放して置いていけとでも言うんか?

 そんな事出来るわけないやんか!!!

 ヴェルを抱きしめる手に力が入る!

 その姿を見て恐竜の脚にも力が入った!!

 ヒュ!!

「やば!!」

 ドン!!

 ゴロゴロゴロ。。

「ガハッ。。。」

 また蹴られた。

 でも絶対この手は離せへん!!

 ドン!

 ゴロゴロゴロ。。

 ドン!!!!!

 ゴロゴロゴロ。。。。

 俺は何度も蹴り飛ばされ。

 止まっていた左肩の傷もまた開き血が流れ出ている。。

 だからってヴェルを離せるわけがない。

 身体蹴られた打撲とコンクリートの道を転がって出来た無数の擦り傷。

 走り回った疲労に、肩の刺し傷、折れた肋骨。

 身体がボロボロや。

 さっき少しでも回復しようと取り入れた酸素も効果を感じられへん。

 頭がぼーっとする。。

 痛いし辛い。。。

 ズン。。

 すぐ側に恐竜が立つ。

 見上げる俺。

 もう逃げるとか戦うとかそんな選択肢も出てこない。

 きっと俺の表情は愕然としてるんやろう。。

 さっきまでの恐竜の目は一瞬憂いた様に見えた。

 しかし今はもう違った。。

 今の恐竜の目は全く違う、俺に対して殺意がこもっている。

 ああ。。これはやばい。

 恐竜は一度俺の顔を覗き込むように注視し。


 ガァァウ。

 優しい声で鳴いた。。


 。。。。


 本当にいいのかと問い詰める様に。。


 それでも俺はヴェルを離す訳が無い。

 そんな選択肢俺には無い。


 ッガアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!

 

 大浜町全てに響く様な信じられないほど大きな声を世界に響かせた!!

 俺は動けなかった。。

 一度大きく息を吸い口を大きく広げ恐竜は噛みかかってきた!!


 いよいよ俺だけを噛み殺してヴェルを奪うのか。

 確かにその方が確実だよな。。

 海沿いの駐車場まですぐ側やのに。。


 やっとここまで来たのに。


 どうやったらヴェルを。


 助けられるんや。。


 俺に力が足りひんかった。。


 。。。


 ヴェル。。


 ごめん。。。




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