学校編 とんでもない力って素晴らしい
教室全体がぼんやりと黄緑色に光ってる。。
森林の中の様な、木漏れ日の中にいる様な。
優しい光。
ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー
「ヴェルちゃん凄い!何?今の歌??すごい元気もらった」
小春ちゃんは笑顔でヴェルと向かい合い両手を手取って一緒にぴょんぴょん跳ねている。
「頭の中で歌が流れて来たんだっちゃ!アニメの歌だっちゃ!」
「アニメ?凄い!」
ははは、小春ちゃんアニメの意味分かってへんな。
ヴェルも笑顔で手を合わせて跳ねる。
二人とも可愛いなーー!
ふーーー。
二人の姿を見て俺は息が抜けた。
のぞむんは相変わらずぶつぶつと詠唱している。
よかった、なんとか守りきった。
でも。。
まだなんや。
窓の外には黒蘭鋳がいる。
その黒蘭鋳の周りにまた黒金魚であろう靄が出てるんや!
俺は気持ちのスイッチをもう一度入れて黒蘭鋳を睨みつける。
やっぱり黒い霧が周りで浮いてる!
さっき見た時より霧の量が増えている。
あれをどうすれば。
また今みたいな立ち回りか。。?
もう一度やって迎撃しきれるんか。。?
「おい!上だ!」
途端に翔陽の声が教室中に響き渡った!
蛍光灯の裏に隠れていたのか一匹の黒金魚が真上からのぞむん襲いかかってる!
「うそやろ!やばい!!」
折角ここまで守ったのに。。。
やば、、い、、、
突然世界がゆっくりとした動きになった。
翔陽も思いっきり床を蹴り出してのぞむんの方へ駆け出して行っている。
ヴェルと小春ちゃんは片手は繋いだまま、向かい合った格好で、もう一方の離した手を黒金魚へと向けて雷の珠と氷の珠を創り出していく、このスローな世界で小さな珠が段々といつも通りの大きさに育っていくのが分かる。
翔陽の脚が地面を蹴りゆっくりと進んでいく。
俺の身体もゆっくりしか動かへん。。
さっきまではスローな時間の中でも俺の身体だけはいつも通り動いてたのに。。
疲れ。。?
それとも、、これはスポーツの時の集中力で起きるスローな時間じゃなくって。
事故した時に起きるゆっくりした時間が流れるやつ?
昔中学の時自転車で事故した時に同じような時間を体験したことがある。
どっちか言うと事故した時の時間の流れに似ている。。
瞑想するのぞむんの上から襲いかかる黒金魚もゆっくりやのに、動け俺の体。。
もどかしい!
俺の体さえ速く動けたら止められるのに。。
っぐ、、、、
っくっそ。。。
あかん!
もう黒金魚に追いつく事はできひん。
明らかに遠い。。
くそ。。
もうのぞむんは噛みつかれる!!
手が届かへん!
俺の伸ばす手の先を黒金魚が通り抜けて行く。
ここまでやったのに。
ッバ!!!
「あ!。。」
突然ゆっくりな時間は終わりを迎えた。
そこには目を開き、片手を上に上げ、黒金魚を掴むのぞむんがいた。
黄緑色のオーラが体から溢れかえっている様に感じる、目の瞳も緑色だ、何か神々しさまで感じる風貌に満ちたのぞむん。
俺達はのぞむんから目を離す事が出来なくってその場で棒立ちになってしまった。。
のぞむんは黒金魚を頭上で濁り潰て黒い靄へと帰した。
「お主達よくやったのぅ。これで生徒達を救えるぞ!」
のぞむんは黒蘭鋳の方をじっと見ながら話した、雰囲気が変わったのぞむんの喋り方がいつも通りで俺は少しだけ胸を撫で下ろした。
「あやつまた相当溜めておるのう。。綾!翼!木助!ほなみ!今からこの学校の生徒達が起きるからのう!みんなを始業式があった体育館へ避難させるのじゃ! 」
教室の端っこで呆気に取られて、ただただ俺達の戦いを見守っていた四人が立ち上がった。
「「「「は!はい!」」」」
俺達の必死の戦いを見て綾ねぇ達も皆を助けたいという気持ちがいっぱいになっていたみたいや。
四人揃って力強い返事を返した!
「よし!急ぐぞ!!」
翼が三人に声をかける!
「ほなみ!アンタは放送室に行って校内に体育館に避難しろって校内放送してきな!!」
「わかったぁ!」
綾ねぇが指示を出し始めた。
「あたし達は声で誘導するよ!翼は走れるんだから三階の教室頼むよ!」
「ああ!任せろ!!」
「二階は私で、一階はウッディ頼むよ!」
「任してくれよ!」
ウッディが胸を叩く!
その四人の姿を見てニコッと笑うのぞむん。
「いくぞ!」
のぞむんは手を体の前で合わせ目を閉じた。
またなん?瞑想??
って思った瞬間!
『遠沌にいる我に力を!!ヴィック!!!』
のぞむんから黄緑の光が吹き出した!
一瞬でのぞむんを覆っていた黄緑色の光は、体からすごい勢いで溢れ出して、その光は大きな大きな球体となり、学校の全てを覆い尽くした。
「翔陽、あんた本当に世界を救う運命なんだろうね、その運命に小春もいるんだね、あたしは悔しいよ。。。でもね。。。私はやれる事を全力でやるよ!時には私も頼んなよ!」
綾ねぇが真面目な顔から悔しい顔になって、最後は笑った。
なんて表情豊かなんや。。
最後の笑顔から俺は寂しさも感じ取れた。
「おい海晴!お前。。俺との空手の練習効果出てるじゃねえか!次インタビューされた時は猿走翼さんのおかげです。翼さんは僕の心も技術も全ての師匠です。ある意味翼さんが世界の救世主!英雄です!と世の中に俺を思いっきり押せよ!いいな!」
俺に近づきアホなことを話しかけた後、翼はヴェルの方を向いた。
「ヴェルたん皆んなを助けて来るよー!」
顔が土砂崩れの様に崩れた笑顔でヴェルに話しかける翼!
嫌そうにヴェルは顔にクシャリと皺を寄せた。
「愛してるぜ!」
ヴェルに指を刺す翼!
「うちはダーリンだけだっちゃ!」
さらにキュッと顔を窄めるヴェル。
ヴェルが翼に気を取られてる間になーちゃんが寄ってきた。
「海晴君。。気をつけてねぇ。。無理しちゃだめだよぉ」
俺の雹弾が刺さって血が流れる腕をそっと両手で触って俯いた。
「大丈夫やで!俺がなんとかするから!なーちゃんは学校の皆を頼むな!」
拳をなーちゃんに突き出す、それに拳を合わせるなーちゃん。
「うん!ほなみ頑張るねぇ!」
ニッコリ笑うなーちゃんの大きな目がメガネの奥で見えた。
なーちゃんいつもメガネしてて素朴な感じやけどメガネの奥の笑顔。
めちゃくちゃ可愛かった。
それから廊下に駆け出すなーちゃん!
「ダーーリン!!」
「なんだよ!何もしてないやん!なーちゃんとはただの友達やんか!」
「それは知ってるけどぉーー。。」
ヴェルは不満そうだ。
。う。あ。。
ああ。。ん。。
クラスメイトが起き上がり始めた、なんで?雹弾で相当のダメージを負っていたはずや、、血も相当流していた、そんな簡単に立ち上がれる筈がないのに。。。
それも皆揃って同じ様なタイミングで。。
なんで?
そういえば、なーちゃんが俺の腕の傷を触った時全然痛みを感じひんかった。。
傷口を見てみると、ガラスが刺さった俺の腕の傷がどんどん塞がってきてる。
なんで、、?
。。。
教室全体がぼんやりと黄緑色に光ってる。。
森林の中の様な、木漏れ日の中にいる様な。
優しい光。
ああ。
そうか。
わかった。
この、のぞむんの魔法の暖かな黄緑色の光か。
この光が怪我をゆっくりと俺達を治癒してくれているんか。。
その光を放ったのぞむんはまだ目を閉じ手を合わせ集中してる。
皆んなを治癒する光を維持するには魔法が発動してからも、まだまだ集中を続けないとあかんのか。。
これも相当精神を擦り減らすんだろうな。。
「体育館に逃げろ!またあの雹弾が降ってくるぞ!体育館は安全だぞ!!」
翼の叫ぶ声が廊下にこだました!
『全校の生徒の皆さんにお知らせしますぅ。ただいま雹という自然災害に学校が襲われましたぁ。まだ雹という災害は続きますぅ、皆さん慌てず順番に、素早く体育館に避難してくださぃ。繰り返します!ただいま大浜高校周辺は、雹という自然災害に襲われましたぁ。まだ雹という災害は二次、三次と続きますぅ、みなさん慌てず順番に素早く体育館に避難してくださぃ。』
見事なタイミングのなーちゃんの校内放送はそのまま何度も繰り返され、ひたすら続いていく。
クラスメイト達も立ち上がった子達から慌てて廊下に出て体育館へと向かって行く。
これならそうかからずに学校の生徒全員、問題無く避難出来るやろう。。
「翼!クラスの奴らが体育館に向かったらなーちゃんと一緒に体育館に行ってくれよ!呼びに行かないとなーちゃん皆んなが避難できたか分からへんからな!」
俺は廊下に顔を出して、生徒達を体育館に誘導していた翼になーちゃんの事を頼んだ。
「そうだな!わかった!」
翼は振り返り俺の方を見て手を振った!
「ふぅーーーー。」
のぞむんが集中していた両手を下ろしその場から俺達の方へと歩いてきた。
全員の回復が出来たからかのぞむんは集中を解いた、すると、、教室、いや学校を覆っていた黄緑色の優しい光は消えていった。
そして俺達の方を見てのぞむんは笑う。
「さて今からだのぅ。お主らに何とかせいと言ったが流石にあの黒蘭鋳は無理だろうのぅ、わしが戦うからお主は見ておれ」
「え?は、はい」
何もしなくていいのか?と思った時。
「ふふふ、もしも戦いに参加出来るなら参加してくれても良いがのう?」
ニヤリと横目でこっちを見ながら笑うのぞむん。
逆にどんどん参加してこいと遠回しに言ってる様に聞こえる。。
「先生俺は参加していきますよ!」
それに呼応して翔陽がやる気満々の顔して笑い返す。。
「うちもやるっちゃ!」
「はい、私も出来る限りやります!」
やる気満々の三人、俺ももちろんやと返そうとした時に、ふっとあの自分の目では見てないあの変な屋上の事を思い出した。
そうや。。
絶対あの俺の見た視界のタトゥーだらけのあいつがこの事件の犯人のはずやんな。。
腕からタトゥーの様な真っ黒な蛇とかあの黒蘭鋳も出してたし。。
あの男とか、蛇はどこいったんやろ。。?
「海晴は参加せんのかのぅ?」
「あ。。ああ!参加するに決まってるやんか!俺があの元凶倒したるからな!」
まぁとにかく目の前のあの元凶を倒さんと次も始まらへんしな。。
まずはあの黒蘭鋳からやったる!!
当たりを見回すと、もう避難していたクラスメイトや先生、学校中の人は廊下には誰一人いない、しーーーんと学校に静寂が訪れている。
嵐の前の静けさなんか、外で吹く風の音や、遠くでビーチを叩く波の音まで聞こえてくる。
「ふっふっふ、ではまずこっちから仕掛けてやろうかのぅ」
のぞむんの声が雹弾にやられボロボロになった元教室に響いた。
『神フィングよ我に力を貸したまえ、神作られた全てを代償とし使える力よ、人類にのみ使える力を我に、灰と混沌を作り出す烈火の力を我に!!』
瞑想し集中するのぞむんの両掌の上にどんどんと赤い炎の様な珠が育っていく。
翔陽の火の珠とはちょっと違う、のぞむんの珠は珠っていうよりチロチロ燃えていて炎って感じや。
ブォォォォォォォォオオオオォォォォォォォォォオオオ!!!
のぞむんが詠唱し炎の珠を作り始めるのと同じタイミングで黒蘭鋳が吠えた!
耳を塞ぎたくなるほどの大きな咆哮!!
その咆哮を合図に黒蘭鋳の周りにフワリフワリと纏われていた黒い霧が纏ってこちらへと突撃を始めた!!
また黒金魚達は大きな大きな魚群となり学校に迫って来る!
「俺はこれを成功させたいんだよ!!見てろ!今度はさっきみたいにはいかないぜ!!!」
翔陽は手の上に火の珠を創り出し、窓際へと思いっきり駆ける!
そして思いっきり火の珠を投げた!!
良いスピードで火の珠は大きな魚群になった魚の形の黒金魚達へと飛んでいく!
二回目の黒金魚達の突撃の際にヴェルと小春がやった遠距離攻撃、珠を投げ黒金魚達交錯した時に珠を変化させる、小春ちゃんの成功させたあの技をやろうとしているんか。
「今度こそはアイツら!!爆発で散らしてやる!!!!」
「翔陽!頑張るっちゃ!!」
「うおぉぉぉぉぉ!!!いっけーーー!!」
腕を窓から突き出し天に向けた掌を翔陽は思いっきり閉じた!!
この気合いと気迫はいける!?
魚群全部を吹き飛ばすほどの相当凄い爆発が!?
ッポン。。。
火の珠は魚群の前で弾けた。
小さく小さく。。
「ププ。。プーーーー!翔陽それは。。流石に。。あーっはっははは!!!」
「あははははは!翔陽。。どんまいだっちゃーー!あははは!」
「くくく。。翔陽君、、ごめんなさい、でもそれは、、くくくくく。」
小春ちゃんもお腹を抱えて笑っている。
「あーーーーっはっはっは!何だやれ!何であんな事になるんだよ!はっはっは!」
翔陽も自分の小さな小さな爆発を見て笑っている!
「ふふふ、翔陽、修業が足らんのぅ!これを見よ!!」
掌の上には窓から出す事はもう不可能な大きさの炎の珠を浮かせる!
「うそやろ!何なんそのデカい炎の珠!」
『遠沌にいる我に力を!!!フィング!!』
最後の詠唱を唱えながらのぞむんは思いっきり教室の中から黒蘭鋳に向かって炎の珠を投げた!
のぞむんが炎の珠を投げた瞬間からその炎の珠は槍の様に鋭い形状に姿を変え、俺達の髪が舞い上がる程の温かい風を残し、ジェット機の様に教室から飛び出ていった!
キーーーーーーーンっと黒い魚群に向かって飛んでいく炎の槍。
打つかる!!
その時!!!
ボオオオオオオォォォォォォォオオオオォォ!!
またも黒蘭鋳が吠えた!
「爆ぜよ!」
のぞむんは伸ばした腕を天に向けて曲げた!
ッドッカーーーーァァァァァァン!!!
魚群に突っ込んで、その魚群の真ん中で炎の珠は爆ぜた!!
爆発は大きな黒煙を上げてつもなく大きな爆発を起こした!
黒煙なんか黒金魚が散った黒い靄なんか爆発が大きすぎて分からへん!
キラキラキラ!!!
爆炎が光った!!!
そんなことある?
俺は目を凝らしてキラキラの正体を掴もうと見る!
違う!!
「雹弾や!!積乱雲から一直線でこの教室に向かって飛んできてる!!」
魚群が爆発されてしまう前にあの黒蘭鋳は吠えてた!
あの咆哮がきっと雹弾の発射の咆哮やったんや。
「本当だっちゃ!」
「やばいんじゃないかあれ!?」
光を反射してキラキラ光る雹弾の弾幕!!
やばい!!
「うむ、あの攻撃を防ぐのは力を使いすぎるのぅ、みんな廊下に出て雹弾の当たらない所へ行くのじゃ!!」
「「「「はい!!」」」」
俺達はのぞむんに言われるがまま廊下に駆け出した!
のぞむんに言われんくってもあの雹弾のヤバさは身に染みてる!
教室の廊下側の空いた窓から俺は勢いよく飛び出した!
窓から思い切り飛び出し、そのまま着地で廊下を滑った!
正面にある廊下の壁をまるで水泳選手がターンをするが如く蹴って、教室側の壁へと滑る方向を変えた。
ダンッと教室側の壁に背中をぶつける様にして壁際に俺は張りついた。
翔陽は小春ちゃんを抱き抱えて俺と同じ様に窓から飛び出して来てた!
ヴェルは本当の水泳選手のように空中で体を回転させながら壁を蹴り、俺の元へと飛び込んできた。
「うむ皆機敏に動けて素晴らしいのぅ!」
のぞむんも壁際に背中を寄せる。
雹弾の攻撃がまた来るんか。。
ほんまにここで隠れて大丈夫なのかって不安にになる。。。
静かや、でももう雹弾はそこまで来ている。
雹弾が到達するまでの一瞬がやけに長く感じる。。
心臓の鼓動がドクンドクンと響いている。
。。。静寂。。。
ダダダダダダダダダダ!!
ババッババババババ!
パリンパリンパリンパリン!
突然頭の上のガラスは全て一瞬で吹き飛んだ、目の前で雹弾とガラスがキラキラと舞う。
ガガガガガガガッガガガガガガッガ!!
雹弾が元教室だった部屋に降り続けけてる。
轟音と、衝撃、背中に当たるひんやりと冷たい壁が激しく震て、教室の壁が雹弾を受け削れていく感覚が伝わってくる。
バババババババ!!
ガッチャンガタンバン!
ガガガガガガガガガガ!!
バリバリバキバギガチャチャチャッダン!!!
音と衝撃で教室だった所が瓦礫へと変わって行く。
ダダダダダダガガガガガガガガガダダダダダ!!
俺が背中をくっ付ける壁も相当やばそうや。。。
壊れるなよ、もってくれ。。。
俺達は今この壁の裏以外に逃げ場がない。。
廊下の壁の窓も、もう粉々に砕けて無くなった。
俺達の頭の上の窓だった所から何処から来たのか土埃が吹き抜け、その土埃をさらに雹弾が貫いて行く。。
「ックッソいつ終わるねん、この雹の雨。。」
万が一に備えて俺はヴェルを抱き寄せた。
怖いんか?ヴェルが大人しい。
俺は抱きしめながらヴェルを撫でる。
ヴェルに雹弾が当たらないように俺の正面でしっかり抱きしめた。
ババッバババッババババババ!!
ダダ、、ダダダダダ、、ダ、ダ、、
カラン。。
カラカラカラ。。
。。。
終わった。。?
か??
ヴェルを横に座らせ、俺はそっと頭を出し教室を覗いてみる。
「うわ、、」
学校の海側の壁が雹弾んで無くなってる。
床も壁もボロボロで教室中には雹弾が刺さって床にも転がっている。
見るも無惨な教室、さっきまでクラスメイトとここでワイワイしてたとは全然思えへん。
教室の壊れて、無くなった壁の向こうは大空。
大空の中にはっきりと行弾の元凶の黒蘭鋳とその上に積乱雲がハッキリと見える。
黒蘭鋳が少し小さくなってる?
ゴロゴロゴロゴロ。。
積乱雲がゴロゴロと雷鳴の鳴らそうとしている。
今の攻撃で黒蘭鋳の勢力は少し弱まったんか?
さっきまでの黒蘭鋳よりも確実に小さくなってる。
ゴロゴロゴロ。
くそ、あの積乱雲はまだ強い力を溜めていそうやな。
ゴロゴロと雲鳴りが雹弾の後の静寂を切り裂いている。
「ふむ、だいぶ分かってきたのぅ。うむ、それでは先生として少しアドバイスしようかのぅ。。海晴翔陽ヴェル小春こっちに来い」
「「「「はい」」」」
パパッと俺達はのぞむんの前へ集まる、俺達の前にいるのぞむんの手には黄色い珠がもう創られてた。
のぞむんはそれを俺たちに向けて掲げた。
「お主ら今唐突に敵に襲われたらどうするのだ?」
「え、うーーーん、、それはまず珠を創り出して、まず攻撃を避けてから反撃を、、」
「ふむ、ではその初撃が回避不能だとしたらどうするのかのぅ?」
「あ、え、、それは」
「大丈夫だっちゃうち速いから!」
「ふむ、ではのぅ。わしが詠唱をしている時の最後のわしを頭上から狙った黒金魚、あやつをの、今考えてみればどうやっておったら、わしの力を借りずに仕留めれていたかのう?」
「もっと周りを見ておくですか?」
「いや、ちゃうで小春ちゃん。それは俺たちが油断せずに、前もって珠を作っておいていれば大丈夫やった、って事やんな?のぞむん?」
「ああ、そういう事じゃ、珠を掌の上に創っていたとしたら、きっとヴェルや小春なら何とかなっていただろうのぅ」
「確かにそうだっちゃ。。」
「そうですね。。」
「翔陽、回避不能の攻撃が来る前から火の珠があればもしかしたら先制で攻撃が出来るかもしれないのぅ。」
「確かにそうだな。。」
「のぞむんが雹弾から隠れてる間に詠唱してその珠を作ってみたいに俺達も創っておくべきだったんやな。。」
「そういう事だのぅあの黒蘭鋳は力がある分鈍足だから助かっておるがのぅ、もし素早い連続攻撃を出来る敵ならばもう既にわしらは詰んでおるぞ」
「確かに。。」
「いつどんな時も攻撃の準備はしておくのが鉄則。後はしっかり頭を働かせる事だのぅ、相手の動きを見定め効率的に相手ににダメージを入れる方法、もしくは封じる方法を深思慮するのじゃ、行動パターンや弱点が分かって仕舞えばこっちの物だからのぅ」
「だっちゃね!」
「ならばヴェル、今、黒蘭鋳を驚かせる何か方法は思いつかんか?」
「今?驚かせる方法だっ。。ちゃ??」
「見てみよヴェル、あの黒蘭鋳あんな積乱雲の、いや、雷雲の下におったら危ないと思わんか??」
ニヤリとのぞむんは悪い顔で笑う。
その、のぞむんの手に持つ黄色い大きな珠がッパリッパリっと電気が跳ねた。
「あ!」
ヴェルが驚いた顔で積乱雲を見る。
ああ、そういうことか、積乱雲を逆に利用して、雷を落して攻撃でもしようって事か?
のぞむん、まさか積乱雲もとい雷雲のことを考えた上であの雹弾の中、雷の珠を作っていたのか。??
まじか、未来でも見えてるんか?
麗子さんみたいやな。。
ヴェルも翔陽も小春ちゃんもいつの間にか手の上にそれぞれの珠を創り出している。
「それではやって見ようかのぅ!ヴェルも真似してみたら良いぞ!」
「はいだっちゃ!!」
「なら私が氷の大針であの黒蘭鋳の気を少しでも引きます!」
「おお!いいのぅ小春頼んだぞ!」
「はい!!」
小春ちゃんは黒蘭鋳の方へ、教室のもう無くなってしまった窓際へと駆けた!
「えーーーーーーい!」
駆けた勢いをそのままに小春ちゃんは氷の珠を投げた!
黒蘭鋳に氷の珠は向かって行きながら途中で三本の氷の針へと姿を変えた。
ボォォォォオ!
黒蘭鋳は口から三匹の大きな黒金魚を出して氷の大針へと向かわせた!
『遠沌にいる我に力を!!!ジェーム!!』
大きな黒金魚と氷の大針が交錯するぞって時に、のぞむんとヴェルは黒蘭鋳の方へと駆けて、思いっきり雷の珠を投げた!
雷の珠は物凄い勢いで黒蘭鋳じゃなくってゴロゴロと鳴る積乱雲へと向かっていった!
黒蘭鋳の目の前で小春ちゃんの氷の大針とさっきまでの小さな黒金魚よりかなり大きな黒金魚が交錯した!
同じタイミングでのぞむんとヴェルの雷の珠はボスンと雷雲へと突っ込む!!
ピカッ!!
眩しいほどに積乱雲が光った!
ゴロゴロゴロゴロ!!!!!!
雷が落ちる!!
バリ!
バリバリバリバリ!ッドーーーーーーン!!!
見事に雷は黒蘭鋳に直撃した!
口から黒い煙を吐いて声を上げる事も出来ない黒蘭鋳。
体から多くの黒い蒸気の様な靄を上げながらフワリフワリと校庭に落ちていく。
「やったっちゃーーー!!!」
「すげぇ!」
「ダーリンうちやったっちゃよ!」
ヴェルが抱きついて来た!
マジで凄いわ、雷落とすとか、空いた口が塞がらんわ!
「ヴェル凄すぎ。。」
「ありがとうっちゃ!」
呆然とする俺にさらに抱きついてくる。
横で翔陽も口をあんぐり開けてびっくりしてる。
「ヴェルちゃんすごい!」
「小春ありがとっちゃ!」
ニッコリ笑うヴェル。
バフーーン。
グランドの上に落下した黒蘭鋳。
落下した勢いの風でグラウンドに土埃を巻き上げた。
やったのか??
美しい黒く長い鰭もふわりふわりと舞い落ちていく。
黒蘭鋳の半分が土埃で隠れてしまっている。
「やっほーー!やったっちゃーー!」
「イエイ!」
「イエイ!」
俺達は勝った喜びでハイタッチをする!
「気を抜くんでないぞ!あやつは死んではおらんぞ!」
「ええ?」
「見ぬか!」
ボ!ボ!ボ!ボ!
土埃の中から黒金魚が飛び出してきた!
数匹だが黒金魚が泳ぎ襲いかかかろうと向かって来てる!
前の小さな黒金魚よりもかなり大きい!
黒金魚なのだが、どっちか言うと黒鮪。
見た目は金魚、体は鮪サイズの黒金魚!
数匹かと思ったらどんどん大きな黒金魚達は後ろから次々、次々と列を作るように泳いでこちらへと向かって来ている。
徐々に土埃が収まり見えた土埃の中は、大きな黒金魚の生み出されるその光景。
大きな黒金魚が生み出され、どんどん泳ぎ出してくるその先は黒蘭鋳の口の中、口の中からどんどん大きな黒金魚が泳ぎ出してくる。
それと共に少しづつ黒蘭鋳が風船のように萎んでいく様に見えた。
「そういう事か。。のぞむん、あの黒蘭鋳ってさ、このデカ黒金魚を生み出してるもたいやけど、生み出すとはちょっと違うんちゃうかなーと思うねん。多分あの黒蘭鋳は分裂をする感じでにデカ黒金魚を生み出してる気がする」
「うむ、そうだのぅ」
グラウンドの上に横たわる黒蘭鋳に初めに見た空を覆う様な大きさはもう無くなってきてる。
黒蘭鋳がフワリフワリと黒透明な美しいシルクの様な鰭を使い体を起こした。
もう始めに突撃を始めたデカ黒金魚はすぐそこまできている、もうすぐ俺達の所へ到達しそう。。
「痛!!」
もうデカ黒金魚と戦いが始まるって時に。
突然、俺の瞼の裏に痛みが走った。
え?また!?
黒蘭鋳が現れる前に起きたあの奇怪しな現象。
他の人の視野を共有しているみたいな自分でもよく分からへん現象。
俺はその瞼の痛みに襲われ前が見えなくなった。
「おい海晴どうした?」
「ダーリン!?」
「海晴くぅ。。ん。。。」
声が遠のいていく。
そして俺の視界には壊された教室では無い物が見えてきた。
見えたその視野の先には信じられない光景が広がっていたのだった。




