修行編 美味しいお肉って素晴らしい
満天の空を見上げる。
天野川が流れてる。
キラキラと輝く星々が夜空に散りばめられ、星座を創り出している。
ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー
ザーーーーン。。
ザザーーーン。。
幾重にも続く見事な形の波が崩れ落ちている。
太陽に照らされてキラキラ光る海。
クゥークゥー。。。
海の上、鴎が戯れながら空を飛んでる。
鴎達の間を切り抜けていくカッコいい帆!
海の上を疾走するボード!
貸切の海でウィンドサーフィン!
空は快晴!
風も最高!
完璧や!
ザパパパパーーーーーー!
シャッ!
フワァ。。。
俺は今日も朝から海の上でウィンドサーフィンのセールという羽根を生やして空を飛んでいた!
「くぁ!!最高!!」
海を駆け上がり空を飛ぶ!
感じるのは、体を包み込む様な風と、太陽の暖かさ、そして海の力強さと優しさ。
今完全に俺は自然の中に中に溶け込んでいる!
たまらへん!!
この感覚!
空中で凄い勢いで飛び上がって行っているのにも関わらず、突然目の前の視野に大空が広がって時間がゆっくりと流れ始める。
身体中の感覚が鋭くなるこの感覚。
俺は今!
空高く飛ぶ鳥と同じ高さにいる。
海も空も太陽も雲も波も風も鳥も!
全て目に入る全ての物を体で感じられる。
視野も鳥達と同じように高くって世界を見渡せそうな気になる。
そしてその飛び上がった空の中で。
俺は目の前に広がる美しい世界は全部俺の物や!なんて錯覚してしまう!
海上から普通では考えられないほど空高く飛び立つというスリル、そのスリルを超えた感覚、この瞬間はきっと世界で一番気持ちいい!
ッバッシャン!!
水上に着水してからも。
俺は風を使い、海の上を走り、波を切り裂く!
水飛沫を飛ばし普通は恐れられる大きな波を乗りこなす!
でっかい波を乗りこなした時自分で思ってしまう!
「よっしゃーーー!!!」
俺マジでめちゃくちゃすげーー!!!!
アドレナリンどばどば出てるのが分かる!!
マジで最高に気持ちいい!
はーー!
ウィンドサーフィン!
最高や!
こんなにも自然を全身で感じられるスポーツなんてない!
最高のコンディション!
自然の雄大さを感じ、その自然に感謝してしまう。
ありがとう地球!
ありがとう自然!
マジで最高!!
「ダーーーリーーーーーン!」
ビーチの側でUターンし沖に向けると。
ヴェルが頭を超えるような波の頂点からウィンドサーフィンに乗って下り降りてくる!
風を捉え!まっすぐ波を切り裂いてくる!
片手を離して手まで振ってる!
そしてそんなヴェルの浮かべる表情はめちゃくちゃ笑顔だ!
ここ数日しか練習してないのに。
ウィンドサーフィンで、もう波乗りできるなんて凄い奴。。
波の上で楽しそうな笑顔が可愛くってやばいし。
スタイルも良いし。
本当にウィンドサーフィンの雑誌とかの写真の中の人が出てきたみたいや。
「ダーリン喉乾いたっちゃ!」
「じゃあ一回上がろ!」
「おっけーだっちゃ!!」
二人で同じ波に乗ってビーチに上がった!
「ダーリン!すっごい今日最高だっちゃ!」
「いや!ヴェル、マジですごいわ、もう波乗れるようになったやん!ほんまにめちゃくちゃ上手くなるの速いわ!」
「うん!サーフィンも良いけどウィンドサーフィンも最高だっちゃ!色々上手くなってくのが嬉しくて、楽しいっちゃ!」
「おーーーーい!」
すると防波堤から聞き慣れた声が聞こえた。
振り向くとそこに翔陽と小春ちゃんがいる。
「ダーリン!翔陽と小春だっちゃ」
ヴェルが俺を見てニコリと笑った。
「海晴!いい風だなぁ!!」
翔陽が手を振ってる!
左手はギブスをして肩から腕を釣ってる。
翔陽の横には小春ちゃんがいて、一緒に手を振ってる!
二人はビーチに降りて来て、俺達に駆け寄って来る。
翔陽は恐竜の攻撃で左腕の骨が骨折。
肋骨も三本折られていた。
頭は七針も縫い、身体中の小さな切り傷や擦り傷は百を超えていた。
額に大きなたんこぶ二つに、指の突き指二本。
あと、信じられないほどの全身の筋肉痛。
ほんまにボロボロだった。
けど、全然平気そうやん、めっちゃこっちに走ってくるやん!
痛く無いんか???
怪我の事などと全く気にせず普通に笑顔でビーチを走る翔陽。
走って肋骨痛まへんのか?
元気すぎやろ!
光波山を探索した翌日に翔陽は病院に行ったのだが。
何でもその時、医者が言うには、翔陽の左腕と肋骨は折れてから何日も経ったかのに様に既にくっつき始めていたらしい。
折ってから二週間後くらいの状態だったそう。
一晩でここまで治るのは普通ではありえない事で本当に昨日の出来事なのかと、整形外科の先生にしつこく聞かれていた。
医者にそこまで不思議がられるってどんな身体やねん!!?
そんな訳わからん身体の翔陽の横を小春ちゃんも走ってる。
「海晴くん凄かったー!あんな高く飛べるんですねーー!」
やっぱ笑顔が可愛い。。。
「小春ちゃーーーーーん!!」
俺は翔陽と小春ちゃんに手を振っ!
ビリ!
「イデェ!」
ヴェルが電気で俺の腰を摘みながらピリッと電気を流す。
「ヴェル!何やってんねん!」
「また小春を変な目で見てたっちゃ!」
「見てへんわ!」
「ふふふ。仲良しですね!」
「ありがとうだっちゃー!仲良しだっちゃ!小春と翔陽もいつも一緒で仲良しだっちゃーー!!」
「はい!翔陽君の怪我は私のせいなので。。私の出来る事は全部したいんです!」
にっこり笑う小春ちゃん。
小春ちゃんの笑顔は俺達まで幸せにしてくれる力やっぱりあるよな。。
癒しやわ。。
世界中の全員が小春ちゃんする笑顔ができたとしたら戦争は無くなるんちゃうかな??
知らんけど。
「小春そんな気にしなくて良いんだぞ、あれは俺がで。。」
「翔陽!おはよう!」
「ああ!おはよう!」
翔陽がニカッと笑顔を作る!!
怪我しても爽やかなやつだな。
「おはよーございます」
「おはよだっちゃ!」
皆んな笑顔で挨拶を交わす、やっぱこうやって笑顔で入れるっていいな!
「あーーー俺もウィンドサーフィン練習したいなーー!あんな楽しそうなの見てたら凄い乗りたくなったよ!!」
「マジ今日最高やからなーー!ひひひ」
「こいつ!」
翔陽が俺に腕を回そうとする。
怪我してる翔陽に捕まるわけないやん!
余裕で回避!
「それにしてもヴェルさん凄いよな、このままじゃヴェルさんに追い抜かれそうだよなー!こんないいコンディションなのにさー!!早く治って欲しいよこの腕!」
「あ!翔陽もウィンドできるっちゃ??良いちゃねーー!早く一緒に乗りたいっちゃ!」
「ああ!俺も出来るよ!やっと波に乗れる様になったとこなんだよ!」
「うちと一緒だっちゃ!ウィンド本当に難しいけどそれが燃えるっちゃ!ね!小春!小春もやるっちゃ!」
「え?私もですか?」
「だっちゃ!」
急でビックリした様な表情の小春ちゃん。
「はい!やります!」
でもちゃっんと笑顔で返す小春ちゃん。
「皆さんが楽しんでる事は私もやりたいです!!」
「いいやん!小春ちゃんまた教えてあげるわ!」
「あーまた!ダーリン!!」
ビリ!
「いで!!何でやねん!ヴェルにもめっちゃくちゃ!ちゃんと教えてあげたやろ!」
「はっはっは」
笑う翔陽。
「そうだっちゃね!ごめんちゃ!」
「ふふふ。海晴君私本当にやりたいから教えてね!」
「おう!任せて!!」
「小春も一緒にウィンドやるっちゃーーー!」
ヴェルが小春に抱きつく。
はははは!!
ウィンドサーフィンして自然を感じて、それで笑い合える仲間がいて最高やわ!!
本当にこの皆が無事でよかった!!
。。。
今日であの大変だった日から一週間が過ぎた。
あの後、翔陽のお母さんの麗子さんが大活躍やった。
俺とヴェルは翔陽を追いかけて光波山を駆け降りて、御神木の前で倒れていた血だらけの翔陽と氷の様に冷えた小春ちゃんを、慌てて翔陽の家に担ぎ込んだ。
「麗子さん!翔陽と小春ちゃんが!」
「大変だっちゃ!!」
俺たちの声を聞くなり!バタバタと麗子さんが出てきて。
「何があったの?」
俺とヴェルは大慌てでここまでの事情を説明した。
そしたら麗子さんは途端に小春ちゃんの状態をジッと見てから。
ヴェルに一言。
「あなたの星のコールドスリープの後に飲む薬とかあるでしょ?取ってらっしゃい!」
だって!
わかったっちゃ!ってヴェルは大慌てで飛び出して行ったけどさ。。。
いやいや、なんでそんな薬の存在とかヴェルがその薬を持ってるとか。
なんで分かったん?
で、氷漬けの状態から解放されたばかりの小春ちゃんへの処置がまた的確で、お風呂にぬるま湯を張って、ゆっくりゆっくりと温めてあげる事が一番大切らしい。
これは。。
もしや。。
と、俺も風呂に、さも当然の様にとことこ着いて行った。。
お。。
これは。。
いける。んちゃう。。?
ギラッ!
「海晴!何であんたも来てるのよ!あんたは翔陽を寝かしてこい!」
って。
バシッ!!っと思いっきり叩かれた!
まぁそらそうよな。。
「麗子さん、翔陽どこに寝かしたらいいっすか?めっちゃ傷だらけなんですけど、手当は?」
と麗子さんに声をかけたら。
「ソファーにでも寝かしておけばいいよ!翔陽はほっといても直ぐに起きるわよ」だってさ。
俺、翔陽の事もめちゃくちゃ心配したのに。
麗子さんが小春ちゃんをお風呂で温めてあげた後。
小春ちゃんに自分のバスローブを着せて、そっと小春ちゃんをベッドで寝かせた。
「小春ちゃん!」
翔陽の服を着替えさせ終わった俺は小春ちゃんに駆け寄った。
小春ちゃんを眺める。
肌の色が少しピンクに染まり血行が良くなってるのが見てわかる。
スースーっと息もしている。
「持ってきたっちゃ!小春大丈夫だっちゃ!!??」
ちょうどそのタイミングでヴェルが薬を持ってきた!
コールドスリープの後に必ず飲むという、氷漬けで弱り痛んだ筋肉の、弛緩と治療の薬をらしい。
おお。マジか。。
タイミングがバッチリすぎる。
マジで分かっていた様なタイミング。。
よく翔陽が『母さんは魔女だから』って言ってるのを俺は思い出した。
そのヴェルが持ってきた薬を飲んで、30分ほどで小春ちゃんは目を覚ました。
「小春ぅぅーーー。。」
小春ちゃんが目を覚ましたことに喜びヴェルは小春ちゃんの手を握る。
その直ぐ後に翔陽も目を覚ます。
ほんまに何もせずに翔陽は目を覚ました。。
やっぱ魔女や。。
後で翔陽に聞いたんだけど、麗子さん曰く幽霊として小春ちゃんを見つけた時点で、この幽霊には何か有ると分かったらしく。
気が満ちる満月の日のタイミングで俺たちに一緒に山へ探索に行かしたらしい。
その話を聞いた時、俺はなんとなく麗子さんにここまでの未来が見えてたのかなって思ってしまった。
まさか小春ちゃんが肉体の中に入ってさらに生きて帰ってくるなんて思ってなかった。。。
よな。。??
そして。。
その翌日。。。
小春ちゃんとヴェルは横山家の住み込みお手伝いとして役所に申しで、即座に戸籍登録された。
普通はそんな早く戸籍登録なんて出来ない。
ツカッツカッツカッ!
高いピンヒールを履いてかっこいいサングラスを掛けて、周りの人の目を引きながら役所に入っていく麗子さん。
そら目立つよな、、何かめっちゃかっこいいもん、ハリウッド女優みたいやもん。
麗子さんは入ったらすぐある受付カウンターに肘をついて、受付の女の人に声を掛けると、すぐの慌ただしく中年のポチャっとしたおっさんが出て来た。
明らかに上の方の人だ。。
麗子さんがその役所の偉そうなおっさんに何やら話しをしたら、おっさんは即座に戸籍を情報を取り扱う女の人に声を掛けた。
おっさんは女の人から何枚か書類を貰ったらそれを麗子さんに渡した。
書類を受け取った麗子さんは機嫌よく、気さくにそのおっさんに笑いかけ肩をぽんぽんと叩いている。
で、麗子さんと一緒に書類を数枚書いたら、はい完了!!
「役所のおっさんには恩を売ってるからね!こんなのチョチョイのチョイよ」
だってさ!
よく分からへんど、今までの借りとかつてでゴリ押ししたのが俺達でも解った。
横目でニヤリと俺達に視線を送りながら役所から出る麗子さんはカッコよかった。。。
やっぱ魔女や。
因みに、ヴェルは翌日に役所に勝手に行って、勝手に住民票を俺の家にして、勝手に住み着いてる。
勝手すぎるやろ。。
俺はUFOで寝ろって言ったのに絶対嫌らしい、やし俺の家のハンモックで寝てる。
そして!それから俺達は海に毎日に通ってる!
俺はウィンドサーフィンショップのバイトもあるし。
毎日毎日違う顔を見せてくれる海。
小春の辛い過去を聞いて沈んでた俺達の心が自然に洗われる。
本当に毎日思う!
やっぱ海はいい!!!
そんなこんなでヴェルと出会ってからずっとバタバタしてた毎日が少しずつ落ち着いてきた。
。。。。
「あーあー俺もウィンド乗りたいなーー!」
存分に風と海を楽しんで、ウィンドの道具を片付けてたら翔陽が。
まだ海を眺めてぼやいてる。
風にぐいぐいと後ろ髪を引かれてるんやわ。。
小春ちゃんはサラサラと風に髪を靡かせてる。
海をバックに髪の毛をかき上げる小春ちゃんとイケメンの翔陽は絵になる。
「あ!そういえば!」
突然翔陽が振り返った。
「海晴、春休みの宿題やったのか?」
。。。
「え?」
「宿題!」
「しゅくだい。。。」
「あ、あ、あーーーーーーーーーーー!!!
最近のバタバタですっかり学校の事も、宿題のことも忘れてた!!
「やばい全然やってないわ!!!」
「ははは!だと思ったよ。って言うか俺もなんだよ」
翔陽がニヤニヤしている。
「ダーリン宿題ってなんだっちゃ?」
「ん?ちょっと待ってな」
ヴェルから顔を背け少し言葉で静止する、何故なら。。。
ヴェルに学校とかそういうのバレたら絶対一緒に行くとか言うの分かりきってるしな。
俺がこの一週間俺が一人でいれた時間なんて全くなかった。。
学校に行ったらやっと一人の時間が出来るねん。。
しかも、学校でこんなベタベタされたら注目の的やし何言われて何されるか分かったものじゃないやろ。。。
絶対あかん。
宿題をやったのか?と翔陽に言われた時から、瞬時に俺は思考を巡らせた。。
「うん。じゃあ今から宿題一緒にやろうや!」
「ああ!!やろう!」
「ダーリン!宿題って!!なーーーんーーーーだーーーーーっちゃ!!!」
横で俺の腕をグイグイ引っ張るヴェル。
「じゃあ翔陽の家行くか!」
「そう来ると思ったよ!」
「ウィンドの道具置いて、宿題取ってくるからさ!ちょっと俺ん家寄ってな!」
「ああいいぞ!」
ニコニコと笑い合いながらこれからの予定を決めていく俺と翔陽。
翔陽には俺がヴェルを無視している真意が伝わっている。
《ヴェルに学校の事バレたく無いねん。絶対ついて来るから》
《ああ。なるほどね。》
《やし、学校の事はスルーで。》
《ああ分かった。》
これが俺達が会話を交わしながらアイコンタクトで交わした内容だ。
さすが親友!
以心伝心!!
「ダーーリン!!宿題ってぇーーー!!なんだっちゃーーーーーー!!!」
ヴェルのてがパリパリしている。
やばい!
バリバリバリバリ!!!
ヴェルの手から電流が俺に流れる!!
「ギャーーーーーー!!」
「グァーーーーーー!!」
確実に俺の宿題をするはぐらかしてた事に気づいてた翔陽も巻き込まれてた!
ヴェルの電流が止まる。
「ヴェルぅ!殺す気か!」
「宿題の事教えてくれないダーリンが悪いっちゃ!!」
「かーいーせーーい!おーまーえーーー!」
電撃に巻き込まれた翔陽が恨めしい顔して迫ってくる!
「何で俺まで電撃くらってるんだよ!」
「知るか!ヴェルに聞けよ!」
「翔陽もダーリンんと何か企んでたっちゃ!同罪だっちゃ!」
「皆さん大丈夫ですか??」
オロオロする小春ちゃん。
「これぐらいじゃこの二人はピンピンしてるっちゃ!」
「小春ちゃんもう大丈夫!俺は小春ちゃんの声を聞いたら治ったわ!」
バリ!
「いで!」
「ダーリン!もう!早く道具片付けるっちゃ!」
「はいはい」
俺達はウィンドサーフィンの道具を片付けて自転車に跨り家へ向かった。
小春ちゃんと翔陽も二人で自転車に乗って追いかけてくる。
骨折のギブスのせいで片手で自転車を運転する翔陽、その上、後ろに小春ちゃんも乗せてさらに坂道を登る。
全くフラつくかないし、普通なら見てて怖いけど翔陽の場合はもはや安心感まである。
ほんまに、凄いやつやわ。。
俺の自転車にはウィンドサーフィンのボードと二人分のセール、自転車にヴェルのボードは乗らないから、ヴェルは自分で真っ青な空の中、ヒューーーンっと飛びながらボードを運んでいる。
ヴェルは空中で真横になって飛んでいるんやけど。背中にボードを乗せて亀みたいな姿勢でヴェルは飛んでる。
まるで空ではヴェルがボードに乗られてるみたいだ。
「ははは!」
見てたら少し笑えてくる!
そんな翔陽やヴェルを見てたら、そうかからずに家に着いた。
自転車から道具をサッと下ろしてウェットを掛けて。
「ちょっと待っててな!10秒で戻ってくるわ!」
俺はダッシュで部屋に宿題を取りに行く。
慌てて鞄に宿題を詰め込んでサッと鞄を背負う。
足速に階段を駆け下りていく。
下では皆んなが何やら笑いながら話している。
「お待たせーーー!さ!行こっか!」
「ダーリン!行くっちゃ!」
ヴェルがくっついて来る。
目をキラキラさせて嬉そうだ。
きっと二人乗り出来るのが嬉しいんやろな。
四人で光波神社へ向けて自転車を漕ぎ始めた。
「レッツゴーーー!」
ウィンドの道具を下ろして自転車が軽い。
ヴェルは後ろの荷台に立ってる。
二人乗りをしているヴェルは本当に嬉しそうや!
「二人乗り気持ちいいっちゃーー!今度うちの星の科学でこの自転車にボード二本積めるように改造するちゃ!もちろんうちも乗れるようにだっちゃ!」
お、おう。
「それ俺が漕ぐのめちゃくちゃ重くなるんじゃないか?」
「大丈夫だっちゃ!うちの星の科学は凄いんだっちゃ!」
「海晴なら平気だろ?俺より走るの速いし!」
「いやそれ、自転車漕ぐのが大変って事と関係ないから!あ。ってかさ翔陽肋骨を痛くないん?」
「ああ。そう言えばもう痛くないな」
「いやオカシイだろそれ!普通そんな早く治らへんって!」
「翔陽も宇宙人だっちゃ?」
「幽霊じゃないんですか?」
「ププ、何でやねん、サイボーグに決まってるやんか!」
「おい!何でだよ!」
「「「「ププッ!」」」」
「「「「あーっはっははははは!!!」」」」
皆んなで顔を見合わせた瞬間。
笑ってしまった!
どうせ皆んな同じ様な事想像してたんやろ!
あーーーはっはっはっは!!
みんなの楽しそうな笑い声がコンクリートの上の青空へ木霊した!
そうこうしてる間に俺達は光波神社に着いた!
ぞろぞろと四人揃って翔陽の家に入る。
「ただいまーー」
「おじゃましまーーーす!」
「おじゃましますっちゃ!」
「ただいまです」
「あら?みんな揃ってどうしたの?」
廊下の左側の開きっぱなしの扉から、ガラガラガラっとローラー付きの椅子で座ったまま麗子さんが出てきた。
背もたれから先に金勘定しながら出てきたから驚いた!
パラパラパラっとまるで扇の様にお金を数えながらこっちを見る麗子さん。
翔陽は右手で呆れ顔を抑えながら。
「母さんなにそのお金、ってか出迎え方が。。」
「最近幽霊や妖怪がいっぱいで儲かっててね!笑いが止まんないのよーー!」
めちゃくちゃ笑顔で右手を上に向けてお金のマークを作る。
「ハ、ハハ、ハハハハハ、、、」
「で、あなた達集まって今から何するの?」
「ああ海晴と宿題するよ」
「まだ終わってなかったの?まぁいいわ。
じゃあ、小春ちゃんとヴェルは関係ないんでしょ?こっちきて!手伝って欲しいことがあるの!」
「わかったっちゃ!」
「はーーい」
うん、何を手伝うのか疑問や。。
それにしても麗子さんの手伝いなんて羨ましい!
「じゃあ海晴、俺達は俺の部屋行こうぜ!」
「おっけー!」
翔陽の部屋で二人黙々と宿題を進めていく。
俺達は以外に勉強も嫌いじゃない、だってクイズみたいで楽しいやん!
解らへん所も二人で考えれば答え見なくても解ける。
で、この解いた答えが正解だった時!
楽しい!
勉強も楽しいと思える!
でも、俺一人じゃこうは思えへんのやろなーー
やっぱ同じ様に考えられる翔陽がいるから。
面白く思えるんやろな。
宿題はどんどん進んでいって、日が暮れるまでやって宿題は終わった。
「はーーお腹すいたーー」
たまに別の部屋からヴェルがや小春ちゃんがキャーキャーテンション上げてる声が聞こえてたけど、一体何やってたんや。。?
ガチャ!
「宿題終わったの?」
麗子さんがドアを開けて入ってくる。
「ああ今終わったよ。」
「あなた達お腹すいてるでしょ?今日の晩ご飯はスペシャルだからね!海晴君とヴェルも食べていきなさい、お腹すいてるんでしょ?」
「おーーーー!!ありがとうございます!」
「じゃあ下で待ってるわね!」
「はーーーい!」
はー麗子さん綺麗だなーーー!大人の魅力がやばいわ。
それにしても毎回凄いタイミングだよな、宿題が終わったその瞬間に来るなんて、なんか全部見透かされてる気がする。。
「お前の母ちゃん凄いな」
「ははは!ああ。魔女だよな!」
俺達が下に降りると。
誰もいない。
あれ?
「ダーリンこっちだっちゃ!」
ヴェルが廊下横にある軒先から顔を出した!
片手には串に刺さった生肉を持ってる。
「BBQするっちゃよーー!」
「うおーーーーー!!」
俺と翔陽が駆け寄る!
縁側から庭を覗くと。
「うおーーーー!」
そこには皿の上に山のような肉が盛ってある!
庭にはBBQコンロとテーブルとイスが六脚!
ん?六脚?
移動できる自立式のライトがBBQコンロを照らしている。
そして空は星空!
まだ月は上がってない。
山の森林の中にある光波神社から見る星は近隣の町の灯りが届かなくってめちゃくちゃ綺麗!
天野川までしっかり見れる。
和風の庭園の上に浮かぶ満点の星空。
綺麗や。
めちゃくちゃいい庭やなーーー。
なんて思ってると。
「腹減ったーーー!!」
翔陽が肉に魅入られてる!
「翔陽あんた火出せるんでしょ!これに火を付けて!」
麗子さんの横にある大きな炭火用のBBQコンロの中に炭が積まれてる。
「お!了解!」
翔陽は掌に小さな小さな火の珠を創り出した。
その珠を炭の中に入れるとボウッと発火する。
ボォォォ。。
翔陽の起こした炎が消えた時には炭が見事に起こっていた。
宿題が終わった瞬間に始まるBBQ!
それに当然に自分の息子が火が出せるってさ。
普通そんな摩訶不思議な事信じられる?
俺は見てたから信じられるけど。
見てへんかったら絶対信じられへんやろ。
火を出せる人間なんて。。
翔陽の母ちゃんって。。
なんなんや?
やっぱ魔女か。。
でも、ま!翔陽の母ちゃんだしな!
いいか!
そんな事よりも!!
満点の星空の中大好きな仲間でBBQ!!
最高や!!!
焼こう!!
俺は肉の置いてある机にルンルンで歩み寄った!
「うわーー!やばーーー!」
肉めちゃくちゃ美味そう!
どっからどう見ても新鮮な肉が串に三つ刺さってる!
一つ一つが結構大きめの肉の塊や女の子の拳一つ分くらいのサイズ。
「これ?霜降り肉?」
「そうよ!最近儲かっちゃってるから大奮発よ!ランプって部位なの!しかもね、石垣牛でもう、全然そのままでも食べれちゃうんだから!」
麗子さんが薄切りに切ったランプ肉をポン酢ダレにつけて生のままパクリ。。
「んーーーーーーー。。。。。」
口に入れた瞬間少し俯き目を閉じて顔に力が入る。
手にもめちゃ力が入ってる。
だ、大丈夫、、?
「っまい!!!めちゃくちゃ美味しいわこれ!!」
もう一枚口に運ぶ麗子さん。
「はーーーーーー。。。」
今度は目を瞑り手を頬に当てさらに頬を赤らめてる。
うっとりしてる。。。
「本当に美味しい。。幸せ」
それめっちゃ食べてみたい!
「母さん俺も!」
「麗子さんそれめちゃくちゃ食べたい!」
「美味しそうだっちゃ!」
三人が歩み寄る、いやヴェルは飛び寄ってる!
「いいわよ」
串から肉を一塊り外して包丁で薄切りにしていく。
見事な薄切りの霜降り肉がお皿の上に並べられた。
「小春もいーっぱい食べとダメだからね!」
笑顔で小春ちゃんに声を掛ける麗子さん。
「はい!」
小春ちゃんもいい笑顔だ!
よし!
俺達は箸でめちゃくちゃ美味そうな肉を掴んでポン酢ダレにつけた!
「いただきま。。」
「待たせたのぅ、野菜が切れたぞ」
「え?」
皆んな肉を口に運んで食べようと言う最中。
突然知らない人がひょっこりと縁側に現れた。
二十代後半くらいの一般的な男性が、大きな皿の上に山盛りの切られた野菜を持って立っている。
髪は長くって、頭にちょこんと髪飾りの様な物が乗っていて、その髪飾りは髪留めにもなっているのか、男の黒くて長い綺麗な髪は、髪留めでサラリと纏められ背中に向かっている。
そして衣服は青と白の服、まるで中国の浴衣の様な服を身に纏っている青年、浴衣の上には一枚高級そうな羽織を羽織っていた。
青年の顔は綺麗に整って細い目がにっこりと笑っている。
中国のイケメンのお兄さんって感じ!
「え?誰??」
「あれ?何処かで。。?」
俺は初めて見た気がするねんけど、翔陽はこの人見た事あるんか。。?
「あ!紹介するわね!」
麗子さんがスッとその男の人の横に立った。
明らかに今この橋の上に乗ってる肉を食べずにそっちに注目しないといけない雰囲気やん。
うぐ。。
この美味そうな肉。。。
食いたいのに。。。
翔陽も箸で肉を摘んだままフルフルしてる。。
食、い、た、い。。。
「ははは。皆んな素直だのう!これは先にこの美味そうな肉を食べた方がよいのぅ!」
「え?いいん?」
「いいんでか?」
「モグモグ、食べていんだっちゃ?」
「あ!ヴェルは食べてるやんか!」
「あ!うちもう食べてたっちゃ」
「何でやねん!」
ぐーーーーー。。
小春はお腹を鳴らしている。
「こんな状態でお預けなんて辛すぎだからのぅ。麗子さん、食べてからにしようかのぅ」
「あらいいの?私も!望さんも食べましょう!このお肉っすっごい美味しいんだから。」
「ああ、頂こう」
麗子さんもひょいひょいっと縁側からBBQのコンロの所へ来た。
その後に続いて不思議なオーラを纏うお兄さんもついて来た。
BBQコンロの中は翔陽が起こした炭が今か今かと赤く光り肉を待ち構えている。
「じゃあ食べましょう!いただきます!」
ニコニコの麗子さんが手を合わせた。
「「「「っいったっだきまーーーーす!」」」」
声が揃う四人。
「いただきます」
イケメンのお兄さんも手を合わせた。
そしていよいよBBQが始まった!
焼き肉食いたい!
食いたいんやけど!!
まずは。。
こっちやろ。。
箸に摘まれている、薄切りの石垣牛のランプ肉、霜降り肉ぅ!!
大きな口を開けて俺はその口に霜降り肉を運んで行く。。
ああ。。この輝く様な霜降り肉が今から俺の口に入るんや。。
楽しみで仕方ないわ。。
パク。
「え?」
フワッと宙に浮いたヴェルが俺の肉に食いついていた。
「っおっいしいっっちゃーーーー!!何だっちゃこれ!溶けたっちゃ!お口の中が旨味の大雪崩だっちゃーー!」
目を輝かせて飛び上がるヴェル。
ッパシ!
「おい。。」
飛び上がろうとするヴェルの足を捕まえる。
目線は自分の持っている箸。
いや、もう何も持っていない箸の先を見つめ、小刻みに俺は震えている。。
「ヴェーーールゥーーーーー、、」
俺は恨めしい顔でヴェルを引き寄せた。
「食いもんの恨みは、、恐ろしいぞーー!」
俺はヴェルに飛びかかる。
「ダーリンごめんっちゃーー!」
ヴェルはサラリと俺を避けて笑いながら飛び回って逃げる、それをぴょんぴょんと追いかける!
ずるい!飛べるってずるい!!
俺達を脇目に翔陽達は霜降りランプ肉を食べてる。
「ははは!何やってるんだよ。」
パク。
「うま!まだまだ肉残ってるのになーー」
パク。
「うま!」
「ですねー。」
パク。
「おいし!こんな美味しいお肉。」
パク。
「おいし!食べないなんても。」
パク。
「おいし!ったいないですねーー。」
飛んで逃げながらヴェルもさっと肉を掴んで食べる。
器用や。。
「美味いちゃーー!!ダーリン!一回休戦だっちゃ!食べないともったいないっちゃ!」
「ほーーーー。。。」
地面に降り立ったヴェルに恨めしい顔した俺が詰め寄る。
顔面に影を下ろし目を赤く光らせて詰め寄る俺はもはや悪役その物や。
いや!
悪はヴェルや!
「ほら。ダーリンごめんっちゃ!」
ヴェル はたじろぎながら霜降り肉を箸で摘んで俺の口に入れた。
口の中の体温で霜降り肉が溶ける。
溶けた油は甘くって、口の中に旨味がジュワーーっと染み渡っていく。
肉を食ばてる感じじゃない。。
「うっわ!うっま!!!」
この霜降り肉いつも食べてる肉の味じゃない。
俺は霜降り肉の力で我に帰った。
「美味すぎーーーーぃ!!!」
まじで普通の肉と食感が違う。
はーー。。
やば、頬っぺたが落ちそうや。
霜降り肉ってこんなに美味いんか。。
もう一枚。
パク。
「っくっはーーーー。。。。っうっまーーー!」
俺の体まで旨味で溶けそうや。。。
麗子さんがうっとりしてた意味がわかった。
周りを見渡せば皆んな肉の旨みにうっとりしている。。
麗子さんが何やら動き出した!
「これをさらにぃーー!この霜降りのランプを、表裏三秒ずつだけ、少し炙ってーー!!炊き立て熱々白御飯に乗せて食べると。。」
いつの間にか麗子さんの手の上には白ご飯の盛られたお茶碗が一つ。
そのご飯に少し炙ったお肉を乗せてツヤツヤに光るお米と一緒に口へ運んでいく。
炙られた肉は余計いな油を落として、ご飯と一緒に麗子さんの口に向かっている。
お米もお肉もキラキラ光り完璧な食べ物として、成っている。
パクっ!
「う。。まぁ。。」
麗子さんが感動している。
美味しさのあまりセクシーな表情で蕩けてる麗子さん。
それ絶対美味いやつやん!
「俺もやる!」
白御飯を翔陽が三人分もってる。
霜降り肉がもう無い。。
俺はもう一塊り串から肉を外し、包丁で切っていく。
小春ちゃんとヴェルが切られていく霜降り肉を覗き込んでる。
「あんた達ちょっと落ち着きなさい!」
ストっと麗子さんはコンロをの前に並べている椅子に座る。
「ほら椅子があるんだから座って!」
「分かったっちゃ!」
椅子に座るヴェル。
さっきの霜降り肉が美味しすぎて、次食べたい気持ちが前のめりに出ている。
翔陽が白御飯を渡してくれる、俺はみんなの前に霜降り肉の乗ったお皿を置いた!
「いったっだきまーーーす!」
「いただきまーーーす!」
「いったっだきますだっちゃ!」
「いただきます。」
みんな霜降り肉をさっと網の上で炙る。
まだほとんど焼けていない霜降り肉をツヤツヤのご飯の上に乗せて、、同時にパクリ!
「うはぁーーーーー。。。うまぁーーーーーーぁ。。」
霜降り肉の甘味とご飯の甘味が見事に合わさってる。
広がる旨味。
俺達全員、麗子さんと同じように蕩けてしまった。
「ああ!あかん!お口の中が旨味の大津波やーー!」
「いや。ほんとそれだよな!」
「わたふぃ。こんなおふぃしい、ご飯ふぉ食べれて幸ふぇでふ。。」
ほっぺったいっぱいにご飯を膨らまして栗鼠みたいに小春ちゃんがご飯を頰張ってる!
「ぶーーーーー!!」
思わずその姿を見て吹き出す俺。
「あっっはっははははははは!!」
「わっっははっははははははは!!小春、、クックック!どれだけ掻き込んだんだよ、、クククク。。」
「プププ、、こ、、小春なんだっちゃ、、その顔、、、」
「こふぇでふかあ?」
子栗鼠みたいな顔になってる小春はしゃべり辛そうに、食べ辛そうにもぐもぐと口を動かしている!
「ぷーーーーー!あは!あはははははは!小春止めるっちゃ!うちもうお腹痛い、、っちゃ!」
腹を押さえて空中で転げ回るヴェル。。
「ぶわっははっはっはははははは!!!」
翔陽も腹を、、抱えて、、って
「プププ!!!!あーーっはっはははははっは!!!ちょ、ちょっと小春ちゃん!何なんそれっ!栗鼠とかなんかのモノマネ??クックック!あかんって!そこら辺の芸人とかより面白いわーー!!!!」
ようやく口の中のご飯とお肉を小春ちゃんが飲み込んだ。
「だって、このお肉とご飯すっごい美味しいんですもん。。」
ニコッといつもの笑顔の小春ちゃん。
マジで面白すぎた、ギャップがやばい。
それから俺達はバクバクと目の前にあるご飯と霜降り肉を食べた!
あーほんまに、この肉ご飯と相性最高。。
ご飯の温かみで肉の脂が溶けてるのが分かる。
肉のほのかな甘みとさらにご飯のほのかな甘みがベストマッチしてる!
そこにポン酢ダレがかかって最高!
こんなの食べたことない!!!
「やっっばいなーー!!この肉ほんまに美味すぎ最高!!」
みんな満足そうだ美味しすぎて言葉がもう出てない。
「んーーーーーー!マジで美味すぎ!」
「こんな美味しいのうちの星には無いっちゃ!最高に美味しいっちゃ!!」
「本当に美味しい。。私生き返ってよかった。。」
「小春よかったちゃね!」
「この串肉焼こうぜ!」
翔陽がワクワクした顔で串を持ってる。
「これはね四角の四面を2分ずつ焼くの。それだけで十分美味しいらしいわ!そして付けるのは塩!ここに三種類あるから好きな塩を選んで」
岩塩 雪塩 ガーリックソルトが机の上にあった。
「了解!」
ジュゥゥーーー!
炭火で炙るとポタンポタンと油が落ちる。
それが良い香りを放つ。
「はーーー美味そう」
「良い香りだっちゃー!」
四面焼けたら各々肉に塩をかけていく。
そしてみんなで一回顔を見合わせながら肉に齧り付く!
ガブ!
かなり大きな肉の塊なのに スッと噛み切れた。。
その噛み切れた肉を口に中でほうばると、噛むたびに肉の旨味が口にじゅわっと広がる。
全然肉臭くなくて、、甘くてあっさりしてる。
鰹のタタキの様になっていて、外側は焼けていて中はレアだ。
柔らかい内側の肉に、焼かれて旨味が凝縮されている外側。さらにその味を引き立てる塩。
口に入れた時にこの二種類の肉の違いがめちゃくちゃ良いハーモ二ーを奏でている。
こんなの食べたことない!!!
「うん!まぁぁぁぁぁぁ!!!」
「なんだっちゃこの肉!めちゃくちゃ美味しいっちゃ!!」
「ああーー。。美味しい。。生きてるって素晴らしいですね。。。」
「この肉やばいな!」
「んーーーーーー!想像以上に美味しいわ!大正解だったわね!」
また次の肉を焼いていく!
「この肉なら何本も食べたいな!」
「ゴクゴク。はぁー。どんどん焼いちゃいなさい」
麗子さんは赤ワインを飲みながら食べてる。
「本当のこの飯は最高だのう。」
舌鼓を打ち、天を見上げる中国っぽいイケメンの青年。
あ。。
この人の事忘れてた。。
でもめっちゃ飯食べてたのは脇目で見えてたけど!
美味すぎてそれどころじゃなかった。。
「あ。。うん!じゃあお腹が落ち着いたところで紹介するわね!」
麗子さんは完全に忘れていたのだろう慌てて立ち上がり望さんと呼ばれていた男性の横に行く。
「諸葛 望さん!私の除霊の仕事で知り合ったの。中国の方でね特にいっぱい不可思議な事が頻発する日本を調べに来られたんですって、それであなた達に会いたいらしくってね。」
「初めましてだのう。私は諸葛 望。今この奇怪しくなってしまったこの世界を治したいと思って世界を廻っていたのだがのぅ。日本のこの大浜町に何故か凄い気が集まっておってのぅ。なのでここに来たのじゃ。」
「あ!!思い出した!あの黒い海月の時に助けた人だ」
「うむ、そうだったのう!」
「そうなんだっちゃ?なんであんな所にいたんだっちゃ?」
「わしは気が見えるからのう、あそこに悪い気が集まっていたからじゃ」
「気が見えるん?」
「そうじゃ。だからのう、お主らが海で暴れた黒い烏賊も見たし、あの日の山の麓までも行ったのじゃ、山は邪気が強すぎて入らんかったがのう」
「えーーー。ほんまなん??」
「信じられんだろうな、では。。」
掌を上に向けてそこを見つめる。
シューー。。
何やろ、そこにある世界が集まっていく様な。。
見えない空気というか風というか、そういった物が掌の上で渦をえがいている様に見える。
そして掌の上には小さな珠ができた。
その珠の中には何かが写って見える。
「ッハァ!!」
力むと一気にその小さな珠は巨大化して、この辺りの景色が逆さまに映す大きな球が出来た。
縁側の屋根の高さまで届きそうな大きな球の中に俺もヴェルも、小春も翔陽もいる。
中にいる逆さまの俺達の周りに何か湯気の様な物が出ている、俺の湯気は白く翔陽は赤い、ヴェルは黄色で小春は青色。
「何だこれ確かに俺達から何か出てる」
「これがオーラだっちゃ?」
「ああそうだ。四人とも不思議な運命っを持ってる。まだまだ未熟なオーラだがのぅ」
「俺らが未熟。。まぁそうよな。。」
「未熟も未熟だよな。」
「だがまだまだ、まだまだまだまだ成長できるぞ。お主らは世界を守らねばならんしのぅ」
「だっちゃね!」
「このさ!オーラ?を強くするにはどうしたらいいんやろ?」
「まずはよく食べてよく寝る、それからお主らの長所をしっかり磨く事だのぅ」
「ですね!食べましょう!」
目を輝かせる小春ちゃん。
「はっはっは!そうだのぅ!まずはいっぱい食べることだのぅ!」
パクッ!
「っはぁーーー。美味しい。。」
白いご飯を口に入れほっぺたを抑えて天を仰ぐ小春ちゃん。
幸せそうや。。
「ダーリン、あーーーーん」
ヴェルが俺の前に美味しそうな霜降り肉を持ってくる。
「え?ヴェルのやろ?自分で食べーや」
「うちちょっとお腹いっぱいだっちゃ!ダーリンにはいっぱ食べていっぱい強くなってこの世界を守ってほしいっちゃ!だから。あーーーーーん」
「あーーーーーん!」
パクッ
「うまっ!」
「おお!熱々じゃのぅ!」
ニヤッとする望さん。
「いやいや違うから!」
「いいこと言うっちゃ!のぞむん!!」
「ん?のぞむん?誰の事かのうそれは?」
「はっははのぞむんって」
翔陽が聞いて笑ってる!
「さっき麗子さんがのぞむんって言ったっちゃ!」
「母さんはそんなこと言ってないぞ」
「ははは!いいやん!のぞむん!」
「のぞむん何てはじめて言われたの」
「いいじゃん、のぞむん!」
「いいのぅ!」
「いいんかい!」
「ああ。よいぞ」
柔かに笑うのぞむん。
「難しい話は後にして、まずはこの場を楽しもうじゃないか!」
パクリと肉を食べるのぞむん。
この人俺達に説明するのめんど臭くなったな、肉の誘惑に負けたやろ?
あーー、でも何か初めて見るタイプの大人やけど。
俺は結構好きだなーー。
そして!俺達はまた食べた!
お腹いっぱいになるまで肉を食べまくった。
いや。ほんまに美味すぎた!
美味すぎて食べすぎた。
「はぁーーーーー。。」
最高の夜や!
ヴェルが麗子さんのワインを勝手に飲んで、酔っ払って俺にめちゃくちゃ絡んできて、みんなに笑われたり。
麗子さんが翔陽の幼い頃の恥ずかしい話をして、翔陽以外は大爆笑!翔陽は呆れていた。
のぞむんもお酒を飲んで翔陽と肩を組んで歌ったり、ギターを弾いてたり。
のぞむんめちゃくちゃカッコ良かった。
あとは、ヴェルの星の話もいっぱい聞いた。全く違う世界の話やから、聞いててめちゃくちゃ面白かった!
ほんまに楽しいBBQや。
幸せやなーーー。。
腹一杯で椅子に座って大きな満天の空を見上げる。
天野川が流れてる。
キラキラと輝く星々が夜空に散りばめられ、星座を創り出してる。
「腹一杯だな!」
翔陽が横に座ってきた。
ヴェル 小春ちゃん 麗子さんは縁側に座ってなんか楽しそうに話してる。
麗子さんが真ん中にいて横にいる二人は楽しそうや。
二人とも麗子さんのこと大好きになったんだって、俺は少し嬉しくなった。
「何嬉しそうな顔してるんだよ?」
「いや。何でもない」
「顔がにやけてるぞ、どうせ母さんと二人が仲良くなって嬉しいなとか考えてるんだろ?」
「ああ。お前も魔女やな!こうやってみんなでお腹痛くなるまで笑えるって幸せやなーっと思ってさ!」
「ああそうだな!俺も幸せだ!小春も幸せそうで本当に良かったよ。」
空を見上げる。
満天の星が俺達を見下ろしてる。
綺麗や。
ヴェル 小春ちゃん 麗子さんの楽しそうな声が聞こえてくる。
あーーー。
幸せやわーー。
恥ずかしくて言えへんけど。
皆んながいるから幸せなんだよな。
ほんまに皆んなに感謝やなーーーー。。
はーーーー。
見上げると星が綺麗や。。
風がふわっと吹いてきた。
風が木々を揺らす。
ガサガサ。。
少しドキッとした。
一つの不安が頭をよぎった。
「あの恐竜まだ山のどっかにいるんだよなーーー」
「ああ。。あいつはマジでやばいよな。どうしたらいいのか。。」
翔陽も星空を見上げながら答える。
「ここが襲われるかもしれへんしなー」
「確かに!そうだな!」
「俺たち全く歯が立たへんかったよなーー、っていうかさ、はは、俺らもう殺される寸前やったな」
「ははは!俺マジで一回死ぬかと思ったよ、小春やヴェルさんにも助けられた、もちろん海晴にもな。ありがとうな。」
「いや。俺も助けられてるから」
「俺たちもっと強くならないとな!」
「それや!逆に守ってあげれるくらい強くならなあかん!」
「明後日から学校だろ?宿題も終わったし明日珠の練習しないか?」
「お!やろう!修行やな!!ってかさ、、、俺、あの珠出せへんねん、どうやってんのか教えてや!」
「海晴お前珠を出せないのか?」
「ああ出せへん」
「俺は出ろって考えるだけで出るけどな」
「マジで?」
「ああマジだよ!見てろよ?出ろ!」
ポッ
掌の上に火の珠が出来た!
「えーーーーー!!マジか!」
「それだけでほんまに出るん?」
俺も掌を上に向けて自分の掌をマジマジと観察してみた。
念じるだけで出るなんて信じられへんよなーー。。
「やってみろよ」
「わかった!」
翔陽に言われるがまま出してみようと心に決める。
「出ろ!!」
。。。
「出ろ!!」
。。。。
「出ろって!!」
。。。。。
「でーへんやん。」
「はっはっはっ!確かに出来ないな!あーはっはっは!」
「笑うなよ!」
「ははは、ごめんごめん!」
「でもあの黒い烏賊の時は出せたんだからすぐ出せる様になるよ!」
「そうやな!よし!じゃあ明日午後には出せるように頑張るわ!」
「おう!そうだな明日はみっちり練習しようぜ!」
「やろう!!」
「ふむ、その珠じゃな。。。」
「うわ!」
「びっくりした!!」
俺達二人の間にのぞむんがひょっこりと顔を出した。
そして翔陽の火の珠をまじまじと見つめるのぞむん。
近い、火の珠に顔を近づけ何も言葉を発さずに見入っている。
何か凄い集中した雰囲気を醸し出している。
のぞむんの瞳の中に翔陽の火の珠が映り込んでいる。
。。。
「ふむ。これは、、仙術とか魔法とかとはまた違うのう。」
「仙術?魔法?」
「ってなに??」
「うむ仙術と言うのはのう。。」
「ダーリン!何してるっちゃ??」
ヴェルと小春ちゃんあと麗子さんも寄ってきた。
「うむ。仙術の説明でもしようかと思っての」
「仙術、ですか?」
「小春は知ってるっちゃ?」
「私が育った時代ではたまに仙術を使える人がいると、聞いたことがあります」
「ふむ。昔の日本にもおったかも知れんのう」
「へーー、で仙術って何なん?」
「仙術とはのう、この世界は全て自然の物で出来ているのじゃ、当たり前のことだがのぅ。ここに生えてる雑草も、頬を撫でる風も、海も、私たちを支えてくれる大地ものう、言えばわしら人間も自然の一部だし、わしらが作り出すビルや家、街すらも大きな目で見れば自然の一部なのじゃ。そしてこの自然の物はエネルギーを持っておる、そのエネルギーを借りて自分の力として使う。それが仙術じゃのう。」
「へーーーー!」
「じゃあ俺も出来るんかな?」
「うちもしたいっちゃ!」
「あのね!あんた達!仙術なんて誰でも出来る訳じゃないの!私も仙術を使える人にあったのこれで三回目なんだから!」
「母さん三人って結構な数じゃ?」
「あんたね、こう見えても私は神社にずっといて毎日除霊だ、呪いだって日本全国を飛び回ってるんだからね!今!日本には仙術使える人は二人しかいないの!」
「え?あ。そうなんだ。。」
「俺達が珠を出せるって事は仙術使えるってことなん?」
「いや、違うのう、、この珠は。。」
またのぞむんが翔陽の珠を覗き込む。
。。。
「ふむ、この珠は、、自然の力を借りて出来てるという感じではないのう。。」
「そうなんだっちゃ?」
「うむ、この力はどちらかと言えば、お主達自身の力が凝縮している様に見えるのう、、」
「ふーーーーーん」
「そうなんか。。」
「難しい話だっちゃ。。」
「私の力、私が氷の力を使えるっていうのは、氷漬けだったから。。?でしょうか。。。?」
「ふむ、そうも知れんし、違うかもしれん。」
「私もいろんな仕事してきたけど、こんな奇怪しな力の珠は初めて見たわよ。。。」
「ふーーーーーーん。そっか!俺達のこの力は訳わからへんのか、、でも、それいいな!未知の力!わくわくするな!」
「そうだな!ここから強くなれるかは俺たち次第だな!」
ブン!
翔陽が立ち上がって火の珠を満天の星空に向かって投げた。
ッボ!
投げられた火の珠は空中で小さな花火のように燃えて散った!
「翔陽凄いっちゃ!花火だっちゃね!打ち上げ花火だっちゃ!うち初めて見たっちゃ!」
「私も初めて見ました!」
ヴェルと小春が目をキラキラさせてる。
「何言ってるのよ。今の花火大会ってこんな物じゃないわよ!」
「ああ!いつか打ち上げ花火みたいなでっかい爆発作ってやる!」
「おーーー!うちそれ見てみたいっちゃ!」
「私も見てみたいです!」
「まずは夏の花火大火で翔陽の目標の爆発が見れるで!大浜町の花火大会めちゃくちゃ綺麗やから!」
「うわーー夏が楽しみだっちゃ!!」
「本当に綺麗よ!夏が楽しみね!」
「楽しみです!」
小春ちゃんが楽しみすぎてぴょんと跳ねた!
「ダーリン!一緒に観に行くっちゃ!」
「んーー!わかった!でもみんな一緒やと思うで」
「だっちゃね!楽しみだっちゃ!!」
「いい仲間なんだのう。」
のぞむんが嬉しそうに笑う。
「今日はそろそろ片付けて終わりましょ!高校生は早く帰りなさい。」
時間は夜の10時を回ってた。
今日はウィンドして宿題終わらして満天の星空の中BBQ!
最高の一日やった!!
こんな最高のBBQをしてくれた麗子さんに感謝をしながら俺とヴェルは家へと帰った!!
明日は翔陽達と珠の修行や!!




