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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第一章 崩壊と運命
57/110

長い長い夜編 助けたい気持ちって素晴らしい。



 真っ暗や!


 雲の下は夜になってる!


 視野の中いっぱい収まり切らないほどの、美しい大浜町の夜景が広がってる!!


 綺麗や、ヴェルと一緒なら「ダーリン綺麗っちゃねー!」とか言いながら降りていくんやろうな。


 

 ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー



「俺こうしてると幸せや。ヴェルありがとう。。」


「あのな。。」

 今決めたんや。

 ヴェルに恥ずかしくてずっと言えなかった俺の素直な気持ちを伝えるって。

 夕陽が落ちて夕焼け空となった空を眺めて寂しくなった俺は寂しさを振り払おうと勇気を振り絞った。


「ヴェル。」


「ダーリン。。」


「ヴェル実はさ。。」


「ダーリン!」


「あのさ。」


「ダーリン!!」


「ヴェルちょっと。。」


「ダーーーリン!!!」


 ヴェルが俺の腕を引っ張る。


 ヴェルが余りに呼ぶから夕焼け空からヴェルの方へ目線を送る。


「え。。?」


 ヴェルの左目が黒い。


「ヴェル、え? 何、それ。。?」


「ダーリン左目がおかしいっちゃ。。。」

 ヴェルの目の中は黒いと言うより、闇が目の中に溢れている様に見える。


 目の中で闇がタプンタプンと液体の様に揺れ動いている。

「何やこれは。。」

 俺はヴェルの目を覗き込む。

「これはどうしたら。。」

「ダーリン。体がおかしいっちゃ。」


 プチン、ツゥーーーー。。

 目の中の闇の液体は水風船の様にプチンと割れて、ヴェルの目から涙が流れる様に目から闇が流れ落ちた。


 涙の様に流れ伝ったヴェルの頬が黒く闇に染まった。

 闇の涙がもう一粒。

 頬がさらに闇 に染まる。

 頬のを伝った闇の涙の筋からだんだん闇が広がっている。

 ポロ。

 さらに闇の涙が一粒。

 ポロポロポロポロ。

 涙が止まらない。

 ヴェルの顔の左側が闇に染まって行く。


 やばい。おかしい。


 これ、どしたらいいんだや。


「ヴェル。。」


「ダ。。。リ。。ン」

 ヴェルの体から力が抜けていくのが見ていて分かる。


 グラ。


「く。。らい。。。ちゃ。。。」


 ヴェルが俺と反対側に倒れる。。


「ヴェル。」

 これは。どうしたらいいんだ。。


 ボフ。。。


 え?ヴェルが消えた!


 真っ赤な座っていたとことの横の雲が舞った。


「え?嘘やろ?」

 もしかして落ちたのか?


「ヴェル!」

 俺はヴェルのいた所を覗き込みながら叫んだ。


 いない、ヴェルがいない。

「ヴェルーーーー!!」


 本当に落ちた??

 この雲の上から?

 明らかに飛んで行った感じじゃなかった!

 

 お、ち、た、、??


 落ちてたら。。


 ヴェルは。。


 そのまま地面にぶつかるんか、、?


 うそやろ。。


 ヴェル。


 永遠にって言ってたばっかりやんか。。


 これで終わりなんて絶対嫌や。

 絶対ヴェルを助ける!!!


 どうしたら?


 どしたら助けられる!?


 どうしたら!?


 どうしたら?


 あかん!!

 考えるな俺!!

 ヴェルを助けるんや!!

 ヴェルは絶対今落ちてる!

 俺の横に今いなんだから間違いない!!

 追いかけるんや!!


「ヴェルーーーーーー!!!!」


 俺は大声で叫びながら真っ赤な焼けた雲へ飛び込んだ!

 

 雲の中まで真っ赤や!!


 どこにいるんやヴェル??

 真っ赤な雲の中で何も見えない!

 雲中では見つけられないか。。


「ヴェルーーーーー!!!!」


 俺は雲の上までヴェルに抱えてもらって来た。

 もちろん降りる時もヴェルに抱えてもらって降りて行くはずだった。。。


 でも今、俺は雲の中でヴェルとは別々で落ちている。

 何も無い状態でにただただヴェルを追いかけて。。

 このまま落ちて行ったら地面に叩きつけられて終わる。。。。


 。。。


 あぁ、この状況前に夢で見たわ。。。


 水馬と戦った後、疲れて寝てしまった時の夢。。

 よく覚えてる。

 とても印象的な夢やった。。

 思い出したくもない最悪の悪夢。


 その悪卯を見た後、俺は夢の結末が嫌すぎて嫌すぎて、たまにその夢の中でどうやったらヴェルを助けられるか考えてたんや。

 そうだから俺にはこの状況を想定してた!

 

 絶対ヴェルを助ける!


 うん、で、この状況から助かるためには。

 まず落下しながらヴェルに追いついて、それからヴェルに飛んで降ろしてもらう。

 これが当たり前やけどベスト!

 まずは追いつかなあかん!

 俺は体を地上に向かって立てて空気抵抗を減らした!

 一気に加速した!

 いい感じ!これなら雲を抜けた時追いつけるはずや!


 前向きに向かい始めた俺に少し不安がよぎる。

 でも。。。。

 雲から落ちる前のヴェルを思い出すと。

 ヴェル大丈夫なんかな?飛べるんか?


 。。。


 もしヴェルが飛べなかったらただの人間の俺は多分100%助からない。。

 地面に叩きつけられて終わり。


 第二案として、僅かの希望として俺が考えていたのが。

 海に落ちる。

 出来る限り風圧を受けてスピード落として。

 最後は足から海へ。。。


 くそ、不安になっても仕方ないわ!


 先ずは落ちてるヴェルを追いかけて捕まえる!

 それが先決や!


 雲が薄くなってきてる!

 きっともう少しで雲から出る!


 絶対ヴェルを助ける!


「ヴェルゥーーーーーーゥ!!!!!」


 バフッ


 雲から出た!!


 一気に視界が広がる!!


 どこやヴェル!?

 俺は体を広げてスピードを落とし辺りを見回す。


 いない?


 ヴェルがいない?


 だいぶ暗くなってしまったダークオレンジの空の中にヴェルの姿が見えない。

 ヴェルどこだ?

 落ちてないはずがない。


 座っていた雲の上には絶対ヴェルの姿は無かった。

 絶対どこかで落下しているはずや。

 くそヴェルが見つからないなんて想定外すぎるわ。


 ヴェルを探してる最中も俺は落下を続けている。

 もっこりした雲の下にあった大地の様な雲がもう迫ってる!

 ヴェルはあの雲に先に到達してしまったのか?

 しか考えられへん。。

 なら急がんと!!


 俺はまた体を垂直に立て腕と足をピッタッと身体にくっつけて、身体に当たる風圧を減らす。

 落ちるスピードを上げる!!

 体は完全に逆さま状態で俺は赤い空を切り裂いていく。


「ヴェルーーーーゥゥゥゥ!!」


 大地の様な雲はもう赤さを失いかけている。

 世界が夜に染まって行く。


 ボフン!


 俺は大地の雲へと突っ込んだ!


 この雲は薄い!

 すぐ抜ける!

 抜けたらヴェルがいるはずや!

 絶対この腕で掴まえる!


 暗い!

 周りが分かり辛くなってる!

 

 もう雲から抜ける!!


 ボフン!


 抜けた!!


 真っ暗や!

 雲の下は夜になってる!

 視野の中いっぱい収まり切らないほどの、美しい大浜町の夜景が広がってる!!


 綺麗や、ヴェルと一緒なら「ダーリン綺麗っちゃねー!」とか言いながら降りていくんやろうな。


 そんなこと言いながら安心して降りたい!

 早くヴェルを見つけて捕まえるんや!!


 ヴェルどこや!?


 。。。


 また俺は体を広げて落下を遅らせて辺りを見回す。


 いーひん??


 あれ??


 うそやろ?

 ヴェルがいーひん。。


 ヴェルどこや!!


 くそ。


 暗くてわからへんのか?


 いや、ヴェルの白い髪は暗くても分かる!


 分かるはずなんや!


 っくっそ!

 やのに何でいーひんのや?


 何度周りを見回してもヴェルはいない。。


 


「くそ!!なんでや!!!!!!」




「ヴェルゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーゥゥゥゥ!!!!!!」



「どこやぁーーーーーーーーーー!!!」




 ヒューーーーーーーーーー。。。。




 もうただ落ちて行くしかないんか?



 俺はこのまま、ヴェルとは別々で地面に叩きつけられて死んでしまうんか。。



 くそ。。




 ダ。。  リ。。  ン。。。


 ん!!??

 なんか聞こえた!


 今の声はヴェルの声や!!


 どこや???


 どこからヴェルの声が??



 ダ。。   リ。。    ン。。。。



 また聞こえた!!

 近くにヴェルがいる?


 もしかして。


 上か????


 バッ!!

 俺は慌てて体を反転させて上空を見上げた。

 キラッ。

 何か光る物が俺の目に飛び込んできた!!

 光った!

 ヴェルの白い髪だ!!


 よかった!!!

 ヴェル!

 めっちゃ短い時間やったけどめっちゃ長い時間離れていた気がする。

 少し目頭が熱くなった。


 急ぎ過ぎて一つ目の雲で追い越してしまっていたのか。。。


 ヴェル。


 良かった!


 バッ!!

 俺はさらに体を目一杯広げて、風の抵抗を受けた。。


 ブァァーーーー。。


 風がいっぱい体が当たる。。

 落ちるスピードがゆっくりになった。。


 ウィンドサーフィンをしているからか風の受け方とか、空中でのコントロールが少し解る。

 それにたまにこの状況想定してたし。


 ヴェルは体に力が入っていない、ヒラリヒラリと落ちてる。

 進行風に弄ばれ右へ左へ。

 速くなったり遅くなったり不安定や。


 俺の真上からヴェルは少し左側にいる。

 このままスピードを落としても受け止められない。。

 右手を少し上げ体が左に流れて行く様に風を流す。

 ゆっくりヴェルの下に向かって行く。

 ヴェルが近づいて来てる。

 ひらり。。

 ヴェルが右へと移動する。

 クソ。。

 次は左手を少し上げて体の位置をヴェルの下へと調整して行く。


 かなり近づいてる。

 もう少しででヴェルを受け止められる。。

 ヴェルが目の前や!


 ビュゥゥーーーーー!!!


 突然急に横から突風が吹いた!

 なに。。!

 何でやねんこんな時に!!

 身体がクルクルっと風に回されてしまった。。

 慌てて両手を使って体制を整える!

 回転が止まった!

 ヴェル!

 どこに行った?

 サッと上空を見上げた!


 え?


 ドンッ!!


 ぶつかった!?

 上を見た瞬間ヴェルが居た。

 同じ様に突風に煽られ飛ばられたんだろう。

 落ちるのが俺より速かったヴェルとぶつかってしまった。


 受け止めるはずが打つかってまた離れてしまった。

 ヴェルの体制が頭が下になり真っ逆さまになってる。

 ヴェルの落ちるスピードが上がる。。


 ヴェルがどんどん離れて行く。


 くそ!

 待て!


 俺も頭を下にして手足をくっつけ風の抵抗を減らす。

 下を見下ろすと。

 いつのまにか町の光が近づいてる!!


 見事な夜景を作り出す街がどんどん近づいて来ている。。


 くそ!!

 なかなかヴェルに追いつかへん。。

 ヴェルも同じように真っ逆さまになってるからや。。。


 いや。。


 ゆっくりだけど少しづつ追いついてる。。


 でも。。


 このヴェルとの距離。


 そして大浜町との距離。


 これ。


 もうヴェルに追いついたところで。


 助かる術はあるんかな。。?


 ヴェルまでもうあと少し。


 キラキラと輝く街がさっきより近づいてる。


 やばい。。


 ヴェル!!


 届く。


 もう少しでヴェルに手が届く。


 ヴェルはきっと意識があって、俺を待ってる。

 さっき頭にヴェルの声が聞こえたんや。


 間違いない。



 でも。。



 町が。


 町の灯りがもう。。。


 ああ。。


 たとえヴェルに追いついて。


 この胸に抱きしめられたとしても。


 どうやってヴェルを助けたらいいんだ。。。



 あぁ。。


 くそ。。







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