表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第一章 崩壊と運命
56/110

長い長い夜編 夕焼けって素晴らしい





「ダーリン。。うちらのこの楽しい時間も終わっちゃうっちゃ?」


「いや。。。終わらへん。。今よりもっともっと楽しい時間が来る。って俺は思ってる!そっちの方がこれから来る未来が楽しみやろ!」


 


 ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー


 キーンコーンカーンコーン


 終業のチャイムが鳴った。

 午前中の事件の後そのまま授業が再開され、その後何もなく学校が終わった。


 俺は小春ちゃんの山頂の時も黒い霧が体内に入るっていう同じ様な事があったから、俺はずっと気が気じゃなかった。

「ダーーーーリン!」

 チャイムが鳴り終わるとともに元気にヴェルが飛びついて来た。

 俺の心配を他所にヴェルは全然元気そうや!

「バイバーイ」

「またなー」

「またねー」

 クラスメイトと別れ俺たちは教室を出て、八人でクラスを出て学校の駐輪場へと向かう。

「ヴェル、あんたさ、あの人が消えた時さ、あのフードの中の人は見えてたのかい?」

 向かう途中で歩きながら綾ねえがヴェルに質問してる、綾ねえもまだ朝の事が気になっているようだ。

「んーーーーー。見たっちゃ!」

「え?」

「マジで?」

 皆んなヴェルの見たという発言にがぶり寄る。

「中はね。濃い影がかかっったみたいで真っ黒だったっちゃ!」

 ガクッ!

「それ全然見えてへんやないかーーい!!」

「えへへ!ごめんちゃ」

 少し舌を出して目を閉じて少し笑うヴェル。

 皆んな肩を落としてまた駐輪場へと歩を進める。

「でもぉ人が消えるなんてぇ不思議な事も有るんですねぇ。」

「パッて消えちまったもんなぁあたしはびっくりしちまったよ」

「服だけ残ってるのも訳わかんねーよな!」

「不思議だよねぇ、最近の行方不明者多数の事件てもしかしてぇああ言う事なのかなぁ」

「それはあり得るよな、だったら俺たちは凄い瞬間を見たんじゃねーのか??」

「にゃははは!そうだね!翼消えないように気をつけなよ!」

「うわ!綾ねぇ何てこと言ううだよ!俺もう怖くて今日寝れねーよ!」


 皆んなには黒い霧はヴェルに吸い込まれた様には見えず、ただ人が消失したように見えたらしい。


 駐輪場で皆んなそれぞれ部活へと別れて行く。

 翼は空手部へ、綾ねえはバスケ部、ウッディーとなーちゃんはナクドラルドへ行ってゲームらしい。

 ウッディーとなーちゃんは昨日泊まってたんやし帰らんでいいんか?って思ったんやけど。

 まぁ大丈夫なんやろな。

 みんなの自由奔放さにふふっと少し笑えた。

 賑やかな皆んなのおかげでヴェルのことばかり考えていた俺の頭が少し軽くなった。

 俺は不安で俯いて地面ばかり見ていたんやわ。

 急に目線が上がり、突然空が目に入って来た。

 水色の少し淡い青い空にモクモクとした雲が優雅に浮いてる。

 さらに気持ちが雲の様にふわっと軽くなった!

「じゃあ皆んなまた明日だな!」

「そうですねぇ〜少し寂しいですけど」

「海晴今日朝サーフィンありがとな!」

 皆んな別れようとする。


 ピョーーーーーン!!

「ヴェルたんまたねーー!!!」

 別れの挨拶と言わんばかりに翼が飛びかかってくる。

「翼!またね!!だっちゃーーーーーー!!!!」

 バリバリバリ!

 

 どさりと真っ黒な翼が地面に落ちる。

 。。。


「やりすぎたっちゃ?」

「あーあーやりすぎやって」

 翼が真っ黒こげや。

 今日の朝修行してへんから力が有り余ってるっぽい。

 俺は心配してしゃがみ寄る。

 シュ!

「つば、、あれ?」

 焦げてた翼が消えた。

 シュタッ!

「ヴェルたん!君の元から去るのが嫌すぎてさ」

 翼さはもヴェルの前で片膝をついて騎士みたいに見上げてる。

 いやいや、頑丈すぎやろ。

「翼強すぎるっちゃ。」

 ビリッともう一撃!

「だんでだよーーヴェルだーーんーーー、、、」

 ははは!

 ヴェルと考えることは同じやな!


「「「「「あーっはっははあはは!」」」」」

 その翼を見て皆んな笑ってる!

 ヴェルのの事で気持ちが沈みがちだった皆んなに笑顔が戻った。

 本当に翼はアホやわ。

 でも、こういう分かってか分からずか身体を張って皆んな笑顔にできる翼。

 お笑い芸人みたいで凄いなとちょっと心の隅で思った。

 俺ももう心から笑ってなんか心の中の重っかった物がスッキリ無くなった気がする。


「じゃあなーー!」

「またねーー」


 皆んなそれぞれ別れて行く。


「ねぇヴェルちゃん今日の夜に光波神社に絶対に来てね。きっと麗子さんに見てもらったほうがいいと思うから」

「ああ、ヴェルさん俺も一応母さんに見てもらった方がいいと思うな」

 皆んなが去ってから小春ちゃんと翔陽が提案してくる。

「そうだっちゃね。麗子さんに見てもらうっちゃ!本当に何ともないんだけど。。。」

「ヴェル、一応見てもらったほうがいいって」

「だっちゃね!うん!夜行くっちゃ!」


「オッケー!じゃあ海晴またな」

「おうじゃあなー」

「また後でね」

「バイバイだっちゃ」


 そして皆それぞれ別れた。


 はずだった。


「おーーーい!海晴!」

 ズダダダダダ!

 一度離れて行った翼が駆け寄り戻ってくる。

 キキッ!

 ギリギリで止まった!

 うお!近すぎ、びっくりして仰け反ってしまうほど近い。

「な、なんや?」

「忘れてたぜ!海晴!時間あるなら空手練習一緒にやってくか?」

「カラテだっちゃ?うちもやってみたいっちゃ!」

「しかも今日は空手の先生が来るから特別!顔面有りでの勝負だぜ!」

「ヴェルたんも勿論やろうよーー!ヴェルたんは顔用の防具をつけてね〜〜」

 翼はニヤニヤして、鼻の下を伸ばしながらクネクネしている、頬っぺたまで赤くして。

 気はっきり言って持ち悪い!空手の時はなかなかカッコいいのに。。


 まぁでも悪くない誘いよな、まだ俺道場の修行で翔陽に勝ってないし、勝つために格闘技めっちゃ練習するって決めたし!


「おっけ!翼サンキュ!!やろう!」





ーーーーーーー学校の空手道場ーーーーーーーー




 パシッ!ガシッ!ドンッ!


「っちゃ!!」


 ッバッシン!!


 拳と蹴りと汗が道場に舞う!


 パパパパ!バシ!


 かれこれ20分以上ヴェルの攻撃は俺にヒットすることが出来てへん。

 ヴェルはもう息も乱れてかなり疲れて来てる。


「ヴェルもっと俺のスキを探さな攻撃ははいらへんで」

 シュ!

「おっと。。!」


 パンパン!パシッ!ガッガッ!

「スキか、スキだっちゃね〜!」


 なんかヴェルが戦いながら企み始めた。


 。。。。


「ダーリン、、」


「何でよ?」


「ダーリン好きだっちゃ!」


「え”?」

 何なん急に、びっくりした!


 ヒュ!

 ッバッシン!!


「っがは!」

 俺の顎がヴェルの掌打にかち上げられる!

 しまった!!

 ヴェルの一言で驚いて集中力が切れてスローに見えていた攻撃が見えなくなってしまってた!

 バ!

 俺が慌てて体制を整えると目線の先には、仁王立ちで両手を腰に当てドヤ顔をするヴェルが居る。

 白い耳がピクピクしてていかにも褒めて欲しそうだ。

「ダーリン!スキ!だっちゃ!!」

 パチン!

 ウィンクしてきて可愛いなこのやろう。。。!

「よーーーし次は攻守交代しようや!」

「いいっちゃよーー!」

「待て待て待て!ヴェルたん絶対海晴には勝てないから!でもよく海晴に掌打当てたじゃん!海晴の集中力は俺より凄いのにさ。マジビックリだぜ!」

「ありがとだっちゃ!でも、うちはもう一度ダーリンとやりたいっちゃ!」

「いや、ヴェルたん、本当に海晴はレベルが違うからさ!じゃあ俺との組手見せてやるからさ、それから海晴とやらないか決めたらいいよ!それに海晴の動き観察してみ!面白いから」

「わかったちゃ!」

「何なん面白いって?」

「まぁいいじゃんいいじゃん!っていう事で!いよいよ!海晴やるか!」

 俺達が空手部の練習に参加して一時間。

 やっと翼と組手ができる。

 ぶっちゃっけ空手部で組手をして楽しいのはもう翼ぐらいだ。

 今日は特別で空手の実技指導で外から師範代が来てるからグローブをつけるけど特別顔面有り。

 顔面有りなんてこんな緊迫した組手はなかなか無い!

 ワクワクしない訳ないやんか!


「海晴!行くぜ!」

「おう!」


「「お願いします!」」

 礼をして。

 ビシッ!

 二人とも同じ構えで構える。


 。。。。


 少しの沈黙。


 ふぅーーー。

 翼が息を吐いた。

 すぅーーー。。


 ピク。

 来る!


 シャ!

 翼から突き出される拳。

 っはっっやい!!

 ガード出来ない。

 左手で俺の顔面への突き!

 見えてる。

 ギリギリ首を寝かして避け。。。

 ザッシュ!

 っく、、避けきれなかった。

 右頰をかなり深く掠めた。

 顔を右に回し攻撃をいなす。

 翼は入ると思ったのか完全に加重が前のめりになってる。

 俺は少し後ろに仰け反りながら左足での上段蹴りで顔を狙う!


 ッバッシン!!


 俺の蹴りは翼の右腕でガードされた。

 くっそ!

 翼が右足の下段蹴りで軸足になってる俺の右足を狙ってくる。

 ガードのしようがない。。。

 俺は咄嗟に右足で飛び上がり左へ側転してギリギリ回避する。

「あぶね!」

 手と足を地につき本当にギリギリの回避だった。

 すぐに体制を立て直そうとするけど翼が逃すまいと追ってくる!

 そこから翼の猛攻が始まる!

 パシパシガシパシ!

 っくそ!

 めっちゃ速い!

 翼の攻撃を防ぐことでせいっぱいだ。

 反撃のタイミングが全然無いやんか。

 パパパパ!バチン!

 ックッソ!

 集中してるはずなのに翼の手足がスローに見えてる気がしない。

 正に拳の五月雨さみだれ

 パパバチッ!パバンッ!

 この拳の雨をどうにか。

 ガフッ。。

 顔狙いのパンチばかり気にしていて。

 翼の前蹴りが思い切り腹に刺さった。

 ぐぞぅ、、い痛って、、


 フゥーーーー。。。

 

 翼が新鮮な酸素を身体に入れてる。

 早く攻めたほうがいい!

 翼に先に攻め込まれると防戦一方になる!

 俺は思いっきり地面を蹴った!

 頭を働かせろ!集中を研ぎ澄ませ!

 シンプルに思いっきり右手の正拳突きこれは100%避けられる!

 翼お前は左に避けるんだろ?

 サッ!翼は余裕を持って左へ回避。

 分かってんだよ!

 そこの合わせて空手には無いけど斜め下から左フックで合わせる!顎を狙った左フック!

 これは後ろにスウェーバックするんだろ?

 サッ!

 翼はちゃんと後ろにスウェーバック!

 やんな!

 そしてこれが本命や!

 翼は顎が上がって下が見えない!さっきの左の回し込んだフックの勢いのまま!

 ギュルッン!!!

 体を前傾させながら身体を思いっきり回し込で、フックで出来た勢いをさらに加速させてーーー!

 右脚の後ろ回し蹴り!!!

 下段から上段へと向かう不意の視覚の外から襲い来る蹴り!


 これは避けれないだっろーーーーーー!!!


 ッバッシィーーーーン!!!!


「っぶっはーーーー!!!」

 当たった!!

 でも腕でガードされてたっぽい。


 ゴロン!

 翼が俺の蹴りに吹き飛ばされて一回転、横へと転がる!


「あっぶねーー!海晴そんな事出来るようになったのか!?やるじゃん!」

 見えてたのか手で俺の渾身の後ろ回し蹴りは右手でガードした上に横に転がっていなされていた。

 くっそ!


「次はこっちの番だぜ!いくぜ!!」

 パパパパパ!

 ドス!


 ッガフ。。。


「ックッソ!翼め!」

「まだまだ行くぜ?」


 。。。。


 そこから組手は30分続いた。

 それで俺は負けた。

 ほとんど防戦一方で最後は疲れて俺は集中力を失って負けた。

 まじで悔しい。

 でも今までで一番戦えてた。

 でもでも負けた。。

 くっそ!


「ダーリン凄かったちゃ!」

 ヴェルが駆け寄ってくる。

 ハァハァハァハァ。。

「クッソ。。やっぱ翼めちゃくちゃ強いわ。」


 ハァハァハァ。

「いや海晴もすげー強くなってるよ!あの後ろ回し蹴りはまじで紙一重だったし。」


「本当に二人とも凄いっちゃ!」

「あー悔しいわー。」


 そのあと空手部の先生と師範代に熱烈に空手界への勧誘を受けたんやけど。

 俺の練習は世界を守るために少しでも強くなりたくてやってる、やから空手だけをするって訳にはいかへんし、やし、「たまに練習に参加させて下さい」とお願いして、俺達はそそくさと道場を後にして帰路に着いた。


「ヴェル怪我して無いか?」

「大丈夫だっちゃ!ダーリン守ってばっかりで全然撃ってこなかったちゃ!もうちょっと。。うちとしっかり戦って欲しかったっちゃ!」

「んーーー、、でもヴェルを怪我させたらって思ったらさーなかなかさ。。。」

「次はもうちょっとで良いからお願いだっちゃ!」

「わかった!ヴェルの練習にならへんもんな!」

「だっちゃ!」

「じゃあ帰ろ!後ろ乗って!」

 俺は自転車に跨ってヴェルが乗るのを待つ。

 カチャン、ヴェルが荷台に飛び乗った。

「おっけーだっちゃーー!」

 グッと自転車のペダルに体重を乗せ進み出させる!

 ヴェルは空手で少し疲れたのか横向きに座って右手で俺を掴んでる。

「ダーリン」

「ん?」

「空手しているダーリンはすっごい眩しくってカッコよかったっちゃ!」

「ほんまに?ありがとう!」

 眩しいの意味は分からへんけど嬉しいことを言ってくれやんか。

 海岸通りに出て海岸線を自転車で走らして行く。

 空がどんどん赤くなって来ている。

 太陽はゆっくりと空から下がってきて、水平線に近づくにつれて大きくなりオレンジに染まっていく。

 今日の空は雲がある、空の半分くらいは雲で覆われていて、雲に太陽が隠れるとその度に光芒が挿した。

 水平線は特に雲が横向きに重なり空は見えない。

 空気中の水分量が多いのか、雨上がりの時の様に空がいつもより赤くなって来ている。

「ダーリン今日の空も綺麗だっちゃ!」

「ああ綺麗やなー。。」

 自転車を止めて赤くなり始めている空を眺める。


 。。。


 真っ赤な太陽が雲へと落ちて行く。


 雲がなかったら水平線に近づいて、もっともっと赤く大きくなるはずだった太陽は雲へと落ちてしまい見えなくなってしまった。


「雲に隠れたなー、今から真っ赤な太陽になったと思うのに残念やなー」

「まだ見れるっちゃ!」

「かな?でも雲で隠れてしまったし今日はもう無理やって」

「大丈夫だっちゃ!諦めたそこで試合終了だっちゃ!」

 でた、ヴェルのアニメオタク。

 安西先生やん。


「じゃあどうやって見るんよ?」

「雲に隠れたなら雲の上に行って見たらいんだっちゃ!」

「ははは!そんなん無理に決まってるやん!」

「出来るっちゃ!ちょっと待つっちゃ。。」

 スッとヴェルは胸元に手を入れて人差し指サイズのスプレーの様な物を出した。

「どこから出してるねん!」

「胸元だっちゃ!ダーリン恥ずかしかったっちゃ?」

「は、恥ずかしくないわ!で!それはなんなん?」

「これはうちの星にある雲を一定時間固めるスプレーだっちゃ!これを振りかけたけた雲は二時間くらい硬くなるっちゃ!雲の上を歩けるしそこに座れるようになるんだっちゃ!」

「なるほど」

「うちが飛んでダーリンを雲の上まで連れて行くから、雲の上で一緒に見るっちゃ!」

「雲の上からの夕陽!やば!めっちゃめちゃ良いやん!!」

「だっちゃ!絶対綺麗だっちゃ!」

 ヴェルはもうすっごい目をキラキラさせて俺を見上げてる。

 可愛いなー。。。

 恥ずかしいし声には出せないけどほんまにめちゃくちゃ可愛い!!

「じゃあ行くか!でも俺を乗せて飛ぶって重いんちゃう?大丈夫なん?」

「ダーリンくらいなら全然大丈夫だっちゃ!」

「おっけ!じゃあ行こう!」

「うん!じゃあねダーリン。ハグして!」

「なんでやねん!」

「くっつかないとダーリン抱えて飛べないっちゃ!」

「あ、ああ、っそっか!」

 少ししゃがんで正面からヴェルをハグする。

 そして俺にヴェルも抱きついて。。。

 次の瞬間!

 俺達は空へ飛び上がった!

 ひゅるるるる。。

「おお。。」

 結構なスピードで空に浮かぶ雲に飛んで上がって行く。



 ゆっくりと雲が目の前に迫ってる!

 雲が赤い!

 きっと裏側にある夕陽が染めているんやろうなー。

「いくっちゃ!」

 ボフン!

 俺達は雲に突っ込んだ!

 雲の中は少し薄暗く霧の中にいる様で全く何も見えない。

 少し赤く染まった霧の中を俺達は飛んで上がって行く。

 だんだん雲が薄まり明るくなって来てる。

 雲の白と太陽の赤い光でオレンジ色や。。

 オレンジ色の霧の中にいるようで少し幻想的。

 その幻想的な雲の中を通り過ぎて行く。

 明るくなってきた、もう少しで雲から出そうや!

「ダーリンもう少しだっちゃ!」


 ボフン!!


 雲を出た!!!


 眩しい!

 真っ赤な太陽の光が目に飛び込んで来る。


「うわ。。めっちゃ。。凄い。。。」


 声が漏れてしまった。


 めっちゃ綺麗や。。。


「ダーリン。この景色。。地球って本当に凄いっちゃ。。。」

 ヴェルも圧巻の景色に目を奪われている。


 目お前なる景色は、見事なほどに大きく真っ赤な夕陽で、雲の上は赤とオレンジに染まった美しい世界だった。

 上空にあった雲は二層に分かれていて大地の様な雲の上には綿菓子のようにふわふわのこんもりした雲が浮いている。

「ダーリンちょっと待ってね」

 そう言うとヴェルは雲を固めるスプレーを少し高くなってる雲のてっぺんにシューーーっと振りまいた。

「これで固まってるん?」

「固まってるっちゃ!」

 俺とヴェルは二人でそっと降り立ち、その雲の上に座った。

 目の前の景色を眺める俺とヴェル。


 やばい。。


 めっちゃ綺麗や。


 幻想的過ぎる。。


 何も考えられない。

 

 なんて美しい世界なんや。

 美し過ぎて頭が真っ白になってしまう。

 景色に目を奪われるどころか思考まで奪われてしまうほどの美しさ。

 太陽の光が優しく。

 一面に平たく広がる雲の上に光が降り注いで、オレンジ色に輝き、まるで雲の大地が有るかの様だ、思わずこの輝く大地を駆け出したくなる。

 輝く大地の上にはいくつもの、ふんわりと大きな丸みを帯びた雲が浮いている。

 ふんわりした雲は夕陽のオレンジ色の光を受け、外側はオレンジ色に輝き、雲の裏側にけば行くほど影とオレンジが混ざり合い濃い赤色へと変わってる。

 湿度が高いのか影と日向ひなたの境が光芒で線を引かれた様にはっきりと見え、さらに幻想的な世界を作っている。

 

 赤とオレンジの空の上の世界。


 。。。


 幻想的過ぎやろ。。


 なんて美しいんや。


「ダーリン綺麗だっちゃ。」

「ああ。綺麗やな。」


 この美しい景色を見てるとなかなか言葉が出てこない。


「ダーリン。」

「ん。」


「ありがとうだっちゃ。。うち地球に来て幸せだっちゃ!」

 ヴェルがピタッと肩をくっつけて頭を俺の肩に乗せた。

「ダーリンがいて、翔陽と小春がいて、学校のクラスメイトもいっぱい。皆んな良い人達で。一緒にいっぱい笑って。それでね、海に入ったり山へ登ったり、みんなで努力することも初めてだったし。初めての事いっぱいですっごい新鮮で!うち本当に本当に幸せだっちゃ!」

「ああそうだな、俺も皆んなといてめっちゃ楽しいし、まじで幸せやわ!


 俺はヴェルの方を見る。

 ああ、夕陽に照らされたヴェルは一段と可愛いい。

 目が大きくて綺麗な鼻と笑ってるように少し上がる口角。

 綺麗な顔なのに可愛くも思える。

 夕陽を眺めるヴェルは本当に美しい。

「夕陽が落ちていくっちゃ。」

「ああ。。ほんまや。」

 夕陽を見ると。

 そろそろ夕陽が雲の大地に沈み始めてる。

 この赤とオレンジの世界も赤が少し強くなって来ている。


「ずっとこの綺麗な世界が残ったらいいのに、って思うっちゃ」


「ヴェル永遠に続く物なんて無いんやで」


 。。。。


「ダーリン。。うちらのこの楽しい時間も終わっちゃうっちゃ?」


「いや。。。終わらへん。。今よりもっともっと楽しい時間が来る。って俺は思ってる!そっちの方が未来が楽しみやろ!」


「ふふふ。。!それいいっちゃね!」

「もし嫌な未来が待ってたとしても、全部オレ達が塗り替えてやろうぜ!」

「だっちゃね!何があってもうちはダーリンを、この世界を守るっちゃ!」

「それは俺もや!」

「ふふふ」

 ヴェルが笑った。

 笑うヴェルはまた一段と可愛い。


「ダーリンでもね。永遠に続く物、うちは一つ持ってるっちゃ!」


「へーーーー、そんなんある?ヴェルの星のなにかなん?」


「うちのね」


「うん」


「ダーリンが大好きって気持ちだっちゃ!」


「あ、、ああ!はっは!ありがとう。ヴェル、可愛いな!」


 何か、物かなんかだと思った俺はヴェルの可愛い発言に不意打ちを食らってしまった。

 俺はヴェルをそっと左手で抱き寄せた。

「俺な。ヴェルと出会ってからさ、世界が変わってん。なんかめちゃくちゃな世界やけど。でも俺にとってめちゃくちゃ楽しい世界になってん!だから。。」



「ヴェル。ありがとうな。」


 。。。


「でもやっぱり思ってしまうよな!」


「何がだっちゃ?」


「このめちゃくちゃ楽しい時間が永遠と続けば良いのにいって!」


「ふふ。本当に思っちゃうっちゃ!」


 俺のこのヴェルが好きだって気持ちもたぶん。。


 いや絶対。永遠なんだと思う。


 何でかな、、永遠って確信がある気がする。

 この好きって気持ちを今ヴェルに伝えるべきか。

 伝えるべきよな、少し恥ずかしいけどヴェルはいつも言ってくれてるのに。

「ああ。もう夕陽が沈んじゃうっちゃ。」

 ヴェルはこの昼夜の狭間の世界に魅入られてる。

 俺もヴェルに合わせて真っ赤な夕陽の方に目を向けるともう夕陽はほとんど雲の中に落ちていて、赤とオレンジの世界が赤と真紅色の世界に変わっていた。

 空の天辺てっぺんは、濃く深い青に変わり、そこに宇宙があるんだと思わしてくれる。

 天辺にある夜の真ん中に三日月が浮いていて、三日月からゆっくりと夜が降る様に群青色が降りてきている。

 目線を前に戻すと正に今、夕陽が雲の中に消えていく瞬間。

 消えていく太陽を見たら少し寂しい気持ちになってきた。

 俺達はこの夕陽の様には消えていかへん。。

「ああ。消えていくっちゃ。」

 夕陽がスーーっと雲の中に消えていった。

 言おう!このヴェルへの気持ち消えることなんてないけど、言うべきやろ。

「ヴェル。」

「ダーリン。。」



「俺こうしてると幸せや。ヴェルありがとう。。」


「あのな。。」

 今決めたんや。

 ヴェルに恥ずかしくてずっと言えなかった俺の素直な気持ちを伝えるって。

 夕陽が落ちて夕焼け空となった空を眺めて寂しくなった俺は寂しさを振り払おうと勇気を振り絞った。


「ヴェル。」


「ダーリン。。」


「ヴェル実はさ。。」


「ダーリン!」


「あのさ。」


「ダーリン!!」


「ヴェルちょっと。。」


「ダーーーリン!!!」


 ヴェルが俺の腕を引っ張る。


 ヴェルが余りに呼ぶから夕焼け空からヴェルの方へ目線を送る。

 すると目線の先には信じられない光景だった。


 そして長い長い夜が始まったのだった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ