学校編 気づけるって素晴らしい
水に触る感覚なんてないし、見た目も水中みたいに線を引いて光が差し込んでるとか、そんな水の中の現象は全然ない。
ただただ黒い金魚達が美しく優雅も泳いでいる。
群れて魚群を作る金魚達もいれば、ゴハンチョウダイ、と言うかの様にツンツンと可愛く突いて来る子もいる。
まるで俺達は水族館の水槽の中みたいや。
黒い金魚達は窓からの光を浴びてその鱗は黒蝶貝に様に薄く虹色に光を反射している。
綺麗や。
ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー
見事な晴天!
空には雲などほとんどない。
有るのはただ一つ大きな空を独占するかの様に存在感のある入道雲、積乱雲。
俺は人の視野を見ているような奇怪しな物を見てた。
自分の教室の景色を見て俺は少しだけ安堵した。
そこにヴェルの声が響いた!!
「何だっちゃあれ!?奇怪しな物が浮いてるっちゃ!!」
その声を聞いて俺達は慌てて窓の外を見る。
そこには。。
もう一つ。。
他の何よりも目を奪う真っ黒な異形の物体が浮いている。
それは目の前の大空に浮かぶ積乱雲よりもどっしりとした存在感がある、円に近い歪な形をしてその物体の周りにはふわりふわりと黒い闇の様な霧が纏わりついている、誰がどう見てもあれは明らかに奇怪しく不気味な物や。
その不気味な物は、黒く丸い星が浮いてる様に俺には見えた、黒い星は中から溶岩が今にも噴き出しそうなボコボコした形をしる。
そのボコボコした異形の物体からはヒラリヒラリと長ーーーく薄い赤黒い薄い布の様な物が何枚も生えており、風に靡き大空ではためいている。
薄い布と言ってもそれめちゃくちゃ長い。
爽やかな青い空の中に浮く黒い星は明らかに異様なオーラを学校全体へと撒き散らして、この世を今から闇に染めてしまうんちゃうかなと見た人の心を不安にさせてしまうほど、恐ろしい雰囲気を醸し出してる。
さっきまでクラスメイトと騒いで、ただただ笑い楽しんでいた俺の心にあの黒い闇はどろりと恐怖を塗り込んできた。
「なんやあれ。。」
ほんまに見れば見るほど奇怪しく恐ろしい。
そこには、黒い霧に囲まれた不思議な物が中に浮いていた。。
あれはあかん危ない。。
なんとかせんと。。。
っと俺の感覚が危険だと全力で叫んでいた。。
どうしたらいいんや、、なんとかせなあかん、、どうしたらいいんや、、と、自分では答えを出せない自問自答の渦の中に俺は溺れていく。
ひらひらと水の中を漂う、薄い布の様な、清流に流れる水紙絵の様な、透けて優雅にはためく奇怪な布、歪な漆黒の塊からさらりと流れる薄い布部分はうっすらと透けて、向こう側の積乱雲に重なっても積乱雲のシルエットがぼんやりと見える。
ゆらりゆらりと纏う黒い霧と一緒に揺れながらゆっくりとこっちへと近づく黒い歪な塊。
だんだんと俺達の学校の方へ向かってきている。
俺の気のせいなのか?
その黒い異形の物にくっ付いて積乱雲も一緒に近づいて来ている気がする。
どうしたらいいんや?何をすべきなんや?という答えの出ない自問自答の渦は翔陽もヴェルも一緒に巻き込んでグルグルと俺達を思考という深い深い沼の底に連れて行こうとしてる。
あの《時空の尖》とやらがまた発生しているかもしれないと、海晴の頭にあの地震を起こす漆黒の海月のや渦潮を起こす黒い巨大烏賊の事件がよぎった。
またあの不思議な物体のせいでまた地震や渦潮の様な災害が起こるのか。。?
前の海月の時は地震が発生してから俺達は駆けた。
渦潮も起きてから俺達は危険に気づいた。
今俺は起こる前に察知できてる。
もし何か災害が来ると分かるなら今回は未然になんとか出来るかもしれへん!
何とか、か、でも。。。
自然災害を起こさない様にするなんて、、それは一体どうしたらいいんや。。
俺はまだ自問自答の渦から抜け出せへん。
「皆さん!危険が迫ってます!避難しましょう!」
小春ちゃんがクラスメイトの皆に声を掛けた!
そうや!災害の時すべき事、それはまずは避難や!
安全な所に逃げるんや!
小春ちゃんが自問自答の渦から俺を引き上げてくれた。
皆にあの恐ろしい物体を見せたら当たり前に驚き恐れ、慌てて逃げる、そう非難するやろう!
だから一回あの黒い物体をを見せたらいいんや!
「おいみんな!窓の外を見て!やばいで!あの黒い物体!!」
俺は窓の外を指差しながら叫び全員の視線を誘導する。
『『『なになに?』』』
『『『どれどれ?』』』
クラスメイトがなんだ?なんだ?と教室の窓に寄って行く。
しかし誰も外を眺めても怖いとか恐ろしいとかそんな声は上がらへん。
え?奇怪しい!
確実に外をクラスメイトの皆んなも見ているのに、あの恐ろしい物を見て驚き戸惑うどころか。。。
「にゃはははは、海晴!あれはただの入道雲じゃねーか!なんで入道雲なんかにびびってるのさ?」
「はははは!小春ちゃーーん入道雲で怖がり過ぎだよーー!」
とクラスメイトが口々に話す。
え?なんで。。?
綾ねぇも翼も外を見てるはずなのにあの黒い物体は見えてない。。
「そうですよ、海晴君も小春さんも、入道雲は確かに雷や雹などを降らし時には災害になり得る事もありますが、ただあの入道雲を見ただけで危ないというのはあまりに、、、あれ?でもしかし、この季節の気象条件では入道雲なんて出来ないはず、なるほどなるほど、海晴君はこの入道雲が出来る時期というのがあまりに不自然で恐ろしい、とそういう事を言いたい訳ですね、しかし、全ての地球上の現象は自然の法則に準じ物理的に発生する原因が有る訳で、、、ブツブツブツ。。」
あ、これ、ウッディーにもあの黒いの見えてへんわ。
いやウッディーとか綾ねぇ、翼だけじゃない俺達以外の全員にあの変な異形の物は見てへん。。
そうしてる間にどんどんと近づく黒い塊。。
もう一度俺はしっかり黒い塊を眺めてみる。
いつの間にかそれは校庭の上まで来ていた。。
なんやねんあれ、ホンマにやばいな。。
ギョロ!
え!!!
何か動いた!
黒い物体をよく見たらその動いた所に目があった!
今間違いなく俺と目が合った!
その歪な塊からボコンボコンと二つ飛び出した、特に大きな丸い突起物がある。
で、その突起物はなんと黒い歪な塊の目やった。
目が分かる事で俺はその物体の正面が分かった、それと同時にその歪な物の正体。
多分やけど、分かった。
あれは、っでっかい金魚、、金魚だよな。。。
顔がぶくぶく泡っだった様なボコボコの形。
確か蘭鋳って金魚の種類やったはず。
尾鰭は長く、さらに長い蝶尾、背鰭も胸鰭腹鰭も全部に鰭がめちゃくちゃ長い!
しかも普通、鰭って一枚〜二枚の筈やのに何枚も生えている、その鰭は相も変わらずフワリフワリと宙に舞い悪い意味で幻想的や。
とにかく体も鰭もめちゃくちゃ大きい!!
見れば見るほど大きい。
校庭の真上に浮遊する黒い蘭鋳は優に10m以上ある、いや20mくらいか。
俺たち四人は窓に張り付いてゆっくりと泳ぎ寄る真っ黒な蘭鋳の動向を注視する。
ボォォォーーーーーーーーーォォ!
っと口を開けたと思った途端に黒い蘭鋳が吠えた。
「何何?今の声?」
「変な音聞こえなかった?」
ザワザワと騒つくクラスメイト達。
その吠え声と共に黒い蘭鋳の纏っていた闇の霧の様な物が、こっちに向かって動き始めた!
黒い薄い雲の様な物がこっちへと向かって来る!
「あんやあの黒い霧みたいなの?」
これは、、マジで良くない。。
これはなんかの攻撃や。。
「皆の者!教室から出ろ!体育館に行くのだ!!」
突然のぞむんの大声が学校に響き渡る。
けど生徒達は動きが遅い。
というか。
ザワザワと騒ぎはするが一向に窓際から離れる気配がない。
その間に黒い霧が近づいてくる。
黒い霧?
いや霧じゃない?
なんやあれ??
近づいてきてあれが何か確認できた。
あれは黒い霧なんかじゃない!!
こっちに凄い勢いで向かって来る黒い霧に見えるあれは。
何か小さな魚や!
黒い魚の群れが大海原を泳ぐ鰯の大群の様に真っ黒な雲の様に魚群を作って泳ぎ迫っていた。
「おい!窓を閉めろ!」
翔陽が慌てて目の前の窓をピシャリと閉めた!
そうや!
俺も横に走り窓を閉めた!
小春ちゃんもヴェルも慌てて教室中の窓を閉めている。
俺たち四人にはやっぱりあの黒い蘭鋳は見えてる!
学校に迫る真っ黒な魚群!
物凄い数や!!
この学校を覆い尽くすのではないかと言うほどの大群!
それが迫る迫力は半端じゃない!!
来る!
迫る空飛ぶ黒い魚群のせいで大空や太陽は隠され一気に暗くなった。
迫る真っ黒な魚群!
やばいやばいやばい。
物凄い迫力で身動きが取れへん。。
どうしたら良いかわらへん。。
怖い。。
頼む。
あの魚達で割れないでくれ。。
俺は窓に祈った。
打つかる!!!
迫る魚達は学校に到達しドワーーンと窓に当たった。
ガラスはなんと割れなかった!
よかった。。。
はーーーー。。
俺は飲み込んでた息を吐き出した。
呼吸をするの忘れてた。
ガラス越しに見る黒い魚。
こいつは。。
金魚か?お祭りの金魚掬いで良く見かけるオーソドックスなタイプの金魚。
確か和金て種類やったはず。。
金魚は基本的には赤色や、やのに、この金魚達は黒い。
宙に浮いているし普通の金魚じゃない事ははっきりと分かる。
ザワザワザワザワ。
こんな奇怪しな事が起きてるのに、クラスの皆はまだ窓の外の事など気にも止めず微動だにしてない。
こんだけ窓に変な黒い金魚がいたら気づかない訳ないんやんか、、やのに。。。
やっぱりクラスメイト全員に見えてへんわ。。
もう窓は数え切れない程の黒い金魚がビチビチ張り付き、覆い尽くし、口をパクパクと全ての金魚が窓ガラス食べるかの様に張り付いてる。
気持ち悪!!
窓ガラスはめちゃくちゃ気持ち悪い事になっている。
ほんまになんなんよ、こいつら気持ち悪ぅ。
絶対窓は開けたらあかん。。
グワーーーーン!
窓に奇怪しな波紋が広がった。
波紋の中心から黒い金魚が離れ円状に空いたそこから太陽の光が差し込んできた。
だんだん広がる光の円、その円の向こうには青空が見える。
積乱雲も相当近づいてきている。
ゆっくりと積乱雲は太陽を飲み込み学校は影に包まれていった。。
不穏や。。
翔陽も相当焦っているのだろう。
慌ててその金魚が開いた穴を覗きに行った。
ッダァン!!!!!
翔陽が窓に張り付いたその瞬間!
窓がすごい勢いで叩かれた!!
覗こうとしてた翔陽は突然の事に驚いて、のけぞり後退りした。
その叩かれた教室の窓にはなんとあの黒い海月の時にいた漆黒の蛇がまたもあの時と同じように窓に張り付きこっちを見ている。
赤く光る赤眼をギラつかせ、シシシシっと笑う黒い大蛇。
「あいつは。。」
ダァアン!
またも漆黒の蛇は胴体で窓を叩いた。
窓越しに漆黒の蛇の目が光る。
真っ赤な眼で教室の中を伺いながら細い舌を出し。
シシシシ!
と体を揺すりながらまた笑う。
なんていやらしい、人を小馬鹿にしたような笑い方をするんや。。
窓を叩かれた音は皆んなに聞こえたみたい、『何?今の音?』『誰か窓を叩いた?』と話すクラスメイト。
流石に変な空気が流れていると、クラスの皆んなも感じてる。
ッダァン!!!
またも漆黒の蛇は窓を叩く。
「おい、今の音はなんだよ?」
「何か窓の外にでもいるのかい?」
翼も綾ねぇも窓に寄って行く。
シシシシシ。
笑う漆黒の蛇。
次の瞬間蛇は口を開けたと思うと!
『ダレカタスケテ!』
漆黒の蛇は声を出した。
な、何??
蛇が声を?
「なぁ誰か助けを呼んでないかい?」
「ああ絶対聞こえた!」
正義感がある綾ねぇと翼が蛇の出した声にめちゃくちゃ反応してる。
けど、それでも窓の外の黒い大蛇や黒い金魚は皆んなには見えていないみたいや。。
シシシシシ。
『タスケテーー!!!』
『ダレカーー!』
『アブナイ!!』
『オイダレカ!!ココダ!タスケテクレー!!』
蛇が教室の中を見てニヤニヤしながら。
叫んでる。
声まで変えて器用な蛇やな。。
何がしたいねん。。。
すると翼と綾ねぇが窓に手をかけて窓を開けようとした!
あ!!
あかん!!
そうか!
そう言う事か!!あの蛇は窓を開けさせる事を狙って!
「待て!翼!綾ねぇ!開けたらあかん!!」
「待つっちゃ!!」
「おい綾やめろ!!」
「開けたらダメです!!」
俺たちの叫びは間に合わずに。
ガラリと翼と綾ねぇは窓を開けてしまった。。
ッザッパーーーーーン!
ドバドバドバドバ。。。。。!!!
黒い金魚達が解放されたダムの様に教室に流れ込んできた。。
まるで水に満たされて行くかの様に教室に黒い金魚達が溢れていく。。
水か、風か、物体としては何か分からないが、勢いがあり。
クラスの皆はその勢いに押され「うわ」「なになに?」「なんだこれ?」バタバタと倒れていく。
机や椅子も廊下側へとどんどん流されてる。
不思議な水圧の様な圧に押されしばらく体上がることは出来なかったのだが、暫くして、その水圧の様な勢いは収まった。
プハッ!
俺は思わず流されながら水の中の様にしっかりと息を止めていたのだが。
手足の感覚で水の中にいないと確信し息を吸って目を開き起き上がった。
一人また一人とクラスメイト達はゆっくり立ち上がってきた。
俺達も続けて立ち上がる。
立ち上がったその教室には、めちゃくちゃ不思議な空間になってた。
空間っていうか、そこは変わらずさっきまでいた教室やねんけど。。
なんとその教室の中を優雅に黒い金魚達がのんびりと泳いでいる。
「何これ??すごーーーい!」
「きれーー。。」
「うおーーーー。」
「すげーーー。水の中みたい。。」
騒ぐ生徒達。
皆んなに見えてる?
え?
見えるんか?
この黒金魚を?
さっきまで見えへんかったのに。
どうなってるんや?
この黒金魚に触ると見える様になるんか?
それとも教室に流れ込む圧に押し流された時に何かされたんか?
それともあの漆黒の大蛇のせいか?
冷静に今どういう状況でどうしたらいいのか、情報を得ようと頭を冷やし教室の中を見回す。
教室の中は水の中みたいな幻想的な奇怪しな世界が出来上がっていた。
別に水に触る感覚なんてないし、見た目も水中みたいに線を引いて光が差し込んでるとか、そんな水の中の現象は一切無い。
ただただ黒い金魚達が美しく優雅も泳いでいる。
群れて魚群を作る金魚達もいれば、ゴハンチョウダイ、と言うかの様にツンツンと可愛く突いて来る子もいる。
まるで水族館の水槽の中みたいや。
見れば教室の中だけでは無く学校の外側にも、校庭にも黒金魚達は泳ぎ回っている。
他のクラスからも『きゃー何これ?』『すげーー!』『可愛いーーー』などと素っ頓狂な声が聞こえてくる。
その今人気急上昇中の金魚達は真っ黒やねんけど、窓からの光を浴びてその鱗は黒蝶貝に様に薄く虹色に光を反射している。
確かに綺麗や。
幻想的や。
さっきまで思いっきり警戒していた黒金魚達、窓に隙間なく死ぬほど群がっていたからマジで気持ち悪かったんやけど。
なのに今は可愛く泳ぎまわり、黒虹色に反射する光で教室はキラキラと光に満ち溢れ。
その光景は美しいし。
神秘的。
目の前で泳ぎチョンチョンと突いてくる辺りは、普通の水族館なんかより断然綺麗で楽しい空間になっている。
みんなフワリ。クルリ。。と踊るような金魚達と笑って遊んでいる。
優雅に泳ぐ金魚達に敵意は全く感じられない。。
こんな金魚に襲われてもまぁ大した事はないよな。
俺達にもアソボウ、アソボウと言うかの様に突いてくる、その金魚が可愛いなと思い始めたその時。
「お主ら何をやっとるんじゃ。危ないぞ教室から出ぬか!」
先生となったのぞむんがバスケットボールを指の上で回すかの様に、人差し指を立ててその上で水色の珠を浮かしている。
ツカツカツカと革靴を鳴らし小さな金魚などには目もくれず開いた窓へと向かっていく。
のぞむんの浮かせる青く光る蒼球はゆっくりと回転して、蒼球の周りには幾つもの氷の結晶の様な物もスーーっと一緒に回ってる。
見るだけで小春ちゃんの様な氷の力が凝縮されているのが分かった。
ウウオォォォォォォォォオオォォーーーーーーーン!
校庭の上にいる黒い蘭鋳が物凄い声で吠えた。
「お主ら早く逃げぬか!その金魚は危ないぞ!!」
校庭の上で浮いている黒蘭鋳が吠えた途端!
教室で優雅に生徒達と戯れていた金魚達が一斉に口を開き牙を剥いた!
突然開いたその黒金魚の口は普通の魚ではありえないほど開いている!
鰓をも裂き胴体まで裂け開く口!
その大きく開かれた口の中には、大きく鋭利なギザギザした歯がこれでもかというほどに並んでいる、それはアマゾン川に生息する肉食魚、ピラニアの歯みたいや!
そして!恐ろしいその口でクラスメイトを噛み付き襲い始める!
「きゃーーーー!!!」
「うお!やめろやめろ!!」
「やめてーーー!!!!」
「助けて!!」
さっきまでの水族館のような幻想的な空間から打って変わって悲鳴と喧騒が入り混じる地獄の様な世界が訪れた。
のぞむんの背中にも信じられない量の金魚が噛み付いている。
教室にいた生徒達もみんな噛みつかれ血を流している。
絶叫が止まらないその中、のぞむんは冷静な目をしている。
「ふむ、こんな小さな攻撃をするために此奴らを放ったのではないのであろう。」
のぞむんは噛み付かれても、教室の中は地獄の様な騒ぎになっても、そんな事は分かってる、今そんなことは関係無い、と言わんばかりに、全く脇目も振らずに外で浮いている大きな黒い蘭鋳から目を離さないでいる。
俺ものぞむんを真似て黒い金魚に全身噛みつかれながらも窓の外を見る。
教室の中がうす暗くなっていると思ったらもう積乱雲が黒い大きな蘭鋳にひき寄せられているのか学校のすぐ側まで来ていた。
積乱雲が太陽や青空を全て飲み込んでいる。。。
辺りが暗い。。
教室の生徒達は噛みつかれた小さな金魚を引き剥がそうと引っ張るのだが鋸状のはがしっかり食い込み、痛みが黒い金魚を引く度に襲うので引き剥がせない。
無理に引き剥がすと噛まれていた場所の肉が抉り取られる。
皮膚が破れ肉が見え血が流れる、そんな自分の状態を見ると心の底から恐怖と狂気が押し寄せて来る。
クラスメイト達の中には顔面をいく匹もの金魚に噛みつかれている者も、いれば全身至る所を噛まれている子もいる。
男子達女子達共にもう発狂状態や。
そして何よりも周りの仲間達が全身噛みつかれ逃げ惑い泣き喚くこの空間がガリガリと俺の平常心を削り取って蝕んでいく。
積乱雲の正面にいる真っ黒な蘭鋳は浮かぶ積乱雲をチラリと確認し、ひらりひらりと舞ういく枚もの美しい鰭を舞い上がらせ、積乱雲の中へと入れた。
真っ赤な目を閉じ黒蘭鋳は力んでいる様に見える。
震えらながオオオォォォォォと唸る。
一方、教室では悲鳴の豪雨に降られ今にも決壊しそうになってる。
「ふむ、あれは相当力を溜めておるな、こうなったらやるしかないのぅ。。まずは生徒達の避難からだのぅ。しかし避難の時間を作らなばの、この攻撃を凌げばなんとか。この珠の力じゃ足りぬか。。」
状況を見据え呟く望、『神スプリよ我に力を貸したまえ、この大地に死の救いを、この芳醇な土地に死の成長を、、、、ブツブツブツ。。。』」
のぞむんは浮かしていた蒼珠を両手で掴み、目を瞑り、詠唱を始めた。
俺達は何もする事も出来ず、ただただ先生の一歩後ろで先生と黒蘭鋳を眺めることしか出来ひん。
詠唱を続けるのぞむん。
ブォォォォォーーーーーーーンンンン!!
低い声で黒蘭鋳が吠えた。
すると積乱雲の底がキラキラと光った!!
『遠沌にいる我に力を!!スプリ!!!』
詠唱が終わると、のぞむんは目を見開き笑った!
瞳の中には黒い蘭鋳を捉えている!
のぞむんの手の中にあった蒼玉は手から離れすごい勢いで飛んでいく!
それに対して黒蘭鋳の上の積乱雲からも何かキラキラ光る物がすごい勢いで向かって来ている。
広範囲で襲い掛かって来るそれはまるで、白いヴェール!
白いヴェールが学校に覆い被さって来る、そんな光景。
もしあの光る全てが何らかの攻撃なら信じられへん数や!
降ってくるあれは。。
もしかして、氷?
雹??
やばいやばいやばい!!!
アレは氷の礫だと肉眼で確認して俺が理解した瞬間にはその氷の礫はもう目の前まで押し寄せて、氷のヴェールと成り学校を飲み込む様に覆い被さろうとしていた!
「あかん!!」
俺がそう叫んだ瞬間!!
ッパ!!!!
のぞむんの蒼球が弾けた!!
ピキピキピキピキ!!
パキパキパキパキ!!
バキバキバキバキバキ!!!!
そして弾けた蒼珠は一瞬にして学校の前に巨大な氷の壁を作った!!
本当に一瞬でできた氷の壁!!
アナ雪か!
ババババババババババババババリン!!!
ガラガラガラガラガラガラ!!
ババババッバ
バリバリバリバリバリバリ
ダダダダダダダ!!
物凄い轟音が教室を包み、体にドスッドスっと物凄い衝撃が走った。。
俺はは何もできず何が起きたかも分からないままに目の前は真っ黒になった。




