修行編 修行に励むって素晴らしい
俺はそっと目を開く、、と窓の外から月が見えた。
月の光が俺の体に降り注いでる。
ドクンと身体が唸った。
途端に身体がザワザワして腕から茶色い毛が!
それから牙が生えて目が鋭く、爪がこうバキバキっと伸びてきて。
俺は狼のような姿に。。。
ーーーーーー日向 海晴ーーーーーー
「うおーーーーーー!すげぇ!!」
「すごい部屋だっちゃーーー!!」
俺達は修行をするために翔陽の総合格闘技を練習してたという部屋に入った。
部屋に入ってまず俺の目に飛び込んできたのは金色に輝く大きな仏像!
その仏像は眩しいほどに輝きを放ち、畳を何枚も何枚も引き詰められた大きな部屋を睨み眺めている。
仏像のせいか部屋の雰囲気はとても重もしく神聖な空気に包まれていた。
「すごい置物だっちゃねー!」
「ヴェルちゃん置物じゃないです。仏像って言うんですよ」
「仏像って言うっちゃ?」
「そうやで!神様の像をそういうねん。この仏像、すごい雰囲気だよな。」
その仏像の片手で槍を持ち片手は掌を天に掲げている、眼光は鋭く畳の部屋を睨みつけている。
「俺さ、ずっとここで総合格闘技のトレーニングしてきたんだけどさ。心が折れそうだっ時にさ、この仏像の眼光に何度サボるなって言われたか、ははは!」
「ちょっとわかるかも、本当にすごい雰囲気ですもんね、毎日の掃除もなんだか頑張っちゃいますもん。それに、すごい神々しくってかっこいいですよね、この毘沙門天様」
「この仏像って戦いの神様の毘沙門天様なんや?」
「そうだよ、この部屋でトレーニングするとマジで強くなれる気がするんだよ」
「そら毘沙門天様に見られてたらそんな気がするよな!」
「ああ!よし!じゃあ早速やろうぜ!」
「何をやるっちゃ?」
「やっぱ実践あるのみやろ?」
「私達で戦うって事ですか??」
「マジか?」
「そうしないと修行にならないしな!」
「そう、ですよね。」
何か考え込む小春ちゃん。
「よしダーリンやるっちゃ!」
ヴェルは元気にやる気満々!
ピョンと飛び上がり俺の前に飛び降りてくる!
俺とヴェルが構える!
「行くっちゃ!!」
「おう!やるか!!」
なんか俺たい交戦的になってる気がする。
なんなんやろ、あの毘沙門天様に見つめられているからかな。
なんかそんな気がする。
ヴェルが飛び寄るってきていた!
応戦するために身構える俺!
「いくぞ!」
俺とヴェルの拳が交差する!
パシ!パシ!
あれ?拳が止められた?
「待て待て!」
翔陽が俺とヴェルの拳を止めてた。
「直接殴ったりヤバすぎるだろ!!海晴も今ちゃんと殴る気無かっただろ!?」
「あ、ばれた?そんなんヴェルを殴れるわけないやん!」
「それじゃ修行の意味ないだろ?」
「そうですね。」
「うちは殴る気だったっちゃよ!」
「ああ。それもわかったよ!」
「なんでやんねん!」
「なんかここの部屋戦いたくなるっちゃ!」
「それめっちゃ思うわ!」
「ああ、毘沙門天様に見つめられる部屋なんだから当たり前だろ?」
「当たり前なんか?」
「当たり前だと思いますよ。」
「そうなんだっちゃ?」
「まぁ良いじゃねーか!じゃあ着替えるぞ!」
「え?着替え?」
「いいからいいから、ここは神聖な道場だぜ!」
「わかった!」
「わかったっちゃ!」
「いきましょう!」
・・・・・十五分後・・・・・・
俺達は道着へと着替えた、道着とボクシンググローブ。
なんか、見た目合ってへんよな?そんな事ない??ダサない??
べの部屋で着替えて出てきたヴェルは俺と同じように空手の道着に大きな大きなポフポフのボクシンググローブ、髪はポニーテールで初めて見る髪型。
ヴェル、その姿も可愛いな。。
こんなグローブつけても可愛いヴェルをなんて全然殴れる気がしーひんわ。。
ポインポインと飛びながらグローブをボフンボフンとぶつけ合う。
「これなら怪我しないっちゃね!」
笑顔がまた可愛い。
小春ちゃんはいつもの袴を着てさらにその袴をたくし上げていた、そして俺達とお同じポフポフグローブをつけてる。
ボフッボフッっと眉間に皺を寄せて無言で両手をぶつける小春ちゃんやる気満々やな!
「まずは翔陽!俺らからやろうぜ!」
ニヤリ!
「ふーーん、海晴俺に勝てるかな?」
「絶対勝ったるわ!」
俺と翔陽は道場の真ん中で向かい合った。
「いくぞ!!!」
俺は思いっきり翔陽へと突っ込んだ!!
全力で右手の拳を突き出す!!
「っと!」
パシッと翔陽に俺の全力の右手は弾かれた。
「ガフッ!!」
そして見事に俺の左頬に翔陽のカウンターの右フックが突き刺さった。
ゴロゴロゴロゴロ。。ドン!
俺は道場の壁にぶつかって止まった。
「すまん海晴やりすぎた!大丈夫か??」
「う、あ、、だ、大丈夫。。」
「すまん!」
「大丈夫、体育館であの黒幕と戦うの俺じゃなくって、翔陽にやってもらってたらよかったわ、翔陽やったら多分瞬殺やった、、」
「まじか?」
「だって、俺でも結構戦えたもん。こんな瞬殺されへんかったしな。」
三角座りで床を見つめる俺。
「そんな落ち込むなって海晴!」
「あーー、結構自信無くしたわ。。」
「自分の実力を知って、どんなん事でも、そこから強くなったり上手くなったりするんだからな!ここからだって!」
「己の下手さを知りて一歩目立っちゃね!」
「ああ、そうやな、頑張るわ。」
ここで安西先生かよ!
「次はうちらだっちゃね!小春やるっちゃ!」
「はい!やりましょう!」
道場の真ん中で真剣な面持ちで向かい合う二人。
「よーーーし!いくぞ!」
「レディー、、!!ゴ、、、」
「あ!ちょっと待つっちゃ!」
「えーーーー!」
バタバタバタン!
前のめりだった小春ちゃんや俺も翔陽も吉本新喜劇みたいに転けてしまったやんか!
「なんでやねん!」
「ごめんちゃ!確認しなきゃって思ったっちゃ。あのね、うち、飛んでもいんだっちゃ?」
「あ、そいうことか。」
「どうするのがいいんやろな、、」
「ヴェルちゃん飛んでもいいですよ、実践ですからね!出来る事全部使ってやりましょうよ!」
小春ちゃんかっこいいな。
「じゃあ、仕切り直していくぜ!」
「はい!」
「やりましょう!」
「レディーーー!!ゴゥ!!!」
「小春いくっちゃーー!!」
ヴェルが飛び上がってそこから小春ちゃんに向かって落下しながら突撃を始めた。
すごい勢いや!
そしてヴェルは右手を振りかぶって小春ちゃんに向かって突き出した!
ッダン!!!!!
「っちゃ!!!」
ヴェルが道場の床叩き付けられへばりついた。
いや、叩きつけられたっていうか自分から床にぶつかった。
「しまったちゃ!」
ボフン!
小春ちゃんのパンチがヴェルを叩いた。
「これで私の勝ちですね!」
ニコニコの小春ちゃん。
「イタタタ、失敗したっちゃ。。」
おでこをさすりながら起き上がる。
「あのさ海晴、ヴェルさん。」
「ん?」
「なんだっちゃ?」
翔陽が神妙なな面持ちで話しかけてくる。
なんか真面目な話でもあるんか??
「二人とも右手で大振りして、仲良しだな!」
「あ!そうだっちゃ!うちとダーリンは夫婦だっちゃ!仲良しだっちゃーー!」
「違う違う!翔陽なんでやねん!夫婦じゃないやろ!」
「あ、うん、それも違うし仲良しってのは俺的には皮肉でさ、二人とも同じ右手の全力パンチ避けてやられてるじゃんかって、下手くそなとこ一緒やなって!」
「ああ、そう言うことか」
「そう言うことだっちゃ?分かりにくいっちゃ!」
「ははは、ごめんごめん!」
「でも、こういう接近戦での戦いで初手に全力攻撃は100%の悪手!避けられてカウンター食らって終わりだぜ」
「うーーん、そうやんな、今も俺らそれで二人とも負けてんもんな。。」
「だろ?」
「だっちゃね」
「こういう戦いってのは相手の動きを読んで、いかに自分の攻撃を当てて、さらに相手の攻撃に当たらない、ってことが大切だしそれを100%やり切れる事が理想」
「攻撃を当てて相手の攻撃は食らわないって事だっちゃね」
「そう!どんな強い攻撃も当たらないと意味ないし、当てられないと意味ない」
「なるほど、それはどうやったら出来るん?」
「まず相手をよく見て動きの予測、そして心理の予想まで、でもそういう事が出来るようになるには経験が必要だからな!ここで死ぬほど実践訓練をしようって事だよ!」
「理解したわ!翔陽!二戦目やろう!!」
「海晴お前、さっきのまだ痛いんじゃにのか?」
「ん?痛くない!やろうや!」
「わかった!また瞬殺してやるからな!」
「絶対させへん!」
俺達は道場の真ん中で向かい合った。
「じゃあいくっちゃよ!よーーーい!すたーーーっと!!!」
めっちゃ掛け声と共に飛び込んでいきたい!
けどまず翔陽の動きを見てからやってみた方がいいかなって思って俺はそこに踏みとどまった!
さっき翔陽がやったみたいにカウンターを。
「へぇ、海晴やけに素直だな!」
ニヤリと翔陽が笑う!
「じゃあ俺からいくぜ!!」
翔陽が右手を振りかぶって襲いかかってきた!
さっきの俺と同じやんか!
確かにこれはバレバレやし避けられるわ。
右に避けて右フックのカウンターで勝てるわ!
俺は体を右にずらし翔陽のッパンチを避けて右手で翔陽の左顔面を殴った!
はずやった、翔陽は俺のカウンターの右フックを頭を潜り込ませて避けた。
俺の拳は翔陽の後頭部の髪の毛を撫でただけだった。
絶対どっかからカウンターの攻撃がくる!!
俺と翔陽の距離がめちゃくちゃ近い!!
なにをしてくるのか見たい、なのに翔陽が近すぎて手も足も見えへん!!
「くそ!!!」
ドコン!!
ズザザザザザ、、
翔陽の次の攻撃は蹴りだった、左の中段蹴り!
「ちくしょう!まだまだ、、」
そうして俺達は休みもぜずーーっと組み手を続けた。
ーーーーーーーいつの間にか夜が更けてーーーーーー
ドン!ゴロゴロゴロゴロ。。
「くそ。」
俺は翔陽に吹き飛ばされて道場の壁の手前に転がり止まった。
はぁはぁはぁはぁ。。
目を閉じながら大きく俺は呼吸し少なくなった酸素を仰向けのまま補充する。
はぁはぁはぁ。。
向こうの方から翔陽の息遣いも聞こえてくる。
俺はそっと目を開く、、と窓の外から月が見えた。
月の光が俺の体に降り注いでる。
ドクンと身体が唸った。
途端に身体がザワザワして腕から茶色い毛が!
それから牙が生えて目が鋭く、爪がこうバキバキっと伸びてきて。
俺は狼のような姿に。
ってそんな事なるわけない!
はぁ簡単にパワーアップできたら良いのになぁ。
漫画とかアニメみたいにさ。
俺はむくりと体を起こした。
「えい!」
「っちゃ!!」
「う!」
「や!」
ヴェルと小春ちゃんが組み手で立ち振る舞っている!
二人とも動きがよくなってきている!
基本的にヴェルがガンガン攻めてて小春ちゃんが上手い事ヴェルの攻撃をいなしながらカウンターを狙ってる。
初めはどうしたら良いかわからなかった小春ちゃんも、攻めまくりのヴェルに対応して見事に回避を繰り返す。
そして回避しながら時々決まるカウンター。
どっちか言うと小春ちゃんの方が優勢に見える。
修行を続けるにつれて当たらなくなるヴェルの攻撃。
ボフン!!
小春ちゃんのカウンターがヴェルに刺さった!
「ちくしょうだっちゃ!小春なんか動くの速くなったし、全然当たらなくなたっちゃ。。」
めっちゃヴェル悔しそうやな。
ヴェルの成長はこらからやろう、小春ちゃんに攻撃当てるために試行錯誤して強くなっていく。
俺達はというと、翔陽には勝てへん。
いやもう完璧に実力差がありすぎる。
俺の攻撃は全く当たらへんし、翔陽の攻撃をもらいまくり。
瞬殺KOはされなくなってそれなりの時間戦えるようになったんやけど、それでも勝てる気がしーひん。。
集中してどれだけ翔陽の動きをスローにして見ても多彩な攻撃にどうしようもない。
翔陽に俺の動きがバレているかの様に攻撃は全部避けられた。
総合格闘技のジュニアユースチャンプと平凡な俺の違いを死ぬほど噛み締めた。
俺弱すぎる。。
「くそ!まだまだ!!」
俺は立ち上がって翔陽の方へと歩み寄っていく。
「何回やってもぶっ飛ばしてやるぜ!」
「次こそ一撃くらい入れる!」
「こいよ!」
「あんた達いつまでやってるのよ!!」
いきなり麗子さんが同情に入ってきた。
「あ、母さんおかえり!」
「麗子さんおかえりなさい」
「ただいま!あんた達もう今1時よ?わかってた?」
「え?マジで?」
「そんな時間なんだっちゃ?」
「くそ、まだやりたりひんわ。。負けっぱなしやんか。。」
「もうちょっとやるか?」
「ダメよ!晩御飯も食べてないんでしょ?終わってご飯食べなさい!家で食べて行って良いから。」
グーーーーー。
グーーーーー。
グーーーーー。
グーーーーー。
俺たちのお腹が同時に鳴った。
少し恥ずかしそうにする小春ちゃん。
「お腹すいたっちゃ!」
「ああ!気づいたら腹減ったな!」
「晩飯食ってなかったもんな!めちゃくちゃお腹すいたわ!!」
「海晴、これから学校終わったら毎日やろうぜ!」
「絶対やらなあかんわ!翔陽に勝つまでやらなあかん!」
「うちも翔陽とやってみたいっちゃ!」
「だよなー今度は組み合わせも変えてやるか!」
「やってみたいですね」
小春ちゃんはまた何か考えている。
きっと立ち回りを想定しているんやろう。
俺もどうやって翔陽に勝つかしっかり考えておかんとあかんな。。
四人揃ってお俺達は道場を出て。
道着から着替えた。
そして台所に行ったら麗子さんが晩御飯の食材を準備してくれていた。
「ご飯は炊いたからカレーでも作りましょ!」
ニコッと麗子さんが綺麗な顔から想像できないわんぱくな笑顔で俺達を迎えてくれた。
両手に人参とジャガイモを持ってる。
「母さん楽しそうだね。」
「カレーってなんか子供の頃を思い出してテンション上がるのよね!」
ちょっと高校生時代の麗子さんが想像できてしまった。
女子高生の頃かは可愛かったんだろうな!
俺達が野菜の皮剥いて切りそろえていっていたら。
お風呂に入ったヴェルと小春ちゃんがガラガラガラッと台所に入ってきた!
「カレー作るわよーー!」
またも麗子さんの子供っぽい満面の笑みが炸裂した!
「麗子さん可愛いっちゃ!」
ヴェルが麗子さんに抱きついた。
「あら良い匂いね!」
「うちの星のヘアーオイルだっちゃ!今度麗子さんもあげるっちゃ!」
「あらありがとう!」
「翔陽と海晴もシャワー浴びて来なさい、その間に私達で作っとくから!」
「あ、はーーーい!」
「はーーーい!」
俺達は一緒にシャワーを浴びて風呂に入った。
その間の俺は翔陽にのんびり戦い方っていうのを教えてもらった。
それにしても翔陽の家のお風呂は檜で天井が窓で空が見えててめちゃくちゃ気持ちいい。
六時間くらい戦い続けた身体がお風呂で癒されていくのがわかる。
お風呂から上がって台所に戻ったらちょうど盛り付けるタイミングだった。
みんなで仲良くカレーを盛り付けてみんなでワイワイ楽しく食べた!
「もう夜も遅いから今日は泊まっていきなさい」
って麗子さんに言われてみんなで道場に布団を引いて寝た。
なんかもう合宿してるみたいで楽しい。
電気を消してもなかなか俺たちの会話は止まらず疲れてるはずなのに楽しい。
そしていつの間にかみんな寝落ちしてしまった。
なんか仲間って感じがさらに強まって良い修行だなって。
まだまだ俺達は弱いから修行頑張っていかないとあかん。
また頑張ろう!
そう決意して俺も眠りについた。




